厚生省、NIH傘下の研究所所長を含む幹部5人を正式に解雇

サイエンス誌(Science)は10月2日、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)傘下の研究所所長4人と政府高官1人が解雇されたと報じた。解雇されたのは、国立アレルギー・感染症研究所(National Institute of Allergy and Infectious Diseases: NIAID)のジャンヌ・マラッツォ所長(Jeanne Marrazzo)と国立小児健康発達研究所(National Institute of Child Health and Human Development: NICHD)のダイアナ・ビアンキ所長(Diana Bianchi)らで、トランプ政権により3月31日に休職処分を受けて以来、職務停止状態にあった。所長らはこれらの待遇が政治的な理由によるものとして8月に告発書を提出しており、弁護士は今回の措置はその報復措置であると声明で述べている。解雇を通告した厚生省(Department of Health and Human Services: HHS)のロバート・F・ケネディ・ジュニア長官(Robert F. Kennedy Jr.)が所長らに遠隔地にあるインディアン保健局(Indian Health Service: IHS)などのポストに就くよう提案していたが、異動は実現しなかったと記事は伝えている。 Science “Exclusive: After months in limbo, four NIH institute directors fired ” (10/02/25) https://www.science.org/content/article/after-months-limbo-four-nih-institute-directors-fired

エネルギー省 223プロジェクト、約76億ドルの資金提供を打ち切り

エネルギー省(Department of Energy)は10月2日、223のプロジェクトを支援する321件の財政支援、約75億6,000万ドルの資金を打ち切ったと発表した。前政権の終了間際に駆け込みで承認された案件を審査した結果、多くが国のエネルギー需要の推進に不十分な内容で、経済的に成立せず、国民への適切な還元が見込めないと判断した。打ち切られた支援のうち、26%は大統領選の選挙日から就任日の間に承認されたもので、31億ドル超に上るという。対象となるのは、クリーンエネルギー実証局(Office of Clean Energy Demonstrations :OCED)やエネルギー効率・再生可能エネルギー局(Energy Efficiency and Renewable Energy: EERE)、送電網展開局(Grid Deployment Office: GDO)、製造・エネルギーサプライチェーン局(Manufacturing and Energy Supply Chains: MESC)、エネルギー高等研究計画局(Advanced Research Projects Agency-Energy: ARPA-E)、化石エネルギー局(Office of Fossil Energy: FE)で、受給者には決定に対する30日間の異議申し立て期間を設けている。 Department of Energy “Energy Department Announces Termination of 223 Projects, Saving Over $7.5 Billion” (10/02/25) https://www.energy.gov/articles/energy-department-announces-termination-223-projects-saving-over-75-billion

台湾、半導体生産50%の米国移転要求を拒否

アース・テクニカ(Ars Technica)は10月2日、台湾が米国からの半導体生産50%移転要求を拒否したと報じた。ハワード・ラトニック商務長官(Howard Lutnick)の「安全保障上の保証と引き換えに、台湾が製造拠点の米国移転を検討している」との発言に対し、台湾の鄭麗君副首相(Cheng Li-chiun)は「そのような約束はしておらず、交渉の場でも議論されていない」と即座に反論したという。台湾は世界の半導体生産の95%を担い、対米輸出の70%以上が半導体関連で、トランプ政権はその関税導入について同国と交渉を続けているが、8月になって大統領が「最大100%の関税を課す可能性があるが、製造拠点を米国に移転する企業には完全免除する」と言及したことが背景にある。関税導入によるインフレ加速、消費財の価格上昇への懸念が広がる中、民生技術協会(Consumer Technology Association: CTA)は、製品輸入国、チップ、重要鉱物への関税による「三重苦(Triple whammy)」に備え、技術企業が製品の備蓄を進めていると指摘している。 Ars Technica “Taiwan rejects Trump’s demand to shift 50% of chip manufacturing into US” (10/02/25) https://arstechnica.com/tech-policy/2025/10/taiwan-says-trump-cant-pressure-it-into-giving-up-half-its-chip-supply/

