Day: June 8, 2026

ユニコーン企業、59%が移民による創業 NFAP報告

米国政策財団(National Foundation for American Policy: NFAP)は6月、企業価値が10億ドルを超える国内未上場スタートアップ企業(ユニコーン企業)775社のうち、59%(455社)の創業者または共同創業者が移民であるとの報告書を発表した。この割合は2018年(55%)から上昇し、その子供も含めると全体の約3分の2(66%)に達している。これら455社の総資産価値は5兆ドルに上り、これは世界の大半の国の株式市場の時価総額を超える規模で、特に全体の約4分の1(24%)にあたる183社は元留学生によって設立された。スペースエックス社(SpaceX)やオープンAI社(OpenAI)、アンソロピック社(Anthropic)といった人工知能(AI)や宇宙、防衛などの最先端分野をリードする企業がその代表例で、1社あたり平均1,123人の雇用を創出している。報告書は米国大学のコンピューターサイエンスや電気工学大学院生の大多数が留学生である実態を示す一方、ビザ取得厳格化など国の移民政策が、国外への頭脳流出リスクにつながっていると警告している。 NFAP “IMMIGRANT S AND U.S. BILLION – DOLLAR COMPANIES” (06/XX/26) https://nfap.com/wp-content/uploads/2026/06/IMMIGRANTS-AND-US-BILLION-DOLLAR-COMPANIES.NFAP-Policy-Brief.2026-3.pdf 参照記事: AAU “International Students Power Billion-Dollar Startups, But Changes to U.S. Immigration Policies Threaten to Put That at Risk” (06/05/26) https://www.aau.edu/newsroom/leading-research-universities-report/international-students-power-billion-dollar-startups

イリノイ州知事、データセンター向け税制優遇措置を一時停止

ポリティコ誌(Politico)は6月5日、イリノイ州のJBプリツカー知事(JB Pritzker、民主党)が、データセンターに対する州の新たな税制優遇措置を一時停止したと報じた。州議会の春季会期中で関連法案が否決されたため、知事が単独で停止に踏み切った。この決定は7月1日以前に締結された既存合意には影響しないが、新規参入企業への州支援は凍結されることになる。背景には、人工知能(AI)やクラウドコンピューティングに伴うデータセンター急増がもたらす電力・水需要の拡大や、住民の光熱費高騰への懸念があり、知事は今後、環境基準や水利用の効率化、クリーンエネルギー発電への資金拠出を義務付ける厳格な包括枠組みの策定を目指す。これに対し、建設需要や雇用維持を求める労働組合側は「近視眼的」と猛反発しているが、この動きはAI投資に沸く全米各地でのデータセンター規制を巡る対立とも同調しており、記事は、11月の総選挙直後に開かれる秋の州議会で、環境派と労組、業界代表らを交えた激しい攻防が繰り広げられる見通しと伝えている。 Politico “Pritzker hits pause on data center subsidies in Illinois” (06/05/26) https://www.politico.com/news/2026/06/05/pritzker-data-center-subsidies-00951904

NSF、MIT主導の「AI・物理学研究所」への予算を拡充 

MITニュース(MIT News)は6月4日、マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology: MIT)が主導する「人工知能(AI)・基礎相互作用研究所(Institute for Artificial Intelligence and Fundamental Interactions: IAIFI)」が、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)から5年間の追加支援を獲得したと伝えた。これまでの年間資金400万ドルから498万ドルに増額し、第2フェーズに移行する。MITのほか、ハーバード大学(Harvard University)などにより2020年に設立された同研究所は、AIと物理学が互いを高め合う先駆的なAI研究モデルを確立し、素粒子物理学や宇宙物理学などの基礎科学発展に機械学習を役立てるだけでなく、対称性や幾何学構造などの物理学概念をニューラルネットワークに組み込むことで、より信頼性が高くデータ効率の良い新たなAI手法を開発している。また、次世代物理学とAIに精通したハイブリッド研究者(ケンタウロス・サイエンティスト)の育成プログラムも拡大し、学際的協働を進めていく。 MIT News “NSF renews support for MIT-led AI and physics institute, expanding a new model for discovery” (06/04/26) https://news.mit.edu/2026/nsf-renews-support-mit-led-ai-and-physics-institute-0604

