GAO、FAAによる航空安全性研究開発プロジェクト資金使用状況を調査

政府説明責任局(Government Accountability Office:GAO)は7月8日、連邦航空局(Federal Aviation Administration:FAA)による航空安全性研究開発(R&D)プロジェクト資金の使用状況を調査した報告書「航空研究開発:FAAは安全性プログラム関連報告に改善の余地あり(Aviation Research and Development: FAA Could Improve Its Reporting on Safety Programs)」を発表した。本報告は、「2024年FAA再授権法(FAA Reauthorization Act of 2024)」の下でGAOに義務付けられたもので、GAOは、FAAによる安全関連R&D資金割当の特定・報告状況を調査した。その結果、FAAは、①2019~2024年度に割り当てられた研究・工学・開発(RE&D)予算13億ドルの70%以上を安全性R&Dプロジェクトに支出、②2019~2024年度に安全性R&Dプロジェクトを特定したプロセス・基準に関する記録なし、③年次報告書に連邦議会による安全性R&D予算割当の監督を支援する主要情報が含まれず、などが判明した。これらの結果を受けて、GAOは、FAAに対し、RE&D予算のうち安全性R&Dプロジェクトに使用した資金の割合を毎年報告するよう提案し、FAA管轄省庁である運輸省は、これに同意している。 Government Accountability Office “Aviation Research and Development: FAA Could Improve Its Reporting on Safety Programs” (07/08/25) https://www.gao.gov/products/gao-25-107697

米宇宙軍、ミサイル警告・追跡の基盤となる「地球中軌道宇宙作戦センター」を開設

米宇宙軍は7月7日、宇宙軍宇宙システム軍団(Space Systems Command:SSC)が、コロラド州にあるボルダー地上イノベーション施設(Boulder Ground Innovation Facility:BGIF)に地球中軌道宇宙作戦センター(Medium Earth Orbit Space Operations Center:MSOC)を開設したことを発表した。MSOCは、宇宙軍兵及びミッションパートナーによる宇宙ベースセンサーの常時監督や、ミサイル警告及び脅威への対応を強化する迅速且つデータに基づく意思決定を可能とするもので、SSCの「回復力あるミサイル警告・追跡(Resilient Missile Warning and Tracking:Resilient MWT)」事業の基盤となる。具体的に、MSOCは、リアルタイムでのタスク指令、アンテナスケジュールの作成、領域間データ融合、新興脅威のより効率的な追跡などを可能にするといい、24時間体制で運営される。 U.S. Space Force “Space Force stands up Resilient Mission Support Operations Center, strengthens missile warning, tracking capabilities through partnerships” (07/07/25) https://www.spaceforce.mil/News/Article-Display/Article/4236009/space-force-stands-up-resilient-mission-support-operations-center-strengthens-m/

米宇宙軍、初の「国際パートナーシップ戦略」を発表

米宇宙軍は7月8日、同軍初の「国際パートナーシップ戦略(International Partnership Strategy)」を発表した。本戦略は、高セキュリティ且つ安定した持続可能な宇宙領域確保のために同盟国・パートナー国との協力を深める総合的ビジョンを概説したもので、複雑化し対立が拡大する宇宙環境下での国際協力の重要性を強調している。同戦略では、同盟・パートナー関係の強化を通した宇宙優位性の維持と紛争抑止のために、①同盟国・パートナー国の戦闘力重層化を可能とすることによる宇宙における共同国益の確保、②あらゆる機密レベルにおける情報共有を最大化しながら相互運用可能なデータ・能力・活動を確保するコミュニケーション、③軍の戦力計画・開発・展開の全範囲における同盟国・パートナー国の統合、の3つを目標とする。また、これらの目標を達成するための主要な取り組みとして、1)米宇宙軍戦力計画に同盟国・パートナー国を統合するための条件作成、2)戦力開発活動への同盟国・パートナー国の統合、3)同盟国・パートナー国による戦力展開への参加機会を最大化することによる連合組織としての円滑な運用、の3点を挙げている。 U.S. Space Force “US Space Force unveils International Partnership Strategy to strengthen space security” (07/08/25) https://www.spaceforce.mil/News/Article-Display/Article/4234434/us-space-force-unveils-international-partnership-strategy-to-strengthen-space-s/

