トランプ政権、ポール・ダバー氏を商務次官に指名

NEXTGOV/FCWは3月3日、トランプ大統領がポール・ダバー氏(Paul Dabbar)を商務次官に指名したと報じた。ダバー氏は、トランプ前政権下でエネルギー省の科学担当次官を務めていた経験を持ち、商務省(Department of Commerce)では貿易と技術を担当することになる。これについてトランプ大統領は、独自に立ち上げたSNS(交流サイト)「トゥルース・ソーシャル(Truth Social)」のアカウントで、ダバー氏がハワード・ラトニック商務長官(Howard Lutnick)と共に商業、貿易、技術において米国が世界のリーダーシップを取り戻すと言及した。ダバー氏は元海軍潜水艦士官であり、米海軍兵学校とコロンビア大学の卒業生で、エネルギー省時代には、半導体、AI、量子技術、エネルギー優位性、戦闘能力の推進に貢献した。正式指名は今後、上院での審議を経て決定されるという。 NEXTGOV/FCW “Trump nominates Paul Dabbar as Commerce deputy secretary” (03/03/25) https://www.nextgov.com/people/2025/03/trump-nominates-paul-dabbar-commerce-deputy-secretary/403410/?oref=ng-homepage-river

TSMC、米国での半導体製造に追加投資

AXIOSは3月4日、台湾積体電路製造(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.: TSMC)が米国での半導体製造に、さらに1,000億ドルを投資すると報じた。これは、アリゾナ州での既存の650億ドルの投資に加えられるもので、米国の国家安全保障とAI経済の加速を目的とした国内チップ生産の推進の一環であるという。また、台湾の政治的な不安定性を避けるため、製造拠点を多様化し、米国での半導体生産を強化していこうという狙いもある。新たな投資は、3つの製造工場、2つの先進的なパッケージング施設、研究開発センターの建設に充てられる予定であり、4万人の建設雇用を創出し、将来的には数万の高給技術職を生むと期待され、米国史上最大の外国直接投資となるという。バイデン政権は2024年11月、CHIPS科学法(CHIPS and Science Act)に基づきTSMCと66億ドルの助成金契約を締結した。この発表は、TSMCがインテル社(Intel)のチップ生産の一部を買収する可能性が報じられる中で行われた。 AXIOS “TSMC to invest additional $100B in U.S. chips manufacturing” (03/04/25) https://www.axios.com/2025/03/03/tsmc-arizona-chips-investment-trump

国防総省 社会科学研究プログラム、MRIを縮小

サイエンス誌(Science)は3月2日、国防総省(Department of Defense)が国家安全保障に重要な社会科学研究を支援する「ミネルバ研究イニシアティブ(Minerva Research Initiative: MRI)」を縮小すると報じた。テロや麻薬密輸、気候変動などの脅威に関する研究を行っていた数十人の研究者に対する助成金の打ち切りが通知されたという。2001年同時多発テロの教訓から、軍事力だけではなく、国際的な安全保障の脅威に対処するための社会・行動科学研究の推進に向けて2008年、MRIが設立された。以来、国防総省は3~5年に亘る助成金を大学の研究者に対して提供してきたが、2024年8月の助成金ラウンドで選ばれた19チームのうち少なくとも9つのプロジェクトが終了通知を受けた。台湾の防衛改革を研究するプロジェクトなども含まれているが、国防総省は終了の理由などについて同誌からの質問に回答していない。F-16戦闘機1機分のためにMRIの全プログラムを放棄することは最も費用対効果の低い措置という意見もあるとも伝えている。 Science “Pentagon guts national security program that harnessed social science” (03/02/25) https://www.science.org/content/article/pentagon-guts-national-security-program-harnessed-social-science

