PNNL、許認可の速度と質を高める「パーミットAI」プロジェクト

米国エネルギーの促進に必要なインフラの構築には、許認可の加速が必要であることから、パシフィック・ノースウェスト国立研究所(Pacific Northwest National Laboratory: PNNL)はエネルギー省(Department of Energy)政策局(Office of Policy)と協力し、データ、AI、公共アクセスを通じた連邦許認可プロセスの速度と質の向上を目指す「パーミットAI(PermitAI)」を開発中である。連邦政府は過去50年に亘り、連邦プロジェクト向けに実施されてきた国家環境政策法(National Environmental Policy Act:NEPA)審査用に作成された数十万件の文書を蓄積しているが、これらの文書は個別に保管されることが多いため、この中から必要な情報を特定し、再利用することは容易ではない。PNNLは、これらの環境文書を様々な連邦データベースから収集し、AIを使って機械判読が可能なデータセットに変換する「NEPAテキスト・コーパス(NEPA Text Corpus: NEPATEC)」を開発しており、2024年にNEPATEC1.0を発表している。PNNLはまた、NEPATEC文書を使って大規模言語モデルを訓練し、連邦環境分析の速度と質を高めるツールの開発にも取り組んでいる。このツールによって歴史的なNEPA文書やプロジェクト情報の検索がより効率的になる他、潜在的な問題の特定と対処が迅速に行うことが可能になると期待されている。パーミットAIプロジェクトは、8月にNEPATEC2.0、年末までに同3.0が発表される計画である。 Department of Energy “Faster, Better Permitting with PermitAI” (07/10/25) https://www.energy.gov/policy/articles/faster-better-permitting-permitai

脱炭素化社会に向けたロードマップ、地方自治体の炭素排出量とコスト両方の削減を支援

気候変動対策へのコミットメントを表明する全米の市長ネットワーク「クライメイトメイヤーズ(Climate Mayors)」とベオリアノースアメリカ社(Veolia North America)は7月7日、脱炭素化社会に向けたロードマップ「よりクリーンな未来の構築:脱炭素化構築に関する地方自治体による活動手引書(Building A Cleaner Future: A Guide For Local Government Action On Building Decarbonization)」を公表した。これは、炭素排出削減とコスト削減の両立に向けて、公共・民間ステークホルダーに対する支援を目指すもので、ベースライン策定、パリ協定(Paris Agreement)及び州の気候目標に沿った目標設定、資金及びパートナーシップの確保、政策インセンティブの作成、脱炭素化目標達成を支援する人材開発・研修などにおいて、市職員を支援するものとなる。 Veolia North America “Building A Cleaner Future: A Guide For Local Government Action On Building Decarbonization” (07/07/25) https://info.veolianorthamerica.com/hubfs/offers/white-papers/sib/2025-climate-mayors-veolia-building-a-cleaner-future-white-paper.pdf

2026年度大統領予算案、連邦政府全体で基礎研究科学予算の34%減を提案

米国科学振興協会(American Association for the Advancement of Science:AAAS)は7月9日、2026年度大統領予算案で提案されている連邦科学研究開発予算の大幅削減に関する分析データを公表した。これによると、特に大きな影響を受ける基礎研究予算は、連邦政府全体で2025年度の450億ドルから2026年度には300億ドルとなり、約34%減になると警告している。基礎研究・応用研究・開発・研究開発施設費を含む科学予算全体では、2025年度の1,980億ドルから1,540億ドルの22%減となる。米国大学協会(Association of American Universities:AAU)政府関係・公共政策担当上級副会長のトビー・スミス氏(Toby Smith)は、大統領予算案が承認された場合、科学・イノベーションにおける世界リーダーとしての米国の役割が終わることになると発言している。AAUは、連邦議会との協力の下で、米国による科学リーダーシップ維持を支援する戦略的投資に向けた予算計画作成に取り組んでいるという。なお、大統領府が5月に発表した2026年度予算案では、米国科学財団(National Science Foundation:NSF)予算を88億ドルから39億ドルに55.8%減とすることなどが提案されている。 The New Yorks Times “Trump Seeks to Cut Basic Scientific Research by Roughly One-Third, Report Shows” (07/10/25) https://www.nytimes.com/2025/07/10/science/trump-science-budget-cuts.html  

