NSF、AI研究資源運用センター設立 恒久的な国家基盤構築へ

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は9月1日、国内の人工知能(AI)研究能力と科学的発見推進に向け、「NSF国家AI研究資源運用センター(NSF National Artificial Intelligence Research Resource Operations Center: NSF NAIRR-OC)」を設立したと発表した。2024年1月発足以来800件以上の事業を支援してきたNAIRR運営を同センターが引き継ぎ、官民が連携して開発した高度AIインフラを恒久的な国家基盤へと転換・統合していく。具体的にはカリフォルニア大学サンディエゴ校サンディエゴ・スパコン・センター(San Diego Supercomputer Center at UC San Diego)とテキサス大学オースティン校テキサス高度計算センター(Texas Advanced Computing Center at University of Texas at Austin)が計算資源やデータの連携、ポータル運営、人材育成などを包括的な統括に向け、共同で主導していく。特に政府優先政策に添う形で地域インフラ拠点やデータ統合事業とも連携しつつ、国内における研究機会の拡大と技術競争力の強化を目指していく方針である。 NSF “NSF establishes operations center for the National Artificial Intelligence Research Resource” (09/01/26) https://www.nsf.gov/cise/updates/nsf-establishes-operations-center-national-artificial 参照記事: NEXTGOV/FCW “NSF launches a new AI research operations center” (09/02/26) https://www.nextgov.com/artificial-intelligence/2026/09/nsf-launches-new-ai-research-operations-center/415786/?oref=ng-homepage-river

NSCEB、BCI技術普及に向け国策検討を提言

国家安全保障新興バイオテクノロジー委員会(National Security Commission on Emerging Biotechnology: NSCEB)は9月2日、脳コンピューター・インターフェース(Brain-Computer Interfaces: BCI)分野における米国の主導権維持と国家安全保障強化に向けた分析報告書を公表した。BCI技術はヒトの脳の電気活動と相互作用する技術で、疾患や外傷によって失われた感覚機能回復や代替機能など国内でも開発が進んでいるが、今年3月に世界初の埋め込み型BCI商用認可を出した中国が台頭しつつあり、NSCEBは国の戦略的リスクに対する危機感を指摘している。特に連邦機関間の戦略不一致や信号劣化などの技術的障壁、食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)での認可や保険適用手続きの遅れが実用化のボトルネックで、国家バイオテクノロジー調整室(National Biotechnology Coordination Office: NBCO)新設による国家戦略策定が急務とし、大規模研究支援に加え、商業化プロセスの簡素化や保険適用手続きなどの枠組み構築を提言している。 NSCEB “NSCEB Releases Analysis for Securing U.S. Leadership in Brain-Computer Interfaces” (09/02/26) NSCEB Releases Analysis for Securing U.S. Leadership in Brain-Computer Interfaces

第2四半期のクリーン電力導入容量、過去最高

アメリカン・クリーン・パワー協会(American Clean Power Association: ACP)は9月3日、2026年第2四半期のクリーン電力新規導入容量が前年同期比45%増の17.1ギガワット(GW)となり、第2四半期及び上半期として過去最高を記録したと発表した。事業用太陽光発電が7.4GWとなったほか、陸上風力発電が5GW、蓄電池が4.7GWに達し、国内総容量は388GWまで拡大した。ニューメキシコ州でパターン・エナジー社(Pattern Energy)が手がける3.65GWの国内史上最大の大型案件のサンジア風力発電事業が伸びを牽引した。また、開発中の事業も205GWと過去最高水準に達しており、内訳は公益事業規模太陽光発電が111GW、蓄電池が56GWとなっている。急増する電力需要に対してクリーン電力の導入が進む一方、ACPは連邦政府による許認可審査遅延や政策的障壁が成長の足かせになっていると指摘した。特に、陸上風力発電事業は前期比4%減少となっており、市場での公平な競争環境と明確な政策枠組みの確保を訴えている。 ACP “REPORT: Clean Power Maintains Strong Momentum in Q2 2026, with Capacity Additions Up 45% Year Over Year” (09/03/26) REPORT: Clean Power Maintains Strong Momentum in Q2 2026, with Capacity Additions Up 45% Year Over Year

