Day: August 28, 2026
CNAS、汎用人工知能を巡る米中競争分析を公表
新米国安全保障センター(Center for a New American Security: CNAS)は8月27日、人間と同等レベルの能力を持つ汎用人工知能(AGI)の台頭による米中間の地政学的競争への影響を分析した報告書を公表した。AGI技術の開発が国力や経済力に波及し、優位性を左右すると指摘し、経済成長と生産能力の向上、世界的な情報環境に対する影響力の強化、新たな軍事能力の獲得などへの波及メカニズムを提示した。中国の現状については、AGI開発推進が政策上の優先事項となりつつも、シリコンバレーの技術レベルには達しておらず、発展途上にあるという。政府に対しては技術漏洩阻止や流出した際の追跡体制整備について、中国との外交チャネルを設置するよう提言している。AGI技術は軍事・経済の覇権争いにとどまらず、社会構造そのものを激変させ、深刻な分断を引き起こすリスクがあると指摘しており、5月に行われた米中首脳会談における両国間対話枠組みも活用しながら、影響緩和策を講じる重要性を強調した。 CNAS “Superpowers and AGI” (08/27/26) https://www.cnas.org/publications/reports/superpowers-and-agi
トランプ政権、半導体への追加関税を検討
ポリティコ誌(Politico)は8月26日、トランプ政権による半導体とその関連製品に対する新たな広範な追加関税導入検討について報じた。関税対象を大幅に拡大し、半導体だけでなく、ノートパソコン、ゲーム機、データセンター用サーバーなどの製品まで含める案が浮上している。背景には、ハワード・ラトニック商務長官(Howard Lutnick)による半導体の国内生産推進を反映した動きがあるが、記事は、先端半導体の国内生産体制の整備には数年以上かかるため、台湾やマレーシア、韓国などアジア諸国への供給依存が続く現状において、関税導入はAI用データセンターの建設費用を高騰させ拡大計画を停滞させる恐れがあると指摘している。また、IT大手は米国による人工知能(AI)主導権の維持を掲げ、業界団体やロビイストもデータセンター向けなどの免除措置が盛り込まれていた従来の関税構造を踏襲するよう政府高官に働きかけているが、商務省(Department of Commerce)は国内生産強制に向けた適用拡大に傾斜しているとも伝えている。 Politico “Another potential headache for US data centers — Trump tariffs ” (08/26/26) https://www.politico.com/news/2026/08/27/data-centers-chips-tariffs-threat-01050957
陸軍、軍事基地へのマイクロ炉導入に22億ドル拠出
陸軍は8月26日、軍事基地にマイクロ炉を設置・運用する「ヤヌス計画(Janus Program)」に総額最大22億ドルを拠出すると発表した。国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation Unit: DIU)と連携した取り組みで、民間企業5社と候補地5カ所を選定し、2027年から5年間に亘り資金を配分する。民間資金も呼び込んだ20基以上の導入を目指しており、アンタレス・ニュークリア社(Antares Nuclear)、BWXTアドバンスト・テクノロジーズ社(BWXT Advanced Technologies)、ゼネラル・アトミックス・エレクトロマグネティック・システムズ社(General Atomics Electromagnetic Systems)、ラディアント・インダストリーズ社(Radiant Industries)、ウェスティングハウス・ガバメント・サービス社(Westinghouse Government Services)を採択した。世界規模での戦闘力展開に向け、外部送電網への依存を減らしてエネルギー安全保障を強化する狙いがあり、大統領令に基づき2028年9月までの初号機運用開始に向け、開発を進める計画である。 US ARMY “Army reaches agreement with private industry for nuclear micro-reactors” (08/26/26) https://www.army.mil/article/294891
NRDC、現行政策により、540GW、7,000億ドルの再エネ損失を示唆
天然資源防衛協議会(Natural Resources Defense Council: NRDC)は8月25日、政府のクリーンエネルギー投資抑制策により最大540ギガワット(GW)の再エネ・蓄電設備が消失するとの調査結果を公表した。今後10年間で7,000億ドルの投資が失われ、1世帯あたりの電気代が年平均230ドル増となる見通しで、新たな関税導入から風力発電の新設中止に伴う補償金支払いなど一連の政策影響を包括的に評価した。大統領による就任18ヵ月以内の電気料金半減公約も、現状は過去最高水準で、特に今期に入り16%上昇したと指摘した。また、老朽化した石炭火力発電所の稼働延長も、追加容量はわずか9GWに過ぎないと指摘し、これに伴う大気汚染の悪化についても触れ、2035年には二酸化炭素(CO2)排出量が倍増すると予測している。データセンター拡大に伴う電力需要が急増する中、NRDCは再エネ税額控除撤廃や関税導入、許認可遅延が影響し、一連の政策が公衆衛生と経済への負担を増大させると懸念を表明している。 