Month:September 2026
NSF、43の知識グラフを結ぶオープンデータ基盤を創設
米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は9月25日、人工知能(AI)を活用した発見加速に向け、知識(ナレッジ)グラフ(知識概念を結んでその関係を可視化する技術)を接続して構築した国家規模のオープンデータ基盤「オープン・ナレッジ・ネットワーク(Open Knowledge Network: OKN)」の運用を開始した。健康、環境、司法、製造、安保など43分野のナレッジグラフと数百億件にわたるその関連情報を結びつけた相互運用可能なデータ共有エコシステムで、既に稼働を開始し、一般公開している。あらゆる知識グラフを網羅したクエリ機能を搭載した基盤で、例えば供給網データと製造データを連携させることで247社、7,000種類以上の半導体製品におけるサイバーセキュリティリスクをマップ化できるほか、汚染データと土壌生産性データ連携により、これまで別々に扱われていた環境と農業の問題を結びつけることが可能となるなど、NSFは分野の垣根を超えて課題に答える公共インフラとして、広く有効活用するよう促している。 NSF “NSF launches the Open Knowledge Network, a national open-data platform connecting more than 40 knowledge graphs to power the new wave of AI-enabled discovery” (09/25/26) https://www.nsf.gov/tip/updates/nsf-launches-open-knowledge-network-national-open-data
エネルギー省、ジェネシス・ミッション枠組みに関する調査報告発表
エネルギー省(Department of Energy)は9月25日、科学局諮問委員会(Office of Science Advisory Committee: SCAC)が作成した「人工知能(AI)による国家的ブレークスルー加速に向けたジェネシス・ミッション枠組み(Genesis Mission Frameworks for AI-Accelerated National Breakthroughs)」報告書の公開を発表した。AIや高性能スパコン、量子システムと全米の科学研究インフラを連携して基礎科学のイノベーションを劇的に加速させる戦略指針を示すもので、33の国家的な科学技術課題に取り組む。具体的には二酸化炭素をジェット燃料に変換する微生物開発や9カ月でのがん遺伝子治療薬設計に加え、核融合エネルギーではプラズマ加熱反応をリアルタイムで予測し、2030年から2035年に核融合実証プラントを通じた電力を供給する計画や、国内廃棄資源から重要素材を自動回収するリサイクルシステムによる高性能磁石開発など、複雑な科学データの解析時間を短縮するとし、次世代エネルギー技術や新素材開発に注力する方針を示している。 Department of Energy “Genesis Mission Frameworks: Advancing the Frontiers of American Discovery” (09/25/26) https://www.energy.gov/science/articles/genesis-mission-frameworks-advancing-frontiers-american-discovery https://science.osti.gov/-/media/About/pdf/scac/reports/SCAC_Genesis_Mission_Frameworks_report.pdf
グーグル、AIチップ耐久試験 スペースXロケットに搭載
ロイター通信(Reuters)の9月24日報道によると、グーグル社(Google)は、独自開発した人工知能(AI)専用半導体の性能検証を低軌道環境で行う計画である。宇宙空間への人工知能(AI)計算インフラ構築可能性を検証する「サンキャッチャー計画(Project Suncatcher)」の一環で、近くプロトタイプ衛星を打ち上げるスペースX社(Space Exploration Technologies)のロケット「トランスポーター18(Transporter-18)」に同社AIチップ「テンサー・プロセッシング・ユニット(Tensor Processing Unit: TPU)」を搭載する。打ち上げ時の衝撃や放射線、過酷な温度環境に耐えられるかを低軌道上で検証するほか、ビット反転と呼ばれるデータエラーを引き起こすなど宇宙放射線下での継続的な安定作動を評価する。また、気流冷却が不可能な真空状態での効率的な熱放散設計も評価する計画で、同社は今回のミッションでは、軌道上のデータを収集し、潜在的な故障箇所を特定することを目的と説明した。 Reuters “Google plans first test of AI chips in space under Project Suncatcher” (09/24/26) https://www.reuters.com/business/media-telecom/google-plans-first-test-ai-chips-space-under-project-suncatcher-2026-09-24/
CSET、AI技術を基盤とした経済・安保拡大を提言
