ジェイ・バタチャリャ氏、第18代NIH所長に就任

4月1日、医師のジェイ・バタチャリャ氏(Jayanta “Jay” Bhattacharya)が、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の第18代所長に就任した。NIH所長として、米国の医療研究機関を監督し、NIHの活動や全体を形成し、トランプ大統領の「米国を再び健康にする委員会(Make America Healthy Again Commission)」との整合性を確実にする上で重要な役割を果たす。厚生省(Department of Health and Human Services: HHS)のロバート・F・ケネディ・ジュニア長官(Robert F. Kennedy, Jr.)は、「バタチャリャ所長と共に、NIHの研究が米政権の優先事項と整合していることを確実にし、特に慢性疾患のエピデミック対策に取り組み、米国を再び健康にする一助とすることを楽しみにしている」と述べた。バタチャリャ氏はスタンフォード大学(Stanford University)メディカルスクールでテニュアの教授職を務めていた研究者である。 National Institutes of Health “Jay Bhattacharya Begins Tenure as 18th Director of the National Institutes of Health” (04/01/25) https://www.nih.gov/news-events/news-releases/jay-bhattacharya-begins-tenure-18th-director-national-institutes-health

トランプ大統領、米国投資アクセラレータを新設

トランプ大統領は3月31日、米国投資アクセラレータ(United States Investment Accelerator)を新設する大統領令(Executive Order)に署名した。これにより、商務省(Department of Commerce)内に、米国内で10億ドルを超える投資を奨励及び加速させることを目的とした「米国投資アクセラレータ」と呼ばれる部署が設立される。投資アクセラレータは、①規制の負担を軽減する、②許認可を迅速に行う、③複数の連邦省庁機関で投資家の問題への対応を調整する、④国の資源へのアクセスを強化する、⑤国立研究所との協力を促進する、⑥事例ごとに適用される法律に則って50州及びその経済開発組織と協力する、ことで企業による大型投資を奨励する。また、投資アクセラレータは、CHIPSプログラム局(CHIPS Program Office)の運営管理を責務とする。 White House “Fact Sheet: President Donald J. Trump Establishes the United States Investment Accelerator” (03/31/25) https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2025/03/fact-sheet-president-donald-j-trump-establishes-the-united-states-investment-accelerator/

ハーバード大学への助成金支給を再検討 コロンビア大に続き

ワシントン・ポスト紙(Washington Post)は4月1日、政府が、ハーバード大学(Harvard University)への2億5,500万ドルの助成金と87億ドルの数年に亘る助成金支給を再検討していると報じた。この決定は、コロンビア大学(Columbia University)への連邦資金4億ドル削減に続くもので、イスラエル・ガザ戦争をめぐる親パレスチナ派学生の激しい学生抗議への大学側の対応が焦点となっており、リンダ・マクマホン教育長官(Linda McMahon)は、ハーバード大がユダヤ人学生を保護していないと批判し、声明で「世界中の学生が入学を羨望するハーバード大学は、何世代にも亘りアメリカンドリームの象徴だったが、自由な探究をめぐる分裂的なイデオロギーを推進し、その名声は危機に瀕している」と糾弾した。ハーバード大学は反ユダヤ主義とイスラム嫌悪に対処するための取り組みを発表したが、最終提言の期限を守れていないとして、学生や教職員から批判が相次いでいるという。 Trump administration targets billions in funding to Harvard (03/31/25) https://www.washingtonpost.com/education/2025/03/31/harvard-federal-funding-trump-administration/

陸軍 次世代指揮統制システムを刷新

ディフェンスニュース(DefenseNews)は4月2日、陸軍が従来の縦割り的な指揮統制システムを根本的に刷新し、商用技術を活用した迅速で柔軟な意思決定システムを開発していると報じた。デジタル技術を駆使した新システム「次世代指揮統制(Next-Generation C2: NGC2)」は、これまで20年間かけて開発された陸軍の指揮統制(command-and-control: C2)アーキテクチャの17の個別システムを統合したもので、兵士はラップトップやタブレット一つで、情報収集、分析、作戦計画を迅速に行うことができるという。従来5〜7年かかっていた開発期間をグーグル社(Google)、アンドゥリル社(Anduril)、パランティア社(Palantir)などの民間企業と協力し、1年に短縮した。陸軍のランディ・ジョージ参謀総長(Randy George)は、指揮統制を正しく行うことが将来の戦場での勝利に不可欠とし、作戦上の混乱を避けるためにプログラム修正に着手したとしている。 DefenseNews “US Army punches the gas on Next-Gen Command-and-Control” (04/02/25) https://www.defensenews.com/land/2025/04/01/us-army-punches-the-gas-on-next-gen-command-and-control/

