原子力発電への税制優遇、先行き不透明

UTILITYDIVEは2月20日、モルガン・ルイス・ボッキアス法律事務所(Morgan, Lewis & Bockius)が、インフレ抑制法(Inflation Reduction Act: IRA)に基づく原子力関連税額控除の適用について、財務省(Department of Treasury)のガイダンスに不明な点があり、行政改革が米国原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission: NRC)の活動に影響を与える可能性があると指摘していると報じた。大統領令によりNRCの独立性が制限される可能性があるとし、規制プロセスに影響を与えることが懸念されている。2025年以降に再稼働する原子炉は、一定の条件を満たせば税額控除の対象となる可能性はあるが、既存の原子力発電所は一部の例外を除き、これらの優遇措置を受けることは難しいとしている。また、水素製造税額控除の対象となる条件や、燃料や特定の部品が対象となるかなども明確化されておらず、税額空所の適用範囲や新たな規制の影響について、業界は明確な指針を待っているという。 TechTarget “Uncertainty surrounds nuclear tax credit guidance, NRC changes: Morgan Lewis” (02/25/25)

NIHの間接経費削減案、裁判所が一時差し止め継続

サイエンス誌(Science)は2月21日、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)による研究機関への間接経費の大幅削減案について、連邦地裁が一時差し止めを当面継続すると報じた。2月7日に発表されたNIHの研究助成金に付随する間接経費を現行の55%以上から15%に引き下げる方針に対し、州政府や研究機関が「恣意的な規制変更」として提訴していた。研究機関側は、この削減により研究室の閉鎖や研究者の解雇を余儀なくされると主張する一方、NIH側は間接経費削減分を直接研究費に回すとしている。エンジェル・ケリー判事(Angel Kelley)は「検討すべき課題が多い」としながらも、できるだけ迅速に判断を下す意向を示した。最終判断が下されるまでの間、差し止め命令は継続される。 Science “Judge says ban on NIH cut to overhead payments stands—for the moment” (02/21/25)

FERC、データセンター併設に関する規制見直しを開始

UTILITYDIVEは2月21日、連邦エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission:FERC)がPJM相互接続(PJM Interconnection: 中部大西洋岸地域を中心とする広域送電機関)地域における発電所へのデータセンター併設に関する規制の見直しを開始したと報じた。AI需要の拡大に伴うデータセンターの急増を背景に、発電所への併設は迅速かつ低コストな選択肢として注目されている。しかし、新規制の承認は2026年までずれ込む見通しで、ビストラ社(Vistra)やタレン・エナジー社(Talen Energy)など独立系発電事業者にとって経営環境の不確実性が高まっている。FERCは30日以内にPJMと送電事業者に対し、現行規制の妥当性や必要な変更点についての意見を回答するよう求めている。また、6月4日から2日間の日程で、電力供給の信頼性に関する技術会議を開催する予定である。 UTILITYDIVE “FERC launches colocation review, plus 6 other open meeting takeaways” (02/21/25)

RMI、AIデータセンター向け「パワーカップル」戦略を提言

ロッキー・マウンテン研究所(Rocky Mountain Institute: RMI)は2月20日、AI競争力強化に向け、既存の送電網接続地点に大規模データセンターと再生可能エネルギー設備を併設する「パワーカップル戦略(Power Couples)」が有効と発表した。消費者への追加コスト転嫁なく、AIインフラに必要な電力を迅速に確保できるとし、50ギガワット(GW)以上の新規AI関連の電力需要に対応可能という。30GW以上は1メガワット(MW)時あたり100ドル未満で供給可能で、従来の卸電力価格と比べると依然として割高であるが、電力確保を急ぐハイテク企業にとっては許容範囲であるという。特にPJM相互接続(PJM Interconnection: 中部大西洋岸地域を中心とする広域送電機関)やエルコット(ERCOT、テキサス州)、南東部での導入ポテンシャルが高く、既存のガス発電所近くの新施設で平均88%カーボンフリーの電力供給が可能と報告している。既存の送電網を活用したクリーンエネルギーへ移行を促進する効果が期待される。 RMI “How “Power Couples” Can Help the United States Win the Global AI Race” (02/20/25)

米国科学財団、地域イノベーション・エンジン・プログラムの提案締切を延期

州科学技術研究所(State Science & Technology Institute: SSTI)は2月13日、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)が2月11日に予定されていた地域イノベーション・エンジン・プログラム(NSF Regional Innovation Engines program)の提案締切を延期したと発表した。同プログラムは地域クラスター推進を目的としたものであるが、新たな締切日などの具体的な内容については、現時点で明らかにされていない。NSFの説明によると、同プログラムの募集要項(NSF-24-565)の改訂を予定しているとし、改訂の場合は方針に従い、改訂版の公表から通常約1か月後に締切が設定される。詳細情報が確定次第、関係者に通知するとしている。 SSTI “NSF delays Engines deadline to unspecified date” (02/13/25)

