Month:September 2026
CSET、半導体製造の維持・拡大に向け労働力強化を提言
安全保障・新興技術センター(Center for Security and Emerging Technology: CSET)は9月、米国の半導体製造能力の維持拡大に向けた労働力強化に関する調査報告書を発表した。半導体量産工場(ファブ)、特に先端製造の前工程工場に焦点を当て、高度な技能やクリーンルーム環境に対応できる人材供給の重要性を指摘した内容で、2023年1月から2025年4月までの業界における全米の求人データ3,441件を分析した。これによると専門エンジニアや技術職の需要が高く、電子機器製造などの専門技術と共通の対人スキルの双方が求められていることがわかった。供給網(サプライチェーン)のリスク軽減と国内生産能力の確保に向け、報告書は、需要に合わせた人材育成、女性や少数派グループの積極採用、高度な技能を持つ移民の受け入れ拡大を提言している。また、教育機関と企業が連携した産業クラスター形成への投資のほか、高等教育機関や企業におけるメンターシップ・プログラムを確立し、労働者定着とキャリアアップを支援するよう提言している。 CSET “Strengthening the U.S. Semiconductor Manufacturing Workforce ” (September 2026) Strengthening the U.S. Semiconductor Manufacturing Workforce
外国製機器使用を禁止する大統領令 蓄電池開発遅延が台頭
ユーティリティ・ダイブ(Utility Dive)は9月1日、外国製電力網関連部品の利用を制限する大統領令により蓄電事業の遅延や中止が相次ぐ恐れがあるとのブルームバーグNEF(BloombergNEF: BNEF)の調査報告について伝えた。8月26日に発効した同令は、安全保障上の懸念から外国製蓄電池や変圧器、インバーターやその他関連部品で構成された機器の電力網への接続を制限するもので、特に供給網(サプライチェーン)を中国などに依存する事業者が打撃を受けると記事は伝えている。リチウムイオン電池生産の80%を占める中国からの供給構造が背景にあり、開発事業者は政権からの詳細な指針を待つため事業の延期を余儀なくされているほか、安価な調達が困難になった一部案件は中止に追い込まれる可能性があるという。こうした中、インドや東南アジアなどからの代替供給も考慮されているほか、国内蓄電池工場稼働も進んでいることから、長期的には国内生産能力が強化されるとの有識者の見解も紹介している。 Utility Dive “Trump grid order likely to cause energy storage delays, cancellations: BloombergNEF” (09/01/26) https://www.utilitydive.com/news/trump-grid-order-likely-to-cause-energy-storage-delays-cancellations-bloo/829306/
下院、つなぎ歳出法案を可決 OMBの助成金交付規制施行を延期
下院は9月2日、連邦政府の予算拠出を12月11日まで継続するというつなぎ歳出法案を370対48という圧倒的多数で可決した。既に8月に上院を通過しており、大統領の署名を経て成立する見通しである。歳出法案審議・成立は毎年遅れているものの、今年は中間選挙を控えていることから、共和党は政府閉鎖回避に向けて継続予算成立を優先する形となった。これに伴い、大統領府行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)が新年度から実施を予定していた助成交付規制も12月11日までは適用が凍結されることとなった。このOMBによる助成金交付制度の抜本的見直し計画は、政治任用者に助成金交付決定権限を与え、研究者による助成利用を制限する内容であることから、科学界や民主党からの強い反発があがっている。こうした中、OMBのラッセル・ボート局長(Russell Vought)は来年1月1日まで規則実施を延期する意向を示している。 AIP “Congress Delays OMB Grantmaking Rule with Stopgap Funding Bill” (09/02/26) https://www.aip.org/fyi/congress-delays-omb-grantmaking-rule-with-stopgap-funding-bill
SEMIとシリコン・カタリスト社、戦略的提携で覚書
国際半導体製造装置材料協会(Semiconductor Equipment and Materials Institute: SEMI)は9月2日、半導体ハードウェア・スタートアップの育成促進に向け、同分野専門のアクセラレーターであるシリコン・カタリスト社(Silicon Catalyst)とグローバルな戦略的パートナーシップを締結したと発表した。台湾で開催中の展示会「セミコン・タイワン(SEMICON Taiwan)2026」で覚書(MOU)に署名した。人工知能(AI)時代の到来に伴い、半導体技術のイノベーション加速が求められる中、SEMI会員企業にスタートアップの技術動向情報を提供し、技術開発の加速・導入を支援する。また、新興企業には世界的な業界ネットワークや投資家との接点を開放するとし、強固な国際エコシステム構築を目的としている。まずは、台湾、北米、南米、欧州での活動を展開し、将来的には世界各地のセミコン展示会で新興企業向けの企画を共同展開する計画であるという。 SEMI “SEMI and Silicon Catalyst Aim to Accelerate Global Semiconductor Innovation with Strategic Partnership” (09/02/26) https://www.semi.org/en/semi-press-release/semi-and-silicon-catalyst-aim-to-accelerate-global-semiconductor-innovation-with-strategic-partnership
