連邦上院がFERC委員の指名2件を承認 共和党が多数派に

連邦議会上院は10月8日、連邦エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission: FERC)の空席補充に指名されていたローラ・スエット氏(Laura Swett)とデイビッド・ラサート氏(David LaCerte)を承認した。この結果、FERCは共和党員3名と民主党員2名の構成となり、共和党が多数派となった。両者の任期は、ラサート氏が2026年6月30日まで、スエット氏は2030年6月30日までである。スエット氏は、ビンソン・アンド・エルキンス法律事務所(Vinson & Elkins)のエネルギー担当弁護士で、元FERC職員である一方、ラサート氏は、人事管理局(Office of Personnel Management)の高官である。FERCの委員は他に、リンゼー・シー委員(Lindsay See、共和党)、デイビッド・ロズナー委員長(David Rosner、民主党)、ジュディ・チャン委員(Judy Chang、民主党)であるが、ロズナー氏がFERC委員長に留まるか否かは不明である。 Utility Dive “Senate confirms FERC nominees, giving agency Republican majority” (10/08/25) https://www.utilitydive.com/news/senate-confirms-ferc-swett-lacerte/802321/?stream=top

SCSP、核融合エネルギー競争で米国が中国に勝利するための国家戦略を提言

特別競争力研究プロジェクト(Special Competitive Studies Project: SCSP)の核融合エネルギー拡張委員会(Commission on the Scaling of Fusion Energy)は10月9日、「核融合の展開:米国の未来へのエネルギー供給(Fusion Forward: Powering America’s Future)」と題する報告書を発表した。報告書は、「米国はこれまで核融合科学分野を先導してきたが、数兆ドル規模の商業化競争で中国に抜かれ、国家安全保障上の優位性を奪われる瀬戸際にある」と警告した上で、核融合エネルギーの世界的な商業化競争で米国の勝利を確実にするための国家戦略を概説している。報告書が提言する国家戦略には、①国家的な核融合目標の設定、②核融合は国家安全保障上の優先事項であるとの宣言、③投資(100億ドル)、④合理化と強化、が含まれる。 Commission on the Scaling of Fusion Energy “Bipartisan Commission Releases Final Report, Urges Bold National Strategy to Win Fusion Energy Race Against China” (10/09/25) https://fusion.scsp.ai/posts/fusion-forward-press-release

クネクト社、国防向け量子ネットワーク技術開発を加速

HPCwireは10月9日、空軍が量子ネットワークのクネクト社(Qunnect)と契約し、防衛用量子ネットワーク技術開発を加速すると報じた。商用光ファイバー上に量子もつれ(Quantum Entanglement=量子エンタングルメント)を用いた都市圏(metro-scale)量子ネットワークを世界で初めて実運用展開した同社の技術は、すでにニューヨーク市やベルリン市で実証されていることから、今回の契約により、防衛グレード仕様の検証と国家安全保障分野での応用を進めていくという。量子ネットワークは物理法則によって通信の改ざんや盗聴を検知でき、政府、金融、重要インフラ、通信、医療など多分野での応用が期待されている。また、量子もつれ状態のネットワーキングが研究段階を超えて運用段階に入り、防衛領域においても実用性が高まる中、同市場は2032年までに約170億ドル規模に達すると予測されている。 HPCwire “Qunnect Selected by US Air Force to Advance Quantum Networking for Defense Applications” (10/09/25) Qunnect Selected by US Air Force to Advance Quantum Networking for Defense Applications

カリフォルニア州知事、地熱探査プロジェクトに関する法案に拒否権発動

ユーティリティ・ダイブ(Utility Dive)は10月9日、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(Gavin Newsom)が、発電所の建設段階にあるプロジェクトの承認を迅速化する法案AB531に署名した一方で、資源探査プロジェクトを対象とした法案AB527には拒否権を発動したと報じた。署名されたAB531は、大規模な発電施設などを対象とする州エネルギー委員会(California Energy Commission)の迅速化認証プロセスに地熱発電所を加えるもので、拒否されたAB527は不確実性の高い探査段階のプロジェクトに対しカリフォルニア州環境品質法(California Environmental Quality Act: CEQA)の適用を免除する内容である。拒否した理由について、法案が地質エネルギー管理局(Geologic Energy Management Division: GEMD)に課す新たな審査要件の施行・管理コストを賄うため事業者への手数料の大幅引き上げる必要が生じ、それが開発意欲を削ぐ可能性があると説明した。また既存の改革の効果を見極める前に、性急なCEQA免除は避けるべきとの考えも示した。 Utility Dive “Newsom signs 1 bill to speed geothermal approvals, vetoes another” (10/09/25) https://www.utilitydive.com/news/newsom-california-geothermal-veto-bill-energy-streamline/802487/