データセンター向け低炭素電源、天然ガス+炭素回収が有望

ユーティリティーダイブ(UTILITY DIVE)は3月31日、大規模データセンター向けの低炭素電源として、炭素回収技術を組み合わせた天然ガス発電が有望であると報じた。炭素管理企業のカーボン・ダイレクト社(Carbon Direct)の白書によると、炭素回収システムを備えた天然ガス発電は、1メガワット時(MWh)あたり70〜100ドルで電力供給可能で、原子力や蓄電池による発電と同等のコスト競争力があるという。大規模AIデータセンターは、迅速な電力供給と低炭素化を求めており、炭素回収付き天然ガス発電は、米国の電力網平均と比べて二酸化炭素排出量を大幅に削減できる。同社の主任科学者であるコリン・マコーミック氏(Colin McCormick)は、データセンター事業者の最優先事項は炭素回収機能を備えたガスプラント建設の展開スピードであることに加え、ガスサプライチェーンのボトルネックの影響を受けない炭素回収技術は魅力的な選択肢になり得ると指摘している。 UTILITY DIVE “White paper points to carbon capture as possible data center solution” (03/31/25) https://www.utilitydive.com/news/carbon-capture-possible-data-center-solution/743744/

PJMの共同設置ルール、FERC審査が年末まで延長の可能性

ユーティリティーダイブ(UTILITY DIVE)は4月1日、連邦エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission: FERC)が独立系地域送電機関のPJM系統(PJM Interconnection)の相互接続、特にデータセンターの共同設置ルールの審査を年末まで延長する可能性があると報じた。FERCは2月20日、原子力発電所の共同設置に関する調査を開始し、PJMに対して現行ルールの妥当性を説明するよう求め、PJMは3月24日、既存のルールは適切とし、5つの共同設置オプションを提示していた。特にネットワーク負荷として系統側(電力供給側)に設置される接続(Front-of-the-Meter)を推奨し、参加者が電力サービスのコストを負担し、運用上信頼できる取り決めを行うことを主張した。タレン・エネルギー社(Talen Energy)やコンステレーション・エネルギー社(Constellation Energy)、PSEGパワー社(PSEG Power)が原子力発電所でのデータセンター共同設置を検討中で、PJMは詳細なガイドラインの発行をFERCに求めている。 UTILITY DIVE “FERC review of PJM colocation rules for data centers, large loads may extend past mid-year: analysts” (04/01/25) https://www.utilitydive.com/news/ferc-pjm-colocation-rules-data-centers-talen-constellation/744071/

国立研究所、中国軍事関連スパコン利用か

上院エネルギー・天然資源委員会(Senate Energy and Natural Resources Committee)は3月26日、米国の国立研究所が中国の軍事関連スーパーコンピューター(スパコン)を利用した研究プロジェクトに関与していると報告した。同委員長マイク・リー上院議員(Mike Lee、ユタ州選出共和党)は、オークリッジ(Oak Ridge National Laboratory:ORNL)、ロスアラモス(Los Alamos National Laboratory:LANL)、アルゴンヌ(Argonne National Laboratory:ANL)の各国立研究所の所長に対し、中国の軍事関連スパコンを利用した研究協力について説明を求める書簡を送付した。調査では国防総省(Department of Defense)とエネルギー省(Department of Energy)による国から制裁を受けた中国のスパコンを利用した高エントロピー合金(High-entropy alloys)や水素製造(Hydrogen production)、原子の相互作用(Atomic interactions)などその他100以上の研究への資金提供が明らかになった。各国立研究所は直接的な利用を否定したが専門家は中国研究者との共同研究や計算分析などアウトソーシングによる関与に言及しており、米国の輸出管理規制に抜け穴があると指摘している。 Senate Energy and Natural Resources Committee “Chairman Lee Demands Answers from National Lab Directors Over Alarming Ties to Chinese Military Supercomputers” (03/26/25) https://www.energy.senate.gov/2025/3/chairman-lee-demands-answers-from-national-lab-directors-over-alarming-ties-to-chinese-military-supercomputers