NIH、一部の研究助成審査を3月下旬から再開

サイエンス誌(Science)3月3日、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)が、一部の研究助成金の審査会議を3月下旬から再開すると報じた。トランプ政権による連邦官報への告知停止措置により、2月中旬から数千件の助成金審査が凍結されていた状況を受けての動きである。今回再開されるのは、腎臓病パネルと、NIH共通基金(NIH Common Fund)プログラムに関連する3つのパネルで、バーチャル会議形式で3月24日から4月4日にかけて順次実施される予定であるという。しかし、NIHの助成金審査の大部分は依然として停止状態が続いており、全助成金の約4分の1を審査するNIHの24の助成機関による審査部会、さらに助成金交付の最終承認に不可欠な研究所評議会による二次審査も、連邦官報への告知停止措置が継続されている。 Science “NIH announces some key grant-review meetings will restart in late March” (03/03/25) https://www.science.org/content/article/nih-announces-some-key-grant-review-meetings-will-restart-late-march

ホンダ、インディアナ州で新型「シビック」生産

大統領府は3月3日、ホンダ社が新型「シビック」のハイブリッドモデルの生産拠点を、メキシコからインディアナ州に変更する予定であると発表した。ロイター通信(Reuters)によると、2028年5月からインディアナ州で生産を開始し、年間約21万台の生産を計画しているという。トランプ大統領が提案するメキシコからの輸入品に対する25%の関税を回避するための措置とみられ、ホンダは当初、インディアナ州とカナダでのコスト上昇を理由に、メキシコ・グアナファト州で2027年11月からの生産を予定していた。インディアナ州での生産が需要を満たせない場合は、関税対象外の国からの輸入も検討するという。複数の自動車メーカーが関税について懸念を表明する中、今回のホンダの決定は、日本の大手自動車メーカーによる最初の具体的な対応策となる。 THE WHITE HOUSE “Monday Morning Wins: Call It the “Trump Effect”” (03/03/25) https://www.whitehouse.gov/articles/2025/03/monday-morning-wins-call-it-the-trump-effect/

米国科学財団、解雇職員を一部復帰 人員削減は継続

米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)は2月28日、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)が2月18日に試用期間中の職員と非常勤専門家を大量解雇した後、一部の職員を復帰させていると発表した。主に退役軍人や障害を持つ職員が対象で、最大30人が再雇用されたという。しかし、自主退職制度「フォーク・イン・ザ・ロード(fork in the road)」を利用した約120人は、9月までの給与と福利厚生を受け取り退職する予定で、人員削減は継続する見込みである。大統領府は更なる大規模な人員削減計画の提出を各機関に指示しており、NSFの将来に不安が広がっているという。さらに、自主退職や職員が不当に試用期間中へ変更されるなどの身分変更による混乱も生じているといい、労働組合は解雇の違法性を主張し、今後の科学技術振興への影響を懸念している。 AIP ” NSF Begins Reinstating Some Probationary Employees After Mass Layoffs” (02/28/25) https://ww2.aip.org/fyi/nsf-begins-reinstating-some-probationary-employees-after-mass-layoffs

議会、科学委員会の指導部の新人事発表

米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)は2月28日、第119回議会における科学技術関連委員会の指導部人事が確定したと発表した。上下両院主要委員会で委員長や筆頭理事が交代し、今後2年間の科学機関の活動に大きな影響を与えることが予想される。上院商業・科学・運輸委員会はテッド・クルーズ氏(Ted Cruz、テキサス州選出、共和党)、下院科学宇宙技術委員会はブライアン・バビン氏(Brian Babin、テキサス州選出、共和党)が委員長に就任した。クルーズ氏は宇宙探査の推進や電磁スペクトルの商業利用拡大を優先課題に掲げ、バビン氏は中国との競争激化を背景に、科学技術における米国の優位性確保に注力するという。また、各委員会傘下の小委員会も新体制となり、航空宇宙局(NASA)、米国科学財団(NSF)、米国標準技術局(NIST)、米国海洋大気庁(NOAA)、エネルギー省(Department of Energy)などを監督する責任者が決定した。 AIP “Congress Fills Out Leadership of Science Committees” (02/28/25) https://ww2.aip.org/fyi/congress-fills-out-leadership-of-science-committees