EEI、今後5年間で1.1兆ドル超の投資計画を発表

エジソン電気協会(Edison Electric Institute: EEI)は7月23日、投資家が所有する電力会社は、人工知能(AI)やデータセンターの需要拡大対応に向け、2025年から2029年の5年間で1.1兆ドル超の巨額の設備投資を計画していると発表した。送配電網の強化、安定供給の確保、そしてクリーンエネルギーへの移行加速を目的としており、2025年は約2,080億ドルを投じる計画であるという。2024年の発電量は430万ギガワット時(GWh)と過去5年間で最大となり、2024年の設備投資額も前年比5.5%増の1,782億ドルと過去最高を記録した。投資増加は13年連続となり、背景には、業界全体の2024年純利益が前年比4.5%増の546億ドル、株主への配当金総額は5.8%増の340億ドルに達したことに加え、EEI指数(EEI Index)構成企業の株式時価総額も2024年末時点で1兆ドルを超えるなど、好調な業績が大規模投資を支えていることにある。また、企業の平均信用格付けも11年連続で「BBB+」を維持するなど、安定した財務基盤が投資家の信頼を集めていると説明している。 EEI “2024 Financial Review Annual Report of the U.S. Investor-Owned Electric Utility Industry” (07/23/25) https://www.eei.org/-/media/Project/EEI/Documents/Issues-and-Policy/Finance-And-Tax/Financial_Review/FinancialReview_2024.pdf 参照記事:Axios “Exclusive: U.S. trails China and Russia on hypersonic weapons, task force finds” (10/09/25) https://www.axios.com/2025/10/09/hypersonic-missiles-china-russia-atlantic-council

極超音速兵器で中ロに後れ 開発加速が急務

シンクタンクのアトランティック・カウンシル(Atlantic Council)は10月9日、極超音速兵器の開発と配備で中国とロシアに著しく後れを取っているとする報告書を発表した。極超音速能力タスクフォース(Hypersonic Capabilities Task Force)のまとめによると、戦場戦略におけるこれらの国との非対称性が米国を著しく脅かしていると指摘し、国の抑止力と防衛戦略の根本的な見直しを提言している。具体的には、中国などが構築する接近阻止・領域拒否(Anti-access/Area-denial: A2/AD)環境打破に向け、攻撃用の極超音速兵器(マッハ5を超える速度で飛行、数秒で数マイルを移動)を相当数配備することが不可欠であると強調した。また地対空ミサイルのパトリオット(Patriot)や終末高高度防衛ミサイル(Terminal High-Altitude Area Defense: THAAD)などの極超音速兵器を迎撃する能力の強化も急務と訴え、国防総省(Department of Defense)と議会に対し、現行システムの調達加速、次世代システムの開発、試験インフラの拡充、同盟国との共同生産など強く促している。 Atlantic Council “The imperative for hypersonic strike weapons and counterhypersonic defenses” (10/09/25) The imperative for hypersonic strike weapons and counterhypersonic defenses 参照記事:Axios “Exclusive: U.S. trails China and Russia on hypersonic weapons, task force finds” (10/09/25) https://www.axios.com/2025/10/09/hypersonic-missiles-china-russia-atlantic-council

2023年の企業R&D支出、実質成長率がほぼ横ばい SSTI調査

州科学技術研究所(State Science & Technology Institute: SSTI)は10月9日、2023年の国内企業による研究開発(R&D)支出が、インフレ調整後の実質値でほぼ横ばいの0.20%となり、過去10年間の力強い成長が止まったと発表した。企業研究開発(Business Enterprise R&D: BERD)のデータに基づいた調査によると、2022年から2023年にかけての名目支出は4%(290億ドル)増加したものの、実質成長率はわずか0.20%にとどまった。2018年から2022年まで年平均8%近い実質成長を続けてきた好調な流れから一転し、明らかな減速となった。一方で、過去10年間(2014~2023年)成長を牽引したのはITやソフトウェア、バイオテクノロジーなどの科学研究開発サービスなどの非製造業で、そのR&D支出は実質で134%と大幅に増加した。同期間の製造業の実質支出の伸びは30%で、企業R&D支出全体に占める構成比は、製造業が約55%、非製造業が約45%となった。 SSTI “Useful Stats: Growth in real business R&D expenditures comes to a halt in 2023” (10/09/25) https://ssti.org/blog/useful-stats-growth-real-business-rd-expenditures-comes-halt-2023