オハイオ州公益事業委員会、技術企業データセンターによる電力コスト負担増を決定

オハイオ州公益事業委員会(Public Utilities Commission of Ohio:PUCO)は7月9日、電力消費量の高いデータセンターは、電力需要に対してより多額の支払いが必要との決定を下し、AI開発に電力を必要とする技術企業からの反対を却下した。オハイオ州内のデータセンターによる電力消費の影響に関しては、電力会社のアメリカンエレクトリックパワー社(American Electric Power)が、データセンターへの電力供給に必要な送電線のアップグレードに要するコストを補うために、オハイオ州内のデータセンターに対し、月々の支払いを消費電力予想量の60%相当分から90%相当分に増額することを2024年に提案していた。また、消費者擁護団体も、住民が支払う電気料金に影響が出ないよう、技術企業がコストを負担すべきと主張していた。一方、オハイオ州内にデータセンターを保有するメタ社(Meta)やマイクロソフト社(Microsoft)などを含む大手技術企業は、企業に寛大で消費者による負担増となる可能性のある提案を支持していた。技術企業を代表する業界団体のデータセンター連合(Data Center Coalition)は、PUCOの決定に対する失意を表明している。 The Washington Post “Energy costs are rising. This state says tech companies must pay more.” (07/10/25) https://www.washingtonpost.com/technology/2025/07/10/ohio-data-centers-energy-costs/

台湾に進出する主要米国技術企業、大半は中国との繋がりが台湾よりも強固

安全保障・新興技術センター(Center for Security and Emerging Technology:CSET)は、主要米国技術企業による台湾との経済・業務面での繋がりを調査した報告書「台湾の技術大企業:半導体を越えて(Big Tech in Taiwan: Beyond Semiconductors)」を発表した。本調査は、2022年のロシアによるウクライナ侵攻後にウクライナを支援した米国技術企業17社について、台湾との経済・業務連携を追跡したもので、将来の危機発生時にこれらの連携が企業の行動に及ぼす影響について検討した。本調査では、グリーンフィールド海外直接投資(greenfield foreign direct investment:FDI)、研究開発センター、データセンター、サプライチェーン、収入、求人などに関するデータを分析した結果、中国・台湾と取引のある企業の大半は中国との繋がりの方が強固であることが判明した。しかし、グーグル社(Google)、アップル社(Apple)、マイクロソフト社(Microsoft)、及び、アマゾン社(Amazon)の4社は、他の13社と比較すると台湾との繋がりが深く、中でもグーグル社は17社の中で台湾における活動レベルが最大であった。今回分析対象となった企業は、中国への依存が台湾よりも強く、台中間で紛争が発生した場合は、両国政府との複雑な関係の中で物理的資産及び従業員をリスクに晒す可能性が予測される。なお、地政学的リスクは高まりつつあるものの、一部の企業は近年台湾における存在を拡大しており、これらの投資は、台湾のイノベーション・生産能力にアクセスしようとする各社の戦略を反映するものである。 Center for Security and Emerging Technology “Big Tech in Taiwan: Beyond Semiconductors” (07/25) Big Tech in Taiwan

ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法が鉱業部門にもたらす影響 CSIS報告

戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies: CSIS)は7月9日、ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法(One Big Beautiful Bill Act: OBBBA)が鉱業部門にもたらす影響について発表した。同法は、税制や財政政策、社会的保護策、医療ケアプログラム、移民及び国境取り締まりに主要な変更を行っているが、特筆すべき点として、インフレ削減法(Inflation Reduction Act)の大幅な改正が含まれており、複数のプログラムが撤回・縮小され、エネルギー部門及び重要鉱物サプライチェーンへの持続的な影響が予想されている。一例として、OBBBAにより、30D条「クリーン自動車税額控除」(電気自動車(EV)の購入を奨励する7,500ドルの税額控除措置)が今年度で打ち切りとなる。EVは重要鉱物需要を高める最大の要素であることから、この控除措置の廃止は大規模な鉱物需要及び広範なEV導入の双方に打撃となると予想されている。また、本政策による支援がなく、需要見通しが不確実な中、自動車メーカーは長期的なオフテイク契約に消極的となり、国内鉱業プロジェクトが投資を引き付けることはより困難になるとみられる。もう一つの問題は、重要鉱物部品を対象とした45X条「生産税額控除」が2033年までに段階的に廃止されることである。新たな採鉱の開発や生産の拡張には長期的な時間がかかることから、45X条の改正は鉱業部門に否定的な影響をもたらすと考えられている。報告書は、「新法は備蓄とサプライチェーンに数十億ドルの支援を提供しているが、需要側の政策がない状況ではその影響は限定的」と予測する。 CSIS “Impacts of the One Big Beautiful Bill Act on the Mining Sector” (07/09/25) https://www.csis.org/analysis/impacts-one-big-beautiful-act-mining-sector 参考:https://www.axios.com/2025/07/10/critical-minerals-trump-budget-law

