バークレー研究所、停電によるコストの正確な予測のために電力会社と協力

ローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory、通称バークレー研究所)所属研究者は、短期・長期停電によるコストを正確に予測するために全米の電力会社と協力し、電力網の確実性への投資の手引きとなるツールを構築している。最近の取り組みでは、局所的な24時間以内の停電のコスト予測が可能なバークレー研究所の公開ウェブサイト「停電コスト予測計算器(Interruption Cost Estimate (ICE) Calculator)」の更新及び、24時間以上に及ぶ大規模な停電のコスト予測に使用可能なツール「停電経済学ツール(Power Outage Economics Tool (POET))」の発表などが挙げられる。「ICE計算機2.0」の開発では、エネルギー省電力局(Office of Electricity)がシード資金を提供し、電力会社がバークレー研究所を直接支援している他、ICE計算機の更新にはリソース・イノベーション社(Resource Innovations, Inc.)と協力している。一方、POETプロジェクトには電力会社コムエド社(ComEd)が出資し、バークレー研究所、リソース・イノベーション社、ボストン大学(Boston University)、及び、南カリフォルニア大学(University of Southern California)の研究者が経済インパクトの予測で協力している。 Lawrence Berkeley National Laboratory “Berkeley Lab Helps Utilities Understand Power Outage Costs” (06/16/25) https://emp.lbl.gov/news/berkeley-lab-helps-utilities-understand-power-outage-costs    

2024年の米国主要エネルギー生産・消費・輸出はいずれも増加

米国における2024年のエネルギー生産は消費を上回り、エネルギー輸出は過去最高の3京900兆英国熱量単位(BTU)で、2023年から3%増となった。一方、エネルギー輸入は前年並みの2京1,700兆BTUで、エネルギー輸出は輸入を9,300兆BTU上回り、過去最大の純輸出となった。2024年のエネルギー消費は9京4,200兆BTUで、引き続き、ピークであった2007年の9京9,000兆BTUを下回る。主要エネルギー消費源は2024年も石油が最大で、消費量は過去3年とほぼ同じ3京5,300兆BTUであった。また、天然ガス消費量が過去最大の3京4,200兆BTUで、発電における天然ガス使用量増によるものと分析される。再生可能エネルギー消費は前年比5%増で過去最大の8,600兆BTUとなり、石炭消費は1949年以降最低の7,900兆BTUであった。主要エネルギー生産は過去最大の10京3,300兆BTUとなり、3年連続で前年を上回った。天然ガス・原油・天然ガス液・風力発電・バイオ燃料・太陽発電は、いずれも前年比増もしくは前年並みであった。エネルギー輸出が増加したのは石油製品・原油・天然ガスで、いずれも過去最大となり、エネルギー輸出全体に占める割合は、石油製品が37%、原油が28%であった。なお、エネルギー輸入では、1973年以降、原油が常に最大で、2024年では輸入全体の67%を占めた。 Energy Information Administration “U.S. primary energy production, consumption, and exports increased in 2024” (06/20/25) https://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=65524   

中小企業はAIを使用するもAIへの支出は多くない USバンク報告

米国の中小企業は、生成AIを受け入れつつあるものの、AIへの支出は多くないようである。この度USバンク社(US Bank)が発表した報告書によると、中小企業(年間売上が2,500万ドル以下で従業員が99人以下)の36%は既に生成AIを利用しており、21%が1年以内に生成AIを利用する見込みとしている。また、多くの中小企業は現在、無料または低価格のエントリーレベルのAIサービスを利用している。つまり、オープンAI社(OpenAI)、アンソロピック社(Anthropic)、グーグル社(Google)といったAI企業がこの市場から大きな収入増を期待することはまだできないことを意味する。報告書によれば、「生成AIを使用している」と回答した中小企業の68%は、AIサービスの利用にかかる費用は毎月50ドル未満としている。 US Bank “The Small Business Perspective: Leading Through Change, Shaping a Legacy” (June 2025) https://www.usbank.com/dam/en/documents/pdfs/about-us-bank/leading-through-change-shaping-a-legacy.pdf 参考:https://www.axios.com/2025/06/20/small-business-ai-use

