エネルギー省、47件の規制を廃止・削減

エネルギー省(Department of Energy)は5月12日、大幅な規制緩和努力の第一歩として、47件の規制の廃止もしくは削減を提案した。これらの規制廃止・削減が実施されれば、110億ドル(試算)の節約がもたらされ、12万5,000語以上が連邦規則集(Code of Federal Regulations)から削除される。これらの措置は、トランプ大統領による「米国エネルギー発展のためのゼロベース規制(Zero-Based Regulation to Unleash American Energy)」大統領令に整合する。廃止・削除が提案されている47件の措置には、消費者家電の規格標準、建造及びエネルギー生産を制限する規制、グラント受益者に義務付けられた非科学的な多様性・公正性・包括性(Diversity, Equity, and Inclusion: DEI)要件などが含まれる。 Department of Energy “Energy Department Slashes 47 Burdensome and Costly Regulations, Delivering First Milestone in America’s Biggest Deregulatory Effort” (05/12/25) https://www.energy.gov/articles/energy-department-slashes-47-burdensome-and-costly-regulations-delivering-first-milestone

教育省、ペンシルバニア大学の外国資金調査を開始

教育省(Department of Education)は5月8日、ペンシルバニア大学(University of Pennsylvania)に対する外国資金調査を開始し、一連の記録を提出するよう要請した。この調査は、同大学の外国に関する報告の調査で、不正確かつ不完全な開示が明らかになったことを受けて実施される。1965年高等教育法(Higher Education Act of 1965)第117条により、連邦の経済援助を受けている高等教育機関は、年間で25万ドル以上相当の外国からの寄付や契約について教育省への開示が義務付けられているが、ペンシルバニア大学は数十年に亘ってその法定義務があったにもかかわらず、2019年2月まで外国資金の開示を怠っていた。教育省は、ペンシルバニア大学の法規順守と正確な開示を検証するため、同大学に対して、30日以内に税務記録(2017年~現在)や第117条を順守するために実施されていた手続き文書や事務システムの記述など一連の記録文書の提出を求めている。 Department of Education “U.S. Department of Education Opens Foreign Funding Investigation into University of Pennsylvania After Discovering Inaccurate and Untimely Foreign Financial Disclosures” (05/08/25) https://www.ed.gov/about/news/press-release/us-department-of-education-opens-foreign-funding-investigation-university-of-pennsylvania-after-discovering-inaccurate-and-untimely-foreign-financial

議会、エネルギー・プログラムを削減 共和党に分裂

下院エネルギー・商務委員会(House Energy and Commerce Committee)が5月11日に発表した調整予算文書によれば、エネルギー省(Department of Energy)の融資プログラム局(Loan Program Office: LPO)に承認されていた数千億ドルの予算の大半が撤回される可能性がある。LPOは、インフレ削減法(Inflation Reduction Act)の資金を基に、バイデン前政権の下、投機的で未来志向型の技術プロジェクトに 数億ドルから数十億ドルを注入していた。その多くはリベラル寄りのクリーンエネルギー推進であったが、LPOは超党派や共和党寄りのプロジェクトにも資金提供している。トランプ大統領が長年に亘り、クリーンエネルギーを嫌い、米国内の石油、天然ガス、石炭の強化を望んでいることを考えれば、LPOが削減の対象となることは驚きではないが、政治的にはそれほどシンプルな問題ではなく、エネルギー・プログラムを支持する右派、中道右派の議員は増加しており、本件は共和党議員の間に分裂をもたらしている。 POLITICO “Congress whacks an energy program — and splits the GOP” (05/12/25) https://www.politico.com/newsletters/digital-future-daily/2025/05/12/congress-whacks-an-energy-program-and-splits-the-gop-00342641

