Day: June 11, 2026
エネルギー省、9つの石炭火力発電所改修に360万ドルを投入
エネルギー省(Department of Energy)の炭化水素・地熱エネルギー局(Hydrocarbons and Geothermal Energy Office: HGEO)は6月10日、既存の石炭火力発電所への最新技術導入や改修を支援するため、9つの設計・エンジニアリング事業に総額360万ドルを投じると発表した。確実な電力供給や米国人労働者を最優先する大統領のエネルギー政策に基づくもので、廃水処理システムの刷新や、石炭と天然ガスを混焼させる革新的技術を通じて、発電効率や運用の柔軟性を向上させる。電力供給の安定化に向け、事業は3段階で構成されており、第1段階ではベーカー・ヒューズ社(Baker Hughes)やケンタッキー大学(University of Kentucky)などによる廃水処理の効率化、ハラドール・パワー社(Hallador Power)などによる石炭と天然ガスの二元燃料化や混焼ボイラーシステムの開発が進められる。安価で確実なエネルギー基盤の維持を目指し、HGEO傘下の国立エネルギー技術研究所(National Energy Technology Laboratory: NETL)が管理を担っていく。 FedScoop “OPM Expands US Tech Force With New Industry Partnerships” (06/08/26) Cisco, Scale AI among new batch of Tech Force partners
人事管理局、IT技術力強化 民間と提携拡大
大統領府の人事管理局(Office of Personnel Management: OPM)は6月8日、連邦政府による技術系人材強化を目指す取り組み「米国技術部隊(US Tech Force)」で、民間との連携を拡大したと発表した。シスコ社(Cisco)やスケールAI社(Scale AI)などが新たに参画し、各社は自社プログラムや技術トレーニング提供に加え、自社従業員を期間限定で政府に派遣する。同プログラムは2年任期の若手IT人材約1,000人を採用するもので、これまでに約200人の採用が確定した。トランプ政権発足以降、IT専門の連邦職員が1万6,500人以上減少しており、官民間のキャリアパスを構築することで、産業界と政府をつなぐ強固な人材パイプラインを確立する。これに先立ち、大統領は4日、AIセキュリティに関する大統領令を発令し、60日以内の専門家採用と配置道筋を拡大するよう指示していた。OPMは、民間の一流エンジニア知見を公共サービスに反映し、官民連携を強化していく重要性を強調している。 OPM “OPM Expands US Tech Force With New Industry Partnerships” (06/08/26) https://www.opm.gov/news/news-releases/opm-expands-us-tech-force-with-new-industry-partnerships/ 参照記事: FedScoop “OPM Expands US Tech Force With New Industry Partnerships” (06/08/26) Cisco, Scale AI among new batch of Tech Force partners
2026年第1四半期の太陽光と蓄電池導入、新設電源の9割
太陽エネルギー産業協会(Solar Energy Industries Association: SEIA)は6月10日、2026年第1四半期の全米太陽光発電導入量が7.8ギガワット(GW)に達し、累計設置数が600万件を突破したと発表した。クリーンエネルギーを対象とした税制・規制措置変更などの逆風にもかかわらず、世界的なガス供給混乱やガスタービン供給途絶に伴うエネルギー安全保障への懸念から、同四半期に新設された全電源容量の91%を太陽光と蓄電池が占めた。SEIAとウッドマッケンジー社(Wood Mackenzie)が共同発表した報告書によると、人工知能(AI)主導の電力需要拡大への対応から、IT企業による公益事業規模の太陽光契約が前年同期比で15%増加したという。また、テキサス州やフロリダ州などトランプ大統領が大統領選で勝利した州での導入が顕著で、全導入量の74%を占めた。SEIAは、エネルギー購入者は太陽光発電と蓄電システムの安定性、低コスト、スピードを求めており、許認可手続きの遅延が中国とのAI主導権争いや電気料金高騰を招いていると指摘した。 SEIA “REPORT: Solar and Storage Provide Over 90% of All New Power Added to the U.S. Grid in Q1, Despite Headwinds in Washington” (06/10/26) REPORT: Solar and Storage Provide Over 90% of All New Power Added to the U.S. Grid in Q1, Despite Headwinds in Washington
