ハッカー・コミュニティ、2019年DEFCONでDARPAのハードウェア防衛に挑む

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は今月、2019年DEF CON投票機械ハッキング・ビレッジ(DEF CON 2019 Voting Machine Hacking Village: Voting Village(投票ビレッジ))に、ハードウェア防衛を実装したセキュアな投票箱の実証版を試す。実装されるハードウェア防衛は、「ハードウェア及びファームフェアを通じた総合システム・セキュリティ(System Security Integrated Through Hardware and Firmware: SSITH)」プログラムで開発中のもの。SSITHプログラムは、ハードウェアの進展を活用して、ハードウェアの脆弱性につけ込むソフトウェアからシステムを保護する手法と設計ツールを開発するプログラムである。本プログラムの進展を評価するため、DARPAは、研究者が開発中のセキュアなプロセッサをセキュアな投票箱に組み込み、同システムを数千人のハッカー及びDEF CONコミュニティに評価させるという試みである。​ ​ Defense Advanced Research Project Agency “Hacker Community to Take on DARPA Hardware Defenses at DEF CON 2019″ (8/1/19) ​

主要自動車メーカー、カリフォルニア州と燃費基準で合意

フォード自動車(Ford)、ホンダ、フォルクスワーゲン社(Volkswagen)、北米BMW(BMW of North America)の4社は、カリフォルニア州大気資源委員会(California Air Resources Board: CARB)との間で、数週間にわたる内密の交渉を行った後、今後数年間で自動車の燃費を向上させることで合意した。これは、米国内の自動車の走行燃費基準を緩和しようとするトランプ政権の努力を削ぐものとなる。CARBのメアリー・ニコルス委員長(Mary D. Nichols)は、「自動車メーカーに柔軟性を持たせた本合意にトランプ政権も参加することを期待する」と述べている。トランプ政権は現在、自動車燃費基準の凍結(今秋に平均して1ガロン当たり約37マイル)に取り組んでいるが、今回の合意で3つの自動車メーカーは、2026年モデルまでに車両の燃費を平均して同約50マイルとすることに合意した。​ ​ Washington Post “Major automakers strike climate deal with California, rebuffing Trump on proposed mileage freeze” (7/25/19) ​

パーデュー大学、シスルーナー(地球と月の間)の経済開発に注目

人類が地球以外で持続可能な存在を可能にするためには、地球と月の間を指す「シスルーナー(Cislunar)」の領域に進出する必要がある。パーデュー大学(Purdue University)は7月18日、シスルーナーの可能性を開発する取り組みで全国的なリーダーシップを示し、業界、学術機関、政府機関との協力を通じて宇宙ベースの経済進展を図る取り組みを主導するべく、「シスルーナー・イニシアチブ(Cislunar Initiative)」を発表した。同イニシアチブは、短期的な目的として、①協調的な研究センターや小型衛星科学技術ミッション、シスルーナーのインフラ技術の開発を促進するインキュベーター・プログラム、②アントレプレナー、民間業界、政府機関によるシスルーナー空間開発に関するコンソーシアム、③グローバルな宇宙空間コミュニティにシミュレーション・ツールやオンライン資源などを提供するシスルナー・ハブ(CislunarHub)、など5つを挙げている。​ ​ Purdue University “Purdue center to focus on development of Earth-moon economy” (7/18/19) ​

サイバーフィジカル・システムの設計でツールからパートナーへと進化するコンピュータ​

国防総省(Department of Defense: DOD)のシステム及びプラットフォームは、数多くの総合的なサイバーフィジカル・サブシステムで構成されている。それによってもたらされる膨大な複雑性はエンジニアの作業を困難なものにしている。こうした中、国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は、「サイバーフィジカル・システムのための共生設計(Symbiotic Design for Cyber Physical Systems: Symbiotic Design(共生設計))」プログラムを創出した。知的オートメーションをサイバーフィジカル・システム(Cyber Physical Systems: CPS)の設計プロセスに取り入れることを目的としたプログラムで、モデル・ベースの設計を機械の推論及び学習と融合させ、人工知能(AI)に基づくコア・ツール・セットの開発を模索する。設計者は、このツール・セットを用いて設計概念からシステム開発へのプロセスを加速できると期待されている。​ ​ Defense Advanced Research Project Agency “Evolving Computers from Tools to Partners in Cyber-Physical System Design” (8/2/19) ​

BNEF:エネルギー貯蔵は2040年までに122倍になると予測

ブルームバーグNEF(BloombergNEF: BNEF)が7月31日に発表した報告書「2019年エネルギー貯蔵見通し(Energy Storage Outlook 2019)」によれば、世界のエネルギー貯蔵の導入(揚水発電を除く)は、2018年の9GW/17GWhから、2040年には1,095GW/2850GWhに爆発的に増大するという。今後20年間で122倍という固定型エネルギー貯蔵の急増には、6,620億ドルの投資が必要とされ(試算)、リチウム・イオン電池価格の更なる急減(同価格は2010-18年の間に85%減少している)によって実現されるという。BNEFは、1キロワット時のリチウム・イオン電池の価格は、固定型貯蔵と電気自動車という2つの異なる市場での需要増により、2030年までに更に半減すると予測している。​ ​ Renewable Energy World “BNEF: Energy to storage increase 122X by 2040” (7/31/19) ​

