EPA、70億ドルのソーラーエネルギー・プログラムの中止を巡り提訴される

労働組合等で構成される原告は10月1日、低所得者と社会的に不利なコミュニティへの支援を意図して議会が創設した「全ての人にソーラーを(Solar for All)」プログラム(屋根上及びコミュニティ向けソーラープログラム)を、環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)が政治的動機に基づいて中止したことは違法であるとして、EPAを提訴した。原告は、議会が本プログラムの根拠法を今年7月に撤廃した際、「撤廃は、まだ充当されていない(unobligated)資金のみが対象で、既に提供された資金には影響しない」と明確にしたにもかかわらず、リー・ゼルディンEPA長官(Lee Zeldin)は、その文言を無視し、「全ての人にソーラーを」プログラムを違法に停止したと主張する。原告によると、議会は2024年に、EPAに対して、対象となる受益プロジェクトへ70億ドルの助成金を提供するよう義務付けていたという。 Ars Technica “Trump’s EPA sued for axing $7 billion solar energy program” (10/06/25) https://arstechnica.com/tech-policy/2025/10/trumps-epa-sued-for-clawing-back-7b-in-solar-energy-funds/

トランプ政権、政府監察機関のウェブサイトを閉鎖

NEXTGOV/FCWは10月1日、トランプ政権が政府監察総監評議会(Council of the Inspectors General on Integrity and Efficiency: CIGIE)への資金提供を停止し、少なくとも15の政府監視ウェブサイトが閉鎖されたと報じた。具体的に、行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)が、監察官が「腐敗し、党派的になり、一部は国民に嘘をついている」と声明を発表し、資金拠出を停止したことを受けて、農務省(Department of Agriculture)、教育省(Department of Education)、司法省(Department of Justice)などの監察総監室ウェブサイトが閉鎖された。これに伴い、内部告発者向けのホットラインや3万4,000件以上の監査報告書へのアクセスも遮断されたという。一部の共和党議員はこの動きに反対し、方針の撤回を求めている。また、政府監視プログラム(Project on Government Oversight)も「内部告発者保護の弱体化は権威主義体制の特徴」と言及した。記事は、政府の不正や無駄遣いを報告する重要な経路が失われることになると示唆している。 NEXTGOV/FCW “Trump administration knocks out at least 15 oversight websites, saying IGs ‘lied to the public’” (10/01/25) https://www.nextgov.com/digital-government/2025/10/government-watchdog-websites-go-dark-omb-withholds-funds-ig-committee/408524/

オフテイク契約、再エネ事業活性化に貢献 CEBA報告

クリーンエネルギー購入者協会(Clean Energy Buyers Association:CEBA)は9月30日、企業の長期電力購入契約(オフテイク契約)が再生可能エネルギープロジェクトの財務リスクを大幅に軽減し、資金調達と建設を可能にしていると発表した。同協会は国内251の風力・太陽光発電プロジェクトの財務状況を分析し、企業による電力購入契約がある場合、財務的困難に直面する割合が大幅に減少することを明らかにした。固定価格での長期取引を可能にする仮想電力購入契約(Virtual Power Purchase Agreements: VPPA)が、卸電力市場の価格変動による収益の不安定性を緩和することから、企業は2014年から2024年の間、100ギガワット以上のクリーンエネルギー契約を締結しており、これは過去10年間に米国の電力網に追加されたクリーンエネルギー容量の41%に相当するという。報告書は、再エネ計画は安価なため企業契約なしでも建設されるとする最近の論調に対し、企業の購入契約がプロジェクトの実現に不可欠であることを実証する内容となっている。 CEBA ” CEBA Report: Corporate Demand Drives Clean Energy” (10/03/25) https://cebuyers.org/wp-content/uploads/2025/09/CEBA-Report-Corporate-Demand-Drives-Clean-Energy.pdf 参照:Utility Dive “Corporate procurement stabilizes renewable energy projects: CEBA” (10/02/25) https://www.utilitydive.com/news/corporate-procurement-renewable-energy-vppa-rec-hyperscaler-ceba/801750/

