トランプ大統領、ジーニアス法に署名

トランプ大統領は7月18日、ジーニアス法(GENIUS Act)に署名し、法制化した。本法は、米国が世界のデジタル通貨革命を先導する道筋を開くもので、具体的な内容は次の通り。①デジタル市場における消費者保護(ステーブルコインに初となる連邦規制制度を創出し、準備金の義務付けを通じて通貨の安定性と信頼性を強化等)、②米ドルの準備通貨としての世界的な地位を確実にする(米国債(U.S. Treasuries)への需要を促進することで、ステーブルコインは世界の準備通貨としての米ドルの支配的地位を継続等)、③デジタル資産市場における悪質な行為への対策(ステーブルコイン発行者に対する規制と登録、規制取り締まりに関して財務省(Department of Treasury)と調整し、米国国家安全保障を強化等)。トランプ大統領は、米国を世界の暗号通貨の中心地にすると発言しており、これまでにデジタル資産の推進や戦略的ビットコイン備蓄の確立に向けた大統領令に署名している。 White House “Fact Sheet: President Donald J. Trump Signs GENIUS Act into Law” (07/18/25) https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2025/07/fact-sheet-president-donald-j-trump-signs-genius-act-into-law/

「パワーの支柱:エネルギー安全保障と産業対応力のための戦略」 SAFE報告書

米国及び同盟国の経済・国家安全保障を推進する輸送・エネルギー・サプライチェーン政策を調査する超党派組織のSAFEは今般、「パワーの支柱:エネルギー安全保障と産業対応力のための戦略(The Pillars of Power :A Strategy for Energy Security and Industrial Resiliency)」と題する報告書を発表した。SAFEは、「米国は、産業能力とサプライチェーン安全保障の衰退により、重要鉱物や産業マテリアル、先端製造技術に関する輸入を海外に大きく依存するようになっている」とした上で、エネルギー・技術的リーダーシップを通じて、米国の産業基盤を復活させ、重要サプライチェーンを確保し、国家防衛を強化するため、調整された行動が急務であると主張する。報告書は、①鉱物とマテリアルの供給の拡大・確保、②エネルギー安全保障ニーズへの対応、③効率性と多様化を最大限にする新技術の推進、④製造能力の強化、の4つを柱に、合計30件の政策を提言している。 SAFE “Report | The Pillars of Power: A Strategy for Energy Security and Industrial Resiliency” (07/20/25) The Pillars of Power: A Strategy for Energy Security and Industrial Resiliency

デルタ航空、エアバス社製エンジンの再利用によって関税を回避

デルタ航空(Delta Air Lines)は、欧米間の関税対策として極めて非伝統的な手法を導入している。双方の規制により、欧州のエアバス社(Airbus)から特定の航空機を注文する航空会社は、輸入航空機に追加費用を支払わなくてはならず、経済的な負担が増している。このような中で、デルタ航空は、欧州で製造された新たな航空機から米国製のエンジンを取り外し、それらの米国製部品を米国へ輸送し、米国内で自社の航空機に新たなタービンを取り付けるという手法を取っている。これらの航空機は現在、本来装備されていたプラット・アンド・ホイットニー社(Pratt and Whitney)製エンジンに関する問題のために運航できずにいる機体である。さらに関税対策として同社は、欧州製のエアバスA350型機を第三国で受領し、そこから収益のある運航を開始し、米国行きの運航を行うという手法を取っている。つまり、新たな航空機を米国に直接納入するという形を取らないため、関税の対象とはならないという。 Simple Flying “Delta Air Lines Skirts Tariffs By Repurposing Airbus Engines” (07/12/25) https://simpleflying.com/delta-air-lines-skirts-tariffs-repurposing-airbus-engines/

