CNAS、「敵対的蒸留」の検知・抑止へ連邦枠組み構築を提唱

新米国安全保障センター(Center for a New American Security: CNAS)は6月2日、米国の最先端AIシステムからモデル機能を大規模抽出する中国による「敵対的蒸留」を、米国製AIエコシステムの構造的脆弱性とし、その解決に向けた提言を発表した。個別防衛では情報を中継する仲介基盤が各種シグナルを隠蔽し、企業規制を無力化するため限界があることから、司法省(Department of Justice)と連邦取引委員会(Federal Trade Commission: FTC)による企業間シグナル共有に対する独占禁止法などの懸念払拭に向けた共同指針の制定や、国家安全保障局(National Security Agency: NSA)による脅威アクター特定の支援を提唱している。またAI標準・イノベーションセンター(Center for AI Standards and Innovation: CAISI)による官民連携フォーラム設立や、国際緊急経済権限法(International Emergency Economic Powers Act: IEEPA)に基づく大統領令ほか、2026年米国AIモデル盗難抑止法(Deterring American AI Model Theft Act of 2026)の早期可決も提言している。 Politico “OpenAI diverges from White House on AI safety rules” (06/03/26) https://www.politico.com/news/2026/06/03/openai-white-house-ai-safety-rules-00948478

OpenAI、最先端AIの民主的ガバナンスと連邦規制案を発表

オープンAI社(OpenAI)は6月2日、フロンティア人工知能(AI)のリスク管理と民主的な統治に向けた連邦政府の法制度枠組みに関する案を発表した。商務省(Department of Commerce)傘下のAI標準・イノベーションセンター(Center for AI Standards and Innovation: CAISI)主導による義務的な評価プロセスを求めるもので、国家安全保障局(National Security Agency: NSA)主導による「自主的な評価」枠組みを新設した政府案とは大きく異なるものとなった。同社は、AI自身による自己改善(Recursive self-improvement: RSI)の初期兆候を指摘し、これが開発競争を激化させ、企業による自主規制や個別規制など既存制度では対処できない課題を生むと警告しており、州の安全法に基づく国家枠組みの構築や、CAISIの機能強化などの戦略を提示している。同社のサム・アルトマンCEO(Sam Altman)は、官民連携でサイバー攻撃などの脅威を評価する耐久性のある連邦枠組み構築を提唱しており、政権や議会への働きかけを強めている。 OpenAI ” Democratic Governance of Frontier AI: A blueprint for a federal framework” (06/03/26) https://cdn.openai.com/pdf/25752ecb-0e5c-47f9-b9e4-c0f4d76f8d3d/a-blueprint-for-a-federal-framework.pdf 参照記事: Politico “OpenAI diverges from White House on AI safety rules” (06/03/26) https://www.politico.com/news/2026/06/03/openai-white-house-ai-safety-rules-00948478

DTEエナジー、LGと最大6GWhの蓄電システム調達で提携 データセンター需要に対応

ユーティリティ・ダイブ(Utility Dive)は6月3日、エネルギー大手のDTEエナジー社(DTE Energy)が、LGエナジー・ソリューション・バーテック社(LG Energy Solution Vertech)から総額16億ドル規模の出力1.5ギガワット(GW)/容量6ギガワット時(GWh)の蓄電システムを調達すると発表したと報じた。ミシガン州内で製造し、今後2年間で8つの事業に導入する。背景にはAI普及に伴うデータセンターの電力需要急増があり、2042年までに現在の2倍以上となる2.9GW以上の蓄電容量の確保を目指すDTE社は、これに先立ち、昨年12月に同州規制当局からオラクル社(Oracle)のデータセンター向け契約の条件付き承認を得たほか、グーグル社(Google)との1GW規模のデータセンター案件についても承認待ちとなっている。この計画を通じて同社は、約2150人の雇用を創出し、総額23億ドルの経済効果を生み出すと推計しており、電力網の信頼性向上と州のクリーンエネルギー目標の達成に貢献する構えである。 Utility Dive “DTE Energy partners with LG to deploy 6 GWh of battery storage” (06/03/26) https://www.utilitydive.com/news/dte-energy-lg-battery-storage/821856/

