内務省、ニューヨーク州沖合の大型風力プロジェクトの建設停止命令を撤回

内務省(Department of the Interior)の海洋エネルギー管理局(Bureau of Ocean Energy Management)が4月に風力発電開発事業者のエクイノール社(Equinor)に対し、同社がニューヨーク州沖合で建設中であった洋上風力計画「エンパイア・ウィンド1(Empire Wind 1)」の建設停止命令を出していた件で、内務省は5月19日、停止命令を撤回すると発表した。4月に建設停止命令が発令された際、業界関係者の間では、トランプ大統領は、洋上発電の新規許認可やリース競売を禁止するだけでなく、既に建設中のプロジェクトさえも阻止するのではとの懸念が広がった。エクイノール社は5月初旬に、プロジェクトを中止する可能性を表明していたが、今回の停止命令の撤回を受け、トランプ大統領及び連邦政府高官との協議に参加していたキャシー・ホークル・ニューヨーク州知事(Kathy Hochul)に謝意を表明した。 AXIOS “Major N.Y. offshore wind project can resume, Trump officials say” (05/20/25) https://www.axios.com/2025/05/19/major-ny-offshore-wind-project-can-resume-trump-officials-say

CATF、炭素捕獲と貯蔵、原子力エネルギー、次世代地熱の商業化に関するロードマップを発表

クリーン・エア・タスクフォース(Clean Air Task Force: CATF)は5月19日、「連邦リーダーシップの機会:エネルギー・イノベーション、商業化、導入(Opportunities for Federal Leadership: Energy Innovation, Commercialization, and Deployment)」と題する政策短信を発表した。これは、トランプ大統領がアースデー(4月22日)に、炭素捕獲と貯蔵、原子力エネルギー、次世代地熱を含むエネルギー技術への支援を表明したことを受け、これらの3つの技術を商業規模で展開していくために必要な連邦政策及び措置をまとめた政策ロードマップである。CATFは、「米国政府にとり、国内の安全保障や雇用、経済開発、より健康的な未来のためにエネルギー・イノベーションを支援することは正当な利益であり、本格的な商業化を達成するには、研究から導入に至るまでのバリューチェーン全体で連邦政府のリーダーシップが必要となる」としている。 Clean Air Task Force “Opportunities for Federal Leadership: Energy Innovation, Commercialization, and Deployment” (05/19/25) Opportunities for Federal Leadership: Energy Innovation, Commercialization, and Deployment  The Trump administration highlighted energy innovation on Earth Day, here’s what it will take 

クリーンエネルギー製造が米国経済繁栄を促進 ACP報告

米国クリーン電力協会(American Clean Power Association: ACP)は5月20日、「米国クリーンエネルギー製造の現状(State of Clean Energy Manufacturing in America)」と題する報告書を発表した。それによれば、クリーンパワー製造部門は現在、米国の国民総生産(GDP)に年間180億ドル寄与し、330億ドルの国内支出を促進し、12万2,000件の米国雇用を支えている。また、これまでに発表された全ての製造工場が稼働すれば、クリーンパワー製造部門は57万5,000件以上の雇用を支え、GDPへの寄与額は、2030年までに年間860億ドルとなる見通しである。報告書は、2022年に実施された連邦クリーンエネルギー税額控除が大きな要因となって実現されたこれらの経済及び雇用効果について詳述した上で、この勢いを継続させるため、的を絞った一連の政策ツールを活用して米国製造業を強化するよう政策策定者に要請している。こうした政策ツールには、エネルギー税額控除(45X、45Y,48C、48E)の維持、戦略的で安定した貿易環境の創出、真の包括的エネルギー戦略の促進などが含まれる。 American Clean Power “NEW REPORT: Clean Energy Manufacturing Driving Next Chapter of U.S. Economic Prosperity” (05/20/25) NEW REPORT: Clean Energy Manufacturing Driving Next Chapter of U.S. Economic Prosperity

