Month:September 2026
サイバーセキュリティ規制の重複解消が急務 GAO提言
政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は9月28日、水やエネルギー、通信などの重要インフラ分野におけるサイバーセキュリティ規制の重複や矛盾に関する業界有識者の意見をまとめた報告書を公表した。エネルギー、金融、医療などの分野の業界専門家パネルを開催し、国土安全保障省(Department of Homeland Security: DHS)や証券取引委員会(Securities and Exchange Commission: SEC)によるインシデント報告規制やセキュリティ情報開示規則が、既存の業界規制と重複しているとの参加者の声を伝えた。特に脅威への対策を講じながら全ての報告義務を遵守する体制が脅威対応への支障となっているとし、重複を是正する統合的な手法の必要性を論じたほか、報告の猶予期間や基準を統一し、情報を一元的に収集・調整する主導機関の設置を提案している。重要インフラの大部分が民間に依存していることから、GAOは情報システム保護に向けた官民連携が不可欠と指摘し、国家サイバーセキュリティ戦略策定を重点項目として結論づけている。 GAO “Cybersecurity Regulations: Industry Panelists Identify Duplication and Conflicts and Ways to Address Them” (09/28/26) https://www.gao.gov/products/gao-26-109197
NRCは専門人材確保に向けた計画ツール策定を GAO提言
政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は9月28日、原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission: NRC)に対し、人員確保に向けた包括的な対応策を講じるよう提言する報告書を公表した。原子炉に関する認可を行うNRCでは、退職者の増加や民間産業との人材獲得競争に伴い、2024年7月から2026年6月の間に職員数が約500人減少したが、政府政策優先事項に伴い、先進原子炉の認可申請の大幅増加が予測されている。こうした中、業務を担う人材の確保が急務となっているが、同委員会では2024年に成立した多用途先進原子力発電の導入促進法(Accelerating Deployment of Versatile, Advanced Nuclear for Clean Energy Act: ADVANCE Act)で与えられた直接採用や給与の柔軟性などの権限が十分に活用されていないことが判明した。GAOはNRCに対し、重要な人材ニーズを特定する人材計画ツールを2027年度第1四半期までに完成させる勧告に加え、人材採用と定着に向け、既存の人材配置権限の有効性などを客観的に評価する指標確立も求めている。 GAO “Nuclear Power: Actions Needed to Improve NRC’s Assessment of Its Workforce Needs” (09/28/26) https://www.gao.gov/products/gao-26-108737
運輸省、車両燃費基準の見直しでEV義務化を撤回
運輸省(Department of Transportation)は9月28日、自動車の企業平均燃費基準(Corporate Average Fuel Economy: CAFE)を改定した新規制を発表した。電気自動車(EV)推進規制を撤回することで、新車の平均価格が1台あたり1,300ドル引き下げられ、手頃な価格の自動車購入を実現する。消費者の購買意欲を高め、新車への買い替えを促進するもので、同省は、特に自動車メーカーは消費者のニーズに沿った車の製造が可能になると説明した。本撤廃により、2050年の年間石油消費量は2024年に比べて約13億バレル削減される見込みで、燃費に関しては2024年モデル30.1マイル/ガロンから、2031年モデルでは34.9マイル/ガロンに向上すると試算している。今後5年間で、国民全体で1,380億ドルのコスト削減を見込むほか、今回新たに小型クロスオーバー車の分類見直しや、2028年モデルからの燃費クレジット取引制度の廃止を盛り込むとし、自動車メーカー間の公平な競争環境を整える計画を示している Department of Transportation “President Trump & Transportation Secretary Duffy Finalize “Freedom Means Affordable Cars” Initiative to Reset Fuel Economy Standards, End Illegal EV Mandate” (09/28/26) https://www.transportation.gov/briefing-room/president-trump-transportation-secretary-duffy-finalize-freedom-means-affordable-cars
揚水発電、過去3年で12%増加 ORNL調査
オークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory: ORNL)は9月25日、2023年から2025年の国内揚水発電(Pumped storage hydropower: PSH)の年間平均総発電量が、その前の3年間に比べて12%増加したとする調査報告書を公表した。国内水力発電市場動向を包括的に分析した同研究所の「2026年版米国水力発電市場報告書(U.S. Hydropower Market Report)」によると、世界の開発中案件における同期間の揚水発電導入提案容量が、従来の水力発電提案容量を初めて上回ったほか、長時間蓄電が可能な特性から2025年末時点で全米の事業用蓄電容量の82%を占めた。また、設備の整備や新規事業によって新たに導入された容量は、ライセンス返上などで失われた容量を上回ったとし、水力発電の持続的な成長傾向が示されている。 ORNL “ORNL releases 2026 US Hydropower Market Report” (09/25/26) https://www.ornl.gov/news/ornl-releases-2026-us-hydropower-market-report
米中首脳会談開催 対象品目へ300億ドル規模の関税優遇措置
大統領府は9月25日、中国の習近平国家主席(Xi Jinping)を迎えて開催した米中首脳会談において、双方の非機微品目に対する300億ドル規模の関税優遇措置を導入すると発表した。主に農産物、水産物、木材、化粧品、医療機器などの米国製輸出品や、小型白物家電や玩具、イベント用装飾品、チャイルドシートなどの育児用品などの中国からの輸入品を対象に公平な貿易体制を構築する。これに伴い、農業分野の障壁に対応する作業部会を設置し、中国側は2027年と2028年に米国産石炭を毎年1,000万トン以上輸入するほか、安全保障分野では合成麻薬「フェンタニル」の原料となる化学物質(前駆体)に対する新たな輸出管理を実施する。また、世界の石油供給安定化に向けては、米国が中国に対し精製石油製品の増産を促したほか、投資委員会の本格運用に加え、人工知能(AI)を「超知能(Super Intelligence: SI)」へ名称変更することで一致し、同分野における対話枠組みと緊急連絡窓口を創設することで合意した。 The White House “Fact Sheet: President Donald J. Trump Advances a Fair and Reciprocal Relationship with China While Hosting Historic State Visit” (09/25/26) https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2026/09/fact-sheet-president-donald-j-trump-advances-a-fair-and-reciprocal-relationship-with-china-while-hosting-historic-state-visit/
連邦控訴裁、アンソロピック社のブラックリスト入りを支持
ディフェンスニュース(Defense News)は9月26日、ワシントンの連邦巡回控訴裁判所が人工知能(AI)開発企業のアンソロピック社(Anthropic)を安全保障上の供給網(サプライチェーン)リスクとして指定した国防総省(Department of Defense)の決定を支持する判決を下したと伝えた。同社は今年3月、同省による軍事契約からの除外措置を不当として差し止めを申し立てていたが、2対1の多数決により、その請求を退けられる形となった。自律型兵器や大規模監視への自社製品利用を拒否したことでブラックリスト入りしたことが背景にあり、AI安全性と人権を巡る見解の相違から報復措置を受けたと同社は主張している。数十億ドルの事業損失を受け、同社は今回の判決に対し敬意を表しつつも、不服を申し立てる意向を示した。なお、サンフランシスコ地裁では別の法律に基づく政府指定が無効と判断された経緯もあり、法的な議論が続いている。 Defense News “US appeals court upholds Pentagon’s blacklisting of Anthropic” (09/26/26) https://www.defensenews.com/news/pentagon-congress/2026/09/25/us-appeals-court-upholds-pentagons-blacklisting-of-anthropic/
メリーランド州、量子投資誘致に向けVCと提携
NEXTGOV/FCWは9月24日、量子技術の振興とスタートアップ支援に向け、メリーランド州がパラディン・キャピタル・グループ社(Paladin Capital Group)と提携すると報じた。2030年までに官民で総額10億ドル規模の量子投資誘致を目指す州の「量子計算の首都(Capital of Quantum)」構想の一環で、2025年1月の開始以来、技術エコシステム構築に向け既に5億ドル超投資が約束されている。23の連邦機関と研究所に加え、33の量子関連企業、25の大学・研究施設が参画しており、同州のウェス・ムーア知事(Wes Moore)は地域経済の成長を促進すると意欲を示した。また、最先端分野における雇用創出と世界的な量子技術イノベーション拠点としての地位を確固たるものにしたいとの考えも示している。 NEXTGOV/FCW “Maryland governor touts new quantum partnership with venture capital firm” (09/24/26) https://www.nextgov.com/emerging-tech/2026/09/maryland-governor-touts-new-quantum-partnership-venture-capital-firm/416212/?oref=ng-homepage-river