7州、洋上風力契約解約の買収巡りトランプ政権を提訴

ユーティリティ・ダイブ(Utility Dive)は6月3日、ニューヨークやコネチカット、メインなどの7州が、仏トタルエナジーズ社(TotalEnergies)と政府による洋上風力発電事業における解約合意は権限逸脱であるとして、連邦政府を相手取り提訴したと報じた。政権側は3月、同社がニューヨーク沖で計画していた3ギガワット(GW)規模の事業などを停止する見返りとして、総額約9億2,800万ドルを支払う合意に達している。訴状では、同社がこの返戻金を米国内のガス・電力生産や輸出開発に再投資する予定で、原告側はこれを「大統領意向による不正な資金流用」と問題視した。また、政権側が財務省(Department of Treasury)の和解基金からの支払いを主張しているのに対し、法的な要件を満たしていないとも主張している。事業中止はニューヨーク州などの電力網の信頼性や気候変動目標といった環境・経済的利益を著しく害する上、風力発電に否定的な政権下で、他の事業者にとっても解約の「青写真」になりかねないと危機感を示している。 Utility Dive “7 states sue Trump administration over TotalEnergies offshore wind lease buyout” (06/03/26) https://www.utilitydive.com/news/states-sue-trump-admin-over-totalenergies-offshore-wind-lease-buyout/821870/

グーグル、100MW規模の仮想発電所建設を支援

ユーティリティ・ダイブ(Utility Dive)は6月3日、グーグル社(Google)がPJM系統(PJM Interconnection)における100メガワット(MW)規模の仮想発電所(VPP)建設に資金提供すると報じた。これに伴い、同社はVPP運営事業者のボルタス社(Voltus)と提携し、地域送電網全域の一般家庭や商業施設、産業顧客から分散型エネルギー資源の集約を図る。短時間のピーク需要に対応するための電力網拡張が顧客のコスト負担を増大させているとし、この提携を通じて、他の大口電力顧客が追随できる再現可能な道を確立し、システムコストの削減を目指す。AIデータセンターの電力需要急増による電気料金上昇や予備率が低下する中、自社データセンターを柔軟に運用するよりも、他の電力利用者に使用時間帯を移行してもらう方が迅速で費用対効果が高いと判断した。同社はチップ調達の資本コストが莫大なため、あらゆるシステム資源を動員して施設稼働を継続させたい意向である。 Utility Dive “Google to fund 100-MW virtual power plant in PJM in ‘first-of-its-kind’ deal” (06/03/26) https://www.utilitydive.com/news/google-virtual-power-plant-vpp-pjm-voltus/821838/

NSF、KBRと南極の科学基盤維持で20年契約 最大80億ドルを拠出

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は6月2日、KBRサービス社(KBR Services: KBR)に最大80億ドルを拠出すると発表した。南極科学・工学支援契約(Antarctic Science and Engineering Support Contract)に基づくもので、南極における科学的主導権と戦略的プレゼンス維持に向けた20年間の数量不確定型契約(Indefinite-Delivery/Indefinite-Quantity contract: IDIQ)となっている。同事業は、国内全ての南極科学研究と関連する物流ロジスティクスを支えるもので、NSFが国を代表してその管理運営を統括しており、本契約に基づき、同社は南極にある3つの研究基地や関連インフラの計画・管理・実行を包括的に支援し、革新的な科学研究の継続性を確保する役割を担う。NSFは、南極プログラム(U.S. Antarctic Program: USAP)が同地域における国の科学的リーダーシップの礎であるとし、極地での活動を卓越した基準で運営していく責任を強調した。 NSF “NSF commits $8B to sustain U.S. scientific presence in Antarctica” (06/02/26) https://www.nsf.gov/news/nsf-commits-8b-sustain-us-scientific-presence-antarctica

NIST、USAレアアースと最大16億ドルの正式契約 国内供給網を強化

米国標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology: NIST)は6月3日、商務省(Department of Commerce)のCHIPSプログラム局(CHIPS Program Office)を通じて、USAレア・アース社(USA Rare Earth: USAR)に最大16億ドルの資金支援を行う最終契約を締結したと発表した。CHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)に基づく合意で、国内半導体エコシステムの強化支援を目的としている。具体的には、12種類の重要・戦略鉱物の供給網(サプライチェーン)を国内回帰させ、年産最大1万トンのレアアース金属合金・ネオジム-鉄-ホウ素(NdFeB)系磁石(レアアース磁石)の生産能力を確立するとし、テキサス州シエラ・ブランカのラウンドトップ鉱床における採掘・処理施設の建設や、オクラホマ州スティルウォーターやサウスカロライナ州ブラックスバーグにある金属・磁石生産施設の拡張整備に充てられる。これら鉱山からはジスプロシウムやホルミウム、ガリウム、テルビウム、ハフニウムなど多岐に亘る戦略鉱物が生産される予定という。 NIST “The Department of Commerce’s CHIPS Program Finalizes Definitive Agreement With USA Rare Earth For Up To $1.6 Billion To Support The Company’s “Mine-to-Magnet” Strategy” (06/03/26) https://www.nist.gov/news-events/news/2026/06/department-commerces-chips-program-finalizes-definitive-agreement-usa-rare

