トランプ大統領の貿易及び税政策により、米国の蓄電池ブームが鈍化

バイデン前政権及び連邦議会による近年の寛大なインセンティブを受け、蓄電池製造が米国内で本格的に始動し始めていたが、トランプ政権及び連邦共和党議員が、中国による米国市場へのアクセスを制限しようとする中、蓄電池生産は停滞し始めたようである。ミシガン州マーシャルでフォード自動車(Ford Motor)が30億ドルを投じて建設中の蓄電池工場は来年から自社の電気自動車向け蓄電池を生産する予定であったが、フォード自動車は中国の蓄電池企業大手から技術ライセンスを受けており、現在審議中の下院法案の下では同中国企業は連邦助成金の対象とはならない。サウスカロライナ州やワシントン州でも、蓄電池生産工場への大型投資の再検討や建設遅延などが生じている。トランプ大統領の政策法案は、米国にとって困難なジレンマを呈する。米国は国内に蓄電池産業を創出し、中国への依存を削減したいと望んでいるが、中国は既にこの業界で支配的存在となっており、米国が中国企業の協力を得ずに重要なプレイヤーとなることは極めて難しいとみられている。 New York Times “Trump’s Trade and Tax Policies Start to Stall U.S. Battery Boom” (06/16/25) https://www.nytimes.com/2025/06/16/business/energy-environment/trump-battery-factories-electric-vehicles.html

米国中西部におけるバイオ燃料の再考 世界資源研究所報告

世界資源研究所(World Resources Institute)は6月10日、「米国中西部におけるバイオ燃料の再考(Rethinking Biofuels in the US Midwest)」と題する報告書を発表した。中西部における第一世代のバイオ燃料が環境、経済、社会に及ぼす影響について論じたもので、トウモロコシや大豆をベースとするバイオ燃料が、どのようにして土地利用の変化や温室効果ガス排出の増加、水質の劣化、不平等な経済的恩恵に影響しているかを分析している。バイオ燃料を航空向けに使用することへの関心が高まる中、本報告書は政策策定者に対して、将来の気候及び農業政策におけるバイオ燃料の役割について再度評価し、中西部コミュニティ及び生態系のためにより持続可能で公平な代替策を模索するよう要請している。 World Resources Institute “Rethinking Biofuels in the US Midwest” (06/10/25) https://www.wri.org/research/rethinking-biofuels-us-midwest

NIH、助成金打ち切りの判断に一貫性が見られず

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)は、政治的に問題のあるトピックに関する助成金を既に1,700件以上打ち切りにしているが、更に約3,200件のグラントを再審査及び打ち切りの可能性のある事案として挙げている。これまでに実施された助成金打ち切りの合法性を問う訴訟において、原告側は「NIHは、証拠開示手続きの一部として関連文書を提出する義務に違反している」と主張している。NIH側は、「打ち切りの対象となる助成金選定方法に関する正式な指針文書はない」または「それらは特権に基づくものであり、開示する必要はない」と主張している。しかし、サイエンス誌(Science)が入手したNIHの内部指示書によれば、その手法には一貫性がなく、一部は再審査の条件定義に矛盾が見られるという。 一例として、多様性・公平性・包括性(Diversity, Equity, and Inclusion: DEI)に異なる定義があるという。6月16日に行われる法廷審問の中核は、これまでの打ち切りは、恣意的で一貫性がないものであったか否か、つまり合理的な意思決定に基づくものではなかったのかという点となっている。 Science “Exclusive: NIH documents reveal inconsistencies in grant terminations as agency reviews 3200 more” (06/13/25) https://www.science.org/content/article/exclusive-nih-documents-reveal-inconsistencies-grant-terminations-agency-reviews-3200

