米国政府、IPCC支援から撤退

サイエンス誌(Science)は2月24日、トランプ政権が国連気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change: IPCC)への技術支援を打ち切り、代表団の中国・杭州での会議参加を認めなかったと報じた。これにより、第7次評価報告書の作成において、航空宇宙局(NASA)のキャサリン・カルビン主任科学者(Katherine Calvin)が共同議長を務める予定であった、気候変動の緩和を焦点とした第3作業部会の運営に支障が出る見通しとなった。米国は長年IPCCを主導し、無給でボランティアの科学者を集め約7年ごとに影響力のある報告書を作成しており、バイデン政権も技術支援ユニット(Technical support unit: TSU)に約150万ドルを拠出することを約束していた。今回の決定について、専門家らは、米国の不参加が報告書作成に大きな損失をもたらすとともに、世界の科学分野におけるリーダーシップの低下につながると懸念を示している。 Science, NASA cuts off international climate science support” (02/24/25) https://www.science.org/content/article/nasa-cuts-international-climate-science-support

DHS、PNT強靭化のための新ガイドラインを発表

国土安全保障省(Department of Homeland Security: DHS)の科学技術総局(Science and Technology Directorate: S&T)は2月25日、「重要インフラを支えるための測位(Positioning, Navigation, and Timing: PNT)システム強化に向けたベストプラクティス」ガイドラインを発表した。大統領令13905に基づいた全地球衛星測位システム(Global Positioning System : GPS)や全地球航法衛星システム(Global Navigation Satellite System: GNSS)などのPNTデータの適正利用を促進するための指針で、固定設備間で正確な時刻を共有する仕組みや移動プラットフォームなどの具体的な運用事例を用いて、リスク評価を支援するものである。通信ネットワーク、金融システム、輸送など多くの重要インフラ運営はPNTデータに大きく依存しており、自然災害や事故、意図的な行為による中断リスクに対応するためにも、ジュリー・ブリューワー当局代行(Julie Brewer)は、正確なPNT情報が国家の安全保障及び経済基盤維持に不可欠と強調している。 DHS “DHS S&T Releases Best Practices for Supporting Critical Infrastructure” (02/25/25) https://www.dhs.gov/science-and-technology/news/2025/02/25/dhs-st-releases-best-practices-supporting-critical-infrastructure

全米知事会、インフラ許認可改革を要請

UTILITYDIVEは2月24日、全米知事会(National Governors Association: NGA)が連邦議会に対してインフラ整備の許認可手続きの改革を強く求めていると報じた。NGAは、共和・民主両党から知事が参加する作業部会を設置し、国家環境政策法(National Environmental Policy Act: NEPA)や司法審査、送電網整備に関する許認可手続きの迅速化を目指す。内務省のダグ・バーグム長官(Doug Burgum)も年次総会で、データセンターの需要増加に対応するため、発電所の拡張や送電線の新設を加速する必要性を訴えた。同長官は、風力・太陽光発電への過度な投資も指摘し、PJM系統(PJM Interconnection)での電力供給の実態は、化石燃料が70%、原子力が22%であると説明した。NGAは、インフラ投資雇用法やCHIPS法(CHIPS and Science Act)に基づく連邦政府の支援確実な実施も求めている。許認可改革は共和・民主両党とも問題を認識し、解決策でも概ね一致しているにもかかわらず、毎年実現寸前で頓挫している経緯がある。 TechTarget “US governors press for infrastructure permitting reform” (02/24/25)

国防総省、技術調達組織の大規模再編

NEXTGOV/FCWは2月21日、国防総省(Department of Defense)が技術革新関連部門を統合し、民間企業からの先端技術調達に特化した新組織の設立を検討していると報じた。国防総省高官の話として、戦略能力室、国防イノベーション室(Defense Innovation Unit: DIU)、最高デジタル・人工知能(AI)室(Chief Digital and Artificial Intelligence Office: CDAO)の一部機能を統合し、国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency: DARPAの民間版となる新組織を創設する方針という。新組織の設立に伴い、各軍種の調達執行部(Program Executive Office: PEO)の機能も再編され、自律システムなど一部の装備品については統合レベルでの一元管理に移行する。また、研究開発費用の大部分を防衛企業側に負担させる方針も示された。計画は初期段階で、国防長官や議会の承認が必要となる。今後180日かけて、省内外での支持獲得に向けたキャンペーンを展開する予定であるという。 NEXTGOV/FCW “Pentagon may break up tech offices in acquisition-policy shift” (02/21/25)

防衛技術の未来、製造基盤の強化が鍵

国防イノベーションユニット(Defense Innovation Unit: DIU)は2月24日、2025年ミュンヘン安全保障会議の一環として開催された「防衛技術製造・イノベーションの未来(Future of Defence Tech Manufacturing & Innovation)」会議で、防衛技術の製造基盤の強化と供給網の回復力向上が不可欠と発表した。会議には軍事、産業、投資、商業技術分野から約200名が参加、製造と生産能力の経済性やスタートアップの役割拡大など様々な対話が行われた。その中で、DIUのグレン・マッカータン大佐(Glenn McCartan)は、製造能力なしでは優れたアイデアも実現できないと指摘し、特に欧州での製造基盤の拡充の必要性を強調した。会議では無人ドローンシステムの標準化されたソフトウェアコンポーネントの共同開発やウクライナ向け自律型攻撃ドローンの新工場建設など、具体的な協力案件も発表された。DIUは2016年以降11のパートナー国の企業と27件の試作契約を締結しておりグローバルな防衛イノベーション基盤の構築を進めている。 NSF “Most U.S.-Trained Science and Engineering Doctorate Recipients on Temporary Visas Remain in the United States” (02/24/25)

