再生可能エネルギー市場、供給過多 企業の利益を圧迫

UTILITY DIVEは3月5日、再生可能エネルギーへの需要が依然として堅調である一方で、早期案件の売却増加に伴う供給過多が開発企業の利益を縮小していると報じた。レベルテン・エナジー社(LevelTen Energy)によると、開発費や借入コストの上昇により早期段階のプロジェクト売却が増加しており、需要は成熟度の高い案件に集中し、買い手は2025~2028年の稼働を目指すプロジェクトを好む傾向にあるという。一方、初期段階の案件は1ワット(W)あたり2~4セント、中期が3~6セント、後期には5~12セントと開発企業の収益幅に大きな差が生じ、小規模開発企業は相互接続費用のコスト増や資金調達負担により、案件を早期に手放すケースが増えつつある。その結果、統合が進み、市場では独立系発電事業者が買い手として再び主導権を握りつつある。さらに、関税や税額控除の不透明さも企業の収益を圧迫する懸念もあるが、人工知能(AI)やデータセンターの電力需要増により、需要自体は底堅いとしている。 UTILITY DIVE “Demand for renewable energy projects remains strong, but supply is growing: LevelTen Energy” (03/05/25) https://www.utilitydive.com/news/demand-for-renewable-energy-projects-remains-strong-but-supply-is-growing/741591/

ニュースケール社、国内SMR契約獲得に苦戦

UTILITY DIVEは3月5日、原子力技術のニュースケール社(NuScale)が国内での小型モジュール炉(Small Modular Reactor: SMR)の商業契約獲得に苦戦していると報じた。同社のジョン・ホプキンスCEO(John Hopkins)は2024年第4四半期通期決算説明会で、ルーマニアでの462MW発電所プロジェクトは進展しているものの、国内のデータセンター事業者や産業顧客との契約締結には至っていないと述べた。その中で、同社は今年後半に予定される原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission: NRC)からの77メガワット(MW)炉の認可取得を見込み、韓国の斗山(トウサン)エナビリティ社(Doosan Enerbility)に6基分の主要部材を発注したという。2023年11月にユタ州の電力会社向けプロジェクトが頓挫して以降、国内での新規契約は実現していない。長期の電力購入契約の交渉が主な課題となっている。 UTILITY DIVE ” US SMR deals remain elusive for NuScale” (03/05/25) https://www.utilitydive.com/news/smr-nuscale-earnings-data-center-fluor-nrc/741639/

CHIPS法存続の危機 中国、米科学者を積極的に採用か

Ars Technicaは3月6日、トランプ前大統領がCHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)の廃止を目指す中、国の技術革新が停滞の危機に直面していると報じた。2022年に成立した超党派による半導体製造支援とイノベーション促進を目的とした総額2,800億ドルのCHIPS法について、トランプ氏は同法の高額な費用に不満を表明しており、早ければ4月2日から全ての半導体輸入に25%の関税を課す方針という。同法に基づき台湾の台湾積体電路製造(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co.: TSMC)社(TSMC)やインテル社(Intel)など主要半導体企業への補助金供与が既に決定されており、廃止となれば進行中のプロジェクトに影響が及ぶ可能性がある。特に米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の技術革新パートナーシップ局(Directorate of Technology, Innovation, and Partnerships: TIP)の存続が危ぶまれており、中国などの競合国が米国科学者の引き抜きを図る動きを見せているという。 Ars Technica “China aims to recruit top US scientists as Trump tries to kill the CHIPS Act” (03/05/25) https://arstechnica.com/tech-policy/2025/03/china-aims-to-recruit-top-us-scientists-as-trump-tries-to-kill-the-chips-act/