トランプ大統領の燃費基準見直しや税額控除終了は、米国の電気自動車販売に打撃

共和党とトランプ政権が、税額控除や排出基準の見直しをする中、アナリストらは今後の米国における電気自動車(EV)の売上予測を下方修正している。例えば、ブルームバーグNEF社(BloombergNEF)が6月20日に発表した報告によれば、2030年に米国乗用車販売にEVが占める割合予測は27%であり、これは昨年の報告における約48%から下落した。トランプ政権による燃費基準や排出規則の見直し、7,500ドルの消費者向け税額控除の終了、充電インフラへの予算削減、自動車輸入関税などが、予測低下につながっているという。また、1か月前には、国際エネルギー機関(International Energy Agency: IEA)が米国のEV売上予測売上を大幅に下方修正しているほか、ロジウム・グループ(Rhodium Group)は6月18日、「政策と市場不確実性により、米国の蓄電池製造への投資は冷え込み、既存の計画にリスクをもたらしている」と報告した。 AXIOS “Trump rollbacks, vanishing tax credits to hammer U.S. EV sales” (06/20/25) https://www.axios.com/2025/06/18/ev-sales-seen-to-plummet

最高裁判決、カリフォルニア州のEV規制に暗雲

連邦最高裁は6月20日、燃料生産事業者は、カリフォルニア州に対し車両排出及び電気自動車に関する独自政策策定・実施を認めた環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)の決定に関し、訴訟を起こす権利があるとの判決を下した。カリフォルニア州は既に、連邦基準よりも厳しいカリフォルニア州規制の無効化を目指す共和党及びトランプ政権と対立しているが、今回の判決(7対2)は、同州に対する更なる攻撃を可能にする。カリフォルニア州は、2035年までにガソリン駆動車の販売を段階的に廃止するという別途の規制(今回の訴訟とは関係ない規制)を掲げており、これも影響を受ける可能性がある。ブレット・カバナー最高裁判事(Brett Kavanaugh)は、控訴審の判断を覆し、「カリフォルニア州のクリーン自動車規制によって損害を受けている」と主張する燃料生産事業者側を支持した。 AXIOS “Supreme Court ruling could bring fresh risks to California EV rules” (06/20/25) https://www.axios.com/2025/06/20/supreme-court-ruling-california-ev-rules

米国宇宙軍、第2回AIチャレンジへの登録受付を開始

米国宇宙軍(United States Space Force)による第2回AIチャレンジ(Artificial Intelligence Challenge)への登録受付が開始された。2025年のAIチャレンジは、2025年7月16日から開始され、同年12月にフロリダで行われる宇宙パワー会議(Space Power Conference)での授賞式まで続く。今年のチャレンジは、AIにおける共同作業とイノベーションの育成を目的として設計されている。参加チームは、学習セッションに参加し、課題に対処するAIソリューションの開発に取り組む。チームはその後、各自のソリューションを技術専門家へ発表して採点が行われ、その点に基づいて選出されたチームが10月に各自のソリューションを空軍省(Department of the Air Force)の上層部へ発表する。全ての軍部及び政府機関に応募資格があり、チームは、宇宙軍職員(士官、兵士、文官)をチームの主幹(リード)とする必要がある。チームは、作戦(Operations)、宇宙調達(Space Acquisitions)、スタッフ支援(Staff Support)の3部門で争う。 United States Space Force “USSF opens registration for second annual AI challenge” (06/18/25) https://www.spaceforce.mil/News/Article-Display/Article/4220376/ussf-opens-registration-for-second-annual-ai-challenge/

