Month:August 2026
MDA、極超音速弾道ミサイル対応可搬式レーダー調達へ
アクシオス(Axios)は8月19日、ミサイル防衛局(Missile Defense Agency: MDA)が、少数部隊が駐留する前哨基地から弾道ミサイルや巡航ミサイル、極超音速ミサイルを追跡できる可搬式レーダーを調達すると報じた。ヨルダンにあるRTX社製のAN /TPY−2レーダーなどの早期警戒レーダーへのイランによる攻撃など、固定式センサーや既設基地が標的となっている課題に対応するもので「前方配備型次世代レーダー(Forward-Based Mode: FBM Radar Next)」の競争入札に向けた詳細を公開している。試作機は、大型輸送機C-17への搭載や到着後数時間での設営、また反撃を回避するために数分での撤収が可能な仕様を求めているほか、既存の指揮統制ネットワークとの連携や低コストでの大量生産も重視しており、MDAは敵の能力が高度化する中で、機動性と生存性に優れた高精度センサーの必要性が高まっていると説明した。事業は今後複数の開発・試験が予定されているが、具体的な開始時期についてはまだ明らかにされていない。 Axios “U.S. seeks super-mobile missile defense radar” (08/19/26) https://www.axios.com/2026/08/19/missile-defense-agency-fbm-radar-hypersonics
CATFが地熱情報サイトを公開 次世代技術の共同開発加速
クリーン・エア・タスクフォース(Clean Air Task Force: CATF)は8月19日、地熱分野関連機関の研究力や各国の地熱状況を可視化する「地熱フロンティア知識共有プラットフォーム(Geothermal Frontier Knowledge Sharing Platform)」を公開したと発表した。世界地図上で主要事業の詳細や研究機関の実証能力、国別の専門性を確認できる無料のオンラインサイトで、次世代地熱開発加速に向け、研究者や産業界、政策立案者らが連携を図ることを目的に構築された。CATFは開発の現状把握により資金提供の対象を絞り込むことができる上、投資家も専門家への直接アクセスで情報精査が可能になると説明しており、特に超高温岩体などの高エンタルピー(物質が持つ熱エネルギーの総量)資源の活用には、現在分断されている研究や資金調達、産業を結び付ける必要があると同基盤設立の意義を強調した。なお、使い方については、8月28日にシンクジオエナジー社(ThinkGeoEnergy)と共同で公開ウェビナーを開催する予定となっている。 CATF “New global platform maps next-generation geothermal research capacity to drive collaboration and speed up development” (08/19/26) New global platform maps next-generation geothermal research capacity to drive collaboration and speed up development
DIU、ブリッジ事業を加速 防衛産業基盤を強化
国防総省(Department of Defense)は8月18日、防衛産業基盤の強化に向け、国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation Unit: DIU)が「ブリッジ・プログラム(Bridge Program)」を展開していると発表した。省内手続きを簡素化し、民間技術の導入を加速することが目的で、機密施設の整備迅速化やサイバーセキュリティ技術認証の期間短縮、試作段階からの実証試験支援など3つの主要施策を柱に掲げている。これまで数年かかっていた機密インフラ稼働を数カ月に短縮する共同資金調達・整備モデルを採用しており、既にピッツバーグやオースティン、サンフランシスコ、ボストン、サウスカロライナ州チャールストン、シカゴ、クリーブランド、ケンタッキー州ルイビル、ニューヨークなど全国9カ所での民間機密共有施設の整備に着手している。7月16日に発表されたペンシルベニア州での100億ドル規模の防衛投資にも同様の手法を採り入れており、実証段階から初の大規模な実用化に向けた同省取り組みの節目と位置付けられている。 Department of Defense “Defense Innovation Unit Develops Program to Supercharge Defense Industrial Base” (08/18/26) https://www.war.gov/News/News-Stories/Article/Article/4575421/defense-innovation-unit-develops-program-to-supercharge-defense-industrial-base/
エネルギー省、産業副産物から重要鉱物回収1.6億ドル支援
