エネルギー省のイノベーション部隊、第20期チーム活動中

エネルギー省(Department of Energy)傘下の国立研究所に所属する研究者チームは先般、エネルギー・イノベーション部隊(Energy I-Corps、通称アイコア)の第20期コホートの開始に際し、コロラド州ウェストミンスターに集合した。アイコアプログラムは、エネルギー省技術商業化局(Office of Technology Commercialization)によるイニシアチブで、国立研究所内で開発された革新的なエネルギー技術の商業化を加速させることを目的として、2か月に亘って実施される体験型のアントレプレナー訓練プログラムである。今期は、エネルギー省内の11のプログラム局から支援を受けた17チームが参加している。第20期コホートは3月17日より開始されており、5月中にプログラムが完了する。 Department of Energy “Energy I-Corps Cohort 20 Welcomes Dozens of New Scientists” (05/19/25) https://www.energy.gov/technologycommercialization/articles/energy-i-corps-cohort-20-welcomes-dozens-new-scientists

エネルギー省、製鉄用石炭を重要鉱物に指定 エネルギー・製造部門の安全保障を強化

エネルギー省(Department of Energy)のクリス・ライト長官(Chris Wright)は5月23日、製鉄過程において使用される石炭を、2020年エネルギー法(Energy Act of 2020)の下、重要鉱物として指定すると発表した。これは、トランプ大統領による「米国の美しいクリーン石炭産業の活性化(Reinvigorating America’s Beautiful Clean Coal Industry)」と題する大統領令に即したもので、エネルギー省は、分析の結果、 「製鉄過程において主要なインプットである原料炭は、重要鉱物の法定定義に合致する」と結論した。今回の指定は、米鉄鋼部門が直面する複数の脅威を浮き彫りにし、原料炭のサプライチェーンの脆弱性とエネルギー部門における不可欠な役割を包含したものである。 Department of Energy “Energy Department Designates Coal Used in Steelmaking as a Critical Material, Strengthening U.S. Energy and Manufacturing Security” (05/23/25) https://www.energy.gov/articles/energy-department-designates-coal-used-steelmaking-critical-material-strengthening-us

データ財団、第2次「エビデンス能力動向調査」を発表

非営利組織のデータ財団(Data Foundation)は4月30日、第2次「エビデンス能力動向調査(Evidence Capacity Pulse Report)」を発表した。連邦のデータ及び評価インフラにおける重要な変化をとりまとめたもので、データ財団の独自データベースを一部利用して作成された。前回の報告書(2025年3月)以降に明らかになった動向として、①重要な職務で広範な欠員が見られ、少なくとも17件以上の職務が空席となっている、②米国科学財団(National Science Foundation: NSF)などの連邦科学局で400件以上の助成が削減されるなど、研究プログラムの戦略的削減が見られる、③複数の連邦医療データ収集プログラムを含め、複数のデータ部門が再編されている、などが挙げられている。 Data Foundation “Data Foundation Releases Second ‘Evidence Capacity Pulse Report’” (04/30/25) https://datafoundation.org/news/press-releases/606/606-Data-Foundation-Releases-Second-Evidence-Capacity-Pulse-Report

AIがサイバーの攻撃と防衛のバランスにもたらす影響 CSET報告書

安全保障・新興技術センター(Center for Security and Emerging Technology: CSET)は今般、「サイバーの攻撃と防衛のバランスにAIがもたらす影響の予測(Anticipating AI’s Impact on the Cyber Offense-Defense Balance)」と題する報告書を発表した。サイバーセキュリティ全体を包括的に分析し、AIによる変化は、サイバー防衛側に有利をもたらすのか、それともサイバー攻撃側に有利をもたらすのかを予測したものである。報告書は、「AIによって防衛側が有利となる策は複数ある」としつつ、それは確実な保証からは程遠く、誤った判断をすれば、今後数年以内に攻撃側が有利となる可能性があると指摘する。 CSET “Anticipating AI’s Impact on the Cyber Offense-Defense Balance” (May 2025) Anticipating AI’s Impact on the Cyber Offense-Defense Balance

宇宙軍、低地球軌道の状況把握に商業技術の活用を検討

宇宙軍(Space Force)は5月16日、低地球軌道における活動を追跡、特徴付けできる企業を対象に、商業市場調査を開始した。低地球軌道へ向けて打ち上げられる商業・政府の衛星が増える中、地球の上空1,200マイル付近の領域における状況把握ニーズは高まっている。宇宙軍は市場調査の中で、ますます混雑しつつある軌道において宇宙領域の状況認識を提供できる企業からの情報を要請している。具体的には、関心のある目的物に関するより良い洞察や、潜在的な衝突に関するリアルタイムの評価を提供できるシステムを求めている。更に、低地球軌道における異常を即座に調査し、米国の宇宙資産を保護するために講じるべき措置の必要性があるか否かを判断するためのデータも必要としている。 Defense News “Space Force eyes commercial tech to fill low Earth orbit sensing gaps” (05/22/05) https://www.defensenews.com/space/2025/05/22/space-force-eyes-commercial-tech-to-fill-low-earth-orbit-sensing-gaps/

米国際貿易委員会、ソーラー業界が輸入品により被害と判断 

米国際貿易委員会(U.S. International Trade Commission: USITC)は5月20日、「米国内のソーラー業界は、カンボジア、マレーシア、タイ、ベトナムからのソーラー輸入品から甚大な損害を受けている」と判断した。4月には、商務省(Department of Commerce)が、東南アジア4カ国からのソーラー輸入品に関する反ダンピング及び相殺関税調査を行い、一部の輸出業者には最高3,403.96%の補助金率を既に適用している。今回のUSITCの判断を受け、商務省は6月9日に上記4か国からのソーラー輸入品に反ダンピング及び相殺関税命令を発動し、関税率を引き上げることが予測されている。これらの関税は、4か国から輸入される結晶シリコン太陽光電池が対象で、トランプ大統領が発動した全ての国に対する10%の追加関税に上乗せされる。 Utility Dive “Trade panel clears path for higher tariffs on some solar imports” (05/22/25) https://www.utilitydive.com/news/international-trade-commission-vote-solar-imports-tariffs-injury/748881/