カリフォルニア州知事、州内の電力網信頼性強化プログラムの大幅削減を提案

カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(Gavin Newsom)が先週発表した2025-2026年度の改定予算案は、電力網信頼性強化プログラムの予算を約4億2,300万ドル削減している。同州は、120億ドルの資金不足に直面しており、知事は、トランプ大統領による二転三転する関税や株市場の変動、海外からの観光客の減少を資金不足の理由に挙げて非難した。カリフォルニア・ソーラー及び貯蔵協会(California Solar & Storage Association)は、電力網の信頼性強化と緊急時の停電回避を目的として、州議会が2022年に創設した「需要側電力網強化(Demand Side Grid Support)」と「分散型電力予備資産(Distributed Electricity Backup Assets)」の両プログラムを対象とした今回の予算削減に反対している。 Utility Dive “Newsom proposes steep cuts to California grid reliability programs” (05/19/25) https://www.utilitydive.com/news/newsom-proposes-steep-cuts-to-california-grid-reliability-programs/748472/

トランプ大統領と湾岸諸国のAI契約、米国内で対中懸念につながる

トランプ大統領は先週、米国企業と湾岸諸国の間の人工知能(AI)に関する数十億ドル規模の契約案件を発表したが、米国内では多くの関係者が、中国が再び裏側から先端のAIチップへのアクセスを入手し、重要なAIインフラが米国外を拠点としていく可能性に引き続き懸念を示している。トランプ大統領や大統領に近い技術業界関係者は、米国のAI企業が国際的な契約を獲得することを望んでいるが、民主・共和両党の対中強硬派は、中国と緊密な貿易関係を持つ湾岸諸国を信用していない。下院の中国共産党に関する特別委員会(House Select Committee on the Chinese Communist Party)は5月15日、米国の先端AIチップが中国共産党のような敵対者の手中に収まることを阻止する新たな法案を発表した。 AXIOS “Trump’s AI deals in Gulf stir China fears back home” (05/16/25) https://www.axios.com/2025/05/16/trump-ai-deals-gulf-chips-china-trade-policy

半導体 第1四半期は例年通りの傾向ながら、関税により変動も

SEMIがテックインサイツ社(TechInsights)と共同で発表した「2025年第1四半期半導体製造モニター報告(Q1 2025 Semiconductor Manufacturing Monitor (SMM) Report)」によれば、世界の半導体製造業界は、今年第1四半期に例年通りの傾向を示したが、今後は、関税を巡る不確実性やサプライチェーン戦略の変化を受け、一部の部門においては例年通りとはならない可能性があるという。電子製品の売上は2025年第1四半期に前期比16%減少、前年同期比では横ばいとなり、これは例年の傾向と一致する。集積回路の売上は前期比2%減少したが、前年同期比では23%増加しており、人工知能(AI)やスパコンインフラへの継続的な投資を反映した。報告書によれば、今後は企業が通商政策の不確実性とサプライチェーンの順応という2つの課題に対処していく中、例年とは異なる傾向に直面するのではと予測している。AIやデータセンター技術の需要は明るい兆しであるものの、その他の部門では投資の遅れや需要の変化が見られるかもしれない。 SEMI “SEMI Reports Typical Q1 2025 Semiconductor Seasonality with Potential for Atypical Shifts Due to Tariff Uncertainty” (05/19/25) https://www.semi.org/en/semi-reports-typical-q1-2025-semiconductor-seasonality-with-potential-for-a-typical-shifts-due-to-tariff-uncertainty