米中、重要製品の輸出制限を解除

ポリティコ誌(Politico)は7月4日、米中両政府が先月ロンドンで交わした合意に基づき、産業生産に不可欠な製品の輸出制限を解除したと報じた。これにより、中国は希少土壌元素(レアアース)などの輸出許可を再開し、米国も航空機エンジンや半導体設計ソフト、エタンなどの輸出制限を撤廃した。米中の貿易戦争の緊張緩和に向けた動きとして、両国は相手国への関税を削減し、貿易協定の広範な交渉を進めているが、レアアースの供給を巡る対立は依然として懸念材料であり、特に国防産業にとっては重要な問題となっている。これらの動きは、4月に両国が関税を100%以上に引き上げ、その後トランプ政権が関税を55%に縮小したことを受けたものであり、貿易戦争の休戦状態を維持しようとする双方の意図がある。今後、米中貿易協定の中で輸出制限の制約についても議論される見通しであるが、中国がレアアースの供給優位性を放棄するかは不透明である。 Politico “Beijing and Washington lift export restrictions on key products” (07/04/25) https://www.politico.com/news/2025/07/04/us-china-trade-war-exports-00440019

宇宙軍、ボーイングと28億ドル契約 安全保障通信衛星を刷新

ディフェンスニュース(DefenseNews)は7月4日、宇宙空間における脅威の変化対応に向け、宇宙軍(Space Force)がボーイング社(Boeing)と28億ドルの契約を締結し、新たな戦略通信衛星システム(Evolved Strategic SATCOM: ESS)を導入すると報じた。この契約により、ボーイング社は戦略任務における確実で防御性の高い通信を提供する2基の衛星製造に加え、追加で2基を購入するオプションを獲得した。ESSは従来の先進EHF通信衛星(Advanced Extremely High Frequency: AEHF)コンステレーションの後継機にあたり、サイバー防御や耐障害性を強化する。契約期間は2033年までで、計画全体で120億ドル規模が見込まれている。宇宙軍は対ジャミング機能を持つ保護された軍用通信波形(Protected Tactical Waveform: PTW)を中核とした迅速な機能提供を目指す新戦略に移行する予定で、初期型のPTS衛星の打ち上げを来年に予定しているが、別の通信計画である戦術軍事通信衛星(Protected Tactical SATCOM–Resilient: PTS-R)を中止する。 DefenseNews “Space Force picks Boeing for $2.8B strategic communications program” (07/04/25) https://www.defensenews.com/space/2025/07/03/space-force-picks-boeing-for-28b-strategic-communications-program/

NIH、生物医学データの新5カ年計画を発表 AIとコンピューティングを重視

HPCwireは7月3日、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)が2025~2030年の生物医学データサイエンス戦略計画を発表したと報じた。今後5年間で、人工知能(AI)と高度なコンピューティング技術の活用を中心に据え、医療研究の変革を進める。主な柱は、データ管理・共有能力の向上、ヒト由来データの研究活用の促進、ソフトウェアと計算手法及びAIの進展、連携型生物医学研究データインフラの支援、データサイエンスコミュニティの強化の5つで、特に注目すべき点は、高速ヘルスケア相互運用性リソース(Fast Healthcare Interoperability Resources: FHIR)や信頼できる交換フレームワークと共通合意(Trusted Exchange Framework and Common Agreement: TEFCA)などの医療IT標準の導入、プライバシーを保護する計算技術の導入、そしてがん研究データ・コモンズ(Cancer Research Data Commons: CRDC)などの複数のデータプラットフォーム間の相互運用性の向上である。また、データサイエンス教育の拡充や研究者支援も計画に含まれている。 NIH “NIH Strategic Plan For Data Science” (07/03/25) https://datascience.nih.gov/sites/default/files/2025-05/NIH%20Strategic%20Plan%20for%20Data%20Science%202025-2030.pdf 参照:HPCwire “NIH Highlights AI and Advanced Computing in New Data Science Strategic Plan” (07/03/25) NIH Highlights AI and Advanced Computing in New Data Science Strategic Plan

