大統領府、コロンビア大学へのNIH助成支給保留を解除

大統領府は、コロンビア大学(Columbia University)への国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)助成支給保留を解除したことが内部通信文書で明らかになった。NIHは、トランプ大統領及び大統領府当局者が同大学におけるイスラエル・ハマス間での戦争抗議活動への対応を批判したことを受け、3月に同大学への助成2億5,000万ドルの支給を取り消したが、その後、4月に約7億ドル相当のNIH助成残額の支給保留を発表していた。その後、コロンビア大学は、抗議活動に参加した学生の処分を含む大統領府の要求に対応したため、大統領が5月に同大学はハーバード大学(Harvard University)のような直接攻撃対象からは除外されたと発言していた。NIHは、6月18日に助成担当者に電子メールを送付して、コロンビア大学への助成支給再開を指示している。なお、方針変更の経緯や、取り消された助成の取り扱いなどについては、内部電子メールには明確に提示されていない。 Science “Breaking: Trump administration lifts freeze on NIH funding to Columbia University” (06/18/25) https://www.science.org/content/article/breaking-trump-administration-lifts-freeze-nih-funding-columbia-university     

CNAS、米・豪・印・日4カ国安全保障対話の協力拡大・強化への提案事項を提示

新アメリカ安全保障センター(Center for a New American Security:CNAS)は6月18日、米国・オーストラリア・インド・日本で構成される4カ国安全保障対話(Quadrilateral Security Dialogue:Quad)の進化を評価し、協力拡大・強化手段に関する提案事項を提示した報告書を発表した。主な提案事項には、①地域情報融合センターを活用したインド・太平洋海洋領域認識イニシアティブの拡大、②東南アジア諸国の参加を含めた船舶監督ミッション「クワッド・アット・シー(Quad-at-Sea)」の拡大、③地域海底ケーブルインフラのための資金収集と投資調整、④クワッド海洋作業部会と東南アジア手国との協力を通したメカニズムの開発、⑤クリティカルミネラルに関する官民セクタ協力の強化、⑥クワッド主導のサプライチェーン危機対策ネットワークの開発、⑦東南アジア諸国連合(Association of Southeast Asian Nations)との全般的協力強化、⑧他の小地域組織との対話拡大、などが挙げられている。 Center for a New American Security “New CNAS Report on Next Phase of Quad Cooperation in Indo-Pacific” (06/18/25) https://www.cnas.org/press/press-release/new-cnas-report-on-next-phase-of-quad-cooperation-in-indo-pacific

米国アカデミー、NRC傘下プログラム部門の大幅組織改革を発表

米国科学工学医学アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は6月16日、米国学術研究会議(National Research Council:NRC)傘下のプログラム部門の大幅組織改革を発表した。これは、米国アカデミー運営委員会作業部会が監督する1年間の戦略分析・計画プロセスの結果と急速に変化する連邦政策・予算状況によるもので、組織の合理化・機敏化を図るとしている。具体的に、現行の5つのプログラム部門が2つのセンターに統合され、各センターがそれぞれ6つのプログラム分野を取り扱うことになる。NRCの湾岸研究プログラム(Gulf Research Program)と輸送研究委員会(Transportation Research Board)は現行形態をほぼ維持する一方、組織全体の活動及び戦略計画優先事項を統合して、①国際ネットワーク・協力・安全保障局(Office of International Networks, Cooperation, and Security)、②戦略・エンゲージメント局(Office of Strategy and Engagement)、③フェローシップ局(Office of Fellowships)、という3部署が新設される。組織改革には直ちに着手され、2025年秋までに完了見込みである。 National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine “National Academies Launch Restructuring to Become a More Streamlined, Nimble Organization; Mission Remains Top Priority” (06/16/25) https://www.nationalacademies.org/news/2025/06/national-academies-launch-restructuring-to-become-a-more-streamlined-nimble-organization-mission-remains-top-priority

