トランプ政権、NIHの科学的インテグリティ方針を撤回

サイエンス誌(Science)は4月3日、トランプ政権が、国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の科学的インテグリティ方針(scientific integrity policy)を撤回し、政治的圧力から研究者を守るための多様性、公平性、包括性、アクセシビリティ(diversity, equity, inclusion, and accessibility:DEIA)を強調した内容を無効化したと報じた。この方針は2023年、トランプ第1次政権の方針を撤回するバイデン氏の意向で制定されたもので、トランプ現政権は政策の優先事項に合わせるために今回撤回を決めたという。一部の研究者は、撤回されたNIHの方針は、政治的任命者からの報復を恐れずに、機関の職員が異議を唱えるためのメカニズムを提供することを目的にしていたとし、科学的インテグリティに関する潜在的な問題を認識することが困難になると指摘している。既に、麻疹に関する報告の隠蔽やワクチンと自閉症の関連研究が指示された事例をあげ、公衆衛生や科学的プロセスに対する保護を弱体化すると批判している。 Science “Trump administration quashes NIH scientific integrity policy” (04/03/25) https://www.science.org/content/article/trump-administration-quashes-nih-scientific-integrity-policy

気候工学実験、地域社会との対話不足で中止の危機

サイエンス誌(Science)は4月3日、気候工学(ジオエンジニアリング:Geoengineering)の実験が地域社会とのコミュニケーション不足で中止されるリスクがあると報じた。カリフォルニア州アラメダ市で行われた雲を明るくする実験が、住民への事前通知がなかったために禁止された事例を挙げ、同技術は気候変動対策として期待されるが、地域社会の信頼を得ることが重要であると伝えている。気候変動対策として大気や海洋を改変する気候工学方法は、大気から二酸化炭素を除去して温暖化を制限し、サンゴ礁などの生態系を保護することを目的としたものであるが、その多くが開発の初期段階にある。これらの技術推進は、近隣コミュニティの善意にかかっており、これまでもコミュニケーション不足から複数のプロジェクトが停止されてきた。多くの社会科学者は十分な信頼関係を築き、実験を進めているとしながらも、プロジェクトを事前に周知するなどの透明性確保と市民参加が求められていると伝えている。 Science “Failure to communicate” (04/03/25) https://www.science.org/content/article/geoengineering-fight-climate-change-if-public-can-convinced

国防衛産業基盤の再活性化が急務 CNAS提言

新米国安全保障センター(Center for a New American Security: CNAS)は4月3日、防衛産業基盤(Defense Industrial Base: DIB)の再活性化が将来の大国間紛争に備えるために必要であると発表した。報告書「生産ラインから再前線へ:将来の大国間紛争に備えた米国防衛産業基盤の再活性化(From Production Lines to Front Lines: Revitalizing the U.S. Defense Industrial Base for Future Great Power Conflict)」は、現状のDIBが現代戦の要求を満たすには不十分であると警告しており、危機時に生産を急増させ、変化する軍事要件に適応し、サプライチェーンのショックに耐えられるような、よりダイナミックな防衛産業基盤能力が米国に必要であると強調している。戦略的利益を確保するためには生産能力、柔軟性、応答性、回復力を強化する必要があるとも指摘し、具体的には、優先システム開発への投資や安定した需要の創出、柔軟な契約・資金調達メカニズムの活用、重要資材の備蓄、さらに同盟国との協力などの政策提言を行っている。 CNAS “New CNAS Report Calls for Revitalizing the U.S. Defense Industrial Base for Future Great Power Conflict” (04/03/25) https://www.cnas.org/press/press-release/new-cnas-report-calls-for-revitalizing-the-u-s-defense-industrial-base-for-future-great-power-conflict