エネルギー省(Department of Energy)の重要鉱物エネルギー・イノベーション局(Office of Critical Minerals and Energy Innovation: CMEI)は8月18日、産業原料から重要鉱物や素材などを回収する9つの事業に対し、総額1億6,200万ドルを拠出すると発表した。実験室や商業規模施設において、スカンジウムや銅、アンチモン、レアアース(希土類)などの重要物質回収を支援する取り組みで、昨年8月に同省が発表した重要鉱物や材料の採掘、加工、製造技術開発とその規模拡大に向けた約10億ドルの投資計画の一環である。採択されたのは、アナクティシス社(Anactisis)、スティル・ブライト社(Still Bright)、ヌサノ社(Nusano)、シトレーション社(SiTration)、DISAテクノロジーズ社(DISA Technologies)、アルコアUSA社(Alcoa USA)、トリッグ・ミネラル社(Trigg Minerals)などで、国立エネルギー技術研究所(National Energy Technology Laboratory: NETL)の管理下で、事業化に向け技術成熟度の引き上げを図る計画である。 Department of Energy “DOE’s Office of Critical Minerals and Energy Innovation Announces $162 Million To Accelerate Critical Minerals and Materials Recovery from Industrial Sources” (08/18/26) https://www.energy.gov/cmei/articles/does-office-critical-minerals-and-energy-innovation-announces-162-million-accelerate
空軍、ステルス機などの模倣型標的ドローンを募集
ディフェンス・ニュース(Defense News)は8月18日、空軍がステルス戦闘機や大型爆撃機、小型ドローンまで多様な航空機を模倣した次世代の標的ドローンの調達を計画していると報じた。安価なホビー用ドローンから最先端の敵戦闘機に至るまで、あらゆる空中脅威を再現可能なドローン群の構築を目指しており、高い実用性に加え、必要に応じて使い捨てにできる低コスト性と製造の容易さを求めている。空軍は、既存のF-16を改造したQF-16を保有しており、第4世代戦闘機に代わる実物大の標的機として利用できるものの、第5世代ステルス機や大型機の模倣が難しく大量消費に適さないため、空軍は民間技術や軍民両用製品の活用を模索していた。具体的には、超音速領域(高度4万フィートでマッハ1.6以上)での運動性能や低視認性(ステルス)標的のレーダー反射断面積(Radar Cross-section: RCS)への再現、群ドローン運用への対応などを備えたモデルを導入し、ミサイル誘導や弾頭威力の検証など、実践的な訓練環境の整備を進める方針である。 Defense News “US Air Force looks to acquire target drones that can mimic stealth jets ” (08/18/26) https://www.defensenews.com/industry/techwatch/2026/08/17/us-air-force-looks-to-acquire-target-drones-that-can-mimic-stealth-jets/
OSTP、科学技術安保新戦略で外国人採用緩和
NEXTGOV/FCWは8月17日、大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)が国家安全保障科学技術に関する新戦略を発表し、研究機関に新たな安保対策の導入を求めたと報じた。国内技術の保護に向け、研究提案の自動審査や継続的監視体制構築を提唱しているほか、連邦捜査局(Federal Bureau of Investigation: FBI)による量子情報科学技術対抗諜報チーム(Quantum Information Science and Technology Counterintelligence Protection Team)の例を挙げ、省庁間の情報共有強化を求める内容となっている。一方、国家安全保障上重要な科学技術分野へ高度熟練人材を海外から誘致する計画も明記し、これまでの海外人材削減方針から方向転換するという。政府は、安保上の対応と技術的優位性維持の観点からの対応と説明しているが、具体的な内容については明らかになっていない。なお、トランプ大統領は2025年9月、H1Bビザ取得手数料に10万ドルを課すよう指示したが、連邦地裁がこれを覆す判決を下している。 NEXTGOV/FCW “White House S&T strategy calls for new approaches to safeguard US research” (08/17/26) https://www.nextgov.com/policy/2026/08/white-house-st-strategy-calls-new-approaches-safeguard-us-research/415477/?oref=ng-home-top-story
CATF、西部全域の次世代地熱発電導入を提言
クリーン・エア・タスクフォース(Clean Air Task Force: CATF)は8月18日、西部諸州の次世代地熱エネルギー商用化に向けた政策提言をまとめた報告書を発表した。天然熱水溜まりが必要な従来地熱システムと異なり、次世代地熱は地下岩盤の熱を利用するため幅広い地域での発電が可能で、2050年までに国内で最大300GW(ギガワット)の電力供給を試算している。さらに技術革新が進めば全米の電力容量を大きく上回る最大4テラワット(TW)を発電できる可能性がある一方で、近年の州法整備にもかかわらず、地下データの不足や初期段階の資金調達不足、送電網整備遅延などにより実用化に至っていない。こうした背景からCATFは許認可手続きの簡素化や送電網アクセス改善、過去データのデジタル化、段階的な株式転換型融資といった段階的な資金調達支援などを重要施策として掲げた。急速な電力需要増加に直面する西部各州に対し、的を絞った政策介入で将来的なコスト削減につながる知見が得られるとし、民間投資の早期誘致を促している。 CATF “New CATF report maps the policy path to unlocking next-generation geothermal across the Western United States” (08/18/26) New CATF report maps the policy path to unlocking next-generation geothermal across the Western United States