AI拡大で水・電力・金属がひっ迫 バンカメ報告

バンク・オブ・アメリカ研究所(Bank of America Institute)は6月、人工知能(AI)普及に伴うデータセンター急増が、水や電力、各種資材など「資源ショック」を引き起こしているとの報告書を発表した。AI利用が日常化する中、水の消費量は莫大となり、データセンター使用量の最大75%が敷地内冷却ではなく、敷地外の発電プロセスやハードウェア製造に充てられており、1日あたり数百万リットルが間接的に消費されていると指摘した。これに対し水道事業者による水量監視は総量のわずか一部のみで、影響の全体像を把握できていないという。またAI推論処理の増加に伴い画像処理半導体(Graphics Processing Unit: GPU)搭載サーバーによる電力需要も年約30%のペースで急増し、電力網への大きな負荷となっている。総エネルギー供給量よりも必要な場所に確実かつ継続して電力供給できるかどうかに課題が移行しつつある上、データセンター容量が1メガワット増えるごとに、銅を中心に約60〜75トンの金属も必要となっていることも指摘した。 Bank of America “Data center construction creates a resource shock” (06/XX/26) https://institute.bankofamerica.com/sustainability/data-center-construction.html 参照記事: Axios “Sobering numbers on data centers’ resource needs” (06/05/26) https://www.axios.com/2026/06/05/data-centers-resource-needs-environmental-stakes

下院歳出委員会、来年度NIH予算の微増を提案

サイエンス誌(Science)は6月4日、下院歳出委員会が、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の2027年度基本歳出を前年度から1億ドル増額した473億ドルとする歳出法案を発表したと報じた。大統領側は10月1日から始まるNIHの新年度予算の12%削減や一部研究所の廃止を提案していたが、これを退ける形となった。一方で、疾病対策センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)の予算は11%減の81億ドルに削減した。この下院案によりNIHは弱体化を免れたものの、生物医学界には新たな懸念も生まれた。具体的には、病原体を強化する「機能獲得(Gain-of-Function: GOF)研究」やイヌ・ネコを用いた苦痛を伴う生物医学研究の禁止、さらに一部の私立研究機関に対する間接経費を30%に制限するといった条項が含まれており、広範な研究活動への影響に加え、生物学的安全性やバイオセキュリティへの懸念が指摘されている。記事は、下院歳出委員会全体での審議を経て、今後数か月かけて上院案との調整が進められる見通しと伝えている。 Science “House spending panel proposes slight raise for NIH in 2027” (06/04/26) https://www.science.org/content/article/house-spending-panel-proposes-slight-raise-nih-2027

専門家らがDNA合成への審査義務付けを提言 AIによる生物兵器製造リスクで 

大手AIやバイオ企業幹部、国家安全保障分野の専門家らは6月3日、人工知能(AI)による生物兵器の製造リスクが高まっているとして、連邦議会に対し、合成DNA委託事業や製造機器に関する審査・記録保持を法的に義務付けるよう求める共同書簡を発表した。書簡にはオープンAI社(OpenAI)やアンソロピック社(Anthropic)、グーグル・ディープマインド社(Google DeepMind)の各社トップをはじめ、50人超の関係者が名を連ね、AI進歩は科学や医学に多大な恩恵をもたらす一方、専門知識のない者が病原体や毒素を、悪意を持って製造することを可能にすると指摘している。また現在、多くの企業が自主的審査を行っているが、企業への審査を義務化して、問題のある遺伝子配列検出や発注元の身元確認など、追跡に向けた詳細な記録保持を徹底するよう求めた。議会では、既に超党派の生物安全保障現代化・革新法案(Biosecurity Modernization and Innovation Act)が提出されているが、書簡は国家標準の確立に向け、今会期中の成立を強く求めている。 Open Letter “In Support of Mandatory NucleicAcid Synthesis Screening and Recordkeeping” (06/03/26) https://prod-i.a.dj.com/public/resources/documents/dnaletter.pdf 参照記事: Science “AI executives join call for stricter regulation of synthetic biology” (06/03/26) https://www.science.org/content/article/ai-executives-join-call-stricter-regulation-synthetic-biology

電波共有調査、評価プロセスの明確化を GAO勧告

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は6月5日、国防総省(Department of Defense)が進める無線通信の周波数帯域の民間共有や転用に関する調査で、民間参画者への透明性確保や文書化された調査手順が確立されていないと指摘した。通信やレーダー、戦術無線や標的追跡、暗視ゴーグルなどの兵器システムに特定電波を活用する同省は、携帯電話ネットワークなど高まる民間需要に応じるため、国家電気通信情報局(National Telecommunications and Information Administration:NTIA)と共同で、周波数帯の民間利用に関し調査しているが、民間から寄せられた意見への評価基準や意思決定への反映方法を明確に説明していないという。民間は時間やリソースを投じて調査に協力しており、参画者の間で懸念が生じているとし、GAOは調査協力継続に向け、外部からの意見の評価プロセスを明確にした方針策定や、関連機関の責任分担を明記した共同アプローチの文書化を同省とNTIAに勧告した。両機関はいずれもこの勧告に同意している。 GAO “Spectrum Management: DOD and the National Telecommunications and Information Administration Should Improve External Collaboration” (06/05/26) https://www.gao.gov/products/gao-26-107873