蓄電池により電力網の信頼性が強化 NERC報告

北米電力信頼性コーポレーション(North American Electric Reliability Corp.: NERC)が発表した「2025年信頼性に関する報告:2024年のバルク電力システムのパフォーマンス評価(2025 State of Reliability: Assessment Overview of 2024 Bulk Power System Performance)」によれば、2024年には北米で気象関連の事象が30件あり、合計で10億ドル以上の損害をもたらしたが、これまでの同様規模の事象とは異なり、運用者が主導して行う負荷遮断には至らなかったという。一方、北米の電力網にとり、データセンターなどの大規模負荷の増加などは課題になっているが、蓄電池エネルギー貯蔵システムが極めて集中している地域では信頼性の改善が見られる。一例として、テキサス州では2024年に電力網の周波数を安定させるための調整サービスに必要な電力容量の全てを蓄電池が供給した事態が複数回あったと報告している。 North American Electric Reliability Corporation “2025 State of Reliability” (June 2025) https://www.nerc.com/pa/RAPA/PA/Performance%20Analysis%20DL/NERC_SOR_2025_Overview.pdf https://www.utilitydive.com/news/batteries-grid-state-of-reliability-nerc/750649/

業界は更なる研究資金、官民パートナーシップを要請 国家AI戦略へのコメント

大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)とネットワーク・情報技術研究開発 (Networking and Information Technology Research and Development: NITRD)の国家調整局(National Coordination Office: NCO)が先般、「2025年国家AI研究開発戦略計画(2025 National Artificial Intelligence (AI) Research and Development (R&D) Strategic Plan)」策定への情報提供を要請していた件で、民間企業は連邦政府に対して、米国のAIシステムの発展への情報提供となる技術分野全般での多様な投資の優先付けや、規格標準開発における主導、官民パートナーシップの推進を要請した。グーグル(Google)、IBM、アンソロピック(Anthropic)、アマゾン(Amazon)など、AIイノベーションの業界リーダー各社がそれぞれの要望を政府に提出したものである。これら4社は、いくつかの共通するテーマに言及していたが、最も顕著であったのは、AIシステムに関連する様々な科学技術の取り組みへの持続的な連邦投資の必要性を主張している点であった。 Nextgov “Industry calls for more research funding, public-private partnerships in the National AI Strategy” (06/12/25) https://www.nextgov.com/artificial-intelligence/2025/06/industry-calls-more-research-funding-public-private-partnerships-national-ai-strategy/406028/?oref=ng-homepage-river

米国のAIイノベーション防衛を目的とした超党派の下院法案が提出

下院情報特別委員会(House of Representatives Permanent Select Committee on Intelligence)及び中国共産党に関する特別委員会(House Select Committee on the Chinese Communist Party)のメンバーであるダリン・ラフード議員(Darin LaHood、イリノイ州選出共和党)は6月12日、同委員会の委員長であるジョン・モーレナール議員(John Moolenaar、ミシガン州選出共和党)、ランキングメンバーのラジャ・クリシュナムールティ議員(Raja Krishnamoorthi、イリノイ州選出民主党)らと共に、超党派で「先端AI安全保障準備法案(Advanced AI Security Readiness Act)」を提出した。同法案は、国家安全保障局(National Security Agency:NSA)に米国の先端技術を外国の敵対者から防護することを目的としたAI安全保障政策を策定するよう指示するもの。ラフード議員は、「中国のディープシーク社(DeepSeek)は、違法な蒸留技術を用いて米国のAIモデルから洞察を搾取し、自国の技術開発を加速させているという証拠がある」としている。 Congressman Darin LaHood “LaHood, Bipartisan Colleagues Introduce Legislation to Defend American AI Innovation” (06/12/25) https://lahood.house.gov/news?ID=AF8858C8-FEBA-4CC8-A3C0-4A71BB007072

GM、関税とEVの不振に直面する中、米国工場に40億ドルを投資へ

ゼネラルモーターズ社(General Motors: GM)は、高関税と電気自動車(EV)の売上不振という2つの課題に対処するため、米国内での更なるガソリン自動車の生産に40億ドルを投資する。この計画は、トランプ大統領の関税政策に取って明らかな勝利とみなされ、GM社にとっても、米国内での自動車生産増によって関税を回避できると同時に、売れ行きが好調な自動車を生産するという実務的な理由がある。同社は、ミシガン州、カンザス州、テネシー州にある工場でガソリン駆動の自動車生産を増産し、その一部はメキシコからの移転となる。また、ミシガン州のオリオン組立工場で当初予定していた電気ピックアップトラックの生産計画を中止する。 AXIOS “GM to invest $4 billion in U.S. factories as tariffs mount and EVs slow” (06/11/25) https://www.axios.com/2025/06/10/gm-tariffs-factories