北米の研究開発拠点、地域経済を牽引 AURP報告

大学リサーチパーク協会(Association of University Research Parks: AURP)は9月11日、北米のリサーチパークが地域経済と雇用に極めて大きく寄与しているとする報告書を発表した。「2025年度経済影響報告書(2025 Economic Impact Report)」によると、約100万平方フィート規模の大型リサーチパークはそれぞれ平均1万5,700人の雇用、GDP18億ドル、年間9億7,400万ドルの雇用所得、2億680万ドルの連邦税収を生み出している。また北米全体では約200カ所のリサーチパークが合計250万人の雇用と2,948億ドルのGDPを支え、連邦税収も年間330億ドルに達した。これら拠点は大学や研究機関と連携し、研究開発や起業支援を通じた地域のイノベーション・エコシステムを形成していることから、スタートアップの存続率が全国平均の49%を大きく上回る75%に達するなど、技術集積と人材育成の中核拠点としての強みもある。さらに、今後10年間で9,880万平方フィートの新規開発も計画されており、約97万5,000人の新規雇用創出が見込まれているという。 AURP “THE POWER OF NORTH AMERICAN RESEARCH PARKS” (09/11/25) https://aurp.org/wp-content/uploads/2025/09/AURP2025_Stiletto_Econ_Impact_RE_FINAL.pdf 参照記事:SSTI “New report from AURP describes significant impacts of research parks” (10/09/25) https://ssti.org/blog/new-report-aurp-describes-significant-impacts-research-parks

エネルギーボルト社とPG&E社、水素と蓄電池による世界初のマイクログリッドを完成

エネルギー貯蔵技術企業のエネルギーボルト・ホールディングス社(Energy Vault Holdings Inc.)と、パシフィックガス&エレクトリック社(Pacific Gas and Electric Company: PG&E)は9月25日、カリストガ・レジリエンシー・センター(Calistoga Resiliency Center: CRC)の完成と商業運用開始を発表した。CRCは、先端の水素燃料電池とリチウムイオン電池を統合した最新のハイブリッド型マイクログリッドエネルギー貯蔵施設で、カリフォルニア州の遠隔地カリストガに設立された。州内で山火事リスクが高まる中、電力の対応力強化につながる持続可能な解決策を提供することを目指す。293メガワット時(MWh)の蓄電容量を持つカリストガの地域マイクログリッドは、山火事リスク等を回避するための計画停電の間も電力を維持することができ、最大出力8.5MWで少なくとも48時間の連続電力供給が可能になる。 PG&E Corporation “Energy Vault, PG&E Announce Successful Completion of the Calistoga Resiliency Center, the World’s First Ultra-Long Duration Hybrid Battery + Hydrogen Energy Storage Microgrid” (09/25/25) https://investor.pgecorp.com/news-events/press-releases/press-release-details/2025/Energy-Vault-PGE-Announce-Successful-Completion-of-the-Calistoga-Resiliency-Center-the-Worlds-First-Ultra-Long-Duration-Hybrid-Battery–Hydrogen-Energy-Storage-Microgrid/default.aspx 参考:https://www.utilitydive.com/news/pge-energy-vault-hydrogen-battery-microgrid/801985/

トランプ大統領、次期NIST長官に工学者のアルビンド・ラマン氏を指名

トランプ大統領は、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)の次期長官に アルビンド・ラマン氏(Arvind Raman)を選出し、10月2日に議会へ通知した。ラマン氏は現在、パーデュー大学(Purdue University)の工学部長で、2000年以来、同大学で機械工学教授を務める。同氏はインドで生まれ、パーデュー大学での修士号取得を目指して米国に留学後、カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)で博士号(機械工学)を取得した。ラマン氏は、振動と非線形力学の研究で知られており、原子力艦顕微鏡の開発に貢献している。研究を通じた途上国開発支援にも力を入れており、2018~2023年には、国際開発庁(United States Agency for International Development: USAID)の助成プロジェクト(低・中所得国における重要な開発問題に実用的な解決策を提供する7,000万ドルのプロジェクト)で主任研究員を務めた。NISTでは現在、クレイグ・バークハルト氏(Craig Burkhardt)が長官代理を務めている。 AIP “Trump Nominates Engineer Arvind Raman as Next NIST Director” (10/07/25) https://www.aip.org/fyi/trump-nominates-engineer-arvind-raman-as-next-nist-director