EPA、「ソーラー・フォー・オール」プログラム助成の中止を検討

環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPA)は、「ソーラー・フォー・オール(Solar for All)」プログラムの下で連邦助成を受給する州政府省庁・非営利機関・米国先住民部族60組織に対して助成中止を通達する書簡の草稿を作成中で、8月8日までに送付見込みであることが関係者によって明らかにされた。助成中止が最終的に決定された場合、バイデン政権が制定した「2022年インフレ削減法(2022 Inflation Reduction Act)」の下で支給された助成数十億ドルを回収するトランプ政権の取り組みがさらに拡大されることになるが、助成受給者の多くは共和党主導の州におけるプロジェクトに取り組んでおり、法的問題提起に発展する可能性が高い。EPA広報官は、本助成に関してはまだ最終決定が下されていないとしているが、EPAは、同法の下で許可された気候関連助成270億ドルのうち、既に200億ドルの中止を要求している。 The New York Times “E.P.A. Moves to Cancel $7 Billion in Grants for Solar Energy” (08/05/25) https://www.nytimes.com/2025/08/05/climate/epa-cancels-solar-energy-grants.html

太陽エネルギー・エネルギー貯蔵業界への2025年上半期投資額、前年同期から大幅減

クリーンエネルギー市場情報を提供するマーコム・キャピタル・グループ社(Mercom Capital Group)発表の2025年上半期の投資報告によると、太陽エネルギー業界への投資は前年同期比39%減で、エネルギー貯蔵業界への投資は同41%減となった。また、2025年上半期の太陽エネルギー公共市場への投資は、前年同期の17億ドルから73%減の4億6,700万ドルとなり、ベンチャーキャピタル・民間株式投資総額も約50%減となったが、投資件数は29件から32件に増加した。一方、エネルギー貯蔵市場へのベンチャー企業・民間株式投資は29%減で、投資件数も減少し、公共市場への投資は43%減となり、前年同期に14件あった企業の買収・合併は3件のみとなった。但し、ナトリウムベース電池などといった代替貯蔵技術へのベンチャーキャピタリストによる関心は高く、エネルギー貯蔵プロジェクトの買収件数は前年同期の2倍以上であった。 Utility Dive “Solar and storage financing is down, but dealmaking is up” (08/06/25) https://www.utilitydive.com/news/solar-energy-storage-financing-mercom/756899/

大統領府「AI行動計画」、州政府主導のAI規制の取り組みを妨害する可能性

米国では人工知能(AI)技術に関する有意義な連邦規制が存在せず、各州政府がAI規制を主導しているが、①政府によるAI利用、②医療ケアにおけるAI、③顔認証、④生成AI、という4つの側面が特に注目されている。「政府によるAI利用」では、特に「予測AI」が多くの政府機能に革命をもたらしているが、人種・ジェンダーへのバイアスなどの問題の原因となる可能性があることから、一部の州では透明性・消費者保護・AI展開のリスク認識を強調した公共セクタにおけるAI利用に関する法案が提出されている。このうち、「医療ケアにおけるAI」については、2025年上半期に34州で250件以上のAI関連衛生法案が州議会に提出されている。「顔認証・監視」に関しては、プライバシー問題の他、特に警察・国家安全保障目的で使用される予測AIでは、AI訓練で使用されるデータを含め非白人に対するバイアスが明らかになっており、2024年末までに15州において顔認証による害を制限する州法が制定されている。「生成AI・基盤モデル」においては、AI訓練に使用したデータに関する情報開示を開発者に義務付ける法律を制定した州もある。なお、大統領府は、「AI行動計画(AI Action Plan)」を7月23日に発表したが、負担となるAI規制のある州にはAI関連連邦政府補助金を支給すべきでないとしており、州政府によるAI規制の取り組みを妨害する可能性がある。 Ars Technica “States take the lead in AI regulation as federal government steers clear” (08/06/25) https://arstechnica.com/ai/2025/08/states-take-the-lead-in-ai-regulation-as-federal-government-steers-clear/

