天然ガス価格の低下が米国製造業の雇用にもたらした影響

非営利研究機関のリソース・フォー・ザ・フーチャー(Resources for the Future)は今般、「天然ガス価格の下落が米国製造業の雇用にもたらした影響(The Impact of Lower Natural Gas Prices on Jobs in the US Manufacturing Sector)」と題する報告書を発表した。天然ガス価格が地域の雇用にもたらした影響を分析したもので、それによれば、その影響はこれまでに予想されていたよりもかなり低いという。具体的には、シェールガスがもたらした天然ガス価格の下落は、製造業の雇用の0.6%増に、2007~2012年の天然ガス価格の下落は比較的天然ガス集約型の産業の雇用の1.8%増につながったという。 Resources for the Future “The Impacts of Lower Natural Gas Prices on Jobs in the US Manufacturing Sector” (1/22/18)

米国東海岸最大の製油所が破産法適用を申請

米国東海岸で最大規模の製油所を所有するフィラデルフィア・エネルギー・ソリューションズ社(Philadelphia Energy Solutions LLC: PES)は、連邦破産法の適用を申請した。裁判所に提出された再編計画によれば、同社が抱える環境コストの一部をなくすことで再編は可能であるという。計画によれば、再編は、3億~3億5,000万ドルの順守コストを排除できる売却を通じて行われる。この順守コストには、再生可能識別番号(renewable identification number: RIN)が含まれる(PES社によれば、連邦プログラムの下、購入を余儀なくされたRINに、2012年以来8億3,200万ドルがかかった)。このRINに伴う経費負担が今回の破産法適用申請のきっかけとなったとされている。 Bloomberg “Biggest U.S. East Coast Oil Refinery Files for Bankruptcy” (1/22/18)

輸入ソーラー・パネルへの課税がもたらすのは雇用創出か損失か?

トランプ大統領は1月16日、輸入ソーラー・パネルに厳しい関税(30%)を課す法案に署名した。これは、「米国の雇用を保護する策の一つ」とされたが、ソーラー業界は、「数千人の失業と消費者価格の引き上げにつながる」と述べている。関税は、米国製造業者を支援するための広範な保護主義議題の一部として米政権が課した一方的な貿易規制の一つであるが、低コスト生産を行うアジアの貿易相手国でも警戒を持って受け止められている。なお、関税は輸入洗濯機にも課された。ソーラー業界の関係者は、「本件によってパネル設置費用は上昇し、数十億ドルの投資が失われ、数万人の雇用が失われる」と反論している。 Reuters “Job creator, or job killer? Trump angers solar installers with panel tariff” (1/22/18)

ビルディング・アメリカ・ソリューション・センターが立ち上げから5周年

エネルギー省(Department of Energy: DOE)のビルディング・アメリカ(Building America)イニシアチブは5年前、エネルギー効率の高い住宅建設のためのインタラクティブな情報源として、「ビルディング・アメリカ・ソリューション・センター(Building America Solution Center)」を立ち上げた。同センターの利用者は急増し続け、ユーザー数は、2013年の約7万7,000件から、2017年には29万8,000件へと増えた(287%増)。ソリューション・センターのユーザー数は現在91万1,000件で、100万件へ近づきつつあり、これまでに約2万ページが閲覧されている。ソリューション・センターは、建築業者、契約業者、規則担当官、業界専門家が、ビルディング・アメリカの援助を受けた数百件の建築科学関連研究から得られた教訓を実践する一助となっている。 Department of Energy “Five Years and a Million Stronger” (1/23/18)

米国研究製薬工業協会(PhRMA)、トランプ大統領就任1年目のロビー支出が30%増

医薬品コストの増大に対する不満が高まる中、米国研究製薬工業協会(Pharmaceutical Research and Manufacturers of America: PhRMA)の連邦ロビー支出は、2016年の2,000万ドルから2017年は2,540万ドルと、30%増加した。ロビー支出の急増は、トランプ大統領が「製薬企業は好き勝手なことをしている」と批判した2017年第1四半期に急増した。トランプ大統領は、製薬企業に対して新たな入札手順を作る必要があると主張している。最近開示されたロビー情報によれば、PhRMAは、幅広い問題に焦点を当てており、それには医薬品の輸入、340B(メディケア(Medicare)医薬品割引プログラム)、医薬品価格と価格付け方針問題、税制改革が含まれるという。 The Hill “PhRMA ups lobbying by 30 percent in Trump’s first year of presidency” (1/22/18)