エネルギー省、地熱卓越センターを設立 GW規模の商業化を加速

エネルギー省(Department of Energy)は9月3日、安価で信頼性と安定性の高いエネルギー供給の実現に向け、「地熱卓越センター(Geothermal Center of Excellence)」を設立したと発表した。ギガワット(GW)規模の地熱エネルギー資源探査や技術イノベーション、商業開発の加速に向け取り組んでいくとし、コロラド州ゴールデンのロッキー国立研究所(National Laboratory of the Rockies: NLR)にて発足した。全米の国立研究所の知見を結集したコンソーシアム形式をとり、国立エネルギー技術研究所(National Energy Technology Laboratory: NETL)支援のもと、24時間体制の電力供給に向け、NLRが運営主導を担う。具体的には、招待制の産業諮問委員会を通じて、産業界の研究ニーズを反映させながら産官連携を強化していくとし、産業界と研究機関をつなぐ主要窓口として機能することで優先事項への助言も行いつつ、政府目標の達成に取り組んでいく計画である。 Department of Energy “Energy Department Announces Geothermal Center of Excellence to Advance Geothermal Technology Innovation and Development” (09/03/26) https://www.energy.gov/hgeo/articles/energy-department-announces-geothermal-center-excellence-advance-geothermal 参照記事: Department of Energy “DOE Launches Geothermal Center of Excellence ” (09/03/26) https://www.energy.gov/hgeo/geothermal/articles/doe-launches-geothermal-center-excellence

G20、新興技術導入推進で共同声明 柔軟な政策枠組み構築へ

大統領府は9月2日、主要20カ国・地域(G20)新興技術イノベーション閣僚級会合において、生産性向上など新興技術導入による繁栄に向け、各国閣僚が柔軟な政策枠組みを共同で構築することで合意したと発表した。ノースカロライナ州チャペルヒルで開かれた会合で、各国閣僚らはイノベーション促進政策枠組み構築や技術・熟練技術者の育成、人工知能(AI)の知的所有権に関するルールとその標準化、産業イノベーションと供給網投資を含む6つの柱からなる基本原則を取りまとめたほか、基礎研究への投資や商用化の推進強化を掲げる「カロライナ原則(Carolina Principles)」、技術人材の育成と民間連携を促進する「AI繁栄目標(AI Prosperity Objectives)」及び「AI繁栄協定(AI Prosperity Compact)」について合意した。これに並行して大手IT企業や学術機関トップらを招いた対話イベントも開催され、ハワード・ラトニック商務長官(Howard Lutnick)は「成長の原動力としてのイノベーションが歴史的な結束をもたらした」と意義を強調した。 The White House “G20 Innovation Ministerial Concludes with Consensus Statement” (09/02/26) https://www.whitehouse.gov/releases/2026/09/g20-innovation-ministerial-concludes-with-consensus-statement/

CSET、半導体製造の維持・拡大に向け労働力強化を提言

安全保障・新興技術センター(Center for Security and Emerging Technology: CSET)は9月、米国の半導体製造能力の維持拡大に向けた労働力強化に関する調査報告書を発表した。半導体量産工場(ファブ)、特に先端製造の前工程工場に焦点を当て、高度な技能やクリーンルーム環境に対応できる人材供給の重要性を指摘した内容で、2023年1月から2025年4月までの業界における全米の求人データ3,441件を分析した。これによると専門エンジニアや技術職の需要が高く、電子機器製造などの専門技術と共通の対人スキルの双方が求められていることがわかった。供給網(サプライチェーン)のリスク軽減と国内生産能力の確保に向け、報告書は、需要に合わせた人材育成、女性や少数派グループの積極採用、高度な技能を持つ移民の受け入れ拡大を提言している。また、教育機関と企業が連携した産業クラスター形成への投資のほか、高等教育機関や企業におけるメンターシップ・プログラムを確立し、労働者定着とキャリアアップを支援するよう提言している。 CSET “Strengthening the U.S. Semiconductor Manufacturing Workforce ” (September 2026) Strengthening the U.S. Semiconductor Manufacturing Workforce