NRDC “NRDC Report: How Trump’s Actions Are Hiking Utility Bills and Destroying Investments” (08/25/26) https://www.nrdc.org/press-releases/nrdc-report-how-trumps-actions-are-hiking-utility-bills-and-destroying-investments 参照記事: Utility Dive “Trump’s energy policy could cost US 540 GW of renewables, says NRDC” (08/26/26) https://www.utilitydive.com/news/trumps-energy-policy-could-cost-us-540-gw-of-renewables-says-nrdc/828826/
データセンター建設、全米の半数が反対 世論調査
シンクタンクの情報技術イノベーション財団(Information Technology & Innovation Foundation:ITIF)は8月26日、国民の半数近く(46%)が居住地域内のデータセンター建設に反対し、賛成は全体のわずか4分の1にとどまったと発表した。コンサルティングのパブリック・ファースト社(Public First)と共同で実施した世論調査で、調査対象となった10種類の地域開発の中で、データセンターへの支持は26%のみと圧倒的に低く、また未利用地への建設も開発しないよう望む声が49%と開発推進派33%を上回った。党派別でも開発不実施を望む民主党支持層で56%、共和党支持層で44%に達した。背景には人工知能(AI)導入に関する懸念があり、用途をネットバンキングやビデオストリーミングなどに限定した場合は賛成が上回ったものの、AIモデル学習用データセンターに関しては反対(33%)が賛成(31%)を上回った。ITIFは、インフラ建設への反対がAI分野における国の競争力や経済的優位性を損なうリスクがあると警告し、影響が長期的に及ぶ可能性を指摘した。 ITIF “Data Centers Are Americans’ Least Favored Form of Development, New Research From Public First and ITIF Shows” (08/26/26) https://itif.org/publications/2026/08/26/data-centers-are-americans-least-favored-form-of-development/
GAO、国防総省に民間宇宙データの活用改善を提言
政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は8月27日、国防総省(Department of Defense)による民間宇宙データ及び関連サービス活用に関して、利用促進に向けた取り組みを改善するよう提言した。同局調査によると、宇宙軍(United States Space Force: USSF)の統合商業運用(Joint Commercial Operations: JCO)部隊は、2023年1月から2025年9月までに民間市場を通じて7,680万ドル規模のデータやサービスを購入し、宇宙領域把握などに活用したが、ライセンス費用や利用制限の認識、長期アクセスに関する懸念から、運用担当者の一部が導入を躊躇(ちゅうちょ)していたことがわかった。また、こうした課題は各部隊による作業部会などでの議論で解決できたはずも、担当者が該当グループに参加しておらず、そもそもこうした部会に関する情報も周知されていなかったことも指摘した。こうした事態を受け、GAOは空軍に対し省庁横断型作業部会の認知度向上と購入済みデータの共有体制強化を求めており同省も対応策を構築していく姿勢を示した。 GAO “National Security Space: DOD Has Opportunities to Improve Its Use of Commercial Data and Related Services” (08/27/26) https://www.gao.gov/products/gao-26-107959
運輸省、幹線インフラを多用途化した商業回廊構想
運輸省(Department of Transportation)は8月26日、高速道路や鉄道など既存用地を活用し、送電線や光ファイバーケーブル、給水管などを新たに敷設する全国構想「米国の偉大な商業回廊(America’s Great Corridors of Commerce: AGCC)」を発表した。送電網インフラの規模拡大が目的で、既存の交通用地を民間事業者に貸し出し、追加の用地買収回避、コスト削減に加え、環境に関する特例措置を活用した長期審査回避など、許認可手続きを大幅に短縮する。データセンターや先端製造業の拡大に伴う電力・通信需要の急増に対応するもので、同省傘下の米国構築局(Build America Bureau)が主導する。これに伴い、優先回廊を5カ所選定し、事業から得られる賃貸収入は、道路や橋梁、鉄道などの既存インフラの修繕資金に充当する計画である。なお、同構想導入に向け、同省は広く情報を募っており、情報提供期限を9月12日と設定した。 Department of Transportation “Trump’s Transportation Secretary Sean P. Duffy Unveils ‘America’s Great Corridors of Commerce’ to Transform Highways & Railroads into Multi-Use Arteries to Power Economy of the Future” (08/26/26) https://www.transportation.gov/briefing-room/trumps-transportation-secretary-sean-p-duffy-unveils-americas-great-corridors