カリフォルニア州知事、電力負荷に柔軟に対応する法案に拒否権

ユーティリティ・ダイブ(Utility Dive)は10月3日、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(Gavin Newsom)が電力網計画における負荷柔軟性の成文化を目指す法案を拒否したと報じた。電力需要を柔軟に調整することで電力網の効率化を図るAB 44法案は、州エネルギー委員会に負荷管理メカニズムの評価と報告を求めるものであるが、同知事は「電力負荷の柔軟性拡大は支持するが、この法案はカリフォルニア州公益事業委員会(California Public Utility Commission)の資源供給力(Resource Adequacy)の枠組みと一致しない」と説明した。業界団体のアドバンスト・エナジー・ユナイテッド(Advanced Energy United)は、この決定を「コスト削減と電力網を強化する絶好の機会を逃した」と批判しており、ブラトルグループ(Brattle Group)も今回助成が見送られた世界最大の仮想発電所(Virtual power plant: VPP)プログラムは2028年までの4年間で2億600万ドルのコストを削減し、ピーク需要に対応するガス発電所の需要減にもつながるはずだったと指摘している。 Utility Dive “Newsom vetoes bill to codify load flexibility in California grid planning” (10/03/25) https://www.utilitydive.com/news/newsom-vetoes-bill-load-flexibility-california-cec/801890/

核融合開発加速、公開データの重要性を強調 FIA提言

核融合産業協会(Fusion Industry Association: FIA)は10月2日、公的部門の核融合実験データの公開と標準化を通じて、核融合産業の発展を加速すべきとする白書を発表した。「核融合産業強化に向けた公共部門データの公開(Opening Public-Sector Data to Empower the Fusion Industry)」によると、公的機関と民間企業の協力により、過去50年間に亘る核融合実験で得られたデータの活用で、核融合三重積(温度・密度・閉じ込め時間の積)が100万倍向上した実績を踏まえ、データ活用の重要性を強調している。具体的には、組織の機密知的財産を除くすべての核融合データの公開、データの保存・構造化に関する共通標準の採用、データ管理とアクセシビリティ確保を担う機関チームへの支援強化の3点を挙げた。その上で、核融合産業のグローバルな相互接続型エコシステムへの移行には、適切なデータ管理の先例を確立することが重要と提言している。 Fusion Industry Association “FIA Publishes White Paper on the Importance of Open Public-Sector Data” (10/02/25) FIA Publishes White Paper on the Importance of Open Public-Sector Data

就労ビザ「H-1B」の申請に10万ドル シリコンバレーへの影響必至

非営利団体のジョイント・ベンチャー・シリコンバレー(Joint Venture Silicon Valley)は10月、外国人高度技術者向けの就労ビザ(査証)「H-1B」申請料を1件当たり10万ドルに引き上げる新たな大統領令が、シリコンバレー経済に深刻な影響を及ぼすとの分析結果を発表した。主要技術企業が昨年度と同数の約7,660件の新規申請を行った場合、申請料だけで約7億6,600万ドルの負担となることに加え、この費用負担により地域全体で約1,060の雇用が失われ、地方税収は約1,200万ドル、州税収は約2,800万ドル減少するという。同地域の生産性8%を生み出すH-1B取得者は、メタ社(Meta)やアップル社(Apple)、グーグル社(Google)などの大手技術企業に欠かせない存在であり、その新規ビザ承認数も国内の約11%を占める。9月21日に発効したこの新制度は1年の期限付きであるが、次年度分の申請はすでに受付済みのため、実際の影響が生じるのは2027年度の申請からとなる。 Joint Venture Silicon Valley “Acute local impacts: Silicon Valley’s concentrated exposure to H-1B policy” (10/25) https://jointventure.org/publications/institute-publications/329-our-shared-economy/2771-acute-local-impacts-silicon-valley-s-concentrated-exposure-to-h-1b-policy

データセンター送電コスト、一般消費者に43億ドル超の負担転嫁

憂慮する科学者同盟(Union of Concerned Scientists: UCS)は9月、データセンター向け送電線整備費用の規制上の抜け穴により、PJM系統(PJM Interconnection)管轄7州の一般消費者は2024年だけで43億ドル以上の追加負担を強いられていると発表した。送電網が公共インフラとして扱われる現行制度では、特定の大口需要家の送電コストが全消費者に転嫁されることから、その費用負担の適正化を求め、UCSは連邦エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission: FERC)と州公益事業委員会(state public utility commissions)に対して提言を行った。PJMはペンシルベニア州、ニュージャージー州、メリーランド州など中部大西洋岸と中西部の13州とコロンビア特別区の送電網を管理する地域送電機関(Regional Transmission Organization: RTO)で、2022年から2024年に同地域で150以上ものデータセンター向け地方送電プロジェクトが開始されているが、その約半分が世界最大のデータセンター拠点であるバージニア州に集中している。 Clasp “Connection Costs Loophole Costs Customers Over $4 Billion to Connect Data Centers to Power Grid” (09/25) https://www.ucs.org/sites/default/files/2025-09/PJM%20Data%20Center%20Issue%20Brief%20-%20Sep%202025.pdf 参照記事:Utility Dive “Customers in 7 PJM states paid $4.4B for data center transmission in 2024: report” (10/01/25) https://www.utilitydive.com/news/pjm-data-center-transmission-costs-ratepayers/761579/