外国製機器使用を禁止する大統領令 蓄電池開発遅延が台頭

ユーティリティ・ダイブ(Utility Dive)は9月1日、外国製電力網関連部品の利用を制限する大統領令により蓄電事業の遅延や中止が相次ぐ恐れがあるとのブルームバーグNEF(BloombergNEF: BNEF)の調査報告について伝えた。8月26日に発効した同令は、安全保障上の懸念から外国製蓄電池や変圧器、インバーターやその他関連部品で構成された機器の電力網への接続を制限するもので、特に供給網(サプライチェーン)を中国などに依存する事業者が打撃を受けると記事は伝えている。リチウムイオン電池生産の80%を占める中国からの供給構造が背景にあり、開発事業者は政権からの詳細な指針を待つため事業の延期を余儀なくされているほか、安価な調達が困難になった一部案件は中止に追い込まれる可能性があるという。こうした中、インドや東南アジアなどからの代替供給も考慮されているほか、国内蓄電池工場稼働も進んでいることから、長期的には国内生産能力が強化されるとの有識者の見解も紹介している。 Utility Dive “Trump grid order likely to cause energy storage delays, cancellations: BloombergNEF” (09/01/26) https://www.utilitydive.com/news/trump-grid-order-likely-to-cause-energy-storage-delays-cancellations-bloo/829306/

下院、つなぎ歳出法案を可決 OMBの助成金交付規制施行を延期

下院は9月2日、連邦政府の予算拠出を12月11日まで継続するというつなぎ歳出法案を370対48という圧倒的多数で可決した。既に8月に上院を通過しており、大統領の署名を経て成立する見通しである。歳出法案審議・成立は毎年遅れているものの、今年は中間選挙を控えていることから、共和党は政府閉鎖回避に向けて継続予算成立を優先する形となった。これに伴い、大統領府行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)が新年度から実施を予定していた助成交付規制も12月11日までは適用が凍結されることとなった。このOMBによる助成金交付制度の抜本的見直し計画は、政治任用者に助成金交付決定権限を与え、研究者による助成利用を制限する内容であることから、科学界や民主党からの強い反発があがっている。こうした中、OMBのラッセル・ボート局長(Russell Vought)は来年1月1日まで規則実施を延期する意向を示している。 AIP “Congress Delays OMB Grantmaking Rule with Stopgap Funding Bill” (09/02/26) https://www.aip.org/fyi/congress-delays-omb-grantmaking-rule-with-stopgap-funding-bill

SEMIとシリコン・カタリスト社、戦略的提携で覚書

国際半導体製造装置材料協会(Semiconductor Equipment and Materials Institute: SEMI)は9月2日、半導体ハードウェア・スタートアップの育成促進に向け、同分野専門のアクセラレーターであるシリコン・カタリスト社(Silicon Catalyst)とグローバルな戦略的パートナーシップを締結したと発表した。台湾で開催中の展示会「セミコン・タイワン(SEMICON Taiwan)2026」で覚書(MOU)に署名した。人工知能(AI)時代の到来に伴い、半導体技術のイノベーション加速が求められる中、SEMI会員企業にスタートアップの技術動向情報を提供し、技術開発の加速・導入を支援する。また、新興企業には世界的な業界ネットワークや投資家との接点を開放するとし、強固な国際エコシステム構築を目的としている。まずは、台湾、北米、南米、欧州での活動を展開し、将来的には世界各地のセミコン展示会で新興企業向けの企画を共同展開する計画であるという。 SEMI “SEMI and Silicon Catalyst Aim to Accelerate Global Semiconductor Innovation with Strategic Partnership” (09/02/26) https://www.semi.org/en/semi-press-release/semi-and-silicon-catalyst-aim-to-accelerate-global-semiconductor-innovation-with-strategic-partnership

BNLとサイクオンタム社、耐障害性量子計算応用開発で連携

ブルックヘブン国立研究所(Brookhaven National Laboratory: BNL)は9月2日、サイクオンタム社(PsiQuantum)のソフトウェア基盤「コンストラクト(Construct)」を活用した共同研究を開始したと発表した。2028年までに世界初の耐障害性を備えた量子計算機能を開発・展開するエネルギー省(Department of Energy)の「クオンタム・ジェネシス(Quantum Genesis)」構想の一環で、実用化に向け、開発中の耐障害性量子コンピューター用のアルゴリズム開発とその科学的応用研究を促進する。特に、材料科学や創薬、暗号などの分野で有用なアルゴリズム開発を加速させることが目的で、これに先立ち、同社は今年5月、実用規模での動作を想定して設計された同基盤を一般に公開した。これにより、研究者は量子回路設計や量子アルゴリズムのシミュレーション、リソース最適化が可能となり、同社はこうした取り組みにより科学的発見を加速し、実証につなげていく意欲を示している。 BNL “Brookhaven Lab, PsiQuantum Partner to Accelerate Quantum Application Development Using Construct Software Tool” (09/02/26) https://www.bnl.gov/newsroom/news.php?a=123142