共和党、R&D減税と国防費増額を含む大型法案を可決

米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)は7月3日、共和党が民間研究開発費の即時償却(全額損金算入)を復活させ、国防費と航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)予算を大幅に増額する大型法案を218対214の僅差で可決し、7月4日にトランプ大統領の署名をもって成立したと報道した。同法の主な内容は、企業のR&D投資促進のための税制改正、私立大学への最大8%の基金課税、ミサイル防衛システム「ゴールデンドーム(Golden Dome)」への250億ドルの予算配分、NASAプログラムへの100億ドル規模の投資、エネルギー省(Department of Energy)におけるAI科学モデル開発の促進などとなっている。一方で、インフレ抑制法(Inflation Reduction Act)で定められたクリーンエネルギーや気候研究への資金は大幅に削減される見通しである。同法はまた、放射線被曝補償法(Radiation Exposure Compensation Act: RECA)の再承認や、農業研究施設の建設・改修のための競争的資金の提供も含んでいる。 AIP “Tax and Spending Megabill Boosts Private R&D, Defense, NASA” (07/03/25) https://www.aip.org/fyi/tax-and-spending-megabill-boosts-private-r-d-defense-nasa

環境保護庁、政策批判の公開書簡に署名した職員139人を一時停職処分

Axiosは7月3日、環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)が政治的理由による環境・健康保護プログラムや助成の解体を非難する「反対声明」に署名した職員139人を休職処分にしたと報じた。非営利団体のスタンドアップ・フォー・サイエンス(Stand Up for Science)による今回の署名に関してEPAの広報担当者は、「キャリア官僚が国民の投票で選ばれた政権の政策を不当に妨害することは容認できない」と声明を発表し、同庁による「恐怖の文化」と書かれたリー・ゼルディン長官(Lee Zeldin)宛ての書簡について言及した。これまでに620人が署名し、うち約500人が現職のEPA職員であることから、連邦政府職員を組織する米政府職員総同盟238(American Federation of Government Employees Council: AFGE 238)はEPAによる今回の報復行為に対し、組合員を保護する方針であるという。一方、ゼルディン長官と政権当局は、バイデン政権の政策が国内エネルギー生産者に過度な負担を課していたと主張している。 Axios “EPA places 139 on leave over letter bashing Trump policies” (07/03/25) https://www.axios.com/2025/07/03/epa-workers-on-leave-letter

NIH、南アフリカへの研究助成金を再開

サイエンス誌(Science)は7月3日、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)が南アフリカへの研究助成金の支給凍結を解除し、海外の臨床試験継続のための新たな資金提供オプションを導入したと報じた。トランプ政権による資金提供禁止措置により、3月から凍結されていた約280件の助成金に関する方針転換となる見込みで、特に人を対象とする研究については、新たな補足的資金制度を通じて海外協力機関への直接的な資金提供が可能となる見通しである。これを受け、現地でHIV研究を行うカリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California, San Francisco)やウィットウォータースランド大学(University of the Witwatersrand)はHIV及び結核研究の迅速な再開を期待しているが、NIHは新システムを9月30日までに準備できない可能性を指摘している。また一部の裁判所は国内の特定の州における助成金の一部のみの復活を命じており、全面的な助成回復には遠いとも伝えた。 Science “NIH restores grants to South Africa scientists, adds funding option for other halted foreign projects” (07/03/25) https://www.science.org/content/article/nih-restores-grants-south-africa-scientists-adds-funding-option-other-halted-foreign

エネルギー輸入依存度、40年ぶりの低水準に

エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)は7月7日、2024年のエネルギー輸入依存度が17%となり、約40年ぶりの低水準を記録したと発表した。2006年の過去最高34%から半減した水準で、同局の月次エネルギーレビューによると過去20年間の輸入供給割合の低下は、国内での生産増加と2006年以降の輸入減少に起因しているという。これで米国は3年連続でエネルギー純輸出国となり、国内生産は記録的な水準に達した。天然ガスや原油、天然ガスプラント液(Natural Gas Plant liquids: NGPLs)、バイオ燃料、太陽光、風力のいずれも過去最高の生産量を記録し、2024年のエネルギー輸入の84%は原油と石油製品が占め、残りの大部分は天然ガスとなった。輸入先については、2014年以降、カナダからの原油・石油製品の輸入量が石油輸出機構(Organization of the Petroleum Exporting Countries: OPEC)諸国からの輸入量を上回り、特に2024年はカナダのトランス・マウンテン・パイプラインの拡張により、過去最高の輸入量を記録した。 EIA “Imports made up 17% of U.S. energy supply in 2024, the lowest share in nearly 40 years” (07/07/25) https://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=65664