上院・下院歳出委員会、連邦助成受給研究間接費の一律上限設定は不適切と判断

上院歳出委員会委員長のスーザン・コリンズ上院議員(Susan Collins)と副委員長のパティ・マレイ上院議員(Patty Murray)は、上院版2026年度商業司法科学関連省庁歳出法案(Commerce, Justice, Science, and Related Agencies Appropriations Bill)において、高等教育機関における連邦研究資金受給研究の間接費に関し、一律の上限を設けるのではなく、現行通りに各研究機関と連邦政府研究資金提供機関との交渉の下での決定を継続するという修正案を提出し、同案が採用された。また、学術研究コミュニティが意見の一致に基づく提案を作成中であることを、同法案に添付される報告書に付記した。一方、下院版2026年度エネルギー・水開発関連省庁歳出法案(Energy and Water Development and Related Agencies Appropriations Bill)に添付される報告書においても、エネルギー省が研究資金を提供する研究の間接費に関し、研究費全体の一律15%を上限として設定するという方針について、正しい意図に基づく提案ではあるものの、同省の研究・開発活動の独特な性質を考慮すると、完全に対応できず不適切であることを添付報告書に付記している。 American Institute of Physics “Top appropriators look to block indirect cost caps” (07/21/25) https://www.aip.org/fyi/the-week-of-july-21-2025

上院歳出委員会、2026年度商業司法科学関連省庁歳出法案を超党派で可決

上院歳出委員会は7月17日、上院版2026年度商業司法科学関連省庁歳出法案(Commerce, Justice, Science, and Related Agencies Appropriations Bill)のマークアップを行い、同法案を可決した。本法案では、2026年度大統領予算案において前年度比50%超の削減が提案されている米国科学財団(National Science Foundation:NSF)予算に、前年度予算90億6,000万ドルを僅かに下回る90億ドルを割り当てている。また、同法案に添付された報告書では、米国内2カ所に設置されたレーザー干渉計重力波天文台(Laser Interferometer Gravitational-wave Observatory:LIGO)検知器のうち1カ所を閉鎖するという大統領予算案の提案を拒否した他、「超大型望遠鏡(Extremely Large Telescope)」プロジェクト2件について、両方のプロジェクトで最終設計段階に進むようNSFに指示している。さらに、大統領予算案で約50%削減が提案されたNASA科学予算には、ほぼ前年度並みの予算を割り当て、提案されたミッション55件の中止を拒否した。NOAA予算に関しても、他部署に移行させる一部プログラム以外の廃止が提案された海洋大気研究局(Office of Oceanic and Atmospheric Research)への予算割当を継続している。なお、下院歳出委員会は、下院版同法案のマークアップを7月24日に行う予定であるが、下院版法案ではNSF予算を約20%、NASA科学予算を18%削減しており、上院版法案が超党派の支持を得て可決されたのに対し、下院版法案は民主党が反対している。 American Institute of Physics “Congress advancing budgets for NSF, NASA, Commerce” (07/21/25) https://www.aip.org/fyi/the-week-of-july-21-2025

LBL、電力網が直面する問題に対する規制のサンドボックスなどの対策を紹介

ローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory:LBL)は、消費電力量の増加やインフラの老朽化などによって電力網が直面する問題を解決するために、新たな報告書「公共事業における先進電力網技術導入を促進する規制のサンドボックス及びその他のプロセス(Regulatory Sandboxes and Other Processes to Expedite Utility Adoption of Advanced Grid Technologies)」を発表した。本報告書は、規制のサンドボックス及び類似したアプローチ例の紹介、公共事業セクタにおけるイノベーションエコシステム促進に関する教訓の提供、新興ベストプラクティスの特定、及び、これらの革新的手段を通して顧客に提供する公共事業の価値の評価などを提示している。また、イノベーションの妨げとなる従来の公共事業規制及び業界の特徴を特定した他、規制のサンドボックスが如何にして重要なツールとして機能するかについて、他のイノベーション手段及び障壁の克服方法と併せて紹介している。なお、本報告書執筆者と規制のサンドボックスを展開した州の専門家らは、8月13日に公開ウェビナーを開催し、実践結果及び現場での経験について紹介する予定である。 Lawrence Berkeley National Laboratory “Regulatory Sandboxes and Other Processes to Expedite Utility Adoption of Advanced Grid Technologies” (07/15/25) https://emp.lbl.gov/news/regulatory-sandboxes-and-other-processes-expedite-utility-adoption-advanced-grid