ソーラー業界、現行の調整法案に懸念

先週、下院にて歳入委員会(House Ways and Means Committee)及び予算委員会(House Budget Committee)を通過した2025年度予算調整法案(FY 25 Budget Reconciliation Bill)では、様々な税制や歳出に関する規定が盛り込まれているが、ソーラーなどの再利用可能エネルギーに関する税クレジットの段階的廃止が定められている。これを受けて、太陽エネルギー産業協会(Solar Energy Industries Association:SEIA)は、同法案について、米国の約300件のソーラー及び電池工場を危機にさらし、2030年までに14万5,000ギガワット時(GWh)の太陽発電の損失につながるものであるとは警告している。具体的に、SEIAが発表した分析報告書によれば、この法案が変更されずに成立した場合、ほぼ30万件の現行及び将来の雇用(8万6,000件のソーラー製造を含む)が失われるという。また、悪影響を受けるソーラー製造部門の工場や雇用、投資の約80%は、先の大統領選でトランプ氏に投票した州にあると分析している。米国は、2030年までに206.5GWの新規エネルギー容量を追加する必要があり、その73%をソーラーが供給すると見込まれているが、ソーラー及びエネルギー貯蔵がない場合、米国はエネルギー不足に陥り、電気代の上昇と経済成長の鈍化をもたらす可能性があるとSEIAは指摘する。 SEIA “ANALYSIS: Without Changes, Reconciliation Bill Risks 300 Factories and a Devastating Energy Shortage for the U.S. Economy” (05/19/25) ANALYSIS: Without Changes, Reconciliation Bill Risks 300 Factories and a Devastating Energy Shortage for the U.S. Economy

対応力のあるデジタル未来の構築  米国アカデミー報告

米国において、デジタルシステムは、商業や重要インフラ、国家安全保障、日常生活と密接に結びついているが、社会における新技術の急速な導入、拡大する規模と複雑さ、そして高度化するサイバー攻撃などを要因とする急速な変化に対し、安全かつセキュアで対応力のあるシステムを維持する努力が追い付いていない状況である。そのような中、米国アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は、連邦政府や業界リーダー、研究者などが、セキュアで信頼性の高いデジタル未来へ向けて国を進展させる取り組みを整合させ、投資を優先付けする一助として、「サイバー・ハード問題(Cyber Hard Problems)」と題する報告書を発表した。報告書は、技術や慣行、政策における進展が、米国のサイバーセキュリティと対応力の強化において測定可能な変化をもたらす主要分野として、①リスクの評価と信頼、②セキュアな開発、③セキュアな構成など10件を挙げている。 National Academies “Building a Resilient Digital Future” (05/15/25) https://www.nationalacademies.org/news/2025/05/building-a-resilient-digital-future-new-national-academies-report

医療と医薬におけるAI行動規範発表 米国アカデミー特別論文

米国アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は今般、医療と医薬の分野で、責任があり、効果的かつ公平で、人間を中心とした人工知能(AI)の利用の指針となる枠組みを示す特別論文を発表した。医療におけるAIの開発・導入は加速し、変革的な成果が大きく期待されているが、これらの技術が呈するリスクに注意しなければ意図しない悪影響がもたらされる可能性がある。枠組みは、責任のあるAIの開発及び応用に関する分野を整合させるため、10件の原則と6件のコミットメントを提示しており、これらは、構成アルゴリズムに関する理解や検証、透明性の重要性から、個人や人口層での用途における誤りからの保護に至るまで、様々な問題に取り組むことを目指している。 National Academies “AI Code of Conduct for Health and Medicine Presented in New NAM Special Publication” (05/19/25) https://www.nationalacademies.org/news/2025/05/ai-code-of-conduct-for-health-and-medicine-presented-in-new-nam-special-publication

連邦地裁、エネルギー省に間接経費削減の差し止め命令 

米国大学協会(Association of American Universities: AAU)は5月15日、エネルギー省(Department of Energy)による間接経費上限政策の実施を差し止める全国的な仮差し止め命令が連邦地方裁判所によって下されたと発表した。アリソン・バロウズ判事(Allison Burroughs)は同省に対し、全国の高等教育機関へのいかなる形による同政策の実施や制定及び維持、または効力を持たせることを禁じるとした。4月16日に発令され、4月29日に延長措置が出ていた一時的差し止め命令に取って代わるもので、最終決定が下されるか、政府による上訴によって高等裁判所で同命令が覆されるまで有効となる。AAU、公立ランドグラント大学協会(Association of Public and Land-grant Universities: APLU)、米国教育協議会(American Council on Education: ACE)及び影響を受ける9つの高等教育機関が提訴していた。 Association of American Universities “Resources on AAU-ACE-APLU Legal Action Contesting DOE Cuts to F&A Reimbursement Rates” (05/15/25) https://www.aau.edu/resources-aau-ace-aplu-legal-action-contesting-doe-cuts-fa-reimbursement-rates