NIST、ラボプログラム担当アソシエイトディレクターにシャヤム・サンダー氏

米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)は、ラボラトリープログラム担当アソシエイトディレクター(Associate Director for Laboratory Programs: ADLP)として、シャヤム・サンダー氏(Shyam Sunder)が2025年6月1日付けで就任したことを発表した。サンダー氏は、ADLPとして米国の技術イノベーションを下支えする計測・研究サービスを提供するNISTラボの監督を行う。同氏は、以前は、NISTの特別プログラム局(Special Programs Office)のディレクター、標準調整局(Standards Coordination Office)のディレクター代理を務めていた。1994年にNISTに移籍する前は、マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology)の教員を務めていた。 NIST “NIST Names Shyam Sunder Associate Director for Laboratory Programs” (06/20/25) https://www.nist.gov/news-events/news/2025/06/nist-names-shyam-sunder-associate-director-laboratory-programs

エネルギー省、パリセーズ原発の再稼働へ向け4回目の融資支払い

エネルギー省(Department of Energy)のクリス・ライト長官(Chris Wright)は6月20日、パリセーズ原子力発電所(Palisades Nuclear Plant)の再稼働へ向けた資金の一助として、融資プログラム局(Loan Programs Office)がホルテック社(Holtec)に4回目の融資支払いを実施したと発表した。今回支払われたのは、本原発に関する最大15億2,000万ドルの融資保証のうちの約1億ドル。パリセーズ原発は運用を停止しており、原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission: NRC)の承認を得られた場合、米国で最初の商業原子炉の再稼働となる。2024年9月の融資保証財務の締結以来、これまでに約2億5,200万ドルの融資保証資金がホルテック社へ支払われている。 Department of Energy “DOE Approves Fourth Loan Disbursement to Restart the Palisades Nuclear Plant” (06/21/25) https://www.energy.gov/articles/doe-approves-fourth-loan-disbursement-restart-palisades-nuclear-plant

NSF ZEUS、米国内で最高出力のレーザーを達成

ミシガン大学(University of Michigan)にある米国科学財団(National Science Foundation: NSF)ゼタワット相当超短パルスレーザーシステム(Zettawatt-Equivalent Ultrashort laser pulse System: NSF ZEUS)は現在、米国内で最高出力のレーザーを有しており、そのピーク出力は米国内のその他のレーザーの約2倍である。NSF ZEUSの研究者は、2ペタワット(2兆ワット)のレーザーパルスを達成した。このパルスの持続時間は、25クインティリオン分の1秒(25 quintillionths of a second)と極めて短く、その瞬間のレーザー出力は世界全体の電力供給量の100倍以上に相当した。NSF ZEUSレーザーは、米国内の科学者が量子物理学やプラズマ科学を含む広範な分野の実験に利用でき、医薬や国家安全保障、マテリアル科学などで応用できる可能性がある。 NSF “NSF ZEUS becomes the most powerful laser in the U.S.” (06/18/25) https://www.nsf.gov/news/nsf-zeus-becomes-most-powerful-laser-us

FDA、遺伝子操作を目的として米国民の細胞を敵対国のラボへ輸出する臨床試験を停止

食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)は6月18日、米国民の生細胞を中国やその他の敵対国へ送り、遺伝子操作を行った後、米国の患者に再注入するという新規臨床試験を即座に精査すると発表した。これらは、患者本人の同意や認識がないまま実施される場合もあったという。今回のFDAの措置は、これらの臨床試験の一部において参加者の生体試料が海外へ移送、操作されることを本人に情報提供せずに行われ、それによって慎重に取り扱うべき米国民の遺伝子データが、敵対者を含む海外政府によって誤用される可能性にさらされていたことを示す証拠が増大していることを受けて実施された。この慣行は、バイデン前政権下で2024年12月に最終取りまとめされたデータセキュリティ規則における例外措置によって可能になったものである。FDAはこの例外措置に基づいて行われている全ての関連臨床試験を精査し、企業には完全な透明性、倫理的同意、慎重を要する生体試料の国内での取り扱いについて実証を求める予定である。 National Institutes of Health “FDA halts new clinical trials that export Americans’ cells to foreign labs in hostile countries for genetic engineering” (06/18/25) https://www.nih.gov/news-events/news-releases/fda-halts-new-clinical-trials-export-americans-cells-foreign-labs-hostile-countries-genetic-engineering