安全保障・新興技術センター(Center for Security and Emerging Technology: CSET)は9月14日、人工知能(AI)競争での成果を実際の経済や軍事分野へつなげるよう提言する報告書を発表した。単に技術を開発・導入するだけでなく、競合国の反撃やボトルネックを考慮した明確な「勝利の理論(Theory of victory)」が必要と指摘しており、輸出管理や知財保護、圧倒的な技術力を軸とした政策展開は、巨額投資競争によるコスト増や兵器備蓄拡大、また、潜在的に危険なAI開発につながるリスクがあると分析した。敵対国との技術的優位性が縮小しつつある中、供給網分担や成果共有を通じたウィンウィン(相互利益)関係構築など協調戦略を組み込むことで、過度な対立リスクを回避し、持続可能な競争力が維持できると強調した。さらに、オランダや台湾、日本、韓国といった同盟国による貢献にも着目し、政策立案者に対し、具体的な目的意識を持った長期的な資源配分と運用計画を策定するよう強く求めている。 CSET “Artificial Intelligence in Competition How Will AI Change the Game and What Does It Mean to “Win” in AI?” (09/14/26) Artificial Intelligence in Competition
パランティア社、弾薬管理システム整備向けに陸軍から4,810万ドル受注
ディフェンス・ニュース(Defense News)は9月24日、弾薬管理・追跡システム整備に向け、陸軍とパランティア・テクノロジーズ社(Palantir Technologies)の子会社による4,810万ドルの契約締結について報じた。今後1年かけて開発される予定の新ソフトウェアは、これまで個別に運用されていた9つの既存システムを統合し、弾薬の計画、生産、調達から保管、分配、廃棄に至る全ライフサイクルを一元的に可視化・管理できるようにするもので、市販のローコード(必要最小限のソースコード記述)及びノーコード技術を活用し、通信環境が制限された現場での確実なデータ運用を支援する。陸軍の既存システムは実際の需要ではなく過去の傾向に基づいて行われ、旧システムによる個別運用により管理プロセスがリアルタイムで反映されていない課題があった。陸軍は、こうしたシステム間における連携不整合などによる予測精度課題を解消することで、監査適合性と運用効率を大幅に高めていくと説明した。 Defense News “Army awards Palantir $48.1M to modernize ammo management” (09/24/26) https://www.defensenews.com/news/your-army/2026/09/24/army-awards-palantir-481m-to-modernize-ammo-management/
ニューヨーク州、公益事業者のAI使用に関する監査を開始
ユーティリティ・ダイブ(Utility Dive)は9月24日、ニューヨーク州公益事業委員会(State Public Service Commission: PSC)が、電力やガス、水道などの公益事業者による人工知能(AI)の利用実態に関する監査を開始したと報じた。州電力会社による停電予測や電力使用料分析におけるAIシステムへの依存が高まる中、誤情報(ハルシネーション)やバイアスの発生、透明性、サイバー攻撃、個人情報の漏洩など重要インフラの安定運用を脅かすリスクを警戒した措置で、PSCは事業者に対し、60日以内に全てのAI使用事例、ガバナンス体制について報告するよう命じた。PSCはAIによるコスト削減や業務改善などの効率化を評価しつつも、消費者保護と安定した電力供給に向け、厳格なリスク管理が不可欠であると強調した。 Utility Dive “New York audits utility AI use, cites risk in ‘growing dependency’” (09/24/26) https://www.utilitydive.com/news/new-york-audits-utility-ai-use-cites-risk-in-growing-dependency/831242/
ニューヨーク州、エネルギーインフラ開発計画を開始
9月22日、ニューヨーク州のキャシー・ホークル州知事(Kathy Hochul)は9月22日、製造業、電化、人工知能(AI)の急速な拡大に伴う電力需要急増に対処するため、約10億ドル規模を投じるエネルギーインフラ計画を発表した。「クリーンで手頃な価格の信頼性の高い送電網拡張(Clean, Highly Affordable, Reliable, Grid Expansion: CHARGE)」計画の一環で、州民の光熱費負担軽減、建物の脱炭素化や大気改善に向け、再エネ発電とインフラ整備を促進する。送電網構築に向けた実行可能な青写真作成に向け、2027年に中間計画、2029年12月に包括的計画をまとめる予定で、低・中所得者向けヒートポンプ無料設置や一般家庭への省エネ改修支援や、公立校施設改修やクリーン冷暖房システム導入を盛り込んだ。また、太陽光・原子力・蓄電発電導入加速やメタン削減に向けた農家支援拡大や政府用地の有効活用も示したほか、電力会社経営陣報酬を電気料金抑制に連動させる顧客保護策や、データセンターに対する全米初の新規建設一時停止措置や自前電源確保も義務付けた。 New York State Government “Governor Hochul Expands Programs to Help New Yorkers Lower Home Heating Costs, Increase Energy Supply and Strengthen Sustainable Infrastructure” (09/22/26) https://www.governor.ny.gov/news/governor-hochul-expands-programs-help-new-yorkers-lower-home-heating-costs-increase-energy
