中国、蓄電池用鉱物の世界貿易を支配 EIA報告

中国は、世界の電池サプライチェーンのあらゆる段階で主要な役割を担っており、地域間の鉱物貿易を支配している。国連商品貿易統計データベース(UN Comtrade)によれば、中国は2023年に、約1,200万ショートトンの蓄電池用鉱物(原料及び加工済み)を輸入し(地域間貿易全体の44%)、約1,100万ショートトンの蓄電池用マテリアル、パック、部品を輸出した(同58%)。エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)は5月21日付けの記事の中で、蓄電池に必要とされる3つの主要鉱物(グラファイト、リチウム、コバルト)に関する中国と世界主要地域の貿易について考察している。 Energy Information Administration “China dominates global trade of battery minerals” (05/21/25) https://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=65305

米国の核兵器費用は今後10年間に1兆ドル 議会予算局報告

議会予算局(Congressional Budget Office: CBO)が発表した報告書「2025年から2034年における米国の核兵器費用の試算(Projected Costs of U.S. Nuclear Forces, 2025 to 2034)」によれば、米国の核兵器の運用・維持管理・更新に要する総費用は、今後10年間でほぼ1兆ドルとなる。その年間費用(950億ドル)は多くの連邦機関の支出を上回る。インドとパキスタンの衝突や、米空軍(U.S. Air Force)による「(既に遅延、予算超過している)センチネル・ミサイル(Sentinel missiles)には新たな格納庫が必要である」という発表が話題となる中で、今回の金額は更に目を引く。CBOによれば、核兵器調達プログラムの費用は、国防総省(Department of Defense)による今後10年間の調達計画費用のほぼ12%を占めることから、国防総省は、どのプログラムを推進するかについて難しい選択を迫られることになるとみられる。 AXIOS “U.S. to spend $1 trillion on nuclear weapons over next decade” (05/14/25) https://www.axios.com/2025/05/14/nuke-spending-cbo-report-criticism

アラブ首長国連邦と米国、アブダビに5GWのAIセンター設立へ

5月15日、アラブ首長国連邦(UAE)と米国がアブダビに包括的なUAE-US AIキャンパス(UAE-US AI Campus)(総容量5ギガワット(GW)のデータセンター)を建設する計画が明らかになった。UAE-US AIキャンパスは米国外では最大規模で、米国のハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)や大手企業の拠点となり、地域のコンピュータ能力を活用してグローバルサウスへ事業展開することが可能となる。キャンパスは10平方マイルに及び、UAEのAI企業であるG42社が建設し、複数の米国企業との連携を通じて運営される。この取り組みは、米国とUAE政府の間でAIと先端技術の協力及び共同作業の強化を目的とした新たな枠組み「米=UAE AI加速パートナーシップ(US-UAE AI Acceleration Partnership)」に基づいて実施される。 Department of Commerce “UAE and US Presidents attend the unveiling of Phase 1 of new 5GW AI campus in Abu Dhabi” (05/15/25) https://www.commerce.gov/news/press-releases/2025/05/uae-and-us-presidents-attend-unveiling-phase-1-new-5gw-ai-campus-abu

空軍、AIの新たなCoEを設立へ

空軍省(Department of the Air Force)は、マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology: MIT)、スタンフォード大学(Stanford University)、マイクロソフト社(Microsoft)との間の既存のパートナーシップを基に、人工知能(AI)開発の新たなセンターを創設する。新立されるのは、空軍AIセンター・オブ・エクセレンス(Air Force Artificial Intelligence Center of Excellence)で、空軍の最高データ及びAI担当官(Chief Data and Artificial Intelligence Officer)が監督する。既に、MITには空軍のAIアクセラレータ(AI accelerator)があり、スタンフォード大学の工学部(School of Engineering)は、空軍=スタンフォードAIスタジオ(DAF-Stanford AI Studio)を運用している。また、空軍はイノベーション・ランディング・ゾーン(Innovation Landing Zone)(一般的にマイクロソフト社のアジュール(Azure)のようなプラットフォームを使ったクラウド環境)に投資していることから、新たなAIセンター・オブ・エクセレンスは、マイクロソフト社のインフラを活用する計画であるという。 Air & Space Forces Magazine “Air Force Launching New Artificial Intelligence ‘Center of Excellence’” (05/13/25) Air Force Launching New Artificial Intelligence ‘Center of Excellence’ 