米印首脳会談、技術革新で新たな協力体制を発表

大統領府は2月13日、ドナルド・トランプ大統領とインドのナレンドラ・モディ首相(Shri Narendra Modi)が、技術革新を中心とした新たな協力体制を発表したと発表した。インド太平洋地域を取り巻く安全保障環境の変化や世界で高まる経済的不確実性や貿易摩擦を背景に、両国は包括的な戦略的パートナーシップを強化することを再確認した。技術とイノベーションの分野では「米印戦略技術活用による関係転換(U.S.-India TRUST)」イニシアチブを立ち上げ、AI、半導体、量子技術などの分野での協力を推進することを決定しており、AIインフラの加速に向けたロードマップを年内に策定し、次世代データセンターやAIモデルの開発を促進する。さらに、宇宙分野での協力も強化し、米航空宇宙局(NASA)とインド宇宙研究機関(Indian Space Research Organisation: ISRO)の共同プロジェクト、アクシオム(Agile, eXtensible, fast I/O Module: AXIOM)を通じて、インド人宇宙飛行士を国際宇宙ステーションに送る計画を進める。 THE WHITE HOUSE “United States-India Joint Leaders’ Statement” (02/13/25)

トランプ政権、NISTのAI・半導体部門で大規模人員削減へ

ブルームバーグは2月19日、トランプ政権が商務省(Department of Commerce)傘下の米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology: NIST)で約500人の試用期間職員の解雇を計画していると報じた。バイデン政権下で進められてきた半導体製造支援プログラムやAI開発基準の評価や策定を担当する部門が主な対象となる。具体的には、390億ドルの製造インセンティブ事業を実施する部門の約5割、研究開発プログラムを担当する部門の3分の2の人員が影響を受ける見通しである。トランプ政権は就任初日に、バイデン政権のリスクを重視したAI関連政策を撤回する方針を表明しており、今回の人員削減も政権のAIに対する方針転換の一環とみられる。一方で、この大規模な人員削減に対し、政府機関における人材流出や研究の停滞を懸念する声が上がっており、複数の訴訟も提起されているという。 Bloomberg “Trump Team Plans Mass Firings at Key Agency for AI and Chips” (02/19/25)

風力発電、トランプ関税で成長鈍化の恐れ

UTILITYDIVEは2月20日、トランプ政権による新たな関税措置により、陸上風力発電のタービンのコストが7%上昇し、プロジェクト全体のコストが5%上昇する可能性があると報じた。これにより、2028年までに毎年設置される新規風力発電容量が3~9%削減される可能性があり、このまま関税が継続した場合は、2028年以降の設備導入が最大30%減速する可能性があるという。ウッドマッケンジー社(Wood Mackenzie)の分析によると、メキシコとカナダからの輸入に25%、中国からの輸入に追加10%の関税が課されることで、風力発電の均等化発電原価(Levelized Cost of Electricity: LCOE)が今後数年で4%上昇する見通しであるという。風力発電産業は部品の41%をこれらの3カ国からの輸入に依存しているのが現状で、同社は、2025-26年の計画済みプロジェクトへの影響は限定的であるが、政策の不確実性により国内製造への投資は見込めず、長期的な成長の妨げになると指摘している。 TechTarget “Trump’s tariffs could raise onshore wind turbine costs by 7%, slow development: WoodMac” (02/20/25)

エネルギー省 新たな幹部人事発表

米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)は2月19日、トランプ大統領が国家核安全保障局(National Nuclear Security Administration: NNSA)の主要ポストを含むエネルギー省の幹部人事を発表したと報じた。NNSAの副長官にはスコット・パッパーノ海軍少将(Scott Pappano)、核不拡散プログラムの責任者にはマシュー・ナポリ氏(Matthew Napoli)が指名された。NNSAは核兵器の維持・近代化や核テロ対策、核不拡散分野を担う重要機関で、海軍の戦略潜水艦プログラムを監督するパッパーノ氏や、海軍の核推進プログラムでの経験を持つナポリ氏など、原子力関連や海軍の背景を持つ人材を重視したことが伺える。国際問題担当には投資会社の執行役員のデイビッド・アイスナー氏(David Eisner)、エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)の責任者にはトランプ前政権で、国家安全保障会議のエネルギー問題担当官を務めていたトリスタン・アビー氏(Tristan Abbey)が選ばれた。 AIP “Trump Picks More Leaders for the Energy Department” (02/19/25)

持続可能発電量、需要増に対応可能 ブルームバーグNEFとBCSE報告

持続可能な開発のための経済人会議(Business Council for Sustainable Energy: BCSE)は2月20日、2024年の発電量が過去20年で最大となったと発表した。ブルームバーグNEF社(BloombergNEF: BNEF)とBCSEの「第13版米国持続可能なエネルギーに関するファクトブック2025(Thirteenth annual edition of the Sustainable Energy in America Factbook)」によると、再生可能エネルギーと天然ガスが成長を牽引し、これらを軸とした米国のエネルギー技術で今後の需要拡大に十分対応できると伝えている。天然ガスは42.9%と引き続き最大の発電源で、風力や太陽光などの再生可能エネルギーは全体の24%を占めた。一方で、石炭は14.7%に落ち込んだ。企業の大型電力購入契約(power purchase agreement: PPA)は28ギガワット(GW)と過去最高を記録、特にAI開発を進めるハイテク企業の需要が顕著だったという。エネルギー貯蔵設備は11.9GW増加し、電気自動車(EV)は新車販売の1割を占めるまで市場が拡大した。 The Business Council for Sustainable Energy “New Study Shows American Sustainable Energy Technologies Are Ready to Meet Increasing Energy Demand” (02/20/25)