ORNLとアトミック・キャニオン社、原子力発電所ライセンシング手続き合理化で協力

オークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory:ORNL)と人工知能(AI)企業のアトミック・キャニオン社(Atomic Canyon)は、原子力発電所のライセンス申請審査へのAI導入を通じて申請手続きを合理化するために協力するとした覚書を締結した。本覚書は、高性能コンピューティングを活用して高忠実度シミュレーションを作成するという両組織共通の意図を概説したもので、審査手続きを自動化するAIを活用してライセンシングの迅速化を図りながら、原子力発電所の設計の安全性を確保する。米国は、原子炉設計ライセンシング及び新規原子力発電所試運転に新たな期限を設定したが、これらの目標を達成するには、国家が必要とするソリューションを提供するために企業がエネルギー・AIの両方におけるイノベーションを主導する官民パートナーシップが必要となる。アトミック・キャニオン社は、同覚書の下でORNLのスパコン「フロンティア(Frontier)」を使用し、同社の「ニュートロン(Neutron)」AIプラットフォームに電力を提供する「フェルミ(FERMI)」と呼ばれるモデルに特化した、新しいAIモデルを開発することになる。「フェルミ」モデルに技術言語を教えるには「フロンティア」が必要で、米国原子力規制委員会(U.S. Nuclear Regulatory Commission:NRC)のデータベース「省庁内文書アクセス・管理システム(Agencywide Documents Access and Management System:ADAMS)」に含まれる5,300万ページに及ぶ原子力関連文書で使用される語彙に基づく原子力業界の技術言語を学習させることになる。 Oak Ridge National Laboratory “Oak Ridge National Laboratory, Atomic Canyon to accelerate nuclear licensing with AI” (07/22/25) https://www.ornl.gov/news/oak-ridge-national-laboratory-atomic-canyon-accelerate-nuclear-licensing-ai

CATF委託の報告書、拡大する電力需要に対応するソリューションを提案

経済コンサル企業のブラッテルグループ社(Brattle Group)は、クリーンエアタスクフォース(Clean Air Task Force:CATF)から委託を受けて作成した報告書「電力需要の増大と公共政策目標を支援するための電力網インフラの適正化と先を見越した計画(Optimizing Grid Infrastructure and Proactive Planning to Support Load Growth and Public Policy Goals)」を発表した。本報告書は、データセンターの拡張、電化、製造の成長に伴う急激な電力需要増に対応するにあたり、政策決定者・公共事業体・システムプランナーを支援するために実行可能な短期戦略を特定している。同報告書が提示する主要提案事項には、①既存の電力システムの価値の最大化、②新たな電力需要・リソースへの電力網接続の促進、③より先を見越した計画の実行、④適正価格の保護、などが含まれる。 Clean Air Task Force “New CATF/Brattle report identifies untapped solutions to address rising electricity demand and avert grid bottlenecks” (07/22/25) New CATF/Brattle report identifies untapped solutions to address rising electricity demand and avert grid bottlenecks 

EPA、研究開発局を廃止

環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPA)は7月18日、研究開発局(Office of Research and Development)を廃止する計画を明らかにした。これは、トランプ政権が進める組織的人員削減(reduction-in-force:RIF)の一環で、リー・ゼルディンEPA長官(Lee Zeldin)は、RIFを通して、責任を持って税金管理を行いつつ主要ミッションである人間の健康と環境の保護を達成するとコメントしている。但し、EPAは、職員の23%を削減して7億4,880万ドルを節約する計画とする一方で、同時に、大気放射線局(Office of Air and Radiation)、水質管理局(Office of Water)、化学物質安全性・汚染予防局(Office of Chemical Safety and Pollution Prevention)の科学者・エンジニア数を増やすとともに、科学・技術・バイオインフォマティクス・情報技術専門家数百人と研究所機能を追加するとしている。さらに、応用科学・環境ソリューション局(Office of Applied Science and Environmental Solutions)を新設して研究・科学を優先する計画も発表している。EPAでは、一部職員は部署を異動したものの解雇者は現時点でゼロであるが、人員削減の次の段階として解雇者が出る見込みとしている。なお、下院科学宇宙技術委員会(House Science, Space, and Technology Committee)ランキングメンバーのゾーイ・ロフグレン下院議員(Zoe Lofgren)は、EPAにおける人員削減計画を非難する声明を発表している。 NPR “Trump administration shuts down EPA’s scientific research arm” (07/20/25) https://www.npr.org/2025/07/20/nx-s1-5474320/trump-epa-scientific-research-zeldin

