外国人留学生に関する連邦政策は高等教育部門に信用リスクを呈する ムーディーズ

ムーディーズ・レーティング社(Moody’s Ratings)が6月30日に発表したところによれば、外国人留学生に対する制限を強化しつつある連邦政策は、米国の大学にとって深刻な金融リスクをもたらしているという。特に、外国人留学生が支払う学費への依存度が高い大学において顕著である。ムーディーズ社は、「ビザ政策、渡航制限、国外退去措置が、高等教育を受ける目的地としての米国の地位に否定的な影響を及ぼしており、一般的に学費を全額支払う外国人留学生への依存が大きい大学は大幅な収入減に繋がる可能性がある」と分析している。 Divers “Moody’s: Federal Policies on International Students Pose Credit Risk to Higher Ed Sector” (07/02/25) https://www.diverseeducation.com/international/article/15749931/moodys-report-restrictive-federal-policies-on-international-students-pose-credit-risk-to-higher-ed-sector

プリンストン大学、「一つの大きくて美しい法案が米国エネルギー移行にもたらす影響」報告

プリンストン大学(Princeton University)ゼロ炭素エネルギーシステム研究・最適化研究所(Zero-carbon Energy Systems Research and Optimization Laboratory: ZERO Lab)は7月3日、「一つの大きくて美しい法案が米国エネルギー移行にもたらす影響-要旨報告(Impacts of the One Big Beautiful Bill On The US Energy Transition – Summary Report)」(Version v4)を発表した。それによれば、同法案の成立(トランプ大統領が議会を通さずに行う行政措置を含む)により、次のような影響が予測されるという。①米国の世帯及び企業のエネルギー支出は、2030年に年間280億ドル、2035年には500億ドル以上増加、②米国世帯の平均的なエネルギー費用は、2030年には一世帯当たり年間約165ドル、2035年には同280ドル以上増加、③2025~2035年の間に米国の電力及びクリーン燃料生産への累計資本投資は5,000億ドル削減、④2025~2030年の間に、ソーラー発電の新規導入容量の累積は最大29ギガワット(GW)、風力発電の新規導入容量の累積は最大43GW減少し、2035年までを通じてソーラーは最大140GW、風力は最大160GW減少。 Princeton University ZERO Lab “Impacts of the One Big Beautiful Bill On The US Energy Transition – Summary Report” (07/02/25) https://zenodo.org/records/15794489

タンパク質構造コンペ、NIHグラント資金の枯渇に伴い終結間近

生物学に関するAI開発を促進するきっかけになったとして国際的に広く知られる科学コンペが立ち消えの危機にある。これは、「タンパク質構造予測重要評価(Critical Assessment of protein Structure Prediction: CASP)」コンペで、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の助成金を受けて30年間に亘って実施されてきたが、その資金が枯渇し、助成金を監督するカリフォルニア大学デイビス校(University of California Davis)が行ってきた緊急支援も8月8日に尽きる。同大学はプログラムを担当する2名の研究者に、彼らの職務は数週間以内に終了すると通達している。CASP運営組織は昨年、80万ドルの助成金の再交付をNIHへ要請し、数回に亘って照会しているものの、NIHは何の確約も提示していない。CASPが終了した場合、コミュニティにとっては甚大な損失となると、タンパク質構造解析専門家は述べる。 Science “Exclusive: Famed protein structure competition nears end as NIH grant money runs out” (07/02/25) https://www.science.org/content/article/exclusive-famed-protein-structure-competition-nears-end-nih-grant-money-runs-out