米政府、電気自動車用蓄電池の重要マテリアルに大幅な関税を提案

商務省(Department of Commerce)は7月17日、蓄電池の重要な材料となる黒鉛に93.5%の大幅な追加関税を発表した。この発表は、電気自動車メーカーには更なる負担をもたらし、既に主要な政策変更に振り回されている同業界に新たな一撃となっている。具体的に、トランプ政権は7月17日、中国製の黒鉛について、中国の供給事業者はダンピング違反を行っているとの予備的判決を下し、93.5%の関税を課した。この決定は、フォード自動車(Ford Motor)などの自動車メーカーや、パナソニック社(Panasonic)などの供給会社にダメージをもたらす。これらの企業は、米国内に電池工場を設立するなどしており、関税は電気自動車用蓄電池の価格上昇につながる可能性が高い。その一方で、連邦政府はEVの購入やリース利用に関する最大7,500ドルの税額控除を廃止する。今回の決定は予備的なものではあるが、企業は関税を直ちに支払い始める必要がある。 New York Times “U.S. Proposes Steep Tariffs on Critical E.V. Battery Material” (07/17/25) https://www.nytimes.com/2025/07/17/business/trump-graphite-tariff-electric-vehicles.html

海軍の次世代駆逐艦、更なるミサイルとエネルギー兵器を搭載へ

米海軍(U.S. Navy)は、指向性エネルギー兵器やミサイルを搭載・発射する能力を持つ次世代駆逐艦「DDG(X)」の計画を進めている。議会調査局(Congressional Research Service)の最近の報告によれば、海軍はDDG(X)の製造を目的として2026年度予算で1億3,350万ドルの研究開発費を要請しており、2030年代初頭の調達を希望している。DDG(X)の設計は従来の提案よりも大型化しており、前述の報告によれば、現在は排水量1万4,500トンの船体で、2024年度に海軍が発表した造船計画の中で示された設計よりも1,000トン増加している。国防総省(Department of Defense)は、艦隊の現代化と費用削減を図るため、自律型船舶を推進しており、海軍は最近、小型無人水上艦をバルト海での大規模な演習に組み込んだ。 Defense News “Next-generation destroyers to pack more missiles, energy weapons” (07/18/25) https://www.defensenews.com/naval/2025/07/17/next-generation-destroyers-to-pack-more-missiles-energy-weapons/

連邦下院議会、2026年度国防歳出法案として8,320億ドルを承認

連邦下院議会は7月18日、2026年度の国防歳出法案(8,320億ドル)を承認した。民主党は、予算の詳細が提示されていないことや社会的問題を巡って強い反発を示したが、共和党はそれを押し切り、221対209の票差で可決した。国家安全保障予算を巡る議論は上院へ移るが、上院はまだ歳出計画の内訳を明らかにしていない。下院の国防歳出法案には、別件の調整措置によって議会が承認した特別資金が含まれ、現行年度の軍事支出と比較するとやや減少しており、民主党及びおよび一部の共和党議員は不満を述べている。国防歳出法案には、軍員の給与の3.8%増、極超音速兵器プログラムに26億ドル、トランプ大統領のゴールデン・ドーム(Golden Dome)計画への支援としてミサイル防衛プログラムに130億ドルなどの他、海軍による造船事業に370億ドルが含まれている。 Defense News “House advances $832 billion military budget plan for next fiscal year” (07/18/25) https://www.defensenews.com/news/pentagon-congress/2025/07/18/house-advances-832-billion-military-budget-plan-for-next-fiscal-year/

上院小委員会、NSFグラント復活に希望をもたらす

上院歳出委員会(Senate Committee on Appropriations)の商務・司法・科学小委員会(Commerce, Justice, and Science (CJS) subcommittee)は7月17日、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)及び複数の連邦機関を対象とした歳出法案を承認し、その中で、共和党のリーダーは、「打ち切りになったNSFのグラントの大半を復活させる」という修正案導入を試みたタミー・ボールドウィン議員(Tammy Baldwin、ウィスコンシン州選出民主党)と共に同修正案に再度取り組むことで合意した。ボールドウィン議員による修正案は「NSFに、財務的な誤りや不正研究によって中止になったもの以外のグラントを復活させることを義務付ける」という内容で、小委員会で14対15の党派ラインで否決された。しかし、CJS小委員会のジェリー・モラン委員長(Jerry Moran、カンザス州選出共和党)は、ボールドウィン議員に対して、同議員の修正案を改良する時間を捻出できなかったことを詫び、現行の修正案は容認できないものの、「満足できる形にすべく、共に取り組むことを約束する」と述べた。上院歳出委員会のスーザン・コリンズ委員長(Susan Collins、メイン州選出共和党)も同様の約束をボールドウィン議員に提示した。今後の行方は不透明であるものの、プロジェクト打ち切りのニュースに動揺しているNSF資金受給科学者にとっては貴重な朗報ととらえられている。 Science “Senate panel raises hopes that NSF will restore killed grants” (07/17/25) https://www.science.org/content/article/senate-panel-raises-hopes-nsf-will-restore-killed-grants

