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June 2026

NSF助成金交付が一時停止 現政権下で3度目、異例の事態

グラント・ウィットネス(Grant Witness)は6月16日、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)が6月4日から12日の間、助成金交付を一時停止していたと伝えた。歳出法案否決や資金不足、政府閉鎖といった事情を伴わない中での交付停止は、第2次トランプ政権発足以降3度目で、年度途中にNSFが1週間助成交付を停止した1970年以来の極めて異例の事態である。これまでの政権下では継続的に交付され、停止するのは9~10月の年度末の切り替え時期の約2週間、もしくは暫定予算編成時などに限られていた。一方、現政権下では昨年4月の政府効率化省(DOGE)主導による一斉打ち切りや、今回の突発的な停止などが相次いでいる。また本年度開始から9カ月が経過した現在も、NSFは予算の20%しか執行しておらず、交付件数は過去の水準の30%にとどまっているとし、記事は国の科学イノベーションを支えてきた安定した助成システムが崩壊しつつあり、研究者のキャリアや長期的な研究基盤を脅かす深刻な不安定化パターンが定着しつつあると指摘している。 Grant Witness “NSF’s Halts in Grantmaking are Unprecedented” (06/16/26) https://grant-witness.us/posts/2026-06-16_nsf_grantmaking_pause/

エネルギー省、余剰プルトニウムの核燃料化へ民間と交渉

エネルギー省(Department of Energy)の原子力エネルギー局(Office of Nuclear Energy)は6月22日、国内の余剰プルトニウム材料約20トンの先進核燃料への転換や研究開発活用に向け、民間5社と交渉を進めていると発表した。従来の希釈・処分事業から国内の燃料供給強化を目指す「余剰プルトニウム利用事業(Surplus Plutonium Utilization Program)」への移行に向け、エクソディス・エナジー社(Exodys Energy)、フライブ・エナジー社(Flibe Energy)、オクロ社(Oklo)、シャイン・テクノロジーズ社(SHINE Technologies)、スタンダード・ニュークリア社(Standard Nuclear)と5月27日から交渉を開始した。冷戦期のプルトニウムを新たなエネルギー資産へと転換する取り組みで、参加企業は同省認可を受けた再処理施設設計から廃炉までの全額費用を負担する。また各社に対し安全・核物質防護計画の提出を求めており、同省はプルトニウム燃料化について法的拘束力のあるセーフガードと厳格な独立監視のもと最高水準の安全性を確保していくと説明している。 Department of Energy “Department of Energy Seeks to Transform Surplus Plutonium into Nuclear Fuel” (06/22/26) https://www.energy.gov/ne/articles/department-energy-seeks-transform-surplus-plutonium-nuclear-fuel

NIHの多様性人材育成プログラム、20年で博士号取得率を倍増

サイエンス・アドバンス誌(Science Advances)は6月17日、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)が支援する2つのマイノリティー支援プログラムが、博士号取得率を倍増させたとの研究結果を発表した。2005年から2025年までの20年間、研究チームがプログラム参加者と学力などの条件を揃えた比較対象群の計743人を追跡調査した結果、支援を受けた学生は対象群に比べて博士号取得率が2倍以上高くなることが実証された。具体的には「科学強化研究イニシアチブ(Research Initiative for Scientific Enhancement: RISE)」で20.1%(比較群10.0%)、「研究キャリアへの少数派アクセス(Minority Access to Research Careers: MARC)」では33.8%(同14.9%)が博士号を取得しており、長期的な財政・メンター支援がバイオ医療分野の人材多様化に持続的な効果をもたらす有力な証拠を示した。しかし、これらの取り組みはトランプ政権により昨年打ち切られており、今後の米国科学界における人材育成への影響を懸念する声が上がっている。 Science Advances “Broadening participation: 20-year outcomes from undergraduate science training programs” (06/17/26) https://www.science.org/content/article/exclusive-nsf-slashes-research-programs-support-new-tech-initiative-insiders-say 参照記事: STAT News “NIH diversity programs doubled undergraduates’ odds of getting a Ph.D., 20-year study finds” (06/17/26) NIH diversity programs doubled undergraduates’ odds of getting a …
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IQM社、オークリッジ国立研究所に量子コンピューター導入