ベゾス地球基金、AIグランド・チャレンジの下、24件のフェーズI助成を発表

ベゾス地球基金(Bezos Earth Fund)は5月21日、「気候と自然のAIグランド・チャレンジ(AI Grand Challenge for Climate and Nature)」の下、24件の組織にフェーズI助成を提供すると発表した。助成金は各5万ドルで、初期資金額は合計120万ドルとなる。AIグランド・チャレンジは、人工知能(AI)を活用して世界で最も急務の環境課題(違法な漁業や電力網の脱炭素化など)に対処するソリューションを加速させることを意図したイニシアチブである。今年後半には、フェーズIIとして、最大15件の最も有望なプロジェクトが選出され、開発と拡大を進展させることを目的として2年間で200万ドルの実践助成金が提供される。AIグランド・チャレンジは、気候変動や生物多様性の損失等の重要な環境問題に対処する上でAI利用の変革的な可能性を探る革新的アイデアに最大1億ドルを提供するコミットメントの一環として開始された。 Bezos Earth Fund “Bezos Earth Fund Announces 24 Phase I Grants Under AI Grand Challenge for Climate and Nature” (05/21/25) https://www.bezosearthfund.org/news-and-insights/phase-i-grants-ai-grand-challenge-climate-nature?stream=top

米国アカデミー、ナノテク分野への投資強化を提言

米国科学・工学・医学アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine: NASEM)は5月20日、ナノテクノロジー分野における世界的リーダーシップ維持に向けた政府による迅速な投資強化が必要とする報告書を発表した。報告書によると、2002年から2022年までの国家ナノテクノロジー戦略(National Nanotechnology Initiative)への政府投資は約400億ドルに達し、バッテリーやマイクロエレクトロニクス、治療薬の実現などによる同期間のナノテク企業の総収益は約1兆ドルに上ったという。また連邦議会に対し、同戦略を「国家ナノテクノロジーインフラストラクチャー(National Nanotechnology Infrastructure)」として再構築・再認可するよう提言しており、高性能電子顕微鏡やナノファブリケーション装置を備えたクリーンルーム環境など専用製造設備などの共有インフラ拡充が、人工知能(AI)や量子コンピューティングなどの進歩にも不可欠と強調している。 Department of Defense “Securing U.S. Nanotechnology Leadership Through Renewed and Expanded Infrastructure — New National Academies Report” (05/20/25) https://www.nationalacademies.org/news/2025/05/securing-us-nanotechnology-leadership-through-renewed-and-expanded-infrastructure-new-national-academies-report

国防総省とUAE、防衛技術革新で協力強化

国防総省(Department of Defense)は5月19日、国防イノベーションユニット(Defense Innovation Unit: DIU)とアラブ首長国連邦(United Arab Emirates: UAE)のタワズン評議会(Tawazun Council)が防衛協力強化と最先端技術開発のための覚書(Memorandum of Understanding: MOU)を締結したと発表した。この協定はトランプ大統領が同地域を訪問中に言及した戦略的取り組みと投資に関する内容を受けた両国間による主要防衛パートナーシップ確立に向けた取り組みの一環で、防衛イノベーションにおける連携を強化し、共同能力開発の促進や産業・投資パートナーシップの拡大につなげるものである。ダグ・ベックDIU長官(Doug Beck)は「新興脅威に先手を打つためのグローバルネットワークを構築する」とし、共通作戦ニーズに呼応する両国間による賞金付き技術開発コンテストの開発やスタートアップ企業の試験施設へのアクセス提供など、民間技術の調達を加速するという。 Department of Defense “U.S. Defense Innovation Unit and United Arab Emirates Partnering to Enhance Defense-Tech Ecosystems” (05/19/25) https://www.defense.gov/News/Releases/Release/Article/4192007/us-defense-innovation-unit-and-united-arab-emirates-partnering-to-enhance-defen/

