米国、ソーラー輸入品に緊急輸入制限の発動を示唆

米国政府は世界貿易機関(World Trade Organization: WTO)に加盟している163か国に対して、太陽電池の輸入品に緊急輸入制限措置(セーフガード)の発動を検討していると通知した。5月29日のWTOの発表で明らかになった。今回の通知により、ソーラー発電業界の支配をめぐる世界的競争への関心がさらに高まった。米国、中国、インドは、市場のリーダーを目指してしのぎを削っており、競合国による国際貿易法の違反がないか目を光らせている。米国によれば、緊急輸入制限発動の可能性を検討した背景には、太陽光発電パネルメーカー、サニバ社(Suniva)による米国際貿易委員会(U.S. International Trade Commission: ITC)への嘆願があるという。ITCは、米国の産業が深刻な被害に苦しんでいるか否かを9月22日までに決定し、苦しんでいると判断された場合は11月13日までにトランプ大統領に報告書を提出するという。 Reuters “U.S. may put emergency tariffs on solar imports” (5/29/17)

シスコ社調査:モノのインターネットのプロジェクトの約75%が失敗

モノのインターネット(IoT)は数年以内にインターネット同様に必要不可欠なものとなると予測されているが、シスコ社(Cisco)が「モノのインターネット・世界フォーラム(Internet of Things World Forum: IoTWF)で発表した報告によれば、IoTイニシアチブの60%が「概念実証(Proof of Concept)」の段階で躓き、完全に成功したと考えられるIoTイニシアチブを実現している企業はわずか26%に過ぎない。さらに残念なことに、完了したプロジェクトの約3分の1は「成功」とはみなされていないという。報告書は、IoTイニシアチブを成功させるためのキーファインディングとして、①(IoTは技術的問題であるが)人的問題が重要である、②イニシアチブの全般を通じて強力なIoTパートナーシップを築き、関与させること、③成功したIoTプロジェクトのデータを活用する、などが挙げられている。 Business Intelligence “Cisco survey reveals close to 75% of IoT projects are failing” (5/27/17)

バークレー国立研究所、カリフォルニア州のゼロ・ネット・エネルギー住宅を支援

カリフォルニア州は、2020年までにすべての新築住宅をゼロ・ネット・エネルギー(zero net energy: ZNE。年間のエネルギー消費量と生産量が実質的に同じ)にするという政策目標を含め、建造物におけるエネルギー消費を削減するための野心的な目標を設定している。こうした中、エネルギー省(Department of Energy)のローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory)は、同州がZNE目標を達成できるよう支援することを目的として2つのプロジェクトを開始する。一つは、ZNE住宅のコストとパフォーマンスの詳細なモデリングを作成し、障害を特定するもので、もう一つは、天然ガスを利用しているZNE住宅の室内の空気質を確実に許容範囲内にする策を模索する。カリフォルニア州エネルギー委員会(California Energy Commission)は2つのプロジェクトに200万ドルを提供し、エネルギー省の「ビルディング・アメリカ(Building America)」プログラムも室内の空気質プロジェクトに支援を提供している。 Lawrence Berkeley National Laboratory “Berkeley Lab Helps California Get to Zero Net Energy Homes” (5/25/17)

予算11%削減を迫られるNSF

トランプ大統領が5月23日に発表した2018年度予算教書で、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の予算は11%減の74億ドルが提示され、NSFの研究・教育プログラムのトップは、「最良の新しいアイデアに資金を提供するというNSFの能力を犠牲にすることなく、どのようにポートフォリオを大幅削減するか」という難問への対応を余儀なくされている。NSFの67年の歴史において、現行予算よりも低い予算を提示した大統領はいない。NSFのフランス・コルドバ長官(France Córdova)は、大統領府の指示に対応する形で、上級幹部に予算削減判断のガイドとなる原則を提示するよう要請した。2018年度大統領予算案におけるNSF予算額は2008年度と同程度であることから、コルドバ長官及び副長官らは当時のNSFがどのように資金を使っていたかを調べ、新予算構築のヒントを得ようとしている。予算で数値上の最大の敗者は、大学院生の研究フェローシップ(8,600万ドル減)とEPSCoRプログラム(6,000万ドル減)である。一方、科学推進派の中には、「NSFは、同様に基礎研究を支援し、大規模な患者擁護団体や製薬業界が大きな後ろ盾となっている国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)に比べ、政治的影響力を失いつつあるのではないか」と懸念する声もある。 Science “How NSF cut 11% from its budget” (5/25/17)

エネルギー省、中小企業による革新的な研究開発に7,200万ドルを助成

エネルギー省(Department of Energy)のリック・ペリー長官(Rick Perry)は5月24日、73件のグラント(68社の中小企業に合計7,200万ドル)を授与すると発表した。これは、同省の中小企業技術革新制度(Small Business Innovation Research: SBIR)及び中小企業技術移転制度(Small Business Technical Transfer:STTR)を通じて行われるもので、科学局(Office of Science)の先端科学コンピューティング(Advanced Scientific Computing Research)、基礎エネルギー科学(Basic Energy Sciences)、原子力物理学(Nuclear Physics)の各プログラムから提供される。今回発表されたのはフェーズIIの研究開発で、助成金額の中央値は100万ドル(2年間)となっている。 Department of Energy “U.S. Department of Energy Announces $72 Million for Innovative Research and Development by Small Businesses” (5/24/17)