エヌビディア社、同社製チップにバックドア・キルスイッチが含まれるとの非難を否定

エヌビディア社(Nvidia)最高セキュリティ責任者のデービッド・レバー氏(David Reber Jr.)は、8月5日に同社ブログを更新し、エヌビディア社が米国輸出規制に準拠するために中国市場用に作成したチップ「H20」には、不正アクセスのためのバックドアや緊急遮断用のキルスイッチなどは含まれていないと主張した。これは、中国・サイバースペース庁(Cyberspace Administration)が、同社チップには位置追跡機能及び遠隔操作による遮断機能があることが米国AI専門家によって明らかにされたと7月末に発表したことを否定するものとなる。また、米国では、米国外に輸出するチップには位置確認機能を埋め込み、無断使用を阻止するシステムの評価を要求する「チップ安全保障法(Chip Security Act)」案が連邦議会に提出されているが、レバー氏は、バックドアに繋がる可能性のある機能を政府は要求すべきでないと主張している。さらに、製品のセキュリティは、厳しい内部試験、独立した検証、世界サイバーセキュリティ基準への完全な準拠という正当手段の下で確立されるべきとし、バックドアの使用は危険な脆弱性をもたらすのみで、同社製品の多層セキュリティシステムを破壊することになるとした。 Ars Technica “Nvidia warns of “disaster” if it has to put kill switch and backdoor in chips” (08/06/25) https://arstechnica.com/tech-policy/2025/08/nvidia-blasts-proposals-for-chip-backdoors-as-us-considers-kill-switch/

NASA、月面での原子炉設置に意欲

米航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)の長官代理を務めるショーン・ダフィー運輸長官(Sean Duffy)は先般、少なくとも100キロワットの電力を生産する原子炉を2030年までに月面へ打ち上げるという計画を発表した。原子炉技術は、人間が太陽系で渡航し、生活する能力に変革をもたらす。現在のNASAのロボット宇宙船は、数個の白熱電球程度の電力で動作しており、宇宙船に搭載できる科学機器には制限がある。国際宇宙ステーション(International Space Station)はソーラーパネルから電力を得ているが、冷たく暗い夜が2週間続く月面や、太陽が遥かに遠い火星では、人間の居住向けには実用的でない。専門家は、月面に原子炉を設置するという計画はサイエンスフィクションではなく、現実的に可能な範囲であると述べるが、様々な技術的課題がある。 New York Times “NASA Is Getting Fired Up About a Nuclear Reactor on the Moon” (08/07/25) https://www.nytimes.com/2025/08/06/science/nasa-nuclear-reactor-moon.html

NIHが研究とイノベーションに及ぼす影響 CSET報告

安全保障・振興技術センター(Center for Security and Emerging Technology: CSET)は独自のデータを基に、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の資金を受けたプロジェクトがイノベーションのパイプラインにもたらす影響について、「NIHが研究とイノベーションに及ぼす影響(The NIH’s Impact on Research and Innovation)」と題する記事を発表した。その主要な考察点として、①NIHの資金を受けた研究は、出版された科学論文のわずか1%に過ぎないものの、研究全体の半分に関連性があり、NIHが焦点を当てているトピック(医薬、生物学、化学)は特に大きな影響をもたらしている、②世界の特許のうち、NIHの直接資金を受けたものはわずか0.04%であるが、NIHの影響はより広範囲に及び、NIHの資金を受けた特許は、「世界の特許ランドスケープ(global patent landscape)」と呼ばれるものを構成する特許分野及びサブ分野の4%に登場する、③NIHの資金を受けた研究は、その後の特許化につながるダウンストリーム特許を支援している、等が挙げられている。 CSET “The NIH’s Impact on Research and Innovation” (08/07/25) The NIH’s Impact on Research and Innovation

連邦上下院議員、エネルギースター・プログラムの継続を支持

上院歳出委員会(Senate Appropriations Committee)が7月24日に環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)の2026年度予算法案を可決した際、エネルギースター(Energy Star)プログラムへ3,600万ドルを拠出する文言が含まれた。法案の付属文書には、「委員会は、エネルギースター・プログラムの価値を認識し、継続して支持する」と書かれた。一方、下院歳出委員会(House Appropriations Committee)は7月22日に同法案の下院版を可決し、上院版より少ない額(3,200万ドル)ではあるものの、同プログラムへの予算に関する文言が盛り込まれた。両法案とも今後、本会議等での検討や調整を経ることになるが、1992年の実施以来、両党で支持されているエネルギースターをトランプ政権が継続することを要望するメッセージとなっている。トランプ政権は、エネルギースター・プログラムの廃止を望むとは言及していないが、5月に発表したEPAの2026年度予算要求で、同プログラムを運営する大気保護プログラム(Atmospheric Protection Program)の予算を全廃した。 Utility Dive “Lawmakers in House and Senate move to maintain Energy Star” (08/06/25) https://www.utilitydive.com/news/lawmakers-in-house-and-senate-move-to-maintain-energy-star/757046/