ARPA-H、適応型精密がん治療に最大1.42億ドル投入

医療高等研究計画局(Advanced Research Projects Agency for Health:ARPA-H)は5月20日、腫瘍変化に適応する個別化がん治療を目指す「精密がん治療のための高度分析(Advanced Analysis for Precision Cancer Therapy: ADAPT)」プログラムに最大1.42億ドルを投じると発表した。治療法推奨技術、進化的臨床試験デザイン、治療・分析プラットフォーム分野で、計算モデル、新規バイオマーカー、進化的臨床試験を統合し、腫瘍変化を早期検出し、治療調整する。年約200万人ががん診断を受け、うち60万人が治療困難ながんを抱える現状を踏まえ、各患者に最も正確な治療戦略を提供し、予後改善と医療負担軽減を目指すもので、アリゾナ州立大学(Arizona State University)やノースカロライナ大学チャペルヒル校(University of North Carolina at Chapel Hill)を選定した。乳がん、肺がん、結腸がんを初期対象とし、患者登録は12ヶ月以内を予定しており、開発されるアルゴリズムとデータセットは一般公開される。 ARPA-H “ARPA-H pioneers game-changing cancer care designed to adapt throughout treatment” (05/20/25) https://arpa-h.gov/news-and-events/arpa-h-pioneers-game-changing-cancer-care-designed-adapt-throughout-treatment

IRAエネルギー税控除の監視強化を GAO提言

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は5月19日、インフレ削減法(Inflation Reduction Act: IRA)に含まれるエネルギー関連税額控除について、その効果評価と不正リスク対策を強化するための監視の必要性に関する提言を発表した。同局の報告書によると、IRAは21のエネルギー税制優遇措置を含み、2022年から2031年までに少なくとも2,000億ドルの歳入減をもたらす可能性があるが、クリーンエネルギー車や省エネ建築など多岐に亘る控除について、その実績評価や不正リスク管理のための十分なデータ収集や監視体制が確立されていないという。特に歳入庁(Internal Revenue Service: IRS)と財務省(Department of the Treasury)は規則の策定を進めているものの、これまでの提言の多くが未だ実施されていない。多額の資金が動く複雑な制度であるため、政策立案者が税控除の効果を評価するために必要となる証拠や不正行為の特定などにおいてGAOが既に作成している枠組みを活用するよう促している。 GAO “Energy-Related Tax Expenditures: Information and Questions for Policymakers’ Oversight of the Inflation Reduction Act” (05/19/25) https://www.gao.gov/products/gao-25-107704

国防総省、大学向け支援助成金に15%の間接費率上限を設定

国防総省(Department of Defense)のピート・ヘグセス長官(Pete Hegseth)は5月14日、省内の指導部、戦闘軍司令官など宛てに、大学への助成金に15%の間接費率上限を設定することを通達した。設定は即時実施され、大学へ交付される全ての支援助成金における間接費率を低減する。これにより、国防総省は今後、年間9億ドルを節約できる見込みである。長官は、研究・工学担当国防次官(Under Secretary of Defense for Research and Engineering)に対して、本件に関する正式な政策ガイダンスを策定及び発表すること、大学への新規アワードに新たな標準上限率が適用されることを確実にすることなどを指示した。ヘグセス長官は更に、研究・工学担当国防次官及び支援助成金を管理する省内の部門に対して、大学への既存の支援助成金の間接費率について見直し、大学と再交渉するべく、省全体で取り組むことなどを命じた。 Department of Defense “Implementation of a 15% Indirect Cost Cap on Assistance Awards to Institutions of Higher Education” (05/14/25) https://dcg.usc.edu/wp-content/uploads/2025/05/Implementation-of-a-15-Percent-Indirect-Cost-Cap-on-Assistance-Awards-to-Institutions.pdf