DARPA、次世代宇宙航空機設計のパートナーを選出

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は、実験的宇宙航空機(Experimental Spaceplane: XS-1)プログラムの先端設計業務を完成させるためのパートナーとして、ボーイング社(Boeing Company)を選出した。XS-1プログラムは、全く新しい極超音速航空機を製造及び飛行させ、短期間かつ低コストで宇宙へのアクセスを提供することで国家安全保障を強化することが狙いである。現在、一つの衛星を軌道に到達させるのに数か月から数年の準備を要するのに対し、本プログラムでは、数日で地球低軌道に向けて発射できるようにすることを目指す。XS-1プログラムでは、再利用可能な無人飛行機(ビジネス用ジェット機程度のサイズ)を構想している。 Defense Advanced Research Project Agency “DARPA Picks Design for Next-Generation Spaceplane” (5/24/17)

トランプ大統領の予算教書、エネルギー・イノベーション・プログラムの大幅削減を要請

トランプ大統領による2018年度向け予算教書には、エネルギー政策の大幅な変更が盛り込まれいる。予算教書は、米国の主要なエネルギー資源及びインフラを売却し、新たな連邦用地を石油・天然ガス掘削に開放し、従来州政府へ分配していた石油・天然ガス資源の手数料収入を連邦政府に戻すことで、今後10年間で約360億ドルの歳入とする一方、エネルギー省(Department of Energy)のエネルギー研究プログラムを310億ドル削減することを提案している。批判家は、「これらの削減は、最先端のクリーン・エネルギー業界での米国のリーダーシップを危うくする可能性がある」と警告している。大統領の予算教書によれば、エネルギー効率・再生可能エネルギー局(Office of Energy Efficiency and Renewable Energy: EERE)の予算は69%減、化石燃料局(Office of Fossil Energy)の予算は54%減、原子力エネルギー局(Office of Nuclear Energy)の予算は31%減が提案されている。 New York Times “Trump Budget Proposes Deep Cuts in Energy Innovation Programs” (5/23/17)

トランプ政権、米国政府にドローンを追跡・破壊する権利を認める法律を草案

トランプ政権は議会に対して、連邦政府に米国内を飛行するあらゆる種類のドローンを一定の条件下で追跡・捕獲・破壊する権利を認めるよう要請している。政権は10ページに及ぶ法律の草案と要旨を複数の議会委員会に23日に回覧しており、24日には本件について議会スタッフ・メンバーとの間で非公開の会議が予定されている。法案の文面によれば、米国政府は特別保護の対象として指定されている地域で安全保障上の脅威を呈すると判断された無人航空機を追跡・捕獲・武力を使って破壊する権限を付与される。 New York Times “Proposed Rules Would Allow U.S. to Track and Destroy Drones” (5/23/17)

GAO、NSFの間接費支払いに関する調査の予備報告を発表

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は5月24日、「米国科学財団:研究の間接費に関する予備的観測(National Science Foundation: Preliminary Observations on Indirect Costs for Research)」と題する予備的報告書を発表した。報告書によれば、2000~2016年の間にNSFが受益機関に対して償還した間接費(賃貸料や公共サービス料金の支払いなど)の割合は年間助成額の16~24%に相当するという。GAOの調査によれば、この割合は2010年以来概ね増加傾向にある。また、NSFには間接費に関するガイダンスがあるものの、ガイダンスの順守は厳しく行われていない、ガイダンスの更新が適切に行われていないといった点が指摘されている。GAOは本報告書の最終版で勧告を提示する計画である。 Government Accountability Office “National Science Foundation: Preliminary Observations on Indirect Costs for Research” (5/24/17)

トランプ大統領、2018年度の予算教書を発表

トランプ大統領は5月23日、2018年度の予算教書を議会へ提出した。ホワイトハウスが3月発表したいわゆる「細身(skinny)予算」を具体化した内容である。研究機関に関する内容は次の通りである。 〇国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH):前年度予算(346億ドル)から22%の大幅削減となる269億ドルを要請。大幅削減の中心は、大学に支払う間接経費の扱いで、従来の個別交渉による利率の取り決めから一律10%に変更される。一方、21世紀治療法(21st Century Cures Act)で義務付けられた癌撲滅ムーンショット、BRAINイニシアチブ、プレシジョン医薬イニシアチブの100万人ボランティア医療研究の予算は含まれている。 〇航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA):米国及び他国で効果的な炭素監視方法を確立するための研究プログラム「炭素モニタリング・システム(Carbon Monitoring System: CMS)」の廃止を要請。 〇エネルギー省(Department of Energy):科学局(Office of Science)の予算を17%減。2008年以来の最低水準となる。同局による6つの科学プログラム中、5つで大幅削減を要請。 〇国立海洋大気庁(National Oceanic and Atmospheric Administration: NOAA):気候研究部門の予算の大幅削減と多くの研究所とプログラムの廃止を要請。 〇全体:基礎研究への連邦支出を13%(43億ドル)削減し、289億ドルとすることを要請。軍事部門の基礎科学支出は6%増、NASAの基礎科学支出は3%増となるが、その他の研究機関の基礎科学支出は11~19%減となっている。 Science “What’s in Trump’s 2018 budget request for science?” (5/23/17)