「SBIR受益企業は国家の重要ニーズを支援」 NBER報告

全米経済研究所(National Bureau of Economic Research: NBER)は今般、過去40年間における中小企業技術革新研究(Small Business Innovation Research: SBIR)プログラムの受益企業と、ベンチャーキャピタルの支援を受けた中小企業について分析比較した論文「国家ニーズに対応する中小企業イノベーション(Small Business Innovation Applied to National Needs)」を発表した。それによれば、SBIRの受益企業は、単にベンチャーキャピタル(イノベーションの成功や進展の証拠として頻繁に追跡される金融手段)に支援されたイノベーション志向の企業に比べて、イノベーションの生産性と効率性に優れている可能性があり、それは特に国家的、社会的、環境的な戦略目標の推進で顕著であることを示している。論文によれば、SBIR受益企業は、ベンチャーキャピタル支援企業に比べて、1社当たりの特許数が3倍、連邦契約への関与が約8倍多い一方、雇用数は15%少ないという。 NBER “Small Business Innovation Applied to National Needs” (June 2025) https://www.nber.org/papers/w33945 参考:https://ssti.org/blog/recent-research-sbir-companies-support-critical-national-needs

SSTI、新法の税制改正が技術ベースの経済開発にもたらす影響を分析

SSTIは、「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法(One Big Beautiful Bill Act)」による主要な税制変更が技術ベースの経済開発(technology-based economic development: TBED)活動にもたらし得る影響として、次のような点を挙げている。①連邦研究所におけるAI主導の研究イニシアチブの支援として、米国科学クラウド(American Science Cloud)を創設し、エネルギー省(Department of Energy)による新規のマイクロエレクトロニクスやエネルギー技術の開発支援に1億5,000万ドルを割り当てる、②国内のR&D支出に関する控除と償却に関する変更は、技術系企業に直接的な影響をもたらす(企業は、税務上国内R&D支出の処理をより早くできるようになり、これらの経費を1年で控除できる可能性がある)、③ソフトウェア開発は研究・実験の支出として処理できるようになる、④先端製造投資控除は25%から35%へ引き上げられる(この控除はCHIPS法に由来するもので、適格の半導体製造施設及び設備への投資に適用される)、⑤私立大学関連の財団の正味投資収入に関する物品税(excise tax)が変更され、財団の規模に応じて税率が変動する。 SSTI “What the tax code changes could mean for TBED activities” (07/09/25) https://ssti.org/blog/what-tax-code-changes-could-mean-tbed-activities

GAO、宇宙空間での整備・組立・製造について提言

GPSや気象予測などに使用される衛星は、一般的に小型で打ち上げに耐え得るだけの頑丈さを有しているが、その修理や改良には、人を宇宙空間へ派遣する必要がある。こうした中、「宇宙空間でロボットによる整備が行われれば、宇宙空間での組み立てや製造などへの進展につながる可能性がある」と、政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は分析している。宇宙空間での整備・組立・製造(In-space servicing, assembly, and manufacturing: ISAM)技術がこれまでの所、さほど進展していない理由の一つに、「潜在的なISAMサービス提供企業は、それを利用するユーザー層が生まれるまで、技術を整備用の製品に発展させることに躊躇する」という点がある。GAOは報告書の中で、こうした課題に対処できる潜在的な政策選択肢を5件提示している。 Government Accountability Office “In-Space Servicing, Assembly, and Manufacturing: Benefits, Challenges, and Policy Options” (07/10/25) https://www.gao.gov/products/gao-25-107555

1950年代以降、米国の大学におけるR&D支出の半分以上は連邦政府が拠出

国立科学技術統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics: NCSES)の7月10日の発表によれば、大学におけるR&D支出の資金源は主に、連邦政府、州及び地方自治体、企業、非営利組織、大学、その他の6つに分類される。大学のR&D支出は、1953年度の2億5,500万ドルから2023年度の1,090億ドルに増加し、連邦による大学R&D支出は同期間に1億3,800万ドルから600億ドルに増加した(全て現行ドル)。年によって変動はあるものの、同期間全体における大学R&D支出に占める連邦資金の割合は50%強となっている。大学自体によるR&D資金拠出も、1953年度の3,500万ドルから2023年度の280億ドルに増加しており、全支出に占める割合は2016年以降、25%となっている。 NCSES “Since the 1950s, Over Half of R&D Expenditures at U.S. Colleges and Universities Have Been Funded by the Federal Government” (07/10/25) https://ncses.nsf.gov/pubs/nsf25345