米中貿易戦争でテクノロジー企業に重し 消費者に影響も

アース・テクニカ(Ars Technica)は4月8日、政府の対中追加関税発表により、米国のハイテク業界が深刻な打撃を受ける可能性が高まっていると報じた。トランプ氏は中国に対し、1日以内に報復関税を撤回しない場合、現行の54%から更に50%の追加関税を課すと警告し、これに対し中国は、圧力に屈せず、長期戦でも耐えられると主張した。米国が広範囲に関税を課すことで他国の中国への投資傾倒に賭ける姿勢をとる中国に対し、トランプ氏は関税を一時停止する予定はなく、米国内での製造を促す姿勢を崩していない。全米民生技術協会(Consumer Technology Association:CTA)はこの事態を受け、ノートパソコンの価格が2倍近く、ゲーム機が40%、スマートフォンが26%上昇する可能性を警告した。専門家らは強硬な通商政策により米国への投資が減少し、国民が貧しくなると指摘し、アップル社(Apple)などのテクノロジー企業は供給網の混乱やコスト上昇、消費者離れなど、長期的な影響を懸念しているという。 Ars Technica “Trump gives China one day to end retaliations or face extra 50% tariffs” (04/08/25) https://arstechnica.com/tech-policy/2025/04/trump-gives-china-one-day-to-end-retaliations-or-face-extra-50-tariffs/

CFR「気候リアリズム・イニシアチブ」発足 気候政策転換を提言

外交問題評議会(Council on Foreign Relations: CFR)は4月7日、気候変動とエネルギー政策において米国が現実的かつ地政学的視点を重視する新たな取り組みを開始すると発表した。クライメイトワークス財団(ClimateWorks Foundation)の支援により実施された「気候リアリズム・イニシアチブ(Climate Realism Initiative)」発足イベントには、アーネスト・モニツ(Ernest J. Moniz)元エネルギー長官(Secretary of Energy)などの専門家や政策立案者、業界リーダーが登壇し、気候変動に伴う安全保障上の脅威やクリーン技術産業の競争力強化の重要性を議論した。気候工学(Geoengineering)の可能性にも触れられ、米国が世界に先駆けて技術開発・規制整備を進めるべきとの声が上がり、新イニシアチブを率いるバルン・シバラム氏(Varun Sivaram)は、気候の現状を厳しく見据えつつ、外交や戦略的貿易の側面から新政策を模索する必要性を強調したという。 CFR “Climate Realism Initiative Launch” (04/07/25) https://www.cfr.org/event/climate-realism-initiative-launch

政府、大学への研究助成金停止を拡大

サイエンス誌(Science)は、政府が反ユダヤ主義を理由に、大学への連邦研究助成金の停止措置を拡大していると報じた。プリンストン大学(Princeton University)の学長は国防総省(Department of Defense)、航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration:NASA)、エネルギー省(Department of Energy)からの「数十件」の研究助成金が停止されたと学内メールで通知した。この他にハーバード大学(Harvard University)とブラウン大学(Brown University)への研究助成金停止が示唆されており、特にブラウン大学では国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)からの助成金停止が噂されているが、大学側は確認していないという。ハーバード大学医学部(Harvard Medical School)の前学部長で生物医学研究者のジェフ・フライヤー氏(Jeff Flier)はニューヨーク・タイムズ紙(New York Times)で自身もハーバード大学の方針には批判的でありながらも、今回の措置は大学にとって「存続の危機」だと指摘している。 Science “Trump’s war on universities finds new fronts” (04/04/25) https://www.science.org/content/article/indirect-cost-surprise-nih-lawsuits-kennedys-mistakes-trump-tracker