「感情を検知するAIは200億ドル産業」と言われるものの、「業界の主張どおりにはできない」と新たな報告​

わずか数年で、人工知能を使って人々の感情を特定する「感情検知ビジネス」は200億ドル産業になっており、IBM社やマイクロソフト社(Microsoft)などは、顔の表情を分析し、特定の感情と結びつけるソフトウェアを宣伝している。これらはいずれ、新製品に対する顧客の反応や就職面接で被面接者の心理を測る強力なツールとなるであろう。しかし、心理科学協会(Association for Psychological Science)が集めた5名の研究者グループが最近発表した報告書によれば、「これらの技術を下支えする科学には大きな欠陥がある」という。その問題は、「誰かの感情をその顔の表情から判断することに信頼を置けない」という点である。本グループは、2年間にわたって1,000件以上の研究を調査した結果、「顔の表情と感情の間の関係は、曖昧かつ複雑で、万人に共通するものではない」との結論に達した。​ ​ Washington Post “‘Emotion detection’ AI is a $20 billion industry. New research says it can’t do what it claims.” (7/31/19) ​

米国内で初となる体内でのCRISPR研究開始

遺伝による盲目の治療を目的として、体内でCRISPR遺伝子編集技法を用いる試みが米国内で初めて実施される。この遺伝病を持つ人は、通常の目を持ってはいるが、光をシグナルに転換して脳へ送り、物を「見る」ことを可能にする遺伝子が欠落している。今回実験的に行われる治療は、欠落している遺伝子を小児や成人に提供するというもので、特定のスポットにあるDNAを切断もしくは編集するツールを用いて行われる。一度の治療でその人の生来のDNAを永久的に変更することを意図している。この遺伝子編集は出生後に行われるものであり、昨年、中国人科学者が行った論争的な遺伝子編集(受精胚のDNAを変更し、その変更は将来の世代にわたって受け継がれる)とは異なり、今回の実験による成人のDNAの変更は子孫には遺伝しない。​ ​ Yahoo News “First CRISPR study inside the body to start in US” (7/26/19) ​

複数の研究所によるコンソーシアムにより、水素サービス用のマテリアルが進展

エネルギー省(Department of Energy)傘下のサンディア国立研究所(Sandia National Laboratory)とパシフィック・ノースウェスト国立研究所(Pacific Northwest National Laboratory)の研究者は、「水素マテリアル互換性コンソーシアム(Hydrogen Materials Compatibility Consortium: H-Mat)」を主導している。同コンソーシアムには、その他の国立研究所や業界、学術機関の研究者も参加しており、多様なセクター(燃料電池輸送や水素インフラなど)を対象に、水素がポリマーや金属に及ぼす影響に焦点を当てた研究を行っている。この取り組みは、エネルギー省による「H2@スケール(H2@Scale)」イニシアチブを支援するものである。​ ​ News Wise “Materials for hydrogen service advanced by new multilab consortium” (7/25/19) ​

IoTプロジェクトの30%が概念証明段階で失敗

モノのインターネット(IoT)及びその支援技術の利用は急速に進んでおり、IDC社は、「2025年までに世界で416億個の機器が接続されるだろう」と予測している。しかし、最近発表された調査報告書「IoTシグナル(IoT Signals)」によれば、業界は、IoTに関する大幅な技能ギャップや複雑な問題、セキュリティ上の課題などに直面している。事業組織の3,000人以上のIoT意思決定者を対象とした本調査によれば、回答者の85%がIoTの導入に取り組んでおり、その75%が「計画中のプロジェクトがある」と回答している。また、導入者の88%が、「IoTはビジネスの成功に重要である」と考えている。その一方で、プロジェクトの3分の1が概念証明段階で失敗しており、その要因として、「実施には高額の費用がかかる」「最終的な恩恵が不明確」が挙げられている。​ ​ The Manufacturer “30% of IoT projects fail in the proof-of-concept stage” (7/31/19) ​

WHO、遺伝子編集された赤ん坊の誕生につながるCRISPR実験の阻止を要請​

世界保健機関(World Health Organization: WHO)は、人間の赤ん坊のDNAを改変するCRISPRの使用について、最も権威のある声明を発表した。中国の科学者が、世界で初めて遺伝子編集による赤ん坊を密かに出生させたことを明らかにしてから8か月が経過したが、WHOは世界各国に、遺伝子編集された赤ん坊の更なる出生につながるいかなる実験も阻止する策を講じるよう要請している。WHOの事務総長は7月26日、「すべての規制当局は、この分野の更なる取り組みについて、その影響が適切に考慮されるまで認めるべきではない」という声明を発表した。中国人科学者の発表直後に多くの科学者が要請していた全面的なモラトリアムの要請には至らなかったが、WHOの姿勢は同科学者への強い批判を示すものである。ただし、その声明が強力な抑止となるかどうかは不明である。​ ​ Wired “The World Health Organization Says No More Gene-Edited Babies” (7/30/19) ​