国防総省、ミサイル防衛用宇宙配備型迎撃システムに関する情報を要請

国防総省(Department of Defense)は6月27日、ミサイル防衛としての宇宙配備型迎撃システムについて、情報の要請(Request for Information: RFI)を発表した。本件は、弾道ミサイル及び極超音速ミサイル攻撃の脅威に対応する宇宙配備型迎撃(Space Based Interceptor: SBI)能力を明確にすることを目的とした、宇宙軍(Space Force)プログラム執行局宇宙戦闘力(PEO Space Combat Power)による市場調査である。このRFIの目的は、既存の宇宙配備型ミサイル防衛能力を特定すること、(発射直後の)加速段階、中間飛行段階、滑空段階で、広範囲に多数配備されたSBIコンステレーション能力のアーキテクチャについて戦略を立てることである。本RFIでは、SBIについて、「飛行中に、敵のターゲット(ミサイルもしくは関連するペイロード)を迎撃及び破壊することを目的として設計された兵器システムの一つ」と定義し、①大気圏外SBI(Exoatmospheric SBIs)、②大気圏内SBI(Endoatmospheric SBIs)、③ターミナル・ガイダンス(Terminal Guidance)など複数の派生型及びコンポーネントで構成されるとしている。 SAM.gov “Missile Defense Space Based Interceptors (SBI) Request for Information (RFI)” (06/27/25) https://sam.gov/opp/0e2c8bdac1704aafb3377aa92e3e01f6/view

トランプ政権、海軍のF/A-XXを凍結 背景に国防産業能力への懸念

トランプ政権は、海軍(Navy)のF/X-XX未来型戦闘機(第6世代ステルス戦闘機)開発を凍結し、空軍(Air Force)のF-47開発に注力する。その背景には、米国国防契約事業者が双方に対応することは困難との懸念があった。本件は極秘的に行われてきたプロジェクトで、F/A-XXの契約発表はF-47の契約発表に続いて行われる予定であったが、実現していない。ボーイング社(Boeing)とノースロップ・グラマン社(Northrop Grumman)がF/A-XXの開発に参加しており、ボーイング社は3月に、数十億ドル規模のF-47の契約を獲得していた。ボーイング社は、「同社や他の企業は、双方に対応することができないのでは」との見方に反発している。海軍は今後、F-47のカスタマイズ版を採用する可能性がある。 AXIOS “Trump administration shelves Navy’s F/A-XX, citing industry strain” (07/02/25) https://www.axios.com/2025/07/02/navy-faxx-pentagon-budget-f47

米国工学アカデミー会長にツージェイ・キング・リュウ氏が就任

米国工学米国アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Med(National Academy of Engineering: NAS)の会長(President)に、ツージェイ・キング・リュウ氏(Tsu Jae King Liu/劉金智潔)が就任した。同氏は、スタンフォード大学(Stanford University)で博士号(電気工学)を取得し、1992~1996年にはゼロックス・パロアルト研究センター(Xerox Palo Alto Research Center)の研究員として、大面積エレクトロニクス応用を目的とした薄膜トランジスタ技術に取り組んでいた。1996年にはカリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)の電気工学・コンピュータ科学部(Department of Electrical Engineering and Computer Sciences)の教員となり、2018年7月に工学部(College of Engineering)の学部長としてテニュアを開始した。リュウ氏は550点以上の論文を執筆・共同執筆し、約100件の特許を有している。同氏は、米国電気電子学会(Institute of Electrical and Electronics Engineers: IEEE)と米国発明者アカデミー(National Academy of Inventors)のフェローであり、NAEの選出会員でもある。 National Academy of Engineering “NAE Welcomes Tsu-Jae King Liu as President” (07/01/25) https://www.nae.edu/339352/NAE-Welcomes-TsuJae-King-Liu-as-President https://www.nae.edu/338873/Tsu-JaeKingLiu

NRELのスパコン、2024年に425件以上のエネルギー研究プロジェクトの進展に寄与

エネルギー省(Department of Energy)傘下の国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory: NREL)は2024年に、最新スパコンシステム「ケストレル(Kestrel)」の全面的な構築を完了した。この新たなスパコンは現在、約56ペタフロップスの計算能力を有し、エネルギー研究の進展を加速させており、これには、AIや機械学習の活用を通じて、エネルギー研究やマテリアル科学、予測などの分野で新たな可能性につなげていくことなどが含まれる。NRELが発表した「2024年度 先端計算年次報告(Advanced Computing Annual Report for FY2024)」によれば、ケストレルは13の資金提供分野で425件以上のエネルギーイノベーション・プロジェクトを支え、エネルギー分野の米国イノベーションを支援するなど大きな貢献をしている。 NREL “High-Performance Computing Advanced More Than 425 Energy Research Projects in 2024” (07/01/25) https://www.nrel.gov/news/detail/program/2025/high-performance-computing-advanced-more-than-425-energy-research-projects-2024