フィンランドの量子大手、IQMクオンタナム・コンピューター社(IQM Quantum Computers)は6月16日、エネルギー省(Department of Energy)傘下のオークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory: ORNL)に量子コンピューター「パスファインダー(Pathfinder)」を導入し、稼働を開始したと発表した。オープンサイエンス向けの20量子ビット・システムで、同研究所の世界最高峰スパコン「フロンティア(Frontier)」の高性能計算(HPC)環境に組み込み、ハイブリッド量子HPCエコシステムを開発する。同研究所にとっても初の量子コンピューター商業調達で、これまでのクラウド経由の利用とは異なる、研究機関がインフラや知的財産を直接所有・管理できる同社独自のオンプレミス方式を採用した。同社は世界で23のフルスタック・システムを展開し、今回の米国初進出を機に北米での商業展開を本格化させる。なお、リアル・アセット・アクイジション社(Real Asset Acquisition)との合併を通じ、ナスダック市場への上場を計画している。 IQM “IQM Deploys Its First U.S. Quantum Computer at Oak Ridge National Laboratory” (06/16/26) IQM Deploys Its First U.S. Quantum Computer at Oak Ridge National Laboratory

NSF、新技術創出へ基礎科学予算を大幅削減

サイエンス誌(Science)は6月22日、新たな技術開発構想支援に向けた米国科学財団(National Science Foundation: NSF)による既存基礎科学事業の今年度予算削減について報じた。対象案件は数百件にのぼり、各予算の約20~30%が削減される予定で、審査で最高評価を得た提案への資金提供も停止されると見られる。内部文書によると、15億ドル規模の新構想「エックス・ラボ(X-Labs)」への資金捻出に向けた大幅削減で、同構想は6つのラボにそれぞれ最大3億ドルを6年間で提供する計画であった。具体的な資金源が明らかにされず、NSF全体予算の減少も3%にとどまるため、議会が承認した研究予算から10億ドル以上を差し引いて新構想に充てたとの見方が浮上している。トランプ政権の優先分野である人工知能(AI)や量子システムなどの実用化加速に関する新構想は急速に拡大しており、今秋にも初の資金交付が始まる見通しであるが、この資金移転は他部門の減額を5%以内に抑えるとした議会の指示に反する可能性があると記事は伝えている。 Science “Exclusive: NSF slashes research programs to support new tech initiative, insiders say” (06/22/26) https://www.science.org/content/article/exclusive-nsf-slashes-research-programs-support-new-tech-initiative-insiders-say

PNNL、地熱発電用AIデジタルツイン構築へ民間企業と提携

パシフィック・ノースウエスト国立研究所(Pacific Northwest National Laboratory: PNNL)は6月22日、地熱発電のファーボ・エナジー社(Fervo Energy)とエヌビディア社(NVIDIA)と提携し、人工知能(AI)を活用したモデル基盤「強化地熱システムツイン(Enhanced Geothermal System:EGS-Twin)」を構築すると発表した。ファーボ社のデータとエヌビディア社のAIモデルを統合し、仮想空間上に実際の地熱貯留層を再現するデジタルツインを開発し、2029年の実用化を目指す。従来モデルは地下深部運用データ分析とシミュレーションに数週間かかり、十分な資源活用ができないという課題があったが、新基盤は貯留層の動態がリアルタイムで再現できるため、事業者は注水量などの判断を迅速に下すことで発電能力も最大化できるという。またデータ匿名化により、あらゆる利用者による自社の運用に合わせた設計・活用も可能になる。米国内の地熱発電割合は2023年時点で全体のわずか0.4%にとどまるが、電力需要増加に伴い、未開拓かつ有望な資源として期待を集めている。 PNNL “PNNL Teams Up with Fervo Energy and NVIDIA to Accelerate Geothermal Energy Development” (06/22/26) https://www.pnnl.gov/news-media/pnnl-teams-fervo-energy-and-nvidia-accelerate-geothermal-energy-development

NIHの新ゲノムデータ・セキュリティー厳格規制で研究遅延

サイエンス誌(Science)は6月18日、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)により新たに導入されたゲノム・データ情報基盤への厳格なIT規制により、多くの研究者が対応に苦慮し、研究の停滞・遅延や代替策の模索を余儀なくされていると報じた。バイオテロ脅威やサイバー攻撃などの懸念から昨年1月に導入された同規制は米国標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology: NIST)の100を超える厳格なプロトコルを適用しているが、国防総省(Department of Defense)レベルのセキュリティ要件かつ急遽導入による周知不足により、小規模機関向け高セキュリティー・サーバーが構築できない事例が相次いでいるという。また所属機関が改修費用を負担しないケースもあり、研究者自身が数千ドル以上を支払う事態に加え、遺伝子データ以外の情報を分析する研究者のアクセス遮断なども相次いでいる。アリババ社(Alibaba)でのデータ販売事例もあり研究者らはデータ保護強化に理解を示しつつも、国に費用支援や共同基盤構築を求めている。 Science “New NIH security rules for genomic data sets are slowing research, prompting workarounds” (06/18/26) https://www.science.org/content/article/new-nih-security-rules-genomic-data-sets-are-slowing-research-prompting-workarounds

