戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies: CSIS)は7月9日、ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法(One Big Beautiful Bill Act: OBBBA)が鉱業部門にもたらす影響について発表した。同法は、税制や財政政策、社会的保護策、医療ケアプログラム、移民及び国境取り締まりに主要な変更を行っているが、特筆すべき点として、インフレ削減法(Inflation Reduction Act)の大幅な改正が含まれており、複数のプログラムが撤回・縮小され、エネルギー部門及び重要鉱物サプライチェーンへの持続的な影響が予想されている。一例として、OBBBAにより、30D条「クリーン自動車税額控除」(電気自動車(EV)の購入を奨励する7,500ドルの税額控除措置)が今年度で打ち切りとなる。EVは重要鉱物需要を高める最大の要素であることから、この控除措置の廃止は大規模な鉱物需要及び広範なEV導入の双方に打撃となると予想されている。また、本政策による支援がなく、需要見通しが不確実な中、自動車メーカーは長期的なオフテイク契約に消極的となり、国内鉱業プロジェクトが投資を引き付けることはより困難になるとみられる。もう一つの問題は、重要鉱物部品を対象とした45X条「生産税額控除」が2033年までに段階的に廃止されることである。新たな採鉱の開発や生産の拡張には長期的な時間がかかることから、45X条の改正は鉱業部門に否定的な影響をもたらすと考えられている。報告書は、「新法は備蓄とサプライチェーンに数十億ドルの支援を提供しているが、需要側の政策がない状況ではその影響は限定的」と予測する。
CSIS “Impacts of the One Big Beautiful Bill Act on the Mining Sector” (07/09/25)
https://www.csis.org/analysis/impacts-one-big-beautiful-act-mining-sector
参考:https://www.axios.com/2025/07/10/critical-minerals-trump-budget-law