米国医療システム大手が非営利目的の後発医薬品会社を設立へ

医療システム会社のインターマウンテン・ヘルスケア社(Intermountain Healthcare)は、アセンシオン社(Ascension)、SSMヘルス社(SSM Health)、トリニティ・ヘルス社(Trinity Health)との協力を通じ、また退役軍人省(Department of Veterans Affairs)からの支援を受けながら、非営利目的の後発医薬品会社設立に向けて取り組んでいる。これらの5機関は、米国内450以上の病院を代表し、今後はその他の医療システムもこの非営利目的イニシアチブに参加する見込みである。一部の後発医薬品会社は、不当かつ任意の価格引き上げを行い、重要な医薬品の不足状態を人工的に作り出していると批判されている。こうした中、今回の取り組みは、命に係わる重要な後発医薬品がより手頃な価格で入手しやすくなることを目指したものである。新会社は、製薬会社として食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)の承認を受け、医薬品を直接製造または信頼のおける契約製薬機関への下請け契約を通じて、医薬品の安定供給を図る。 Intermountain Healthcare “Leading U.S. Health Systems Announce Plans to Develop a Not-for-profit Generic Drug Company” (1/18/18)

国防イノベーション委員会、四半期会合で勧告を承認

国防総省(Department of Defense: DOD)の諮問委員会である国防イノベーション委員会(Defense Innovation Board)は1月17日、国防総省のイノベーション向上を狙いとした2つの勧告を承認した。一つは国防総省にイノベーション/科学/技術/工学/数学(I-STEM)キャリア分野を作ること、もう一つは省内の上級指導者を対象とした技術・イノベーション研修プログラムを創設することである。国防イノベーション委員会は、学術機関、技術、ビジネスの専門家で構成され、アルファベット社(Alphabet Inc.)のエリック・シュミット会長(Eric Schmidt)が議長を務めている。 Department of Defense “Defense Innovation Board Approves Recommendations at Quarterly Meeting” (1/17/18)

製造大手による3Dプリント・スタートアップ買収が加速

近年は製造企業大手が産業3Dプリント分野を支配しつつある。2015年までは、3Dプリント企業を買収するのは、3Dシステムズ社(3D Systems)やストラタシス社(Stratasys)など上場企業の3Dプリントメーカーや3Dデザイン・ソフトウェア企業であったが、同年以降は従来型の製造大手が3Dプリント市場に参入しており、2016年9月と10月に3Dプリント・メーカー2社を買収したゼネラル・エレクトリック社(GE)がその先導的位置づけにある。この他、シーメンス社(Siemens)も2016年に3Dプリント部品メーカーを買収している。2017年に3Dプリント企業を買収した9件のうち7件は大手企業となっている。一方、従来、3Dプリント企業を買収していた積層造形企業は2014年をピークに買収活動が鈍化し、上述した3Dシステムズ社とストラタシス社は近年は買収を行っていない。その背景には、収入と株価の低下がある。 CB Insights “Traditional Manufacturers Including GE And Siemens Gobble Up 3D Printing Startups” (1/18/18)

NSFの科学工学指標:科学部門において米国がリードするものの、中国が急速に進展

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)が1月18日に発表した「2018年科学工学指標(Science and Engineering Indicators 2018)」(米国科学審議会(National Science Board: NSB)作成)は、米国が科学技術分野で依然として世界のリーダーであるものの、世界の科学技術活動に占める米国の割合は縮小しつつあり、中国を中心に他国が急速に成長していることを示している。米国の研究開発費は4,960億ドルで世界合計の26%を占める一方、中国の研究開発費は4,080億ドルで世界の21%となっている。また、中国の研究開発費は2000年以来、年平均18%と異例の割合で急増しているが、米国の研究開発費の増加はわずか4%である。米国で最も研究開発を実施しているのはビジネス部門で、2015年の4,950億ドルの72%を占めた。研究開発投資の面でも、ビジネス部門が最大(67%)となっている。一方、連邦政府は、基礎研究の最大資金提供者であり、革新的研究とSTEM教育・研修の主たる牽引者となっている。世界的な科学技術の構図はダイナミックかつ急速に変化し、相互依存の様相を示している。各国は、それぞれ得意な科学技術分野を有しており、互いに恩恵をもたらしている。 National Science Foundation “State of US science enterprise report shows US leads in S&E as China rapidly advances” (1/18/18)

2017年、ベンチャーキャピタル支援を受けた米国企業への年間投資額が17%増

プライスウォーターハウスクーパース社(PricewaterhouseCoopers LLP)とCBインサイツ社(CB Insights)が発表したマネーツリー・レポート(MoneyTree Report)によれば、ベンチャー・キャピタル(VC)の支援を受けている米国を拠点とする企業の年間資金調達額(2017年)は、前年比17%増加の719億ドルとなった。2017年に1億ドル以上の大型資金を調達したVC支援企業は109件となり、こうしたメガ取引は2015年の107件を抜いて過去最高となった。その一方、2017年の取引件数は5,052件で2016年の5,268件を下回り、2012年以来の最低となった。世界的には2017年のVC支援企業の資金調達額は前年比50%増の1,644億ドルに達し、取引件数も11%増加した。 PricewaterhouseCoopers “Annual Investment in US VC-Backed Companies Increased 17% in 2017, Reaching $71.9B, According to the PwC/CB Insights MoneyTree Report” (1/10/18)