政府、NIHの間接経費の上限規制で方針転換か

サイエンス誌(Science)は4月4日、トランプ政権が国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の間接経費を15%に制限する措置について、恒久的な差止を求めたと報じた。2月7日にNIHが通知した間接経費削減策に反対する、22の州と大学協会、研究支援団体が連邦地裁に提訴し、エンジェル・ケリー連邦地裁判事(Angel Kelley)が3月5日に仮差止命令を出していた。この仮差止の恒久化を政府が要請し、原告側も合意していることで、本案の裁判所での審理は行われないことになる。現在、間接経費は直接研究費の50~60%で計算されており、政府は4月14日までに控訴する選択肢を残しているほか、議会を通じて、予算面から間接経費の制限を図る可能性もあるとみられている。 Science “Surprise! White House asks for ‘permanent’ block on NIH’s sudden indirect cost cap” (04/04/25) https://www.science.org/content/article/indirect-cost-surprise-nih-lawsuits-kennedys-mistakes-trump-tracker

政府、AI利用に関する新指針を発表

大統領府は4月7日、連邦政府機関における人工知能(AI)の利用と調達に関する新指針を発表した。この指針は、行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)と連携して策定したもので、連邦政府機関のAI活用を促進することを目的としている。新指針では、官僚的な制約を排除し、政府機関の効率性とコスト効果を高めることに重点が置かれた。また、米国におけるAI市場の競争力を支援しながら、国民のプライバシー、公民権、市民的自由の保護も確保するという。時代遅れの調達プロセスが原因で、AI導入と政府技術の近代化におけるギャップが拡大していたとの指摘がある中、科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy:OSTP)主席副局長のリン・パーカー氏(Lynne Parker)は「この指針により、政府機関のAI採用と調達プロセスが明確になり、米国のAIイノベーションと世界的リーダーシップが促進される」と強調している。 The White House “White House Releases New Policies on Federal Agency AI Use and Procurement” (04/07/25) https://www.whitehouse.gov/articles/2025/04/white-house-releases-new-policies-on-federal-agency-ai-use-and-procurement/

トランプ大統領、NSAトップを解任

NEXTGOV/FCWは4月4日、トランプ大統領が国家安全保障局(National Security Agency:NSA)およびサイバー軍(Cyber Command)のティモシー・ホー局長(Timothy Haugh)を突如解任したと報じた。就任から1年での解任で、複数の副官も解任や異動となった。背景には、極右活動家のローラ・ルーマー氏(Laura Loomer)によるトランプ大統領への進言があったと伝えており、同氏は大統領との面会で、忠誠心の観点から、国家安全保障会議(National Security Council:NSC)のスタッフの解任を要請していたという。上院情報委員会(Senate Intelligence Committee)副委員長のマーク・ワーナー議員(Mark Warner、バージニア州選出民主党)は、中国による大規模サイバー攻撃「ソルト・タイフーン(Salt Typhoon)」への対応が求められる中での解任を強く非難している。NSAの報道官は詳細について言及を避けたが、この人事により従来一体運営されてきたNSAとサイバー軍の分離が進む可能性も指摘されている。 NEXTGOV/FCW “Trump fires head of NSA and Cyber Command” (04/04/25) https://www.nextgov.com/people/2025/04/trump-fires-head-nsa-and-cyber-command/404294/?oref=ng-homepage-river

NIH 26億ドルの削減計画案提出期限迫る  

サイエンス誌(Science)は4月3日、国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)が26億ドルの契約削減を強いられていると報じた。イーロン・マスク氏(Elon Musk)率いる政府効率化局(Department of Government Efficiency:DOGE)が、厚生省(Department of Health and Human Services)傘下の各部門に対し、契約額の35%削減を要請したことによるものと伝えている。NIHの年間予算474億ドルの大部分を占める契約は、研究所の基礎研究、臨床試験、ワクチン研究センターなど、幅広い活動を支えており、今回の削減で、契約研究員の解雇、進行中の臨床試験の中止、新規試験の取り止めなど、深刻な影響が予想されるという。特に会計年度が半ばを過ぎている中での削減要請であり、残り期間での予算削減幅は一層大きくなるという現場の指摘もあるという。NIHは4月18日までに契約削減案を厚生省に提出する必要があり、幹部からは「恣意的な削減も余儀なくされる」との懸念の声が上がっている。 Science “NIH under orders to cancel $2.6 billion in contracts” (04/03/25) https://www.science.org/content/article/nih-under-orders-cancel-2-6-billion-contracts