GAO、排出量縮小に向けた費用効率性ツールに関する情報伝達改善を運輸省に提案

政府説明責任局(Government Accountability Office:GAO)は6月18日、運輸省(Department of Transportation)渋滞緩和・大気質改善プログラム(Congestion Mitigation and Air Quality Improvement Program:CMAQ)に関する調査結果をまとめた報告書を発表した。GAOは、①州政府によるCMAQ資金使用状況、②排気量縮小に関するCMAQプロジェクトの費用効率性、③CMAQプロジェクト評価ツールに関する運輸省から州政府への情報伝達状況、の3点を調査した。その結果、1)2015年度~2023年度に、CMAQ 新規プロジェクト700~1,200件開始のために州政府は年間9億~19億ドルを支出し、約80%は輸送・交通流改善及び自転車・歩行者プロジェクトに使用、2)21種類のCMAQプロジェクトの費用効率性評価を支援するために運輸省が2020年に作成した表を使用して2015年度~2023年度開始プロジェクトの評価を行った結果、プロジェクト全体の88%及びそのコストの82%は、運輸省が費用効率性が低いと評価した種類に分類、3)運輸省は州政府への同ツール関連情報を提供しているものの継続的には行われず、などが判明した。これらの結果を受けて、GAOは連邦道路管理局(Federal Highway Administration:FHWA)長官に対し、同ツールに関する州政府との継続的情報提供を改善するよう提案している。 U.S. Government Accountability Office “Federal Highways: DOT Should Improve Communications on Its Cost-Effectiveness Tool for Emissions Reductions” (06/18/25) https://www.gao.gov/products/gao-25-107366    

1950年代以降の連邦研究開発資金、開発中心から研究中心に移行

米国科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics:NCSES)は6月18日、1950年代から現在までの連邦政府の研究開発関連支出の推移について調査した報告書を発表した。支出には、製品発注・契約締結・サービス購入などが含まれる。「研究(基礎・応用)」「開発」「研究開発施設」という3つのカテゴリー別で推移を調査した結果、1956年度~2024年度の支出額は、「研究」が61億ドルから787億ドルに増加、「開発」が152億ドルから774億ドルに増加、「研究開発施設」が20億ドルから42億ドルに増加していることが判明した。また、各カテゴリーが支出全体に占める割合は、同期間中に「研究」が26%49%に増加した一方、「開発」は65%から48%に減少し、「研究開発施設」も9%から3%に減少した。なお、本報告書の全データはから閲覧可能である。 National Center for Science and Engineering Statistics “Since the 1950s, Federal R&D Funding Has Shifted from Development to Research” (06/18/25) https://ncses.nsf.gov/pubs/nsf25344   

ボストン裁判所、NIHにDEI助成金停止の差止判決

サイエンス誌(Science)は6月16日、ボストン連邦地方裁判所のウィリアム・ヤング判事(William Young)が、トランプ政権下で今年初めに打ち切りとなった約800件の助成について即時復活するよう国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)に命じたと報じた。判事は、特に人種間の健康格差やトランスジェンダーの健康に関する研究が政治的な理由で終了されたことは恣意的かつ不合理である上、法的に有効な手続きもなかったと指摘した。裁判所での2時間に亘る審理で、特定の助成が違法な差別を支援したという証拠が不足しており、NIHの決定に関する根拠がほとんどないと結論付けた。また、裁判所が今後、被害者による差別の証拠を検討することを表明し、政府による差別が見られた場合には明確に禁止する意向を示した。今後、この判決がどれだけの範囲に適用されるのか、また助成金申請の再募集が行われるかについても判断が行われる予定である。 Science “Judge orders NIH to restore hundreds of grants cut under Trump” (06/16/25) https://www.science.org/content/article/judge-orders-nih-restore-hundreds-grants-cut-under-trump

米中ハイテク覇権、グローバル・サウスが鍵に

アトランティック・カウンシル(Atlantic Council)は4月16日、米中間の技術覇権競争において新興国・途上国(グローバル・サウス)市場の重要性が高まっているとまとめた報告書を発表した。中国は過去20年間に情報通信技術(ICT)分野で途上国への投資を積極的に行い、ファーウェイ社(Huawei)やZTE社などの企業が東南アジアやアフリカ、ラテンアメリカなどのグローバル・サウス地域で強い影響力を持つに至ったという。またAI(人工知能)分野でも最小限の計算能力しか必要としない軽量モデル、低コストで効率的なソリューションやオープンソースモデル(無料)を公開し、新興国市場での存在感を高めていることから、米国は優位性維持に向け、途上国のニーズに合わせた技術開発や、日本やオーストラリアに加え、EUなどの同盟国との連携強化が必要としている。また報告書は、今後の技術覇権競争において、地政学的、経済的、規範的な3つの側面で途上国市場の重要性が一層増すと指摘している。 Atlantic Council “Navigating the US-PRC tech competition in the Global South” (04/16/25) Navigating the US-PRC tech competition in the Global South