STEMM分野の労働者、GDPの39% 米国経済を牽引

米国科学振興協会(American Association for the Advancement of Science: AAAS)は4月3日、科学、技術、工学、数学、医療(Science, Technology, Engineering, Mathematics and Medical-related: STEMM)分野の労働者がGDPの39.2%を占めたと発表した。「職場での科学:米国繁栄を支える人々と産業(Science at Work: The People and Industries Powering America’s Prosperity)」によると、STEMM関連職に従事する国民が7,360万人を超え、2年間で9.7%増加した。同分野の需要は高く、今後10年間で10.5%の成長が見込まれおり、特にデータ・サイエンティストや情報セキュリティ・アナリスト、医療および健康サービス・マネージャーなどが急速に伸びているという。一方で、その53%は学士号を持たず、高校卒業資格のみの労働者が18.8%を占めた。ただ、同分野の労働者の年収中央値は年間9万4,003ドルで、非STEMM職の5万2,354ドルを大きく上回り、売上高は20兆ドル以上、6.9兆ドルの労働所得を創出しているという。 AAAS “One Third of Americans Work in STEMM Jobs Accounting for 39% of GDP, According to Economic Impact Study” (04/03/25) https://www.aaas.org/news/one-third-americans-work-stemm-jobs-accounting-39-gdp-according-economic-impact-study

DARPA、実用規模の量子コンピュータ開発企業を選定

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency: DARPA)は4月3日、産業的に有用な量子コンピュータを開発する約20社を「量子ベンチマーク・イニシアチブ(Quantum Benchmarking Initiative: QBI)」の初期段階(ステージA: Stage A)に選定したと発表した。QBIは2033年までに計算価値がコストを上回る実用規模の量子コンピュータが実現可能かを検証するプログラムで、超伝導量子ビット(Superconducting qubits)やイオン・トラップ型量子ビット(Trapped ion qubits)などの技術を持つ企業が採択された。Stage Aは6ヶ月間で、企業は技術の詳細を提供し、10年以内に変革的な量子コンピュータを実現できるかを示す必要がある。ステージB(1年)では研究開発アプローチが厳密に審査され、ステージCではQBIの独立検証および妥当性確認チーム(Independent verification and validation: IV&V)によりコンピューターのハードウェアが審査されるという。 DARPA “DARPA eyes companies targeting industrially useful quantum computers” (04/03/25) https://www.darpa.mil/news/2025/companies-targeting-quantum-computers

エネルギー省、送電回廊の公的意見募集期間を延長

エネルギー省(Department of Energy)は4月3日、3つの国家重要送電回廊(National Interest Electric Transmission Corridors:NIETCs)の指定に関するプロセスにおいて、第3フェーズにおける公的意見募集期間を4月15日まで延長すると発表した。対象となる送電回廊は、エリー湖とペンシルバニア州の一部を含む、エリー湖・カナダ回廊(Lake Erie-Canada Corridor)やコロラド州、ニューメキシコ州、オクラホマ州西部の一部を含む、南西部グリッド接続回廊(Southwestern Grid Connector Corridor)、そしてノースダコタ州、サウスダコタ州、ネブラスカ州、および 5 つの部族居留地の中央部を含む、部族エネルギーアクセス回廊(Tribal Energy Access Corridor)で、今回の延長は、提案された公的意見募集の枠組みに基づき、最終決定への準備に向けた指定候補地の環境・文化・社会経済的影響の情報や分析、意見募集の機会を拡充するためのもので、同省は公聴会資料も公開するという。 Department of Energy “April 2025 Grid Deployment Office Newsletter” (04/03/25) https://www.energy.gov/gdo/articles/april-2025-grid-deployment-office-newsletter

エネルギー省、AIインフラ開発のための16の候補地を発表

エネルギー省(Department of Energy)は4月3日、同省が管轄する土地にデータセンターと新エネルギーのインフラ設備を共同設置する計画を発表した。人工知能 (AI)の利用拡大で増大するデータセンター需要に対応するため、既存のエネルギーインフラ設備を活用し、新たなエネルギーを生成するための許可を迅速化することが目的で、データセンター開発者やエネルギー開発者、また一般からの意見を求めていくという(Request for Information: RFI)。既にアイダホ国立研究所(Idaho National Laboratory)やパデューカガス拡散工場(Paducah Gaseous Diffusion Plant: PGDP)など16の候補地が選定され、2027年の運用開始に向けたデータセンター建設が進んでいるといい、クリス・ライトエネルギー長官(Chris Wright)は「AI覇権をめぐる世界的な競争は、次のマンハッタン計画である」とAI開発を位置付け、AI分野で世界をリードしエネルギーコストを削減するというトランプ大統領の政策戦略に従う姿勢を強調している。 Department of Energy “DOE Identifies 16 Federal Sites Across the Country for Data Center and AI Infrastructure Development” (04/03/25) https://www.energy.gov/articles/doe-identifies-16-federal-sites-across-country-data-center-and-ai-infrastructure