アマゾン社、ペンシルバニア州でAIデータセンター建設に200億ドルを投資

アマゾン社(Amazon)の幹部とペンシルバニア州のジョシュ・シャピロ知事(Josh Shapiro)が6月9日に発表したところによれば、同社は200億ドルを投じてペンシルバニア州内にデータセンター複合施設を建設する。アマゾン社の人工知能(AI)及びクラウド・コンピューティング事業の拡大が狙いであり、ペンシルバニア州にとっては史上最大の民間投資となる。データセンターは、バックス郡フェアレスヒルズのキー・ストーン・トレード・センター(Keystone Trade Center)及びルザーン郡のセーラム・タウンシップ(Salem Township)に複合施設として建設される予定で、最初の施設は今後数年以内に建設される。アマゾン社は同州内で更なるデータセンター用の追加拠点を検討しているという。 AXIOS “Amazon to invest $20B in building AI data centers in Pennsylvania” (06/09/25) https://www.axios.com/local/philadelphia/2025/06/09/amazon-data-centers-pennsylvania

EPA、新たな再生可能燃料基準を提案

環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)は6月13日、2026年及び2027年向けの再生可能燃料基準(Renewable Fuel Standard: RFS)を提案した。今回発表されたEPAの「セット2(Set 2)」案は、米国産バイオ燃料の使用を拡大し、米国エネルギーを促進し、農村経済を支援するという議会の当初の意図に基づくものである。今回の提案は主に3つの要素(①主要な再生可能燃料について高い増加目標を設定する、②外国産の再生可能燃料及び原料の価値を低減することで「米国第一」とする、③電気自動車の義務付けを廃止という大統領の目標の進展へ向け、RFSプログラムの下で電気を適格な再生可能燃料の一つとすることを廃止する)で構成される。RFSは歴史的に、燃料の量を増減させるだけの「1つのダイアル」システムであったが、EPAは今回、バイオ燃料及び原料が外国産の場合、その価値を国内産の50%に削減する「2つ目のダイアル」を提案している。 Environmental Protection Agency “EPA Proposes New Renewable Fuel Standards to Strengthen U.S. Energy Security, Support Rural America, and Expand Production of Domestic Fuels” (06/13/25) https://www.epa.gov/newsreleases/epa-proposes-new-renewable-fuel-standards-strengthen-us-energy-security-support-0

運輸長官、規則に準拠しない自立走行車の免除措置プロセスを合理化

ショーン・ダフィー運輸長官(Sean P. Duffy)は6月13日、米国道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration: NHTSA)が連邦規則第49編第555部(49 CFR 555)(通称「第555部(Part 555)」)の免除措置プロセスを合理化し、自立走行車の安全開発を更に加速させる計画であると発表した。連邦自動車安全基準(Federal Motor Vehicle Safety Standards)に全面的に準拠しない自動車を年間で最大2,500台まで販売できる点は継続される。これには、従来型の運転ハンドルや運転者が操作するブレーキ、バックミラーを備えていない自動車が含まれる。自動車メーカーは自社の自動車が基準に準拠している自動車と同等の安全を提供していること、免除措置が公共の利益に適うものであることを実証しなくてはならない。従来、基準に準拠しない自立走行車の承認には数年を要していたが、今回の合理化措置により簡素化される。 Department of Transportation “U.S. Transportation Secretary Sean P. Duffy Streamlines Exemption Process for Noncompliant Automated Vehicles” (06/13/25) https://www.transportation.gov/briefing-room/us-transportation-secretary-sean-p-duffy-streamlines-exemption-process-noncompliant