米海軍長官、造船への自動化・ロボット導入拡大を奨励

米海軍省のジョン・フェラン長官(John Phelan)は7月16日、米国産業ベースの最新化を目指す「再工業化(REINDUSTRIALIZE)」会議において、造船業界は人員不足緩和と業績向上のためにロボット及び自動化に頼る必要があると発言した。フェラン長官は、造船所10カ所を視察した際に、良い研修が行われたとのフィードバックを受けたのは1カ所のみで、研修の最新化が必要とした。また、自動化・ロボット導入の拡大により労働力問題への対応に役立つ可能性があるとした他、自動化・ロボット導入が人間の仕事の代替となることはなく、労働者の仕事を支援してより効率的に働くことができるようになると主張した。大統領府は、造船を主要優先事項の1つに挙げており、米国造船業界への参加企業及び競合数を拡大し、水面・水中・無人プログラムのコスト超過・生産遅延を縮小するよう要求する大統領令を発令している。海軍造船プログラムは、特に原子力潜水艦プログラムがサプライチェーン問題及び労働力不足などにより数年遅れとなっているが、国防総省は、2026年度予算と予算調整法の下での支給を合わせて合計474億ドルを造船・改造に割り当てている。 NextGov FCW “SECNAV: Robots won’t replace shipbuilders, but they could make jobs ‘easier’” (07/18/25) https://www.nextgov.com/emerging-tech/2025/07/secnav-robots-wont-replace-shipbuilders-they-could-make-jobs-easier/406837/?oref=ng-skybox-hp

マイクロソフト社、国防総省のシステム保守に中国拠点のエンジニアの利用を中止

プロバブリカ社(ProPublica)が7月15日、「マイクロソフト社(Microsoft)は、米国を拠点とするデジタルエスコート(監視者)の下、中国の人員を使って国防総省(Department of Defense)の機密性の高い軍事システムの維持管理を行っている」との報告書を発表したことを受け、マイクロソフト社は、国防総省のクラウドサービス支援に中国を拠点とするエンジニアを使用することを中止すると発表した。デジタルエスコートは、セキュリティクリアランスを持つ米国市民で、中国を拠点とするマイクロソフトのエンジニアと国防総省のクラウドインフラの仲介者として機能する。デジタルエスコートは、直接アクセスすることが禁じられている外国のエンジニアの代わりに、軍事システムに主導でコマンドを入力する。先述の報告書によれば、多くのデジタルエスコートは、自ら入力しているコードを評価するだけの技術的専門性がなく、政府の最も機密性が高いネットワークに脆弱または悪質なスクリプトを意図せずに入力する可能性があると指摘している。 Nextgov “Microsoft ends use of China-based engineers to patch DOD systems” (07/20/25) https://www.nextgov.com/defense/2025/07/microsoft-ends-use-china-based-engineers-patch-dod-systems/406851/

NIH、AIを使ったグラント申請を懸念、年間申請件数を最大6件に限定

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)は7月17日、「NIH研究申請における公平性と独自性への支援(Supporting Fairness and Originality in NIH Research Applications)」と題する通知を発表し、この中で、AIを使った研究申請書作成への懸念から、一人の研究者が年間に提出できる申請書の件数を最大6件に限定するとした。また、生成AIを利用して申請書を執筆することも禁止している。これは、研究者が多数の申請書(特にAIを使って作成された質の低い申請書)を提出して、NIHの助成審査システムに大幅な負担をかけることを防ぐことを目的としている。助成申請件数の上限設定は、研究資金を必要とする研究者に打撃となるとの指摘がある一方で、上限は正当であり、必要とさえ言えると主張する関係者もいる。NIHの元高官によれば、一人の主任研究員が一回の提出ラウンドで40件以上の申請書を提出したことがあったという。今回の新たな方針は、9月25日から実施される。 Science “Fearful of AI-generated grant proposals, NIH limits scientists to six applications per year” (07/18/25) https://www.science.org/content/article/fearful-ai-generated-grant-proposals-nih-limits-scientists-six-applications-year

SEMI財団、マイクロエレクトロニクスプログラムの地域ノード審査を開始

SEMI財団(SEMI Foundation)は、「マイクロエレクトロニクス教育のための国家ネットワーク(National Network for Microelectronics Education: NNME)」で地域ノード(Regional Nodes)となることを目指す応募組織の審査プロセスを開始する。NNMEは、米国のマイクロエレクトロニクス部門で教育・訓練・雇用を進展させることを狙いとした全国的なイニシアチブで、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)が資金提供し、商務省(Department of Commerce)が支援する。これは、半導体及びマイクロエレクトロニクス産業で増大する人材ニーズに即した労働力開発を先導・拡張する地域エコシステムを特定・採択する審査・選出プロセスの第一歩である。SEMI財団は、NNMEの調整ハブ(Coordinating Hub)として機能し、地域ノードの活動を全国規模で策定・調整・拡張する役割を果たす。NNMEは、最大8件のノードに5年間で2,000万ドルを支援する見込みである。 SEM “SEMI Foundation Launches NSF-Powered National Call for Applicants of Regional Nodes to Meet Industry Needs for the U.S. Microelectronics Workforce” (07/21/25) https://www.semi.org/en/semi-press-release/semi-foundation-launches-nsf-powered-national-call-for-applicants-of-regional-nodes-to-meet-industry-needs-for-the-us-microelectronics-workforce