エネルギー省、次世代原子炉のゼロ出力燃料臨界実証成功 国内2基目

エネルギー省(Department of Energy)は6月18日、バラー・アトミクス社(Valar Atomics)の次世代原子炉「ワード250(Ward 250)」がゼロ出力燃料臨界実証試験に成功したと発表した。国立研究所以外で建設された初の民間原子炉で、実験はユタ州サン・ラファエル・エネルギー研究所(Utah San Rafael Energy Lab)で行われた。7月4日までに次世代原子炉の臨界達成を目指す政府取り組みで、今月初めにアイダホ国立研究所(Idaho National Laboratory)で臨界達成を果たしたアンタレス・ニュークリア社(Antares Nuclear)の「マーク・ゼロ(Mark0)」に続くものである。原子炉の臨界(核分裂連鎖反応の制御・維持)は発電開始前に必要な重要段階で、同省は軍用機による小型原子炉空輸から今回の実験成功に至るまで、同社の原子力技術開発への寄与を改めて評価した。同省は独自の承認権限を活用して次世代原子炉設計の認証と建設の迅速化を進めており、さらなる技術配備加速に向け、原子力ローンチ・パッド(Nuclear Energy Launch Pad)を新たに設立している。  Department of Energy “Department of Energy Celebrates Second Advanced Reactor Achieving Criticality” (06/18/26) https://www.energy.gov/articles/department-energy-celebrates-second-advanced-reactor-achieving-criticality

大型電力の系統接続加速、地域運用機関は規則刷新を FERC指示

連邦エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission: FERC)は6月18日、人工知能(AI)の普及に伴うデータセンターや製造施設など巨大需要家の電力系統への迅速統合に向け、管轄下にある全6カ所の地域系統運用機関に対し、根拠開示命令(show cause orders)を発出したと発表した。各機関に対し、60日以内に現行接続規則の正当性を証明するか、規制改定案を提出するよう求めるもので、急増する電力需要と技術イノベーションに迅速に対応するための施策となっている。安定的かつ安価な電力供給を確保して一般消費者の料金負担増を防ぐほか、既存契約を守りつつ投資家へ予見可能性を提供する狙いもある。また、ピーク時の電力使用量を削減する事業の促進も促しており、各国とのAI競争や製造業の国内回帰を支援するエネルギー省(Department of Energy)方針に具体的に対応する姿勢を示した。同委員会は巨大需要家の電力網アクセスを変革することでインフラの強靭性を高めつつ、消費者を保護する先見的な仕組みを構築すると強調した。 FERC “FERC Launches Aggressive Targeted Action to Speed Large Load Integration” (06/18/26) https://www.ferc.gov/news-events/news/ferc-launches-aggressive-targeted-action-speed-large-load-integration 参照記事: FERC “Fact Sheet | FERC Takes Action to Supercharge America’s Grid for Efficiency, Reliability, and a Bold Energy Future” (06/18/26) https://www.ferc.gov/news-events/news/fact-sheet-ferc-takes-action-supercharge-americas-grid-efficiency-reliability-and Axios “Energy regulators push for faster AI data center grid connections” …
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太陽光発電、国内優良農地の利用わずか0.07% SEIA報告

太陽エネルギー産業協会(Solar Energy Industries Association: SEIA)は6月18日、太陽光発電開発が全米の優良農地のわずか0.07%しか占めておらず、農業と共存しながら地方コミュニティに利益をもたらしていることを示すインタラクティブ地図を公開したと発表した。議会での農業法案交渉や太陽光発電開発と利用に関する誤情報対応用に開発されたこのツールは、太陽光の限定的な土地利用を、郊外開発やゴルフ場などの他用途に関する土地利用と比較したものとなっている。これによると、農地における太陽光の占有率は非常に低く、また、多くの事業では放牧や授粉媒介生物の生息地確保といった営農型太陽光発電が実践されており、土地所有者に安定した長期収入源となっているという。同協会は、責任ある土地利用はすべてのニーズのバランスをとることであり、太陽光と農業は共に繁栄できると強調している。 SEIA “New Map Shows Solar Uses Only 0.07% of U.S. Prime Farmland” (06/18/26) New Map Shows Solar Uses Only 0.07% of U.S. Prime Farmland