中国の国家支援型EC企業に関する報告書を発表 ITIF

科学技術政策のシンクタンクで非営利団体の情報技術・イノベーション財団(Information Technology & Innovation Foundation:ITIF)は4月2日、中国政府による電子商取引(EC)企業への戦略的支援が米国の消費者保護と技術覇権を脅かしているとする報告書を発表した。報告書は、中国政府からの補助金や規制支援、物流インフラ整備などの支援を受け、米国市場で急速に成長するテム社(Temu)、シーイン社(SHEIN)、アリエクスプレス社(AliExpress)などの中国EC企業による米国の関税規制の抜け穴を利用した製品安全性や知的財産権侵害、強制労働などの問題や消費者データの収集・利用に関する懸念について指摘した。ITIFは対策として、関税規制の見直しや供給網の監査強化、データ保護法制の整備などの提言に加え、米国EC産業の競争力強化に向けた支援策も求めている。中国政府は、国際競争の主導権を握る公式目標を掲げ、EC取引が国の重要な原動力になると明確に言及し、世界での影響力や競争力を高めることを目指している。 ITIF “How China’s State-Backed E-Commerce Platforms Threaten American Consumers and U.S. Technology Leadership” (04/02/25) https://itif.org/publications/2025/04/02/chinas-state-backed-e-commerce-platforms-threaten-american-consumers-us-technology-leadership/

国防総省、先端製造業の国内供給網強化へ新構想

国防イノベーションユニット(Defense Innovation Unit: DIU)は4月3日、国防総省(Department of Defense)の製造業基盤強化を目指すブルー・マニュファクチャリング・イニシアチブ(Blue Manufacturing Initiative)を立ち上げたと発表した。同イニシアチブは、3D(3次元)プリンティングや自動化などの先端製造技術を持つ信頼できる国内企業を審査・認定し、防衛関連技術企業との連携促進を目的としており、DIUディレクターのダグ・ベック氏(Doug Beck)は「国家安全保障に貢献したい国内の優れた製造企業と、規模拡大を目指す防衛技術企業の橋渡しを行う」と述べた。第一段階として、金属・複合材料の3Dプリント、自動金属加工など6分野で信頼できる製造パートナーを選定する「ブルー・マニファクチャリング・マーケットプレイス(Blue Manufacturing Marketplace)」を創設し、サイバーセキュリティやサプライチェーン上のリスクなどを専門家チームが厳密に審査し、防衛技術の製造基盤を確立する方針という。 DIU “Defense Innovation Unit Launches Blue Manufacturing Initiative to Strengthen U.S. Supply Chain for Speed and Scale” (04/03/25) https://www.diu.mil/latest/defense-innovation-unit-launches-blue-manufacturing-initiative-to-strengthen

大統領府、包括的な「米国第一」通商政策を発表

大統領府(The White House)は4月3日、貿易赤字の削減と国内産業保護を柱とする包括的な「米国第一通商政策(America First Trade Policy:AFTP)」報告書を発表した。これは、1.2兆ドルに達した2024年の貿易赤字へ対応策として、貿易相手国への関税引き上げや800ドル以下の少額輸入免税制度の廃止などの提言を含めた24章で構成される報告書である。過去の不公正な貿易慣行の抑止に向け、歳入を最大限に確保するための対外歳入庁(External Revenue Service: ERS)設立や為替操作の監視・対応など、既存の貿易協定の見直しを図る。特に中国に対しては、第1期トランプ政権で合意した「第1段階合意」の不履行を指摘し、知的財産権保護や農産物・金融サービス分野での是正を求める。また、カナダ・メキシコとの「米国・メキシコ・カナダ協定(United States-Mexico-Canada Agreement:USMCA)」の再交渉や、鉄鋼・アルミニウム製品への関税措置の強化などに加え、海外投資を制限するなど見直しも図るという。 The White House “Report to the President on the America First Trade Policy: Executive Summary” (04/03/25) https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2025/04/report-to-the-president-on-the-america-first-trade-policy-executive-summary/