フォガティ国際センター新所長にスティーブン・シフ氏

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)は6月4日、傘下のフォガティ国際センター(Fogarty International Center)の次期所長兼NIH国際研究担当副所長に、小児脳神経外科医でグローバルヘルス研究者のスティーブン・シフ氏(Steven Schiff)が同日付で就任したと発表した。シフ氏は約40年に亘り、グローバルヘルスや微生物疾患の疫学、小児神経疾患の研究に携わり、予測に基づく個別化公衆衛生概念の開発や、発展途上国における乳幼児感染症の制御に関わってきた。また、新生児敗血症の原因となる重大な脳感染症、新生児パエニバシラス症(Neonatal Paenibacillus)特定に関する実績がある。さらに、神経工学や脳神経分野に特化した複数の研究センター設立にも寄与しており、直近ではエール大学(Yale University)の脳神経外科教授などを務めていた。今後は世界の研究者との連携強化支援や、次世代グローバルヘルス科学者の育成を主導し、年間約9,500万ドルの同センター予算を統括していくという。 NIH “NIH Selects Dr. Steven Schiff as Director of Fogarty International Center, Associate Director for International Research” (06/04/26) https://www.nih.gov/news-events/news-releases/nih-selects-dr-steven-schiff-director-fogarty-international-center-associate-director-international-research

商務省、パワレックス社へ3,000万ドル拠出 コンバーター供給を強化 

米国標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology: NIST)は6月5日、商務省(Department of Commerce)が半導体メーカーのパワレックス社(Powerex)に3,000万ドルを投じると伝えた。CHIPS法(Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors Act)に基づく支援で、国内パワーモジュールの生産拡大に向け、ペンシルベニア州にある同社生産施設の拡張整備と研究開発に充てる。同社は、防衛システムや産業用モータ駆動、電気自動車などの重要部品である炭化ケイ素(SiC)型に加え、高電圧型や絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor: IGBT)パワーモジュールを製造しているほか、トランジスタ、整流器、サイリスタ、ディスクリートデバイス、高出力半導体ソリューションも製造する国内重要メーカーで、その先端技術は商業用、産業向けインフラから、次世代軍用装備に至るまでのあらゆる電圧変換に関連する電子関連部品の製造に寄与している。 NIST “Department of Commerce Announces Finalization of CHIPS Incentives with Powerex to Enhance Domestic Production Capacity of Key Components for U.S. Semiconductor Manufacturing” (06/05/26) https://www.nist.gov/news-events/news/2026/06/department-commerce-announces-finalization-chips-incentives-powerex-enhance

エネルギー省、石炭火力4事業に3.5億ドル投資へ

エネルギー省(Department of Energy)は6月4日、石炭ベースの発電能力や送電網整備、戦略的エネルギーインフラ強化に向け、4つの石炭整備事業に最大3億5,000万ドルを投じると発表した。電力効率の向上や発電所の稼働延長、ベースロード発電支援を目的とする集中的な改修計画を通じて国内の石炭発電体制を拡張・活性化するもので、年間約300万世帯分の電力を賄う約3,565メガワット(MW)の発電容量追加や維持を見込む。具体的には、アラスカ州アンカレッジとウェストバージニア州マウント・ストームでの計2,850MW規模の発電所新設や、プエルトリコ・グアヤマにある既存施設の改修のほか、2024年に操業停止したメリーランド州カンバーランドの施設の再稼働を計画しており、同省は一連の事業に計5億2,500万ドルを拠出する予定で、これには発表済み6事業への1億7,500万ドルも含まれる。政府は石炭産業への圧力政策を転換し、安価かつ安定したエネルギーの長期供給を通じて、国の安全保障を確立したい考えである。 Department of Energy “Energy Department to Invest $350 Million to Build, Modernize, and Restart Coal Plants” (06/04/26) https://www.energy.gov/articles/energy-department-invest-350-million-build-modernize-and-restart-coal-plants