NIH、胎児組織研究助成の更新停止へ 科学界が抗議

サイエンス誌(Science)は9月15日、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)がヒト胎児組織を使用する可能性がある17の研究助成の更新を停止すると表明し、科学界から非難の声が上がっていると報じた。動物実験の廃止を目指す擁護団体「ホワイト・コート・ウェイスト・プロジェクト(White Coat Waste Project)」が公表した内容に基づいたリストについて、NIHは「人の命を尊重し、責任ある透明な研究実施にコミットする」と今回の決定について説明しているが、国際幹細胞学会(International Society for Stem Cell Research: ISSCR)は、ヒト胎児組織研究が脳の発達、小児がん、エイズ(HIV/AIDS)治療、そして狂犬病や水痘などのワクチン開発に不可欠であるとして、政治的圧力に屈しないようNIHに強く求めている。一部の研究は既に完了するなど、影響は限定的と見られるも、多くの科学者は、動物モデルでは再現できない重要な知見が得られる胎児組織研究の中断が、将来の医療発展を阻害すると懸念を表明している。 Science “Scientists decry NIH pledge to end some human fetal tissue research” (09/15/25) https://www.science.org/content/article/scientists-decry-nih-pledge-end-some-human-fetal-tissue-research

カリフォルニア州、キャップ&インベスト・プログラムを再認可

クリーン・エア・タスクフォース(Clean Air Task Force: CATF)は9月15日、カリフォルニア州が2045年までのキャップ・アンド・インベスト・プログラム(Cap-and-Invest program)再認可を発表した。温室効果ガス削減基金の収益配分計画を策定し、カーボン・オフセットに使用制限を設ける内容で、経済成長を維持しつつ、州内80%以上の排出量を対象とした排出削減の実現に向けた取り組みを継続する。具体的には、2029年までに既存排出量の相殺手順を最新の科学に基づいて更新するようカリフォルニア州大気資源局(California Air Resources Board: CARB)に命じ、2034年以降も5年ごとに見直すSB 840法と、排出量相殺を遵守義務の6%に制限し、その半分を州内への環境利益として義務付けるAB 1207法を可決した。CATFは今回の再認可について、より信頼性のある排出削減を保証し、同州の基準をカーボン・クレジットのベンチマークとする取り組みであると説明している。 CATF “California reauthorizes Cap-and-Invest program, providing market certainty for clean investments and setting limits on the use of carbon offsets” (09/15/25) California reauthorizes Cap-and-Invest program, providing market certainty for clean investments and setting limits on the use of carbon offsets  

連邦研究開発費の削減はGDP成長の低下につながる ITIF報告

情報技術イノベーション財団(Information Technology & Innovation Foundation:ITIF)は9月15日、連邦の研究開発(R&D)費削減は、短期的には数十億ドルの予算節約に見えるかもしれないが、長期的には米経済に数兆ドルの代償をもたらす可能性があるとする報告書を発表した。ITIFの試算によれば、連邦R&D費を20%削減すると、中国の成長ペース(予測)と比べて、米経済に最大約1兆5,000億ドル分の遅れをもたらす可能性があるという。報告書はその他の考察点として、①中国はR&D投資を急速に拡大しており、研究投資合計で既に米国を上回っている可能性がある中、米国が研究への公的投資を削減することは、中国の先端技術競争力を増幅させる、②R&D投資によって、特許出願や起業、輸出市場に参入する企業を増加させることは米国競争力にとり重要である、③連邦R&D資金の70%は大学や研究所へ流入し、博士課程の学生を育成し、優秀な人材を引き付けるため、R&D資金の削減は、米国の研究労働力の弱体化につながる、等を挙げている。 ITIF “How Reducing Federal R&D Reduces GDP Growth” (09/15/25) https://itif.org/publications/2025/09/15/how-reducing-federal-rd-reduces-gdp-growth/