農務省とエネルギー省の資金運用状況 GAO報告
政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は9月24日、農務省(United States Department of Agriculture: USDA)とエネルギー省(Department of Energy)によるインフラ投資雇用法(Infrastructure Investment and Jobs Act: IIJA)とインフレ抑制法(Inflation Reduction Act: IRA)の資金運用状況に関する報告書を公表した。2022~2025年度に割り当てられた予算の事業契約決定額と実際の支出額を詳細に整理・分析したもので、両省は同期間に山火事リスクの軽減や地方への電力供給改善、クリーンエネ技術開発などのインフラ整備やエネルギー関連事業向けに1,340億ドルの予算を獲得した。2025年1月の政権優先事項に合致する事業採用の方針により、両省における拠出ペースが鈍化しており、エネルギー省では155件、総額91億ドル相当の事業が中止となった一方で、USDAに関しては資金拠出見直しによる助成内容の詳細が確認できなかったと報告した。GAOは透明性を確保したエネルギー・農業インフラ整備や環境対策の推進検証を継続していく重要性を指摘した。 GAO “Funding Status: Infrastructure Investment and Jobs and Inflation Reduction Acts at the Departments of Agriculture and Energy” (09/24/26) https://www.gao.gov/products/gao-26-109087
DIU、海洋無人機対抗技術開発への民間投資を募集
国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation Unit: DIU)は9月24日、海洋環境での無人機対抗技術を持つ企業の育成と市場投入加速に向け、民間企業に対し資金参画を求めると発表した。機密技術開発に関する「クラス・アクト(Classified Access to Address Critical Technology: CLASS ACT)」プログラムの一環で、対無人機システムの先端技術開発を資金面で支える民間投資エコシステムを構築する。防衛分野への民間資本導入を促進することで、海洋安全保障に貢献する新興企業の成長基盤を固める方針で、特に海洋環境における無人システム対策関連技術への投資経験がある民間投資会社からの応募を求めている。連邦予算に基づく正規の競争入札プロセス開始には約2年かかるため、民間投資を活用することで、最も差し迫った安保上の課題解決に向け柔軟に取り組むことができると説明した。DIUは、技術開発と資本を効果的に結びつける枠組みを整えることで、最新の安全保障課題に対して迅速かつ柔軟に対応できる体制を構築していく方針である。 DIU “CLASS ACT – Investors enabling the countering of unmanned systems in maritime environments” (09/24/26) https://www.diu.mil/work-with-us/submit-solution/PROJ00719
DIU、海洋環境での無人機対策センサー・攻撃手段を募集
国防イノベーション・ユニット(Defense Innovation Unit: DIU)は9月24日、海洋環境において敵対的無人機システムに対抗するための「センサー及び検知・妨害装置(Sensors and Effectors)」に関するソリューションの公募を開始した。機密技術の開発プログラム「クラス・アクト(Classified Access to Address Critical Technology: CLASS ACT)」に基づくもので、海洋領域における無人機脅威への対応強化を目的としている。具体的には60km以上の長距離受動的探知機能や5km以上の距離に群がる無人機システムを確実に探知・追跡する機能に加え、1機あたりの撃墜コストを削減するエフェクターを求めており、グループ3システム(重量600kg未満)に重点を置くとした。DIUは従来の防衛装備品の調達枠組みにとらわれず、民間の革新的な技術や新興企業からの提案を広く求め、優れたアイデアの迅速な実用化に向け取り組むとし、各種応募要件を満たした機密情報取扱資格を取得した企業に参加を呼びかけ、早期の技術実証に向け開発を急ぐ構えである。 DIU “CLASS ACT – Sensors and effectors countering unmanned system in maritime environments” (09/24/26) https://www.diu.mil/work-with-us/submit-solution/PROJ00718