NSF、3つの科学技術センター新設に9,000万ドル投資
米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は8月26日、先端研究と人材育成を目的とする新たな「科学技術センター(Science and Technology Centers: STC)」を3カ所開設し、5年間で総額9,000万ドルを投資すると発表した。1987年に設立されたNSF STCプログラムの一環で、人工知能(AI)やバイオテクノロジー、核融合エネルギー、ロボット工学のイノベーション加速により、技術覇権の維持を図る。採択されたのは、ミシガン州立大学(Michigan State University)が主導するAIを用いた核融合向けの流体制御研究と、ノースウェスタン大学(Northwestern University)によるゲノムDNA構造解析、テキサス大学オースティン校(University of Texas at Austin)の人間とロボットの協調適応研究で、それぞれ年間約600万ドルを配分する。重要・新興技術開発推進を支援し、国家的な利益へと転換することに重点を置く政府による一連の取り組みで、NSFは産業界や政府機関と連携し、研究成果の社会実装を進めていく。 NSF “NSF launches three new Science and Technology Centers with $90M investment in transformative research” (08/26/26) https://www.nsf.gov/news/nsf-launches-three-new-science-technology-centers-90m
NETLとEMSL、重要鉱物と希土類元素確保に向け連携
国立エネルギー技術研究所(National Energy Technology Laboratory: NETL)は8月26日、環境分子科学研究所(Environmental Molecular Science Laboratory: EMSL)と共同で、国内における重要鉱物や希土類元素(レアアース)など供給源特定と加工推進に向けた研究開発を開始したと発表した。国内13の鉱床に加えハワイ、アラスカ、プエルトリコなど新たに8ヶ所の地域へ対象を拡大した重要鉱物回収・精製技術開発に向け約6,000万ドル規模のエネルギー省(Department of Energy)の取り組みの一環で、国防や航空宇宙、エネルギー安全保障分野に不可欠な素材の供給網(サプライチェーン)リスクに対応する。具体的には、デューク大学(Duke University)やミシガン州立大学(Michigan State University)、アイダホ国立研究所(Idaho National Laboratory)と連携し、微生物を活用した生物学的バイオマイニング手法により低品位(低含有率)鉱石や鉱物残渣(ざんさ)から効率的に回収する計画で、人工知能(AI)による解析基盤も構築し、国内生産能力の強化を図る。 NETL “NETL and EMSL Collaborating to Advance Sources of Critical Minerals and Rare Earth Elements” (08/26/26) https://netl.doe.gov/node/15577
LLNL、産業界と連携し次世代原子炉燃料の開発を推進
ローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory: LLNL)は8月26日、マイクロ炉スタートアップのアンペラ社(AMPERA)と提携し、次世代原子炉向けの高耐久性燃料の製造に向け、共同事業を開始したと発表した。高温や高照射など厳しい条件下で稼働する先端原子炉用三重被覆層粒子(TRi-structural ISOtropic: TRISO)燃料の原料となるトリウム粒子の製造が目的で、LLNL独自の開発技術を活用し、従来手法では困難だった高精度な球状金属粒子の量産実現に向けて取り組む。資源量が豊富なトリウムは廃棄物発生量が少なく、兵器化が難しいなどの利点があり、基幹系統に依存しない独立電源として期待される小型モジュール炉(Small modular reactor: SMR)向け燃料としての活用が期待されている。特に孤立地域や軍事施設、工業用地などへSMRを通じた安定電力供給を想定し、トリウム供給網確保に向け技術の早期商用化を図るとし、こうした取り組みを通じて、国内エネルギー安全保障の強化に向けて取り組んでいく構えを示した。 LLNL “LLNL partners with industry to advance next-generation reactor fuel” (08/26/26) https://www.llnl.gov/article/54871/llnl-partners-industry-advance-next-generation-reactor-fuel