ウィルソン・センター、DOGEの標的に

ニューヨーク・タイムズ紙(The New York Times)は4月2日、ワシントンDCに拠点を置く外交政策シンクタンクであるウィルソン・センター(Wilson Center)のマーク・グリーン会長(Mark Green)が辞任したと報じた。トランプ政権が3月に署名した超党派政策グループ組織の縮小を指示する大統領令に基づき、イーロン・マスク氏(Elon Musk)の政府効率化省(Department of Government Efficiency:DOGE)が同センターを訪問した後に、グリーン氏を含む同センターの幹部職員の辞職が明らかになったという。同センター職員の3分の1にあたる連邦職人十数人も休職扱いとなる予定で、センター閉鎖に向けた動きが進んでいる。これまで連邦政府の資金提供を受け、独立シンクタンクとして外交政策に関し調査・提言・人材交流を行ってきた同センターは、1919年にノーベル賞を受賞した第28代大統領ウッドロー・ウィルソン氏を記念して1968年に設立された。 The New York Times “Musk’s Task Force Begins Shutting Down Foreign Policy Research Center” (04/02/25) https://www.nytimes.com/2025/04/02/us/politics/doge-wilson-center.html

トランプ大統領、相互関税発表 貿易赤字是正へ

大統領府は4月2日、国家緊急事態を宣言し、米国の競争力を高め、主権を守り、国家および経済の安全を強化するために、1977年の国際緊急経済権限法(International Emergency Economic Powers Act of 1977: IEEPA)に基づき、貿易赤字を是正するため全ての国に最低10%の関税を課すと発表した。関税は4月5日から段階的に施行され、貿易不均衡が解消されるまで継続される。特に貿易赤字が大きい国には、個別により高い関税が適用される。また貿易相手国が報復措置を取った場合には関税を引き上げるとし、ドナルド・トランプ大統領(Donald J. Trump)は、貿易の黄金律(golden rule on trade)である「相互扱い(Treat us like we treat you)」に従うよう求め、勤勉な米国民を強く擁護した近代史上初の大統領であると声明で言及し、国内の製造業を再活性化し、経済成長を促進することを目指している。 The White House ” Fact Sheet: President Donald J. Trump Declares National Emergency to Increase our Competitive Edge, Protect our Sovereignty, and Strengthen our National and Economic Security” (04/02/25) https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2025/04/fact-sheet-president-donald-j-trump-declares-national-emergency-to-increase-our-competitive-edge-protect-our-sovereignty-and-strengthen-our-national-and-economic-security/

陸軍、12月に極超音速ミサイルの次回試験を予定

ディフェンスニュース(DefenseNews)は4月3日、陸軍が12月に長距離極超音速兵器(Long-Range Hypersonic Weapon: LRHW)の試験を予定していると報じた。陸軍と海軍が共同開発した極超音速滑空体能力(hypersonic glide body capability)の試験が遅れたため、陸軍は2025年度末までに地上発射型ミサイルを初の部隊に配備する計画であるという。ワシントン州にあるルイス・マコード統合基地(Joint Base Lewis-McChord, JBLM)に配備される最初の部隊は、5月にミサイルの受領を開始する予定で、同部隊はこれまでLRHWに必要なすべての装備を受け取っていたが、実際のミサイル受領が試験の遅れにより延期されていた。ロッキード・マーティン社(Lockheed Martin)が兵器の統合を担当し、ライドス社(Leidos)傘下のダイネティクス社(Dynetics)が共通極超音速滑空体(Common Hypersonic Glide Body)を製造する。陸軍は2024年5月に、ハワイで極超音速ミサイルの徹底的な飛行試験を実施、成功させたという。 DefenseNews “US Army aiming for next hypersonic missile test in December” (04/03/25) https://www.defensenews.com/land/2025/04/02/us-army-aiming-for-next-hypersonic-missile-test-in-december/