EPA長官、ホワイトハウスでAI円卓会議を開催

環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)のリー・ゼルディン長官(Lee Zeldin)は9月15日、ホワイトハウスにて、人工知能(AI)及びデータセンターのリーダーを招いて、AI円卓会議を開催した。長官は、AIイノベーションを進展させ、データセンターの建設を合理化するためにトランプ政権が講じる措置を紹介すると共に、許認可に関する障害のフィードバックやその他の技術的洞察の提供を参加者に求めた。発言者の中には、日立アメリカ社の竹内康裕社長兼CEOも含まれる。円卓会議には、連邦上院・下院議員、大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)のマイケル・クラツィオス長官(Michael Kratsios)等の政府関係者の他、日立アメリカ社、オラクル社(Oracle)等の民間企業の経営幹部が参加した。米国を世界のAI首都とすることは、ゼルディンEPA長官が進める「偉大な米国の復活推進イニシアチブ(Powering the Great American Comeback Initiative)の中核の柱であるとしており、長官は円卓会議で、最近のEPAによる許認可改革を強調した。 Environmental Protection Agency “EPA Convenes AI Roundtable at White House, Administrator Zeldin Highlights Permitting Reform to Make U.S. the AI Capital of the World” (09/15/25) https://www.epa.gov/newsreleases/epa-convenes-ai-roundtable-white-house-administrator-zeldin-highlights-permitting

NSF、EPSCoR研究フェローに620万ドルを投資

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、「競争研究を刺激する確立したプログラム(Established Program to Stimulate Competitive Research:EPSCoR)」の研究フェロー(Research Fellow)として選出された24名の研究者に620万ドルを投資することを発表した。本プログラムは、NSFの助成金受益水準が低い州におけるキャリア初期及び中期の科学者を支援し、研究キャリアの構築もしくは再開を後押しすることを狙いとする。EPSCoR研究フェロープログラムは、経済的支援やメンターシップの機会、最先端の研究施設へのアクセス等、様々な恩恵をフェローに提供する。今回選出された24名のフェローは、人工知能やトランスレーショナル研究、量子、バイオテクノロジー等、それぞれの専門分野で卓越した有望性を示す才能ある研究者である。 National Science Foundation “NSF invests $6.2 million in EPSCoR Research Fellows” (09/15/25) https://www.nsf.gov/news/nsf-invests-62-million-epscor-research-fellows

2005~2023年に全州で一人当たりのエネルギー関連二酸化炭素排出量が減少 EIA報告

エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)は9月15日、2005~2023年の間に、米国内の全ての州において一次エネルギー消費による一人当たりの二酸化炭素量が減少したと発表した。この期間中に、人口は14%増加した一方、エネルギー関連の二酸化炭素排出量は20%減少しており、一人当たりの二酸化炭素排出量は30%減少となった。二酸化炭素排出量が減少した理由は、発電部門における石炭燃焼が減少したことである。石炭に比べて燃焼時の二酸化炭素排出量が少ない天然ガスによる発電や、二酸化炭素を排出しない風力・ソーラー発電の増加が、石炭発電の減少分を相殺した。EIAの短期的エネルギー見通し(Short-Term Energy Outlook)は、2025年に米国における二酸化炭素排出量は1%微増すると予測しており、その一因は、近年の原油生産を目的とした化石燃料消費の増加と電力生産の増加である。2005~2023年にエネルギー消費による一人当たりの二酸化炭素排出量が最も減少したのはメリーランド州(49%減)であった。 Energy Information Administration “Per capita energy-related CO2 emissions decreased in every state between 2005 and 2023” (09/15/25) https://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=66104

エネルギー省、ガリウム国内生産による米国の供給網安全保障強化に600万ドル

エネルギー省(Department of Energy)の化石エネルギー・炭素管理局(Office of Fossil Energy and Carbon Management)は9月15日、エネルギーや防衛、半導体部門にとって重要マテリアルであるガリウムの国内供給網を確立する一助として、最大600万ドルの連邦資金を研究開発プロジェクトに拠出する予定を発表した。「回収技術及び先端重要マテリアル抽出-ガリウム(Technology for Recovery and Advanced Critical-material Extraction-Gallium: TRACE-Ga)」イニシアチブを通じて、米国内の金属加工原料からガリウムを回収する革新的かつコスト効果の高い技術の開発を促進する。TRACE-Gaイニシアチブは、ENERGYWERXがエネルギー省と提携して運営管理する。 Department of Energy “U.S. Department of Energy Announces $6 Million to Enhance U.S. Supply Chain Security Through Domestic Gallium Production” (09/15/25) https://www.energy.gov/fecm/articles/us-department-energy-announces-6-million-enhance-us-supply-chain-security-through