エネルギー省、DOME試験施設での最初のマイクロリアクター実験を発表

エネルギー省(Department of Energy)は7月1日、アイダホ国立研究所(Idaho National Laboratory)のマイクロリアクター実験実証(Demonstration of Microreactor Experiments:DOME)施設で最初の試験を実施する企業として、ウェスチングハウス社(Westinghouse)とラディアント社(Radiant)を条件付きで選出したと発表した。DOMEでの実験は、この種としては世界初で、より豊富で手頃な費用で信頼性の高い電力に関する国内需要に対応していくため、米国マイクロリアクター技術の導入を促進するものとなる。ウェスチングハウス社は、eVinci試験原子炉(eVince Nuclear Test Reactor)の実験によって、原子炉を受動的に冷却する先進ヒートパイプ技術を用いた輸送可能な商用マイクロリアクターへの情報提供を行う。ラディアント社は、商用の1.2メガワット電気出力高温ガス炉設計の進展を目的として、カレイドス開発ユニット(Kaleidos Development Unit)の実験を行う。DOME試験施設は現在建設中で、2026年初頭に最初の実験が行われる予定である。 Department of Energy “Energy Department Announces First Microreactor Experiments in DOME Test Bed” (07/01/25) https://www.energy.gov/ne/articles/energy-department-announces-first-microreactor-experiments-dome-test-bed

上院、州のAI規制禁止条項を削除

ポリティコ(Politico)は7月2日、トランプ大統領の同盟勢力が人工知能(AI)に関する州の規制権限を阻止しようとした試みが失敗に終わり、同政権下でのハイテク業界初の大きな敗北となったと報じた。テッド・クルーズ上院議員(Ted Cruz、テキサス州選出共和党)を筆頭とする共和党議員が推進した、今後10年間州がAIを規制することを禁じる条項は、数ヶ月に亘る激しいロビー活動の末、圧倒的多数で1日の早朝に上院で否決された。技術業界は州ごとのAI規制が中国などの競合国との技術競争で米国の競争力を阻害するとしてこの法案を支持したが、共和党議員を含む超党派の州政府関係者は強く反発していた。元グーグル社(Google)ダグ・フィエフィア州下院議員(Doug Fiefia、ユタ州選出共和党)は「10年はテクノロジーの世界では一生分」と指摘しつつも、消費者保護などの観点から反対姿勢を通した。クルーズ議員は法案を再提出する意向で、州議会議員らはこれに向けた法案の再策定の準備に取り掛かっているという。 UTILITY DIVE “Senate passes megabill that curbs IRA tax credits, drops wind and solar tax” (07/1/25) https://www.utilitydive.com/news/senate-megabill-wind-solar-tax-trump-tillis-collins-/752103/

上院、再エネ税制優遇を大幅削減する予算法案を可決

ユーティリティ・ダイブ(UTILITY DIVE)は7月1日、上院が共和党主導の予算法案を可決し、インフレ削減法(IRA)によるクリーンエネルギー税制優遇の大幅削減を決定したと報じた。同法案は当初、風力・太陽光発電プロジェクトに対する追加課税を含んでいたが、最終版では削除された。風力・太陽光発電プロジェクトがクリーンエネルギー生産税額控除の対象となるためには2027年末までの稼働開始という厳しい条件を設けていたが、修正版では、法案成立から1年以内に建設を開始したプロジェクトには例外を設け、適用対象とした。採決では、ランド・ポール上院議員(Rand Paul、ケンタッキー州選出共和党)、トム・ティリス上院議員(Thom Tillis、ノースカロライナ州選出共和党)、スーザン・コリンズ上院議員(Susan Collins、メイン州選出共和党)と全民主党議員が反対票を投じ、JBバンス副大統領(JD Vance)が決定票を投じた。法案は下院に送られ、共和党はトランプ大統領が金曜日までに署名することを目指している。 UTILITY DIVE “Senate passes megabill that curbs IRA tax credits, drops wind and solar tax” (07/1/25) https://www.utilitydive.com/news/senate-megabill-wind-solar-tax-trump-tillis-collins-/752103/