ダフィー運輸長官、陸上輸送法の再承認プロセスを開始

ショーン・ダフィー運輸長官(Sean P. Duffy)は7月17日、連邦議会が陸上輸送法の再承認審議を今秋後半にも開始するのに先がけ、議会メンバーやインフラ関係者と共に、本プロセスの優先事項に関する協力の育成を目的とした会議を開催した。ダフィー長官は講演の中で、トランプ大統領による「米国は再び構築する(America is Building Again)」議題について概説し、①輸送安全の強化、②輸送プロジェクト実施の加速、③輸送インフラへの投資を通じた経済成長の促進や機会の向上、④州やその他の主要関係機関とのパートナーシップ強化、について説明した。長官はまた、テキサス州がインフラプロジェクトをより迅速に実施できるよう支援するため、同州運輸省との間で覚書に署名した。 Department of Transportation “U.S. Transportation Secretary Sean P. Duffy Kicks Off Surface Transportation Reauthorization to Get America Building Again” (07/17/25) https://www.transportation.gov/briefing-room/us-transportation-secretary-sean-p-duffy-kicks-surface-transportation-reauthorization

内務省、放置された石油・天然ガス井の閉鎖を迅速化

内務省(Department of Energy)は、放置された石油・天然ガス井の浄化を狙いとした連邦プログラムを適用する州政府向けのガイドラインを更新した。今回更新されたのは、「放置井に関する州マッチンググラント・プログラム(Orphaned Wells State Matching Grant Program)」(7億8,000万ドル)と、「放置井に関する州公式グラント・プログラム(Orphaned Wells State Formula Grant Program)」(19億3,000万ドル)の2つの連邦プログラムのガイドラインで、①州に義務付けられた閉鎖前後のメタンガス測定の廃止、②放置された井の特定と閉鎖に関する州の裁量を確認、③アワード付与後の内務省による不要な環境審査と承認プロセスの廃止、が含まれる。 Department of the Interior “Interior Department Revises Guidelines to Speed Up Plugging of Orphaned Oil and Gas Wells” (07/19/25) https://www.doi.gov/pressreleases/interior-department-revises-guidelines-speed-plugging-orphaned-oil-and-gas-wells

税額控除が炭素捕獲の導入を促進 EIA年間エネルギー見通し

エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)が発表した「2025年年間エネルギー見通し(Annual Energy Outlook 2025: AEO2025)」によれば、発電所及び産業施設における二酸化炭素の捕獲は、2030年代を通じて増加する見込みである。その主な要因は、税額控除の価値の上昇である。多くの事例において、排出の捕獲は、2030年代後半にエネルギー排出の1.5~3.5%のピークとなる。AEO2025作成にあたっては、2024年12月時点での法規が考慮されているため、2022年インフレ抑制法(Inflation Reduction Act: IRA)の下で実施される税額控除の価値が含まれる一方、ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法(One Big Beautiful Bill Act)における変更は加味されていない(このため、この予測通りとならない可能性が高い)。IRAの下、開発事業者は2032年末までに建設開始されたプロジェクトについて税額控除(通称「45Q」)を申告でき、運用後最大12年に亘って申告できる。この12年の期間は2030年代後半~2040年代半ばに終了となることから、二酸化炭素の捕獲は2050年までを通じて減少すると予測される。 Energy Information Administration “Tax credits drive carbon capture deployment in our Annual Energy Outlook” (07/18/25) https://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=65764