全米電力政策評議会、送電リソース・ライブラリを一般公開
全米電力政策評議会(National Council on Electricity Policy: NCEP)は6月10日、電力システムの政策立案者や実務家を対象に、送電分野に特化した新たなリソース・ライブラリを公開したと発表した。加盟組織による送電計画、認可、運用、コストに関する報告書、ウェビナーの録画、政策文書などの情報を一元管理したミニ・データベース版で、送電に関する一連のプロセス全般を網羅している。各専門領域の直感的な理解を助ける詳細な定義の提供に加え、ユーザーは著者やトピック、発行年などで検索をフィルタリングできるという。NCEPの運営管理を担う全米公益事業規制委員会(National Association of Regulatory Utility Commissioners: NARUC)は、数十年に及ぶ研究と技術的知見を一元化したことで、複雑化した送電環境の理解に向けた一歩となると意義を強調した。NCEPは同ライブラリの一般公開により、現行の送電研究の有効活用を促進すると期待しており、今後さらに資料拡充が必要な分野を明確にしていくという。 NCEP “The National Council on Electricity Policy Released a New Transmission Resource Library for Electric System Decision-Makers and Practitioners” (06/10/26) https://pubs.naruc.org/pub/CC100C5F-0A5B-2B26-7749-1FBC23AFEA8B
EPA、オゾン規制に伴う州政府の計画策定要件を緩和
環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)は6月9日、各州政府が策定するオゾン濃度に関する州実施計画(State Implementation Plan: SIP)について、バイデン前政権下の2025年1月に導入された規制要件の一部を緩和する改定案を発表した。旧規則では、大気汚染が改善し、地域のオゾン濃度基準に関する地域分類へと変更された後も、過去分類に紐づく特定の計画策定要件を維持することが義務付けられていたことから、これを見直し、現行の地域オゾン濃度分類に基づいた州計画策定へと変更する。国の大気環境基準(National Ambient Air Quality Standards: NAAQS)に沿った計画策定により現行濃度の改善を敢行するもので、リー・ゼルディンEPA長官(Lee Zeldin)は州や地域、先住民族の意見を反映した協調的連邦主義に基づき、クリーンエア法(Clean Air Act: CAA)の本来の目的に集中させると説明した。新方針は、2008年及び2015年基準に関連する全ての再分類に適用され、EPAは今後30日間の意見公募期間を設けて最終決定を下す方針である。 EPA “Trump EPA Proposes to Free States from Unnecessary Biden-era State Implementation Plan Requirements” (06/09/26) https://www.epa.gov/newsreleases/trump-epa-proposes-free-states-unnecessary-biden-era-state-implementation-plan
DARPA、RFパワーアンプの熱障壁に関する新プログラム発表
国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency: DARPA)は6月10日、レーダーや通信などの軍事システムに不可欠な高周波電力増幅器(Radio frequency: RFパワーアンプ)の出力を制限する「熱」の課題克服に向けた取り組みを発表した。「先進デバイスと異種半導体による電子機器の熱低減(Thermal Reduction for Electronics through Advanced Devices and Heterogeneous Semiconductors: THREADS)」プログラムは、システムサイズや重量を維持したまま、熱を効率的に除去する新材料やデバイス構造を開発するもので、第1段階では実用的な製品寿命を維持しつつ最新デバイスと比較して約5倍のRF電力密度を実証し、レーダー検知射程をほぼ倍増させた。現在第2段階へと移行中で、さらなる出力向上と熱性能改善に向けて取り組んでいる。これに併せ将来の軍事基盤に最も適したRF電力しきい値を特定するシステムレベルの調査も開始した。DARPAは政府機関や請負業者への情報提供を通じて、技術の導入と実用化を加速させる方針を示している。 DARPA “DARPA THREADS the needle on thermal barriers to RF power” (06/10/26) https://www.darpa.mil/news/2026/threads
NSF、安全なオープンソース・エコシステム構築に最大4,000万ドル投資へ