NSF、科学工学分野の基礎研究に15億ドル投資
米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は8月17日、科学工学分野の基礎・応用研究に対し、12件の新たな公募案件に総額15億ドル以上を投じると発表した。革新的な研究開発を支援するもので、従来の画一的な助成方式を見直し、研究の特性に応じた最長5年の長期枠や短期の小口助成を柔軟に組み合わせる「ポートフォリオ型」拠出を採用する。研究者が次の資金獲得のための成果作りに追われることのないよう、長期的な視点でパラダイムシフト(大転換点)をもたらす研究に集中できる環境を整える狙いがあり、NSFは研究者に対し、リスクを軽減しつつ斬新なアイデアを迅速に検証していくため、既存の短期的助成制度などの活用も促している。また、AI(人工知能)や自動化技術を活用した新領域の研究を重視しており、メタ研究や自己改善型科学事業を構築していく方針を示しており、若手研究者の積極的な応募も呼びかけている。 NSF “NSF announces $1.5B for foundational research to drive scientific breakthroughs for American technological leadership” (08/17/26) https://www.nsf.gov/news/nsf-announces-15b-foundational-research-drive-scientific
国防総省、防衛大手幹部を招集
国防専門メディアのブレイキング・ディフェンス(Breaking Defense)は8月12日、国防総省(Department of Defense)のスティーブン・ファインバーグ副長官(Stephen Feinberg)が、防衛大手企業幹部を国防総省に招集すると報じた。業界による国防現状の把握動向を確認しつつ、安全保障における世界的脅威の深刻さを直接伝えることが目的で、産業基盤の戦時生産体制への移行加速に向け、企業の資金投入拡大を促す狙いがある。これに併せ、新組織の国防ビジネス運用機関(Business Operators for National Defense:BOND)を通じた各企業との面談も進めており、記事は経営トップだけでなく取締役まで呼び出す手法は極めて異例と伝えた。民間投資ファンド出身のファインバーグ氏はPAC-3迎撃ミサイルやトマホーク巡航ミサイルなど主要弾薬生産量を倍増させるなど取り組みの最前線に立っており、調達の迅速化に応じない企業は取り残されると言及していることから、企業側も自社株買いの一時停止など、株主還元から生産設備投資へのシフトを進めている。 Breaking Defense “Feinberg requested defense industry board members for briefing” (08/12/26) https://breakingdefense.com/2026/08/feinberg-requested-defense-industry-board-members-for-briefing-execs/
下院中国特別委、ハーバード大学における中国の影響力を報告
下院中国特別委員会(House Select Committee on China)は8月13日、下院教育労働力委員会(House Education and Workforce Committee)と共同で、ハーバード大学(Harvard University)における中国共産党(Chinese Communist Party: CCP)の影響力に関する調査報告書を発表した。同大学が国の安全保障よりも利益を優先し、中国軍や人権侵害に関連する組織との連携を許容していたとし、非営利組織のハーバード・グローバル(Harvard Global)設立などを通じた外国からの資金開示規則回避のほか、医療分野の教育セミナーに財務省(Department of Treasury)から制裁を受けている中国の準軍事組織が参加していた可能性を指摘した。また、一部コンプライアンス担当者が中国との協力関係や反中国デモ参加者への暴力行為を容認していたとし、同大学に対し、研究セキュリティ機能の再構築や資金源の透明性強化などの改革を求めた。さらに、議会に対しても、外国からの寄付や契約の透明性開示を義務付ける抑止法(DETERRENT Act)の可決を提言している。 House Select Committee on China “Select Committee Investigation: Exposing CCP Influence at Harvard University” (08/13/26) https://chinaselectcommittee.house.gov/media/press-releases/select-committee-investigation-exposing-ccp-influence-at-harvard-university