エネルギー省、ラボ組み込み型アントレプレナーシップ・プログラムのコホート公募

エネルギー省(Department of Energy)は9月15日、「ラボ組み込み型アントレプレナーシップ・プログラム(Lab-Embedded Entrepreneurship Program: LEEP)」の2026年コホートに関する応募申請ポータルを開設したと発表した。LEEPは次世代のエネルギーアントレプレナーを支援する2年間のフェローシッププログラムである。選出されたフェローは、国立研究所に配置され、研究所の科学者と共に協調的な研究開発を実施し、アントレプレナーシップの訓練を受け、交流の機会を通じて恩恵を受けながら、エネルギー費用をより適正なものにし、国家安全保障を強化し、世界市場で競争する米国の製造事業者に優位性をもたらす技術の進展に取り組む。LEEPは2015年に最初のコホートを開始して以来、4つの国立研究所及びその関連拠点を通じて212名のフェローを支援している。 Department of Energy “Energy Department Seeks Energy and Manufacturing Innovators for 2026 Lab-Embedded Entrepreneurship Program Cohort” (09/15/25) https://www.energy.gov/eere/articles/energy-department-seeks-energy-and-manufacturing-innovators-2026-lab-embedded

EPA、温室効果ガス報告プログラムの終了を提案

環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)は9月12日、温室効果ガス報告プログラム(Greenhouse Gas Reporting Program: GHGRP)を終了する規則提案を発表した。これにより、企業が負担する最大24億ドルの規制費用を節約しつつ、大気浄化法(Clean Air Act)の下におけるEPAの法定義務は維持する。大気浄化法の下におけるその他の義務的情報収集とは異なり、GHGRPは潜在的な規制と直接的な関連性はなく、人間の健康や環境の向上に重大な影響を及ぼさないとEPAは説明する。この規則提案が最終的にまとまれば、多数の大型施設や全ての燃料・産業ガス供給業者、二酸化炭素注入拠点における報告義務が廃止されることになる。 Environmental Protection Agency “EPA Releases Proposal to End the Burdensome, Costly Greenhouse Gas Reporting Program, Saving up to $2.4 Billion” (09/12/25) https://www.epa.gov/newsreleases/epa-releases-proposal-end-burdensome-costly-greenhouse-gas-reporting-program-saving-24

FAA、先端航空モビリティ車両の開発加速

ショーン・ダフィー運輸長官(Sean P. Duffy)は9月12日、先端航空モビリティ(advanced air mobility)車両(「空飛ぶクルマ」)の開発加速を目的とした新たなパイロットプログラムを連邦航空局(Federal Aviation Administration: FAA)内で実施すると発表した。これらの新しい技術は、航空分野に変革をもたらす可能性があり、米国の農村コミュニティへの接続性の拡大や、都市部での道路交通渋滞の緩和、緊急サービスや医療輸送の強化などが期待される。パイロットプログラムは、「電気式垂直離着陸型統合パイロットプログラム(Electric Vertical Takeoff and Landing Integration Pilot Program: eIPP)」と称され、州・地方自治体の事業体や民間企業との官民パートナーシップを形成し、安全な運用を実現するための新たな枠組みと規制の開発に取り組む。eIPPには少なくとも5件のパイロットプロジェクトが含まれ、最初のプロジェクトの開始後3年間に亘って実施される。 Department of Transportation “Trump’s Transportation Secretary Sean P. Duffy Unveils New Plan to Fast-Track Advanced Air Mobility Vehicles” (09/12/25) https://www.transportation.gov/briefing-room/trumps-transportation-secretary-sean-p-duffy-unveils-new-plan-fast-track-advanced-air