Day: July 8, 2026
エネルギー省、50万ドルの賞コンペ開始 次世代蓄電技術の商用化加速
エネルギー省(Department of Energy)の電力局(Office of Electricity: OE)は7月7日、次世代蓄電技術の開発・商用化を加速させるため、総額50万ドルの賞金コンペ「蓄電設計戦略による生産促進(Storage Design Strategies to Ease Production: STEP)」賞を開始したと発表した。安価で信頼性が高い電力網強化を目指すトランプ政権のエネルギー政策に基づいた取り組みで、設計の初期段階から製造上の課題や、電力供給断絶時の供給安定対策を組み込むことで、量産化遅延やコスト高などの生産リスク回避を目的としている。コンペは2フェーズで構成され、定置型・系統規模用途向けの新たなエネルギー貯蔵技術を開発している個人、起業家、スタートアップ、中小企業、学術機関など幅広い参加者を募っている。第1段階の応募締め切りは10月8日で、優れたアプローチを示したチームには最大2万ドルの賞金を授与する。詳細については公式HPのヒーローX(HeroX)にて紹介している。 Department of Energy “DOE’s Office of Electricity Launches Prize to Advance Production-Ready, Next-Gen Energy Storage” (07/07/26) https://www.energy.gov/oe/articles/does-office-electricity-launches-prize-advance-production-ready-next-gen-energy-storage
博士課程の入学者15%減少、科学人材確保にリスク AAU報告
米国大学協会(Association of American Universities: AAU)は7月7日、2026年秋の博士課程入学者数が前年比で15%減少したとの最新データを発表した。AAU加盟55校から収集した入学データによると、減少は2年連続となり、特にSTEM(科学・技術・工学・数学)分野における人材の縮小が顕著であった。背景には現政権の予算削減案に伴う研究資金確保の不確実性があり、大学側が長期的な財政負担を警戒して受け入れ能力を縮小させたため、出願が増加した国内学生の入学者数も13%減少した。また、移民政策の変更により留学生出願数も21%減少し、国際的な人材獲得競争への影響が顕著になりつつある。大学によっては人工知能(AI)や量子計算などの重要分野で募集を一時停止する動きもあり、将来の科学人材を失う深刻なリスクが浮き彫りとなった。AAUは国のイノベーションや対中競争力、国家安全保障の将来的な脅威になるとし、今日の科学界における米国のリーダーシップはこれまでの官学連携により築かれたものと強調している。 AAU “New PhD Admissions Data Show Threat to U.S. STEM Workforce, Breakthroughs, Innovations” (07/08/26) https://www.aau.edu/newsroom/leading-research-universities-report/new-phd-admissions-data-show-threat-us-stem-workforce
海軍、弾道ミサイル原潜への攻撃に対応策 対ドローン・対戦車ロケットからの攻撃防御へ
ディフェンス・ニュース(Defense News)は7月8日、米国の弾道ミサイル原子力潜水艦(Ship, Submersible, Ballistic, Nuclear: SSBN)が、港湾内での停泊中や出入港時の水上航行中において、ドローンや機雷、対戦車ロケットなどの標的になる恐れがあるとして、海軍が防御手法の開発に乗り出したと報じた。背景には、ウクライナが昨年ロシアの潜水艦を水中ドローンで損傷させた実例や、ゲリラやテロリストによる待ち伏せ攻撃の脅威がある。米国のSSBNは深海中では事実上無敵であるが、海上資産と安全な航行確保に向け、港湾・沿岸・外洋に至るまでのドローン検知・撃破技術や、対戦車誘導ミサイル(Anti-Tank Guided Missile: ATGM)などの直射火力兵器の無力化、機雷の探知・回避手段を確保していく。また、核施設を狙う人工知能(AI)搭載ドローン群(スウォーム)やサイバー攻撃への対抗策に加え、港湾などの防衛用警備ロボット、潜水艦が発する音響や電磁気などの信号を低減させて探知を防ぐ施策技術の開発も計画している。 Defense News “US Navy fears ballistic missile subs can be hit by drones, anti-tank rockets” (07/08/26) https://www.defensenews.com/industry/techwatch/2026/07/07/us-navy-fears-ballistic-missile-subs-can-be-hit-by-drones-anti-tank-rockets/
DIU、大規模組織再編 技術領域を3つに集約
ディフェンススクープ(DefenseScoop)は7月6日、国防総省(Department of Defense)の国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation Unit: DIU)による、従来の7つの運用ポートフォリオを解体・統合する大規模再編計画について報じた。新たに就任したオーウェン・ウェスト局長(Owen West)が主導しており、実戦配備のスピード、規模、殺傷能力に焦点を当て、小規模かつ焦点を絞った現実的な問題領域に専門家とリソースを集中させるという。特に軍へ低コストかつ迅速に戦闘力を提供することを目的としており、新体制では、ドローンと自律型戦闘、指令や統制などを担うキル・ウェブ(Kill webs)、価格や能力で飛躍的な転換をもたらす「10倍(10x)」技術の3分野を中心に構成される。また、これまで独立したポートフォリオとして扱われていた人工知能(AI)は、単独分野としての扱いではなく、今後全ての活動に組み込まれる。今週中にもこの新構造について公式発表がある見込みである。 DefenseScoop “DIU reshaping its tech priorities and portfolio teams under new leadership” (07/06/26) DIU reshaping its tech priorities and portfolio teams under new leadership
航空宇宙局、月面着陸機4ミッションに約6億ドル投入