家電効率化で気候目標達成へ クラスプ報告

非営利団体のクラスプ(CLASP)は9月、2050年までのネットゼロ達成に向け、目標とすべきエネルギー削減量の約20%を、家電の効率化で実現できるとの分析結果を発表した。国際エネルギー機関(International Energy Agency: IEA)によると、目標達成には、世界の年間エネルギー効率改善率を2030年までに少なくとも4%に倍増させる必要があることから、CLASPは家電製品の最低効率基準を強化し、国家気候目標に明確、かつ、測定可能な家電効率目標を組み込むよう提言している。具体的には、家電製品の最低効率基準を現在利用可能な最高技術レベルまで引き上げる内容で、各国政府に対し変革的な改善のための行動を促した。また報告書では、ブラジルや中国、インド、インドネシアは既に家電効率化を国家戦略に統合する措置を講じ、他国のモデルとなりつつある現状を伝えている。 Clasp “Doubling Energy Efficiency with Appliances” (09/25) https://www.clasp.ngo/wp-content/uploads/2025/09/Doubling-Energy-Efficiency-with-Appliances.pdf 参照記事:Utility Dive “World’s carbon-neutral aspirations may hinge on appliance efficiency: CLASP” (10/01/25) https://www.utilitydive.com/news/worlds-carbon-neutral-aspirations-may-hinge-on-appliance-efficiency-clasp/761556/

連邦政府閉鎖で科学研究活動が停止 外部資金研究は継続可能

米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)は10月1日、連邦政府機関の閉鎖により大半の科学機関の研究活動が停止したと発表した。基礎研究の大部分が一時停止される一方で、研究機器の維持管理に関しては、一部職員が無給で対応することになる。米国科学財団(National Science Foundation: NSF)や航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)では職員の約80%が一時帰休となり、既に資金が配分されている外部研究助成については研究は継続されるが、閉鎖期間中は新規の研究公募、審査、助成金交付は行わないとした。米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology: NIST)は、半導体研究開発向けのCHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)による半導体研究開発資金を使用した活動を継続するという。これに先立ち、政府は各省庁に対し、大統領の優先事項と合致しないプログラムの人員削減を指示している。なお、前回2019年の閉鎖は35日間続き、史上最長であった。 AIP “Federal Science on Pause Amid Shutdown” (10/01/25) https://www.aip.org/fyi/federal-science-on-pause-amid-shutdown

トランプ政権、大学に包括的協定への署名を要請 助成で優遇措置

ウォール・ストリート・ジャーナル紙(Wall Street Journal)は10月1日、政府が大学に対して包括的協定「高等教育における学術的卓越性に関する協定(Compact for Academic Excellence in Higher Education)」への署名を求めていると報じた。人種や性別に基づく入学選考の禁止、5年間の授業料引き上げ停止、留学生の受け入れ枠15%上限設定などを含む10項目に亘る内容で、協定に署名する大学は「実質的で意味のある連邦給付」を含む複数の優遇措置を受けられるという。協定は保守的な思想に対する暴力を誘発する部署の廃止や、キャンパス内での政治活動を制限する要求も含み、まずはバンダービルト大学(Vanderbilt University)、ダートマス大学(Dartmouth College)、ペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)など9大学に書簡が送付された。協定に署名した大学には、独立監査人を雇用し、教職員・学生・職員への匿名調査を通じて協定遵守状況を評価することが求められる。調査結果は一般公開され、司法省(Department of Justice)が審査を行うという。 WSJ “White House Asks Colleges to Sign Sweeping Agreement to Get Funding Advantage” (10/02/25) https://www.wsj.com/us-news/education/trump-universities-compact-federal-funds-agreement-df158493