国立研究所、民間AIツール活用へ OpenAIとAnthropicモデル

FEDSCOOPは2月28日、約1,000人の政府系科学者がオープンAI社(OpenAI)やアンスロピック社(Anthropic)といった民間企業の人工知能(AI)モデルを分析する新たなプロジェクト「サイエンス・AI・ジャム(Scientist AI Jam)」を開始したと報じた。チャットボットの科学研究能力に焦点を当て、実際の研究課題への適用可能性を検証する取り組みで、文献検索や仮説生成、実験計画、コード生成、結果分析といった様々なタスクで、科学者がAIを活用し、研究の効率化を目指す。Open AI社はAIが科学的発見を加速させるとし、エネルギー省国家核安全保障局との協力実績があるアンスロピック社は科学的調査の複雑さと微妙な違いを管理する可能性、そして複雑な科学的課題を解決できる能力を評価すると発表している。世界最速のスーパーコンピューターを擁する国立研究所は、大規模言語モデルの研究と展開への関心を高めており、独自のAI技術開発に加え、民間セクターと連携し、生成AIシステムの調査に注力している。 FEDSCOOP “With ‘AI Jam,’ Anthropic, OpenAI pursue work at US national labs” (02/28/25) With ‘AI Jam,’ Anthropic, OpenAI pursue work at US national labs

AWS、新量子チップ「オセロット」を発表

NEXTGOV/FCWは2月27日、アマゾン・ウェブ・サービス社(Amazon Web Service: AWS)が初の量子コンピューター用チップ「オセロット(Ocelot)」を発表したと報じた。カリフォルニア工科大学(California Institute of Technology)との共同研究により開発された同チップは、エラー訂正機能を備えた設計が特徴で、従来比で5~10倍のリソース削減が可能とされている。Ocelotは、物理学者のエルヴィン・シュレーディンガー氏(Erwin Schrödinger)の有名な思考実験「シュレーディンガーの猫(Schrödinger’s Cat)」にちなんだ「キャット(猫)量子ビット(cat qubits)」と呼ばれる超伝導量子ビットを採用し、ノイズに強い高速なエラー訂正が可能な設計であるという。AWS社のオスカー・ペインター量子ハードウェア部門長(Oskar Painter)は、エラー訂正を最優先要件として設計に組み込んだと説明し、現在も研究室での試作段階であり、さらなる改良を重ねていく方針を示した。 NEXTGOV/FCW “AWS unveils its quantum chip prototype, Ocelot” (02/28/25) https://www.nextgov.com/emerging-tech/2025/02/aws-unveils-its-quantum-chip-prototype-ocelot/403306/?oref=ng-skybox-hp

米英、AI安全保障に重心 信頼性や倫理的課題に課題 

AXIOSは2月28日、AI安全性を、安全保障の問題として捉える米英両国の最近の動きを専門家が懸念を示していると報じた。米英両国は2月に行われたパリサミットで、AIの「オープン」で「包括的」な「倫理的」開発を強調する国際宣言への署名を見送った。また、英国はAI安全研究所(AI Safety Institute)を安全保障研究所(AI Security Institute)に改称している。このような中で専門家らは、AI安全性には外部からの脅威への対策だけでなく、AIモデルによる不正確な情報の提供や武器製造の指示などの危険なコンテンツの生成など、信頼性確保や倫理的問題への対応も含まれるべきとする。さらに、安全性の狭義解釈により、AIが偏った概念に基づき意思決定する可能性についても触れ、倫理的問題が軽視される恐れを指摘した。AIセキュリティ企業、ヒドゥンレイヤー社(HiddenLayer)のクリス・セスティト最高経営責任者(Chris Sestito)も、安全性と安全保障を厳密に区分することは逆効果と警告する。 AXIOS “Untangling safety from AI security is tough, experts say” (02/28/25) https://www.axios.com/2025/02/28/ai-safety-rebrand-security-issues