テキサス州のエネルギー消費、カリフォルニア州の2倍に拡大

エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)は10月1日、テキサス州が2023年に全米で最も多くのエネルギーを消費し、カリフォルニア州の2倍、フロリダ州の3倍以上に達したと発表した。州エネルギーデータシステム(State Energy Data System: SEDS)の最新データによると、全米のエネルギー消費が2007年から2023年にかけて5%減少する中、テキサス州は21%増加したという。また工業部門だけでもカリフォルニア州全体の消費量を上回り、石油消費量もカリフォルニア州の総エネルギー消費にほぼ匹敵する規模となった。増加の主な要因は、人口増加(29%増)に加え、化学製造業、石油・天然ガス採掘、石油精製業などのエネルギー集約型産業の拡大が挙げられた。テキサス州は電力網が他州から独立しているため、州内資源のみで電力需要に対応する必要があり、EIAは、データセンターや暗号通貨施設の稼働により、2025年から2026年にかけても電力需要が急速に拡大すると予測している。 EIA “Texas used twice as much energy as California and three times as much as Florida in 2023” (10/01/25) https://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=66224

トランプ大統領、小児がん治療にAIを活用する大統領令に署名

大統領府は9月30日、トランプ大統領が、人工知能(AI)を活用して小児がんの治療法開発を加速させる大統領令に署名したと発表した。小児がんは米国の子どもの疾病関連死因の第1位で、1975年以降発症率が40%以上増加している現状がある。これを受け、AIを用いた革新的な診断・治療・予防戦略の開発を推進するもので、具体的には、トランプ氏が2019年に開始した国立がん研究所(National Cancer Institute: NCI)の小児がんデータイニシアチブ(Childhood Cancer Data Initiative: CCDI)への投資拡大を指示する内容となっている。この投資により、複雑な生物学的システムのデータ分析強化に加え、AI ツールによる臨床試験の設計、アクセス、結果を改善する方法を模索し、データ・インフラを改善していくとし、政府は、MAHA委員会(Make Our Children Healthy Again: MAHA Commission)に対し、科学技術やAI・暗号通貨などの関連機関や民間企業との連携を強化し、小児がんの根治を目指すよう指示している。 The White House “Fact Sheet: President Donald J. Trump Prioritizes Harnessing American AI Innovation to Unlock Cures for Pediatric Cancer” (09/30/25) https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2025/09/fact-sheet-president-donald-j-trump-prioritizes-harnessing-american-ai-innovation-to-unlock-cures-for-pediatric-cancer/

エネルギー省、オークリッジでAIデータセンター建設提案を募集

エネルギー省(Department of Energy)は9月30日、テネシー州オークリッジ保留地(Oak Ridge Reservation)に人工知能(AI)データセンターを建設し、電力供給するための運営提案を企業から募集すると発表した。同省傘下の環境管理局(Office of Environmental Management)と科学局(Office of Science)が共同で発行した提案依頼書(Request for Proposal: RFP)によると、対象となるのは東テネシー技術パーク(East Tennessee Technology Park)と、これに隣接するオークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory: ORNL)の2カ所で、企業側がインフラ建設から運営、廃止措置まで全て負担する長期リース契約となる。マンハッタン計画の拠点の一つであった同地は、AIに革新をもたらす「マンハッタン計画2.0(Manhattan Project 2.0)」でも重要な役割を果たす態勢が整っているとし、担当者らは「核浄化施設から核ルネサンス拠点への変革に向けた新たな一歩となる」取り組みと説明した。提案締め切りの12月1日に向け、同省は10月15日に説明会を開催する予定である。 Department of Energy “U.S. Energy Department Seeks Proposals for AI Data Centers, Energy Projects at Oak Ridge” (09/30/25) https://www.energy.gov/em/articles/us-energy-department-seeks-proposals-ai-data-centers-energy-projects-oak-ridge

エネルギー省、リチウム企業に出資へ

エネルギー省(Department of Energy)は10月1日、リチウム・アメリカズ社(Lithium Americas)の株式5%取得に加え、同社とゼネラル・モーターズ社(General Motors)の合弁事業にも5%出資すると発表した。タッカーパス鉱山における炭酸リチウム製造施設建設を支援する2024年10月の融資プログラム局(Loan Programs Office: LPO)とリチウム社の契約を再構築する内容で、LPOは今回の融資にあたり、2010年のテスラ社(Tesla)への融資で用いたワラント(株価が上昇した時に安く株式を取得でき、下落時は購入しない選択ができる権利)を活用する。契約改定には別途1億ドル以上の新規資本も投入する。同施設の稼働後は年間約4万トンの電池用炭酸リチウム(battery-grade lithium carbonate)を生産する見込みで、クリス・ライト長官(Chris Wright)は「北米最大のリチウム鉱床を持ちながら、世界の供給量の1%にも満たない米国の生産拡大につなげる」と言及しており、重要鉱物の国内サプライチェーン強化が、今回の出資の目的と説明している。 Department of Energy “Department of Energy Restructures Lithium Americas Deal to Protect Taxpayers and Onshore Critical Minerals” (10/01/25) https://www.energy.gov/articles/department-energy-restructures-lithium-americas-deal-protect-taxpayers-and-onshore