大統領府、生体認証プログラムを見直し

大統領府の報道官によれば、国土安全保障会議(Homeland Security Council)は現在、連邦政府による全ての生体認証プログラムが可能な限り効果的かつ効率的に実施されていることを確実にするため、プログラムの見直しを行っているという。5月初旬には、政府効率化省(Department of Government Efficiency:DOGE)が国土安全保障省(Department of Homeland Security)内の生体認証情報管理局(Office of Biometric Identity Management)が開発を進めるクラウドベースの生体認証データベース「国土先端認証技術(Homeland Advanced Recognition Technology: HART)」プログラムの今後に関する評価に関与していると報じられた。また、税関・国境警備局(Customs and Border Protection)が運用する顔認証をベースとした渡航者検証サービス(Traveler Verification Service)も見直しの対象となっている。 FEDSCOOP “The White House is reviewing the nation’s biometrics operation” (05/20/25) The White House is reviewing the nation’s biometrics operation

共和党予算調整法案 防衛増額、クリーンエネルギー削減

米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)は5月22日、下院共和党が可決した予算調整法案が、科学技術分野に大きな影響を与えると発表した。防衛研究開発支出が大幅増額となる一方で、クリーンエネルギープログラムへの支出は大規模削減する内容で、企業の研究開発費の即時償却を再導入する一方、大学基金への課税を強化し、非営利団体の研究収入への税制優遇を廃止する。国防費は1,500億ドル増額、うちミサイル防衛システム「ゴールデン・ドーム(Golden Dome)」に247億ドル、次世代ミサイル防衛技術には188億ドルを充当、また防衛イノベーションユニット(Defense Innovation Unit: DIU)に20億ドル、国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency: DARPA)の量子ベンチマーキングや軍事用小型モジュール炉開発への支援も盛り込む。一方、インフレ抑制法(Inflation Reduction Act: IRA)によるクリーンエネルギー奨励策の多くが廃止される見通しで、特に太陽光、風力、蓄電池産業への支援が大幅縮小される。特に非原子力プロジェクトは2028年以降の税額控除終了、建設開始時期の厳格化、外国企業の関与制限など要件が課された。その影響は住宅用太陽光発電にも及び、業界団体は電気料金上昇や数万の雇用喪失に繋がると懸念する。一方で、原子力関連は優遇される。 AIP “What’s in Store for Science in Republicans’ Reconciliation Bill” (05/22/25) https://www.aip.org/fyi/whats-in-store-for-science-in-republicans-reconciliation-bill UTILITY DIVE “House GOP budget ‘worse than feared’ for clean energy: analysts” (05/22/25) https://www.utilitydive.com/news/house-gop-budget-worse-than-feared-for-clean-energy-analysts/748862/

上院、排ガス規制を撤回 公衆衛生への懸念高まる

クリーン・エア・タスクフォース(Clean Air Task Force: CATF)は5月22日、連邦議会上院が、公衆衛生保護において重要となる車両排ガス規制を可能にする環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)の免除措置を覆したと発表した。具体的に、上院は、議会審査法(Congressional Review Act: CRA)を用いて、カリフォルニア州などの州政府が、先進クリーントラック(Advanced Clean Trucks: ACT)、先進クリーン車II、大型低NOxオムニバス規則を独自に導入することを可能にした同庁免除措置を覆した。CATFが開発した分析ツール「汚れたディーゼルによる死亡(Deaths by Dirty Diesel)」によると、ACT規則の継続導入により、今後10年間で1,000人以上の命を救い、約120億ドルの健康関連損害を防げた可能性があったと試算し、CATFはディーゼルが公衆衛生に有害であることは周知の事実と主張した。ベロニカ・サルトマン弁護士(Veronica Saltzman)も同法のこのような利用は新たな悪例となり、コミュニティの有害な大気汚染を削減する取り組みを妨げると指摘する。 CATF “Spectrum IT Modernization: NTIA Should Fully Incorporate Cybersecurity and Interoperability Practices” (05/22/25) Senate overturns EPA waivers in unprecedented move to eliminate public health protections from vehicle pollution  

NTIA近代化と安全性に課題 GAOが是正を勧告

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は5月22日、国家電気通信情報局(National Telecommunications and Information Administration: NTIA)が進める周波数帯管理ITシステムの更改について、サイバーセキュリティと相互運用性の重要対策が一部不十分であると発表した。組織横断的なリスク評価や戦略の策定が不完全で、クラウドサービス利用におけるアクセス権限の定義も十分ではないという。データ標準の見直しは進めているものの、データガバナンス計画が定まらず、新規標準の運用や他機関とのデータ交換で支障が生じる恐れがある。NITAは2024年12月に総額1億1,000万ドルの契約を締結し、本格的な計画策定を進めている途上であり、当面は既存のレガシーシステムの利用をせざるを得ない状況にある。GAOは、組織全体でリスク管理策を仕上げ、システムセキュリティ計画の定期的なレビューやクラウドアクセス管理の明確化、さらにデータ管理に関する手順と役割分担を示した計画を早急に整備すべきと勧告している。これを受けてNTIAは、対応策をまとめた行動計画を策定すると表明した。 GAO “Spectrum IT Modernization: NTIA Should Fully Incorporate Cybersecurity and Interoperability Practices” (05/22/25) https://www.gao.gov/products/gao-25-107509