トランプ氏 エネルギー政策と鉱物資源開発の推進を強調

AXIOSは3月5日、トランプ前大統領が議会演説で、米国のエネルギー政策強化と鉱物資源開発の拡大方針を表明したと報じた。トランプ氏は100分に及ぶ選挙運動スタイルの演説を行い、レアアースなどの重要鉱物の国内生産を劇的に増加させる計画を発表したことに加え、ウクライナのゼレンスキー大統領(Volodymyr Zelensky)から鉱物資源協定の締結に前向きな書簡を受け取ったことも明らかにした。さらに、数十年来構想されてきたとされるアラスカのLNGプロジェクトについても言及し、日本や韓国などが巨額投資のパートナーとなる可能性に言及したという。一方で、各メディアからパリ協定からの離脱や電気自動車(EV)に関する発言には事実誤認が含まれていたとも指摘があり、環境保護団体からは関連業界に利益があるプロジェクトという批判の声もある。 AXIOS “Trump mixes energy news into boastful speech” (03/05/25) https://www.axios.com/2025/03/05/trump-speech-energy-minerals-tariffs

AI覇権維持へ電力確保が急務 CSIS提言

戦略・国際問題研究所(Center for Strategic & International Studies: CSIS)は3月3日、AI技術における世界的リーダーシップを維持するには、大規模データセンター向けの電力確保が最重要課題であるとする報告書を発表した。報告書によると、国内の新規データセンター需要として80ギガワット(GW)以上が必要となり、年間400テラワット(TWh)時以上の電力を消費する見通しであるという。これは現在のカリフォルニア州の消費量(約240テラワット時)を上回るとされ、国の総電力需要は年間2%増加する見込みで、データセンターの設備投資額も2.3兆ドルに達するとも予測している。これに対し、原子力発電所の新設促進や送電網の整備、半導体製造の国内回帰などを含む包括的な政策提言を行っている。中国やフランス、日本、UAEなどの競合国も、AIインフラ整備を加速させており、米国の優位性維持には迅速な対応が不可欠と提言している。 CSIS “Securing Full Stack U.S. Leadership in AI” (03/04/25) https://www.csis.org/analysis/securing-full-stack-us-leadership-ai

追加関税で研究機器のコスト増大 懸念広がる

サイエンス誌(Science)は3月4日、中国、カナダ、メキシコからの輸入品に対する追加関税により、研究機器のコストが上昇する可能性があると報じた。トランプ政権は不公正な貿易慣行の是正を目的に、メキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を、中国からの輸入品には10%から20%に引き上げた。これに対し、カナダと中国は報復措置を発表、メキシコも対応を検討中であるという。ボストン大学メトロポリタン・カレッジ(Boston University Metropolitan College)のサプライチェーン専門家、カナン・ギュネス・コルル氏(Canan Gunes Corlu)は、中国、メキシコ、カナダは科学機器の主要供給国であり、関税の影響は大きいとし、国内の研究機関は、既に行われている予算削減下で、さらなるコスト増に直面し、深刻な圧迫を受ける可能性が高いと述べた。トランプ政権は、欧州への関税も検討中であり、研究環境はさらに複雑化する可能性があると同誌は伝えている。 Science “Sticker shock: New U.S. tariffs could raise cost of research equipment and supplies” (03/04/25) https://www.science.org/content/article/sticker-shock-new-u-s-tariffs-could-raise-cost-research-equipment-and-supplies

2024年のクリーン電力の新規導入量、大幅増 ACP

アメリカン・クリーン・パワー協会(The American Clean Power Association: ACP)は3月5日、2024年に新たに導入された電力量の93%がクリーンエネルギーであり、合計容量が313ギガワット(GW)を突破したと発表した。同年のクリーンエネルギー導入量は49GWに記録的なレベルに達し、前年の37GWから33%増と大幅に拡大した。特にミシシッピ、ルイジアナ、ケンタッキーなど保守色の強い州で200%超の成長が見られたという。太陽光は33GW、蓄電は11GWが追加され、風力発電も陸上・洋上合わせて40GWのパイプラインが伸長中であることに加え、現在20GWが建設中という。また、風力・太陽光・蓄電関連の主要部品工場が46カ所新たに稼働を開始した。なお、本報告書の概要はACPのウェブサイトで公開されており、詳細版は4月に発表される予定である。 ACP “NEW REPORT: Clean Energy Dominates in 2024” (03/05/25) NEW REPORT: Clean Energy Dominates in 2024