米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は6月9日、初期研究成果を社会的影響力のある解決策へと転換する新構想「安全なオープンソース・エコシステム実現のための道筋(Pathways to Enable Secure Open-Source Ecosystems: PESOSE)」へ最大4,000万ドルを投資すると発表した。将来性や実績のある既存のオープンソース製品やツールを基盤に、安全で持続可能なオープンソース・エコシステム(Open-Source Ecosystems: OSE)の構築と拡大を支援する取り組みである。人工知能(AI)やデータサイエンスなどを支えるオープンソース・ソフトウェアが広く普及している一方で開発者やリソース不足によるイノベーションの停滞、セキュリティの脆弱性や供給網(サプライチェーン)のリスクが課題となっていた。これを踏まえ、傘下の技術・イノベーション・パートナーシップ局(Technology, Innovation and Partnerships: TIP)は、基礎科学成果を市場投入し、実用化を加速させる方針で、特に管理組織への投資を通じて、脆弱性へ重点的に対処していく構えである。 NSF “NSF investing in secure open-source ecosystems” (06/09/26) https://www.nsf.gov/tip/updates/nsf-investing-secure-open-source-ecosystems
PNNL、AIデータセンター建設の総合指針を発表
パシフィック・ノースウエスト国立研究所(Pacific Northwest National Laboratory: PNNL)は6月10日、高エネルギー効率かつ電力網の安定運用を維持できるデータセンター建設のための総合ガイドラインを共同策定したと発表した。企業による人工知能(AI)システムへの投資拡大に伴う電力需要の急増を背景に、開発者や政策立案者向けの一元的な情報源とするもので、同研究所と米国電機工業会(National Electrical Manufacturers Association: NEMA)、米国暖房冷凍空調学会(American Society of Heating, Refrigerating and Air-Conditioning Engineers: ASHRAE)の専門家らが作成した。同指針は、蓄電池やマイクログリッド(小規模電力網)活用による電力網との双方向連携(グリッド・インタラクティブ設計)や、消費電力の20〜40%を占めるサーバー冷却(熱管理)の効率化戦略に加え、立地選定、運用、設計などについても網羅している。なお、作成にはエヌビディア社(NVIDIA)やアイビーエム社(IBM)など50以上の業界パートナーも協力した。 PNNL “Everything You Need to Know About Building Data Centers, in One Place” (06/10/26) https://www.pnnl.gov/news-media/everything-you-need-know-about-building-data-centers-one-place
アルゴンヌ国立研究所とエネルギー省、製造技術イノベーションで連携
アルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory: ANL)は6月10日、重要材料や化学製造分野の技術を、研究段階から商業生産へ迅速に移行するための新組織「国家大規模科学連携(National Science-at-Scale Collaborative)」を立ち上げたと発表した。産官連携で国内製造の課題解決を目指す取り組みで、エネルギー省(Department of Energy)重要物質・エネルギーイノベーション局(Office of Critical Materials and Energy Innovation: CMEI)が支援する。参加企業は、同研究所材料工学研究施設にある高度コンピューター・モデリングや人工知能(AI)、高速合成ツール、実証規模の製造システムを活用し、生産工程試験や実用化に向け規模拡大に取り組む。ANLは、発見からエンジニアリング、実用化までを一体化させることで国の競争力を高め、経済安全保障を前進させると説明した。なお、発表はCMEI主催の産業界円卓会議に続いて行われ、会議ではアタルコ社(Atalco)やダウ社(Dow)などの主要メーカーが製造課題や今後の協力について議論を交わした。 ANL “Argonne and the Department of Energy launch new partnership to speed up U.S. manufacturing innovation” (06/10/26) https://www.anl.gov/article/argonne-and-the-department-of-energy-launch-new-partnership-to-speed-up-us-manufacturing-innovation