中国の諜報機関、AIに多額の投資 

ニューヨーク・タイムズ紙(The New York Times)は6月17日、中国が人工知能(AI)を活用して諜報活動を強化していると報じた。レコーデッド・フューチャー社(Recorded Future)のインシクト・グループ(Insikt Group)の報告によると、中国の情報機関はAIを用いて情報分析の効率化や作戦計画の策定に取り組んでいるという。具体的には特許申請や契約を通じたAI活用で、特にディープシーク社(DeepSeek)などの国産モデルを採用していると分析している。中国政府は外国モデルの使用により資本主義的価値観が入り込む可能性を懸念しており、中国の情報製品は共産党のイデオロギーに影響されている傾向があるとも伝えた。一方でオープンAI社(OpenAI)は6月、同社のAIツールを悪意のある方法で使用しようとしたケースを防御したと報告、中国による不正利用に対抗する措置を講じた。 The New York Times “China’s Spy Agencies Are Investing Heavily in A.I., Researchers Say” (06/17/25) https://www.nytimes.com/2025/06/17/us/politics/chinas-ai-spy-agencies.html

メタ、ニューメキシコ州データセンター向け地熱発電契約を締結

ユーティリティー・ダイブ(UTILITY DIVE)は6月17日、メタ社(Meta)と地熱エネルギーのXGSエナジー社(XGS Energy)がニューメキシコ州で150メガワット(MW)の次世代地熱発電を開発する契約を締結したと発表した。2024年8月に発表されたメタ社によるセージ・ジオシステムズ社(Sage Geosystems)との初の地熱契約に続く取り組みで、同社は天候に左右されないカーボンフリーの電力を獲得することで、人工知能(AI)の発展やデータセンター拡大を支える方法を模索しつつ、新たなエネルギーの供給開拓につなげる。操業時に水を一切使用しない独自の地熱発電技術を開発するXGSエナジー社が計画する新地熱発電所は、2期に分けて建設され、2030年までに完成・稼働開始を予定しており、同州の地熱生産を10倍に引き上げるとしている。この計画により、州には10億ドルの投資がもたらされ、多くの雇用が創出される見込みである。 UTILITY DIVE “Meta signs geothermal power deal for New Mexico data centers” (06/17/25) https://www.utilitydive.com/news/meta-xgs-energy-announce-geothermal-deal-new-mexico-data-centers-ai/750913/

グーグルとCTCグローバルが提携 先進導体導入で電力網増強へ

ユーティリティー・ダイブ(UTILITY DIVE)は6月16日、グーグル社(Google)と導体メーカーのCTCグローバル社(CTC Global)が提携し、先進導体を用いた電力網強化に向け、州や電力会社、送電開発業者と提携すると報じた。先進導体は既存の鉄塔や電柱を活用しつつ、通常の送電線より多くの電力を運ぶことができるもので、両社はこの配備に適した地域特定に向け、関連機関に情報提供要請(Request for information: RFI)を公開する。回答期限は7月14日で、採択後すぐに関連地域への提案依頼も行う予定である。具体的には国内送電網の容量向上を目的としたプロジェクトで、特にグーグル社のデータセンターが存在する地域を優先する見込みとし、送電事業者による効率的かつ費用対効果の高い解決策の検討を求めている。選定された地域は、CTCグローバル社のACCC(Aluminum Conductor Composite Core)導体の展開に関する金銭的支援や技術研究支援を受けることができる。 UTILITY DIVE “Google, CTC Global partner to deploy advanced conductors” (06/16/25) https://www.utilitydive.com/news/google-ctc-global-advanced-conductors-transmission/750878/