GAO、海軍造船所のインフラ刷新計画の情報開示を要求
政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は9月25日、海軍が推進する2,000億ドル規模の造船所4カ所のインフラ最適化計画(Shipyard Infrastructure Optimization Program: SIOP)について、意思決定に必要な包括的情報が不足しているとする報告書を発表した。海軍計画の総コストが2,000億ドルに上るほか、工期も当初予定を大幅に遅延し、実施には50年以上かかる可能性があるにもかかわらず、議会や防衛指導部に定期的な費用やリスク評価が提示されていない現状を問題視している。特に、地震対策による追加作業が発生したプージェット・サウンド海軍造船所の事例を挙げ、原子力艦艇や潜水艦の運用能力を維持するには、予算執行状況やリスクの定期開示などの監視体制の構築が不可欠と指摘している。その他防衛装備品の調達なども含め、海軍と議会に対して情報公開基準の標準化と定期的見直しを強く求めており、海軍もこれに同意し、実施計画を提示すると回答した。 GAO “Naval Shipyards: Complete Information Needed for Decision-Making on Multibillion-Dollar, 50-Year Infrastructure Program” (09/25/26) https://www.gao.gov/products/gao-26-107830
ARPA-I、総額100万ドルのアイデアコンペ受賞者を発表
運輸省(Department of Transportation)傘下のインフラ高等研究計画局(Advanced Research Projects Agency-Infrastructure: ARPA-I)は9月25日、次世代インフラ技術イノベーションを促進する100万ドル規模のアイデア・イノベーション・チャレンジ(Ideas and Innovation Challenge)の受賞者を発表した。道路や橋梁など既存インフラの安全性向上や運用効率化を実現する革新的なアイデアを全米から公募し、最優秀賞として選ばれた中間輸送業務における安定した物流運用を実現する自律型人工知能(AI)を開発した貨物輸送エージェント型AI社(Agentic AI for Freight)に30万ドルを付与した。このほか生物学的手法で高耐久性インフラを構築するバイオビルズ社(BIO-BUILDS)に20万ドル、共有型モビリティ向けAI情報基盤を開発したプリズム社(PRISM)に15万ドル、なりすましなどに対応する高度セキュリティ機能を搭載したGPSナビ受信技術を開発するナブセンチネル社(NavSentinel)に5万ドルがそれぞれ拠出される予定となっている。 Department of Transportation “Trump’s Transportation Department Announces Winners of $1 Million ARPA-I Ideas Challenge” (09/25/26) https://www.transportation.gov/briefing-room/events/trumps-transportation-department-announces-winners-1-million-arpa-i-ideas
DARPAの受動的測距技術開発コンペ、最終受賞者はなし
国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency: DARPA)は9月25日、電波などを自ら照射せずに対象との距離を測定する受動的測距技術の精度向上を目指した「計算画像検出・測距(Computational Imaging Detection and Ranging: CIDAR challenge)」コンペにおける最高賞金受賞者はなかったと発表した。センサーデータ処理やアルゴリズムによって技術的には大きな進展が見られたものの、最大10kmの距離測定が可能な低遅延受動画像処理アルゴリズム開発という極めて高い難易度基準に届かなかったという。一方で、DARPAは意図的に掲げた高い目標により受動的測距における技術的限界を特定することができ、また、その解決策も明確になったと分析しており、今回の取り組みについて非常に価値のある進歩と評価した。2024年12月に開始したCIDARは複数の段階を経て進行し、初期段階で5つの中小企業と大学機関がそれぞれ20万ドルを獲得したほか、今年1月に行われた準決勝で5チームが5万ドルの賞金を獲得している。 DARPA “CIDAR challenge pushes the limits of passive ranging” (09/25/26) https://www.darpa.mil/news/2026/cidar-challenge-pushes-limits-passive-ranging