AIツール、論文の質低下を招く恐れ 英サリー大学

HPCwireは5月12日、人工知能(AI)ツールの普及が公開研究の質を低下させている可能性があると報じた。学術雑誌『プロス・バイオロジー(PLOS Biology)』に掲載された英サリー大学(University of Surrey)による、大規模公開データセットの国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey:NHANES)を用いた調査によると、2022年以降の研究論文が急増しており、2014~2024年に年間わずか4件だった論文が、2024年には190本にまで達したという。AIと容易なデータアクセスにより表面的で質の低い、いわば「科学フィクション(Science Fiction: SF)」のような論文が氾濫しているとし、この現状は査読プロセスを圧迫し、科学全体の質を低下させる危険があるという。AI時代における研究の信頼性確保に向け、早急な対策が必要であるとし、研究者はデータ利用の透明性向上、学術誌には統計専門家を含む査読強化や早期リジェクトの活用、データ提供者には利用追跡IDの導入などを提言している。 HPCwire “AI Tools May Be Weakening the Quality of Published Research, Study Warns” (05/12/25) https://www.hpcwire.com/off-the-wire/ai-tools-may-be-weakening-the-quality-of-published-research-study-warns/

西部、電力網連携でクリーンエネ移行を加速 コスト大幅削減も

カリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California San Diego)は4月24日、西部各州間の電力網連携の強化により、クリーンエネルギーへの移行コストを年間最大32.5億ドル削減し、脱炭素化を加速できると論じた考察が、科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)』に掲載されたと発表した。研究者らは、電力供給が州ごとに断片化されているカリフォルニア州を含む西部11州を対象に、2050年までに様々な気候政策と電力連携レベルを想定したモデルを構築し、州間連携の有無による影響を調査した結果、州間連携の強化により、エネルギーシステム全体のコスト削減効果が大きくなることが判明した。これは気候目標を持たない州にとっても、近隣州へのクリーンエネルギー輸出などを通じた恩恵があることを示唆するという。また、連携の障壁は技術的ではなく政治的なものと指摘し、リアルタイムのエネルギー共有からインフラの長期計画調整まで多岐に亘る連携を提言している。 UC SAN DIEGO TODAY “More Power Grid Connectivity in Western U.S Could Supercharge Clean Energy” (04/24/25) https://today.ucsd.edu/story/more-power-grid-connectivity-in-western-u.s-could-supercharge-clean-energy

トランプ大統領、省エネ基準を撤回

ユーティリティー・ダイブ(UTILITY DIVE)は5月12日、トランプ大統領がバイデン前政権のエネルギー効率基準と規則を撤回する4つの議会審査法(Congressional Review Act: CRA)決議に署名したと報じた。タンクなしガス給湯器や業務用冷蔵・冷凍庫、ウォークイン型冷蔵庫の効率基準が無効化されるが、うち4つ目の決議に関しては一部製品の認証要件を廃止するものの、効率基準自体は変更しない。家電製品基準啓発計画(Appliance Standards Awareness Project: ASAP)によると、これらの基準は消費者に平均112ドルの節約、企業には最大約111億ドルのコスト削減をもたらすはずだったが、決定により家庭や企業のコストは増加するという。一方、トランプ大統領は従来規制が企業コストを増やし、消費者の製品選択の自由を奪うと主張しており、環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)も省エネ製品認定プログラムのエネルギー・スター(Energy Star)終了を計画しているという。 UTILITY DIVE “Trump rolls back Biden-era efficiency rules” (05/12/25) https://www.utilitydive.com/news/trump-rolls-back-biden-era-efficiency-rules/747749/

トランプ政権の大規模人員削減計画、一時差し止め

NEXTGOV/FCWは5月12日、政府機関の大規模人員削減計画に対して、少なくとも2週間差し止めると連邦地裁が命じたと報じた。カリフォルニア州北部地区連邦地裁はトランプ政権のリストラ命令に対し、大統領には議会の同意なしに行政府を再編する権限がないとし、仮処分を下した。また、政府全体の機関再編計画(Reductions in force: RIF)を主導する政府効率化省(Department of Government Efficiency: DOGE)にも法的根拠が存在しないと認定したことを受け、行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)と人事管理局(Office of Personnel Management: OPM)が、農務省(Department of Agriculture: USDA)や内務省(Department of the Interior)、商務省(Department of Commerce)などの各省庁に要求していた人員削減は5月23日まで差し止められる。各省庁は5月13日までに当初の提案を含めた人員削減計画を連邦地裁へ提出する必要があり、5月22日に差し止め継続の是非を巡る審理が行われる見通しである。 NEXTGOV/FCW “Most major agencies must pause RIFs for at least two weeks, judge orders” (05/12/25) https://www.nextgov.com/people/2025/05/most-major-agencies-must-pause-rifs-least-two-weeks-judge-orders/405234/?oref=ng-homepage-river