DIU、AI活用の作戦立案システムを開発へ

国防イノベーション部門(Defense Innovation Unit: DIU)は3月5日、軍事作戦の立案・計画に人工知能(AI)を統合する「サンダーフォージ(Thunderforge)」プロジェクトの試作契約をスケールAI社(Scale AI)と締結したと発表した。大規模言語モデル(Large Language Models: LLM)やAIシミュレーション、AI駆動型軍事演習シミュレーションを活用するシステムを構築し、作戦立案の迅速化と意思決定の効率化を目指す。初期段階では、米インド太平洋軍(U.S. Indo-Pacific Command: INDOPACOM)と米欧州軍(U.S. European Command; EUCOM)に導入し、作戦展開や戦域全体の資源配分、戦略的評価などの業務遂行に必要不可欠な要素を盛り込んだ計画立案を支援する。システムの開発には、スケールAI社のエージェント・アプリケーションと生成AI評価技術に加え、アンドゥリル社(Anduril)のラティス(Lattice)ソフトウェアプラットフォームとマイクロソフト社(Microsoft)の最新LLMが活用されるという。 DIU “DIU’s Thunderforge Project to Integrate Commercial AI-Powered Decision-Making for Operational and Theater-Level Planning” (03/05/25) https://www.diu.mil/latest/dius-thunderforge-project-to-integrate-commercial-ai-powered-decision-making

DARPA、ディープフェイク防御の強化策を発表

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency: DARPA)は3月5日、UL研究機関(UL Research Institutes)傘下のデジタル安全研究機関(Digital Safety Research Institute: DSRI)と共同研究開発契約を締結し、生成AI(ジェネレーティブAI)を用いたメディアの検出・属性評価・特徴解析技術を継続的に推進すると発表した。DSRIがセマンティック・フォレンジック(Semantic Forensics: SemaFor)の研究成果を継続管理する役割を担い、研究者向けの公開競争「AI FORCE」も運営する。研究成果は学会で公表され、優れた研究には助成金が授与されるという。DARPAは2016年のメディア・フォレンジック(Media Forensics)プログラムから対策研究を進め、2020年に開始したSemaForを通じてAI生成メディアの脅威を検出する多様な分析ツールを開発してきた。2024年9月にSemaForが終了した後も、政府機関への技術移転や民間企業との連携を図り、生成AI進化のスピードに対応すべく研究を続けているという。 DARPA “Furthering Deepfake Defenses” (03/05/25) https://www.darpa.mil/news/2025/furthering-deepfake-defenses

サンディア国立研究所、次期所長にマギル氏就任

サンディア国立研究所(Sandia National Laboratories)は3月4日、ローラ・J・マギル氏(Laura J. McGill)が5月1日付で第17代所長に就任すると発表した。同研究所で核兵器システムの監視・開発を指揮し、新技術への取り組みを推進するマギル氏は、核抑止部門担当副所長兼最高技術責任者を務め、国防システム開発で豊富な実績を持つ。これまで防衛産業で30年以上活躍し、レイセオン・ミサイル&ディフェンス社(Raytheon Missiles & Defense)のエンジニア部門の副社長などを歴任してきた。マギル氏は「非常に優秀な人材とともに、新たな安全保障上の課題に立ち向かう」と抱負を述べた。現所長のジェームズ・S・ピアリー氏(James S. Peery)は4月末をもって退任する。理事会はマギル氏のリーダーシップが同研究所の使命達成に大きく貢献すると評価しており、今回の就任により、国家安全保障部門の強化と研究開発のさらなる発展を期待しているという。 Sandia National Laboratories “National security leader Laura J. McGill named next director of Sandia Labs” (03/04/25) https://newsreleases.sandia.gov/national-security-leader-laura-j-mcgill-named-next-director-of-sandia-labs/