88億ドルのエネルギー効率還付金プログラム 多くの州で保留状態

インフレ削減法(Inflation Reduction Act: IRA)の下、住宅所有者及び低・中所得世帯向けにエネルギー効率の向上を支援する還付金プログラムとして、住宅所有者管理エネルギー節約法(Home Owner Managing Energy Savings Act: HOMES)、及び、住宅電気化・家電還付金(Home Electrification and Appliance Rebates: HEAR)に88億ドルが割り当てられた。サウスダコタ州を除く全州がこれらの資金の受給を申請し、条件付き契約を獲得したものの、現在、連邦資金を受益して1つまたは双方のプログラムを実施しているのは、12州及びワシントンDCのみにとどまっている。全国州エネルギー高官協会(National Association of State Energy Official: NASEO)は、「エネルギー省(Department of Energy)からは、還付金プログラムに割り当てられた資金は全て最終的に支給されると繰り返し聞いている」と述べる一方、同省は、「現在、全ての活動が法規を順守し、該当する法定命令に従い、トランプ政権の優先事項に整合していることを確実にするため、省全体で見直しを実施している」と説明する。NASEOは現時点では、政権がプログラムの合理化に取り組んだ上で、残りの州との間の交渉を再開することに楽観的である。 Utility Dive “$8.8B energy efficiency rebate program on hold in most states, underway in some” (08/06/25) https://www.utilitydive.com/news/states-energy-efficiency-rebates-inflation-reduction-doe-trump/756981/

トランプ大統領、輸入チップへ100%の関税を発表 一部の企業は免除

トランプ大統領は8月6日、米国は半導体の輸入品に約100%の関税を課すと発表した。ただし、米国内に製造工場があるもしくは工場建設を誓約した企業には適用されないとの例外措置を提示した。本件は、米国内に製造業を回帰させようとするトランプ大統領の取り組みの一部であり、大統領の発言と同時に、アップル社(Apple)が米国市場で更に1,000億ドルを投資する計画が発表された。米国内での製造を誓約したアップル社のような企業には関税の影響はないとされた一方で、「米国工場の建設を約束しておいてそれを実行しない場合、遡及的に課税される」と大統領は明言した。ただし大統領の発言は関税に関する公式発表ではなく、企業や諸国への影響は不透明である。台湾のTSMC社は米国工場があることから例外措置が適用される可能性が高い。また、韓国政府の貿易特使は、サムスン電子(Samsung Electronics)とSKハイニックス社(SK Hynix)は100%関税の対象とはならず、米韓間の貿易協定の下、半導体について最も有利な関税が適用されるとしている。 Reuters “Trump says US to levy 100% tariff on imported chips, but some firms exempt” (08/07/25) https://www.reuters.com/world/china/trump-says-us-levy-100-tariff-imported-chips-some-firms-exempt-2025-08-07/

米国アカデミー、温室効果ガス排出の公衆衛生及び福利への危険性について研究

米国アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は、「人為的な温室効果ガスと米国の気候:エビデンスと影響(Anthropogenic Greenhouse Gases and US Climate: Evidence and Impacts)」と題するファストトラック(早急)研究を開始し、最新の科学的エビデンスを基に、温室効果ガス排出は公衆衛生と福利に危害を及ぼすと合理的に予測されるかどうかについて調査する。研究を行う委員会は、環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)が「温室効果ガスは公衆衛生に危険である」と宣言した2009年以降に科学コミュニティが収集したエビデンスに焦点を当てる。EPAは最近、「2009年の危険性認定」を撤回する意向を表明している。米国アカデミーは9月までに研究を終え、報告書を発表し、EPAの決定プロセスへの情報提供とする。 National Academies “National Academies Launch Fast-Track Review of Latest Evidence for Whether Greenhouse Gas Emissions Endanger Public Health and Welfare” (08/07/25) https://www.nationalacademies.org/news/2025/08/national-academies-launch-fast-track-review-of-latest-evidence-for-whether-greenhouse-gas-emissions-endanger-public-health-and-welfare