下院予算法案 IT開発に5億ドル投資、州レベルAI規制も禁止

NEXTGOV/FCWは5月12日、下院エネルギー・商業委員会(House Energy and Commerce Committee:HECC)がIT改善と人工知能(AI)活用に向け5億ドルの予算措置と州レベルのAI規制を今後10年間停止する条項を2025年予算法案に盛り込んだと報じた。米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology: NIST)を通じてAIの標準化策定を担い、特許商標庁(Patent and Trademark Office:USPTO)ではAIと知的財産問題を扱う商務省(Department of Commerce)に対し、2035年までの省内のレガシーシステム改進やAI導入加速に向け資金を割り当て、州や自治体におけるAI分野での統一的な規制環境を確保する。トランプ大統領は就任直後にバイデン前大統領のAIに関する大統領令を撤回し、AI優位性を強調する独自の大統領令を発令した。現在AI開発の障壁除去に関する提案募集を進めており、この規制停止が「AI市場の成長を促し、中国などとの競争で優位に立つために必要」と評価する声も紹介している。 NEXTGOV/FCW “Reconciliation text includes $500 million for modernization and AI at Commerce” (05/12/25) https://www.nextgov.com/artificial-intelligence/2025/05/reconciliation-text-includes-500-million-modernization-and-ai-commerce/405242/?oref=ng-homepage-river

加オンタリオ州に小型モジュール炉 G7初の実用化に向け

AXIOSは5月8日、カナダのオンタリオ州政府が、日立GEベルノバニュークリアエナジー社(GE Vernova Hitachi Nuclear Energy:GEH)による300メガワット(MW)の小型モジュール炉(Small modular reactor: SMR)建設計画を承認したと報じた。オンタリオ州電力公社(Ontario Power Generation)のダーリントン原子力発電所(Darlington Nuclear Station)隣接地に同社のBWRX-300型原子炉を建設し、約30万世帯分へ電力を供給する計画で、2030年の運転開始に向け早期に工事着手する。同州の電力需要が2050年までに75%増加することが試算されていることから、安定供給に向けて、SMRを活用して4基の原子炉を導入する予定で、完成すれば西側諸国で初の実用化となる。総事業費は約209億カナダドルで、約1万8,000人の雇用を創出し、国内総生産(GDP)も約385億カナダドル増加を見込む一方で、記事はコストや技術上の課題、2023年末に頓挫したニュースケール・パワー社(NuScale Power)のアイダホ州計画について触れ、不確定要素を伝えた。 AXIOS “Ontario modular reactor to be first in “Western world,” GE predicts” (05/08/25) https://www.axios.com/2025/05/08/ontario-small-modular-reactor-to-be-first

厚生省、万能型ワクチンに5億ドル投資 コロナワクチン開発から転用

サイエンス誌(Science)は5月9日、「プロジェクト・ネクストジェン(Project NextGen)」の資金を転用し、不活化ウイルス方式のユニバーサル(万能型)ワクチン開発に約5億ドルを投入する厚生省(Department of Health and Human Services)の方針は、透明性を欠くとして科学者らが意義を唱えていると報じた。大規模助成は通常、先端研究開発局(Biomedical Advanced Research and Development Authority:BARDA)とともに公募を行い、外部専門家の審査を経るが、今回はそうした手順が踏まれていないという。「ジェネレーション・ゴールド・スタンダード(Generation Gold Standard)」と名付けられた計画による今回の決定は、過去に実用化された不活化ウイルス手法で、安全性や量産性能に利点がある一方、その有効性に十分なデータや画期的技術とされる実績がない。同省は2029年の承認を目指すが、専門家らは正当な審査なしの資金配分は公平性に問題があるとし、より多角的なアプローチの必要性を訴えている。 Science “Gold standard or appalling? HHS’s $500 million vaccine bet on inactivated viruses puzzles field” (05/09/25) https://www.science.org/content/article/gold-standard-or-appalling-hhs-s-500-million-vaccine-bet-inactivated-viruses-puzzles