BNLとサイクオンタム社、耐障害性量子計算応用開発で連携
ブルックヘブン国立研究所(Brookhaven National Laboratory: BNL)は9月2日、サイクオンタム社(PsiQuantum)のソフトウェア基盤「コンストラクト(Construct)」を活用した共同研究を開始したと発表した。2028年までに世界初の耐障害性を備えた量子計算機能を開発・展開するエネルギー省(Department of Energy)の「クオンタム・ジェネシス(Quantum Genesis)」構想の一環で、実用化に向け、開発中の耐障害性量子コンピューター用のアルゴリズム開発とその科学的応用研究を促進する。特に、材料科学や創薬、暗号などの分野で有用なアルゴリズム開発を加速させることが目的で、これに先立ち、同社は今年5月、実用規模での動作を想定して設計された同基盤を一般に公開した。これにより、研究者は量子回路設計や量子アルゴリズムのシミュレーション、リソース最適化が可能となり、同社はこうした取り組みにより科学的発見を加速し、実証につなげていく意欲を示している。 BNL “Brookhaven Lab, PsiQuantum Partner to Accelerate Quantum Application Development Using Construct Software Tool” (09/02/26) https://www.bnl.gov/newsroom/news.php?a=123142
海軍、空母搭載型無人戦闘機「CCA」の新仕様を公表
ディフェンスニュース(DefenseNews)は9月1日、海軍が空母打撃群での運用を目指す無人戦闘機「協調型戦闘機(Collaborative Combat Aircraft: CCA)」の新たな仕様要件を記載した情報提供依頼書(Request for Information: RFI)を公表したと報じた。これによると、有人戦闘機と連携して高脅威空域での攻撃任務を担う自立型ドローンで、最大5トンの兵器搭載能力と1機当たり3,000万ドル以下の製造コスト上限が設定されている。また、損失リスクを抑えつつ、30分間の対空時間確保や航続距離・打撃力拡張確保を条件とし、ニミッツ級(Nimitz-class)やフォード級(Gerald R. Ford-class)空母の既存カタパルト発進(約90メートルの距離で、わずか2秒で時速250~300kmに加速するシステム)や着艦装置に適合し、甲板や格納庫の占有面積を既存の第4世代戦闘機以下に抑える仕様となっている。海軍は、今後3年以内に陸上及び空母艦における運用が可能な2機の試作機を調達する計画で、RFIの締め切りを9月18日と設定した。 DefenseNews “US Navy unveils new specs for carrier-based Collaborative Combat Aircraft” (09/01/26) https://www.defensenews.com/industry/techwatch/2026/09/01/us-navy-unveils-new-specs-for-carrier-based-collaborative-combat-aircraft/
ユタ大学、次世代地熱発電実用化に向け循環試験を開始
ユタ大学エネルギー・地球科学研究所(University of Utah Energy & Geoscience Institute)は8月12日、最先端強化地熱発電システム(Enhanced Geothermal Systems: EGS)技術の実証施設「ユタ・フォージ(Utah FORGE)」にて、最長4カ月の長期循環試験を開始したと発表した。注入井から水を注入し、生産井から熱を回収する閉循環(クローズドループ)システムを用いて、90日間から120日間に亘り水の連続流下における貯留層の性能や水損失、温度低下の傾向を評価する取り組みで、エネルギー省(Department of Energy)が支援する。EGS技術の商業的実現性を高めるための長期データ取得を目的としており、スケール(熱や圧力の影響で結晶化した金属表面に付着する沈着物)や腐食を防ぐための水処理剤の投与量を検証する。同研究所は、2024年4月の刺激処理(物理的な刺激により熱水や蒸気の通り道を拡大)に続き、同年8月には商業規模の循環実験を実施済みで、今回、熱や水損失などの技術的課題を検証することでEGSの商用拡大に寄与していく計画である。 SEIA ” Utah FORGE Begins Extended Circulation” (08/12/26) https://utahforge.com/press-release-utah-forge-begins-extended-circulation/ 参照記事: Utility Dive “Long-term enhanced geothermal test begins in Utah” (08/27/26) https://www.utilitydive.com/news/testing-of-long-term-enhanced-geothermal-production-begins-in-utah/828975/