エネルギー業界は採用減速 電力網への懸念も拡大

ユーティリティ・ダイブ(Utility Dive)は9月30日、北米のエネルギー部門において採用計画が減速傾向にあり、電力インフラへの対応懸念が高まっていると報じた。エネルギー技術者協会(Association of Energy Engineers: AEE)の年次調査報告書によると、今後12カ月以内にエネルギー関連技術者を採用する計画があると回答した企業の割合は、2024年の45.9%から2025年には42.6%に低下した一方で、採用計画がない企業は27.2%から34.9%に増加した。電力会社やエネルギーサービス企業などでは採用意欲が維持されているが、製造や公共機関では低迷しているという。また回答者の83%が、今後10年以内に地域の電力網が急速な電化に対応できないとし、昨年の79%から増加した。業界は人口動態の変化にも直面しており、回答者の24%が5年以内に、さらに16.9%が10年以内に退職する予定であると回答した。予算や労働力の確保に課題が残るなかで、エネルギー業界の人材やインフラへの不安が拡大していると記事は伝えている。 Utility Dive “North American energy professionals report slower hiring: AEE survey” (09/30/25) https://www.utilitydive.com/news/energy-sector-hiring-interest-shrank-jobs-workforce-aee-survey/761480/

厚生省、最高技術責任者にDOGE出身のザカリー・テレル氏を起用

FEDSCOOPは9月29日、厚生省(Department of Health and Human Services: HHS)が、政府効率化省(Department of Government Efficiency: DOGE)のザカリー・テレル氏(Zachary Terrell)を最高技術責任者(Chief Technology Officer: CTO)に任命したと報じた。米国科学財団(National Science Foundation: NSF)にも所属する同氏は、DOGE関連業務や両機関の助成見直しなどに関与してきた経緯がある。以前はコインベース社(Coinbase)が買収したブロックチェーン系企業、スピンドル社(Spindl)やウェイジャー社(Wager)創業などの民間実績に加え、2022年3月までカンザス州立大学(Kansas State University)で学術研究を行っていた。CTOのポストは政権交代に伴い、近年空席が続いていたが、ロバート・F・ケネディ・ジュニア長官(Robert F. Kennedy Jr.)が進める同省の大規模再編の一環である数千人規模の人員削減に加え、IT部門を統合する計画の最中での登用となった。 FEDSCOOP “HHS has a new DOGE-affiliated technology chief” (09/29/25) HHS has a new DOGE-affiliated technology chief

OMB、中立的なAI指針策定に向け業界意見を募集

NEXTGOV/FCWは9月29日、行政管理予算局(Office of Management and Budget: OMB)が「イデオロギー的中立性(Ideological neutrality)」を備えた人工知能(AI)調達基準策定のため、業界と意見交換を始めると報じた。7月の大統領令により「政治的イデオロギー」を含まないAIモデル導入が義務付けられたが、多様性・公平性・包括性(DEI)の排除基準が不明確との指摘がある。そこで透明性やリスク管理の改善に加え、政治的にセンシティブなテーマへの業界の対応を参考にするという試みであるが、スタンフォード大学ヒューマンセンタードAI研究所(Stanford University’s Institute for Human-Centered AI)は完全な中立性は不可能とし、第三者評価など多面的な安全策が必要と提言している。背景には問題発言を繰り返すAIモデル調達への批判があり、OMBはAIリスク管理から誤情報などに加え、DEIや気候変動の記載を除外する意向である。このガイドラインは11月末までに策定する予定で、今後の政府調達やAIの活用方針に大きな影響を与えるとみられている。 NEXTGOV/FCW “White House seeks industry input as it crafts “anti-woke” AI guidelines” (09/29/25) https://www.nextgov.com/artificial-intelligence/2025/09/white-house-seeks-industry-input-it-crafts-anti-woke-ai-guidelines/408457/?oref=ng-skybox-hp