スペースニュース(SpaceNews)は6月30日、航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)が月面基地計画の一環として、総額5億9,040万ドルに上る無人月面着陸機の4ミッションに3社を選出したと発表した。採択されたのはアストロボティック・テクノロジー社(Astrobotic Technology)、ファイアフライ・エアロスペース社(Firefly Aerospace)、インテュイティブ・マシーンズ社(Intuitive Machines)で、いずれも2028年末までに打ち上げが予定されている。月面全体のデータ網構築に向け、各着陸機には3種類の衛星関連機器(ペイロード)を搭載し、着陸時の危険性把握や月面の環境データ収集を行う。また、原子力電源(放射性同位体熱電発電機: Radioisotope Thermoelectric Generator: RTG)搭載した火星探査車「プロミス(PROMISE)」を月へ送り込む検討を進めており、夜間や永久影領域での活動を行う計画である。一方で、ニューグレン発射台の再建が進んでいることにも触れており、NASAは2027年内の飛行再開を示唆した。 SpaceNews “NASA awards nearly $600 million in lunar lander missions” (06/30/26) https://spacenews.com/nasa-awards-nearly-600-million-in-lunar-lander-missions/
独立機関トップの罷免 「正当な理由」なくとも可能に 最高裁判決
米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)は7月6日、トランプ大統領が連邦取引委員会(Federal Trade Commission: FTC)の民主党系委員レベッカ・スローター氏(Rebecca Slaughter)を解任した訴訟における最高裁判所の判決により、正当な理由がなくとも、大統領が独立行政機関の委員を解任できるようになったと伝えた。具体的には、独立行政機関における雇用保障を撤廃するもので、判決は、FTCなどの委員に関し「職務怠慢」などの正当な理由がなければ罷免できないとする連邦法の規定を違憲と判断した。これにより、連邦通信委員会(Federal Communications Commission: FCC)や原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission: NRC)など、同様の法的保護を受ける他の独立機関の立場も危うくなったと記事は指摘している。ニール・ゴーサッチ判事(Neil Gorsuch)は補足意見で「議会が独立機関に巨大な権限を与えすぎている」と言及し、これらの権限を、本来あるべき議会や裁判所へ戻すべきと主張している。 AIP “Supreme Court allows president to fire independent agency leaders without cause” (07/06/26) https://www.aip.org/newsletter/0000019f-3d40-d0a4-abbf-7dc2e1d90000
主要AI企業、開発加速も安全対策が後退 FLI報告
独立系NPOのフューチャー・オブ・ライフ・インスティチュート(Future of Life Institute: FLI)は7月、人工知能(AI)モデルが高性能化する一方で、安全性が低下しているとの調査結果を発表した。同機関の最新安全性指標評価によると、首位のアンソロピック社(Anthropic)でも総合評価はC+にとどまり、オープンAI社(OpenAI)やグーグル・ディープマインド社(Google DeepMind)はC評価となった。審査員らは、各社がリスク水準近接レベルで開発を一時停止するという従来誓約を形骸化させていると指摘し、業界安全枠組みの弱体化を指摘した。また、軍事利用を原則禁止していた企業が相次いで方針転換し、軍との協力を積極的に模索し始めていることも新たなリスクとなっている。なお、エックスAI社(xAI)や中国のディープシーク社(DeepSeek)、欧州のミストラル社(Mistral)は不合格にあたるF評価となった。国連(United Nations)は「人間と機械が共存できる条件を設定できる最後の世代」とし、国際的なガバナンスの早急な整備を呼びかけている。 Future of Life Institute “AI Safety Index” (07/07/26) https://futureoflife.org/wp-content/uploads/2026/07/AI-Safety-Index-Summer-2026-Digital.pdf 参照記事: Axios “AI companies retreat from safety pledges even as capabilities grow” (07/07/26) https://www.axios.com/2026/07/07/report-ai-safety-pledges
国防総省、SOI基盤技術開発に1,600万ドル投入
国防総省(Department of Defense)は7月7日、ミサイルや宇宙、戦略システムに極めて重要な耐放射線マイクロエレクトロニクス(Radiation-hardened Microelectronics: RHM)の国内生産能力拡大に向け、7月2日付でBAEシステムズ社(BAE Systems)へ1,600万ドルを投じると発表した。国防生産法(Defense Production Act: DPA)に基づくもので、BAE社の「RH45®」機能を再構築し、特定用途向け高耐放射線性45 nm(ナノメートル)のシリコン・オン・インシュレーター(Silicon-on-Insulator: SOI)技術による集積回路などの生産を拡大する。事業を統括する軍事活動投資・資源配分・執行局(Warfighting Investment, Resourcing, and Execution: WIRE)は45 nm技術の活用継続により、各防衛事業におけるシステム再設計や再認定に伴う巨額のコスト回避につながると説明した。同案件はWIRE局が2026年に開始した総額1億260万ドルを投じた5つの産業案件の1つで供給網(サプライチェーン)強化により抑止力の再構築や軍の再建を支えていく取り組みである。 Department of Defense “Department of War Invests $16M for 45nm Silicon-on-Insulator Qualification” (07/07/26) https://www.war.gov/News/Releases/Release/Article/4534935/department-of-war-invests-16m-for-45nm-silicon-on-insulator-qualification/