中国等関連80団体を貿易制限リストに追加 技術流出阻止

商務省産業安全保障局 (Bureau of Industry and Security: BIS) は3月26日、米国に対し国家安全保障および外交政策に反する活動を行ったとして、中国、アラブ首長国連邦(United Arab Emirates: UAE)、南アフリカ、イラン、台湾などの80の団体を貿易上の取引制限リスト(エンティティリスト: Entity List)に追加したと発表した。高性能コンピューティングや量子技術、人工知能(AI)チップの開発に関与する中国企業12社(台湾1社を含む)や核活動や弾道ミサイル、極超音速兵器関連の開発に関わるなど68以上の事業体が含まれ、これらは中国の軍事産業複合体と密接な関係を持つ組織であるという。ハワード・ラトニック商務長官(Howard Lutnick)は「米国の先端技術が敵対勢力の軍事力強化に利用されることを阻止する」と強調した。輸出管理規則(Export Administration Regulations: EAR)に基づくこの決定は中国の軍事的能力の拡大を抑制することを目的と、米国の国家安全保障を守る重要な対応とされている。 BIS “Commerce Further Restricts China’s Artificial Intelligence and Advanced Computing Capabilities” (03/26/25) https://www.bis.gov/press-release/commerce-further-restricts-chinas-artificial-intelligence-advanced-computing-capabilities

気候変動リスクへの言及、ODNI報告書から完全に削除 

米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)は3月31日、国家情報長官室(Office of the Director of National Intelligence:ODNI)が発表した2025年の年次脅威評価報告書(2025 Annual Threat Assessment)から気候変動への言及が完全に削除されたことを明らかにした。2024年までの報告書では、気候変動が国家安全保障に与える影響として、干ばつ、洪水、極端な気象現象は国家の不安定化や経済問題の悪化させるなどの内容が詳細に分析されていたが、最新の報告書では一切触れられておらず、過去、米国の安全保障上の懸念として定期的にフラグが付けられていたトピックへの言及も省略された。国家情報長官のトゥルシ・ガバード氏(Tulsi Gabbard)は、上院議員アンガス・キング氏(Angus King、メイン州選出無所属)の質問に対し、「環境の変化は認識しているが、米国民への直接的な脅威に焦点を当てている」と説明した。報告書は、中国との科学技術競争や麻薬取引対策に重点を置いている。 AIP “Climate risks no longer included in annual intel assessment” (03/31/25) https://ww2.aip.org/fyi/the-week-of-march-31-2025

政府、NSFの建設予算を全額削減

米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)は3月31日、政府が米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の2025年度建設予算2億3,400万ドルを緊急支出から除外し、実質的に全額削減したと報道した。議会は、連邦政府支出の厳しい上限を回避するために、前年度最終予算でNSF建設勘定27項目を緊急支出に分類したが、政権がこのうちの11項目を除外した。これにより、NSFの年間予算90億ドルのうち、2.6%に相当する建設予算が削減され、南極の研究基地インフラ整備、テキサス大学オースティン校(University of Texas at Austin)の新スーパーコンピューター、巨大マゼラン望遠鏡(Giant Magellan Telescope)や30メートル望遠鏡(Thirty Meter Telescope)などの主要施設プロジェクトが危機に瀕する可能性があるという。これを受け、上院歳出委員会の共和党と民主党の上級議員が、この措置は違法と異議を唱え、行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)に書簡を送ったという。 AIP “Trump zeroes out NSF construction budget for FY25” (03/31/25) https://ww2.aip.org/fyi/the-week-of-march-31-2025