第2四半期蓄電容量、過去最高の20.2GWhに拡大
太陽エネルギー産業協会(Solar Energy Industries Association: SEIA)は9月1日、2026年第2四半期の国内新規蓄電容量が過去最高の20.2ギガワット時(GWh)に達したと発表した。英調査会社のベンチマーク・ミネラル・インテリジェンス社(Benchmark Mineral Intelligence)と共同作成した報告書によると、今年上半期の総導入量は30.8GWhとなり、トランプ政権発足からの18カ月間で電力系統用累計蓄電容量は88GWhから165GWhへとほぼ倍増した。旺盛な需要を背景に、2030年までの予測値も11.5%と上方修正され、683GWhとなる見通しである。全米各地でも蓄電システム導入が急増しているが、第2四半期に設置された容量の74%はテキサス州やアリゾナ州、ユタ州など共和党支持州に集中しており、特にアリゾナ州だけで州記録としては過去最高の6.2GWhとなり、全米をリードする形となった。報告書は、蓄電システムが電力の安定供給や需要への対応、電気代抑制に不可欠な信頼性の高い電力供給源として認められつつあると指摘している。 SEIA “REPORT: U.S. Adds 20 GWh of Energy Storage Capacity in Q2, Largest Quarter on Record” (09/01/26) REPORT: U.S. Adds 20 GWh of Energy Storage Capacity in Q2, Largest Quarter on Record
国防総省、防衛用半導体放射線試験施設拡張に2,210万ドル
国防総省(Department of Defense)は8月31日、防衛用マイクロエレクトロニクスの耐放射線試験インフラ拡張に向け、2,210万ドルを投じると発表した。ミシガン州立大学(Michigan State University)やトラステッド・ストラテジック・ソリューションズ社(Trusted Strategic Solutions)、ニュークロン社(Nucleon)と2年間の事業契約を締結し、国内放射線試験インフラ新設・拡張を支援する計画で、産業基盤政策担当次官補室の産業基盤分析・維持プログラム(Industrial Base Analysis and Sustainment: IBAS)を通じて資金を拠出する。具体的には、ミシガン州立大学の超伝導高周波希少同位体ビーム施設に専用のビームラインを建設し、高エネルギー重イオンビームを用いたシングルイベント効果(Single event effects: SEE、入射した単一の荷電粒子によって起こるエラー)試験実施を年間最大2,000時間まで拡大していく計画で、同省は最先端防衛システムの耐性強化につなげると説明している。 Department of Defense “Department of War Invests $22.1 Million to Expand Critical Radiation Testing Infrastructure for Defense Microelectronics” (08/31/26) https://www.war.gov/News/Releases/Release/Article/4587167/department-of-war-invests-221-million-to-expand-critical-radiation-testing-infr/
国防総省、ガリウム供給網強化に1億7,400万ドル投資
国防総省(Department of Defense)は8月31日、ガリウムの生産施設新設に向け、約1億7,400万ドルを出資すると発表した。豪政府系輸出金融公社(Export Finance Australia: EFA)や日本政府、双日社(Sojitz Corporation)との多国間連携による取り組みで、産業基盤政策担当次官補室(Office of the Assistant Secretary of War for Industrial Base Policy: OASW-IBP)が展開する産業基盤分析・維持プログラム(Industrial Base Analysis and Sustainment: IBAS)を通じて実施する。具体的には豪アルコア社(Alcoa of Australia)が新設するワガーアップ(Wagerup)精錬所で、年間100トンのガリウムを生産する計画で、同省は主要同盟国との同意により高性能半導体製造など防衛産業基盤に不可欠な元素、ガリウム供給を確保したと成果を強調した。2014年に開始した同プログラムは防衛産業基盤強化に向けこれまで200以上の事業に26億ドルを投資してきた実績があり、先端レーダーやミサイル防衛システム、衛星通信などの軍事技術開発支援に向け、既存供給網強化の必要性を説いている。 Department of Defense “Department of War Announces $174 Million Investment to Secure Gallium Supply Chain” (08/31/26) https://www.war.gov/News/Releases/Release/Article/4587183/department-of-war-announces-174-million-investment-to-secure-gallium-supply-cha/