留学生、博士号取得後も引き続き在留傾向

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は2月24日、2017年から2019年に米国の高等教育機関で科学技術分野の博士号を取得した外国人留学生の73%が、卒業後約5年経った2023年にも米国に滞在していると発表した。特に、中国とインド出身者の滞在率が高く、それぞれ83%と86%となり、全体平均の73%を上回った。続いて中東が72%、ヨーロッパ(トルコを除く)は68%、アフリカ地域が75%となった。韓国(50%)、トルコ(53%)、台湾(68%)出身者がこれに続き、中国やインドよりも低い結果となった。

2025年、63GW増強 太陽光と蓄電池が主導

エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)は2月24日、2025年に電力網に63ギガワット(GW)の発電能力が増強される見込みと報じた。これは記録的な伸びとなった2024年の48.6 GWから約30%の増加となり、2002年以来の最大規模となる。太陽光と蓄電池が全体の81%を占め、特に太陽光は50%以上を占める見込みであるという。太陽光は2024年に30GWと記録的な増加となったが、2025年はさらに32.5 GWと新たな拡大が見込まれ、テキサス州とカリフォルニア州がその半分を占めるという。蓄電池も18.2 GW増加と記録的な伸びが予想され、二次電池として引き続き供給と需要のバランスを取る役割を果たしていくとみられる。風力は7.7 GWの増加を予想しており、マサチューセッツ州とロードアイランド州で大規模な洋上風力発電所が稼働予定である。天然ガスは4.4 GWの増強が計画されており、ユタ州のインターマウンテン発電所が石炭火力を代替する。 EIA “Solar, battery storage to lead new U.S. generating capacity additions in 2025” (02/24/25)

大統領府 10億ドルを超える投資の許認可プロセスを迅速化

大統領府は2月21日、外国投資を促進しつつ、国家安全保障を守るための国家安全保障大統領覚書(National Security Presidential Memorandum: NSPM)を発表した。トランプ氏は、経済成長や雇用創出向けの外国投資を歓迎する一方、中国などの外国の脅威から国を守る必要性を強調した。また、新たな「ファストトラック(fast-track)」プロセスを導入し、10億ドルを超える特定の同盟国からの投資の受け入れを迅速化する方針を示した。対米外国投資委員会(Foreign Investment in the United States: CFIUS)を通じた中国からの戦略的分野への投資を制限に加え、農地や重要インフラ保護にも言及、米国の取引所に上場する外国企業の監査も行う。中国が米国27州に亘って35万エーカー以上の農地を所有している現状を踏まえ、その所有構造や不正の疑いを精査していくという。トランプ氏は、米国のイノベーションを守るため、外国の敵からの技術流出を防ぐ新たなルールを導入する意向を示している。 THE WHITE HOUSE “Fact Sheet: President Donald J. Trump Encourages Foreign Investment While Protecting National Security” (02/21/25)

アップル、米国に5,000億ドル投資を発表 トランプ氏の関税政策を受け

大統領府は2月24日、アップル社(Apple)が今後4年間で米国に5,000億ドルを投資すると発表した。トランプ氏の関税政策を受けたもので、これは同社の米国への過去最大の投資額となる。同社のティム・クックCEO(Tim Cook)は、人工知能(AI)やチップ製造、先端研究開発、労働者訓練に焦点を当てた投資を行うと述べ、特に米国先端製造基金(Advanced Manufacturing Fund: AMF)を50億ドルから100億ドルに倍増させる。先端製造とスキル開発を促進させ、国内で2万の新規雇用を創出する見込みという。また、テキサス州ヒューストンに25万平方フィート(2万3,225平方メートル)のサーバー製造施設を建設するといい、アリゾナ州のTSMC工場で先端チップ生産を強化する計画も含まれている。さらに、ノースカロライナ、アイオワ、オレゴン、アリゾナ、ネバダ州のデータセンターでも拡大を継続していく予定である。大統領府は、米国の製造業と技術革新が新たな黄金時代を迎えるとしている。 THE WHITE HOUSE “Monday Morning Wins: Historic Investment, Border Security” (02/24/25)

バイオガス投資、2024年に40%増加

UTILITYDIVEは2月18日、2024年のバイオガス化プロジェクトへの投資が前年比で40%増加したと報じた。米国バイオガス評議会(American Biogas Council: ABC)の報告によると、新たに稼働した施設数も17%増加し、現在、約2,500のバイオガス施設が国内に存在するという。特に農業セクターの成長が著しく、農業用消化槽装置は前年比24%増加した。新規プロジェクトの95%が、再生可能天然ガス(Renewable Natural Gas: RNG、バイオメタン)を生産しており、政策の後押しが業界の成長を促進したと伝えている。ABCは、今後1万5,000以上の新しいバイオガス施設が開発可能であると予測とし、ドイツなどの海外の成功例を参考にしていくという。ドイツには全国で約1万の消化槽があり、一部のコミュニティでは石油ベースの燃料の使用をほぼ完全に停止できるという。 TechTarget “Biogas project investment increased 40% in 2024, industry group says” (02/18/25)