フェルミ研、ハーモニクスとオープンソースツール統合 量子制御最適化を加速

フェルミ国立加速器研究所(Fermi National Accelerator Laboratory: Fermilab)は6月3日、量子計算のソフトウェア企業であるハーモニクス社(Harmoniqs)と提携し、大規模量子ビット制御の最適化を加速させると発表した。フェルミ研が開発したカスタマイズ可能な量子読み出し・制御システム「量子計装制御キット(Quantum Instrumentation Control Kit: QICK)」と、ハーモニクス社の制御・校正ソフト「ピッコロ(Piccolo.jl)」を統合する。同社製ソフトにはロボット工学や航空宇宙分野で実証済みのアルゴリズムが導入されており、信頼性の高い大規模量子システムの構築に寄与するという。実用的な大型量子コンピュータ実現には、量子計算における情報の基本単位である多数の量子ビット精密制御が不可欠なため、この統合によりハードウェアを意識した高精度さで信号形状や周波数を微調整できるようになる。統合されたアルゴリズムは一般公開され、ユーザーによる拡張やカスタマイズが可能な上、試行測定回数や検証時間の削減につながるという。 Fermilab “Fermilab and Harmoniqs integrate open-source tools to advance qubit control optimization” (06/03/26) Fermilab and Harmoniqs integrate open-source tools to advance qubit control optimization

エネルギー省、地域コンソーシアムを発足 重要鉱物供給網を強化

エネルギー省(Department of Energy)傘下の重要鉱物・エネルギー革新局(Office of Critical Minerals and Energy Innovation: CMEI)は6月3日、非従来型及び2次原料から新たな重要鉱物・材料の供給網(サプライチェーン)開発加速に向け、地域事業体を設立する2事業に1,500万ドルを投じると発表した。対象地域を全米13盆地からハワイやアラスカ、プエルトリコを含む8つの地域へと拡大し、石炭や油ガス開発に伴う廃水、酸性坑廃水などの未利用資源を活用した重要技術開発や国内製造業向け供給を強化する。ネバダ大学リノ校(University of Nevada, Reno)は堆積層や稼働中の鉱山廃棄物を調査して包括的なデータベースを構築し、将来採掘や環境修復の戦略的提言を行うとともに地域コミュニティへの教育活動も展開し、ジョージア工科大学(Georgia Tech)は大西洋沿岸平原の堆積鉱物や産業跡地残渣を分析し、機械学習を用いて効率的な抽出方法や埋蔵場所の予測を進め、地域イノベーション・システムを構築する。 Department of Energy “DOE’s Office of Critical Minerals and Energy Innovation Launches Regional Consortia To Bolster Domestic Critical Minerals Supply Chain” (06/02/26) https://www.energy.gov/cmei/articles/does-office-critical-minerals-and-energy-innovation-launches-regional-consortia

NNSA、オークリッジ国立研究所に最先端核試験施設を建設へ

エネルギー省(Department of Energy)傘下の国家核安全保障局(National Nuclear Security Administration: NNSA)は6月3日、核脅威から国家を防衛するための最先端試験施設をオークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory: ORNL)に建設すると発表した。核不拡散維持・管理プログラム(Nonproliferation Stewardship Program: NSP)の一環で、テネシー州で建設が進められている原子力インフラの拡大に向け、国内産業に専門知識を提供して民間能力を活性化させる取り組みである。新設される「先進試験・運用学習研究所(Advanced Testbed and Operations Learning Laboratory: ATOLL)」は2万1000平方フィート規模となる予定で、2028年夏に完成を見込んでおり、他国の兵器級ウラン生産活動を監視・識別するための技術や重要人材を育成していく。NNSAは、敵対勢力抑止に向け、自らが原子力科学や兵器生産の専門家となる必要があり、新施設への投資がその理解を深めると強調している。 Department of Energy “NNSA Administrator Williams Breaks Ground on Cutting-Edge Nuclear Testbed at Oak Ridge National Laboratory ” (06/02/26) https://www.energy.gov/nnsa/articles/nnsa-administrator-williams-breaks-ground-cutting-edge-nuclear-testbed-oak-ridge