Category:その他
核融合開発加速、公開データの重要性を強調 FIA提言
核融合産業協会(Fusion Industry Association: FIA)は10月2日、公的部門の核融合実験データの公開と標準化を通じて、核融合産業の発展を加速すべきとする白書を発表した。「核融合産業強化に向けた公共部門データの公開(Opening Public-Sector Data to Empower the Fusion Industry)」によると、公的機関と民間企業の協力により、過去50年間に亘る核融合実験で得られたデータの活用で、核融合三重積(温度・密度・閉じ込め時間の積)が100万倍向上した実績を踏まえ、データ活用の重要性を強調している。具体的には、組織の機密知的財産を除くすべての核融合データの公開、データの保存・構造化に関する共通標準の採用、データ管理とアクセシビリティ確保を担う機関チームへの支援強化の3点を挙げた。その上で、核融合産業のグローバルな相互接続型エコシステムへの移行には、適切なデータ管理の先例を確立することが重要と提言している。 Fusion Industry Association “FIA Publishes White Paper on the Importance of Open Public-Sector Data” (10/02/25) FIA Publishes White Paper on the Importance of Open Public-Sector Data
就労ビザ「H-1B」の申請に10万ドル シリコンバレーへの影響必至
非営利団体のジョイント・ベンチャー・シリコンバレー(Joint Venture Silicon Valley)は10月、外国人高度技術者向けの就労ビザ(査証)「H-1B」申請料を1件当たり10万ドルに引き上げる新たな大統領令が、シリコンバレー経済に深刻な影響を及ぼすとの分析結果を発表した。主要技術企業が昨年度と同数の約7,660件の新規申請を行った場合、申請料だけで約7億6,600万ドルの負担となることに加え、この費用負担により地域全体で約1,060の雇用が失われ、地方税収は約1,200万ドル、州税収は約2,800万ドル減少するという。同地域の生産性8%を生み出すH-1B取得者は、メタ社(Meta)やアップル社(Apple)、グーグル社(Google)などの大手技術企業に欠かせない存在であり、その新規ビザ承認数も国内の約11%を占める。9月21日に発効したこの新制度は1年の期限付きであるが、次年度分の申請はすでに受付済みのため、実際の影響が生じるのは2027年度の申請からとなる。 Joint Venture Silicon Valley “Acute local impacts: Silicon Valley’s concentrated exposure to H-1B policy” (10/25) https://jointventure.org/publications/institute-publications/329-our-shared-economy/2771-acute-local-impacts-silicon-valley-s-concentrated-exposure-to-h-1b-policy
データセンター送電コスト、一般消費者に43億ドル超の負担転嫁
憂慮する科学者同盟(Union of Concerned Scientists: UCS)は9月、データセンター向け送電線整備費用の規制上の抜け穴により、PJM系統(PJM Interconnection)管轄7州の一般消費者は2024年だけで43億ドル以上の追加負担を強いられていると発表した。送電網が公共インフラとして扱われる現行制度では、特定の大口需要家の送電コストが全消費者に転嫁されることから、その費用負担の適正化を求め、UCSは連邦エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission: FERC)と州公益事業委員会(state public utility commissions)に対して提言を行った。PJMはペンシルベニア州、ニュージャージー州、メリーランド州など中部大西洋岸と中西部の13州とコロンビア特別区の送電網を管理する地域送電機関(Regional Transmission Organization: RTO)で、2022年から2024年に同地域で150以上ものデータセンター向け地方送電プロジェクトが開始されているが、その約半分が世界最大のデータセンター拠点であるバージニア州に集中している。 Clasp “Connection Costs Loophole Costs Customers Over $4 Billion to Connect Data Centers to Power Grid” (09/25) https://www.ucs.org/sites/default/files/2025-09/PJM%20Data%20Center%20Issue%20Brief%20-%20Sep%202025.pdf 参照記事:Utility Dive “Customers in 7 PJM states paid $4.4B for data center transmission in 2024: report” (10/01/25) https://www.utilitydive.com/news/pjm-data-center-transmission-costs-ratepayers/761579/
家電効率化で気候目標達成へ クラスプ報告
非営利団体のクラスプ(CLASP)は9月、2050年までのネットゼロ達成に向け、目標とすべきエネルギー削減量の約20%を、家電の効率化で実現できるとの分析結果を発表した。国際エネルギー機関(International Energy Agency: IEA)によると、目標達成には、世界の年間エネルギー効率改善率を2030年までに少なくとも4%に倍増させる必要があることから、CLASPは家電製品の最低効率基準を強化し、国家気候目標に明確、かつ、測定可能な家電効率目標を組み込むよう提言している。具体的には、家電製品の最低効率基準を現在利用可能な最高技術レベルまで引き上げる内容で、各国政府に対し変革的な改善のための行動を促した。また報告書では、ブラジルや中国、インド、インドネシアは既に家電効率化を国家戦略に統合する措置を講じ、他国のモデルとなりつつある現状を伝えている。 Clasp “Doubling Energy Efficiency with Appliances” (09/25) https://www.clasp.ngo/wp-content/uploads/2025/09/Doubling-Energy-Efficiency-with-Appliances.pdf 参照記事:Utility Dive “World’s carbon-neutral aspirations may hinge on appliance efficiency: CLASP” (10/01/25) https://www.utilitydive.com/news/worlds-carbon-neutral-aspirations-may-hinge-on-appliance-efficiency-clasp/761556/
連邦政府閉鎖で科学研究活動が停止 外部資金研究は継続可能
米国物理協会(American Institute of Physics: AIP)は10月1日、連邦政府機関の閉鎖により大半の科学機関の研究活動が停止したと発表した。基礎研究の大部分が一時停止される一方で、研究機器の維持管理に関しては、一部職員が無給で対応することになる。米国科学財団(National Science Foundation: NSF)や航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)では職員の約80%が一時帰休となり、既に資金が配分されている外部研究助成については研究は継続されるが、閉鎖期間中は新規の研究公募、審査、助成金交付は行わないとした。米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology: NIST)は、半導体研究開発向けのCHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)による半導体研究開発資金を使用した活動を継続するという。これに先立ち、政府は各省庁に対し、大統領の優先事項と合致しないプログラムの人員削減を指示している。なお、前回2019年の閉鎖は35日間続き、史上最長であった。 AIP “Federal Science on Pause Amid Shutdown” (10/01/25) https://www.aip.org/fyi/federal-science-on-pause-amid-shutdown
トランプ政権、大学に包括的協定への署名を要請 助成で優遇措置
ウォール・ストリート・ジャーナル紙(Wall Street Journal)は10月1日、政府が大学に対して包括的協定「高等教育における学術的卓越性に関する協定(Compact for Academic Excellence in Higher Education)」への署名を求めていると報じた。人種や性別に基づく入学選考の禁止、5年間の授業料引き上げ停止、留学生の受け入れ枠15%上限設定などを含む10項目に亘る内容で、協定に署名する大学は「実質的で意味のある連邦給付」を含む複数の優遇措置を受けられるという。協定は保守的な思想に対する暴力を誘発する部署の廃止や、キャンパス内での政治活動を制限する要求も含み、まずはバンダービルト大学(Vanderbilt University)、ダートマス大学(Dartmouth College)、ペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)など9大学に書簡が送付された。協定に署名した大学には、独立監査人を雇用し、教職員・学生・職員への匿名調査を通じて協定遵守状況を評価することが求められる。調査結果は一般公開され、司法省(Department of Justice)が審査を行うという。 WSJ “White House Asks Colleges to Sign Sweeping Agreement to Get Funding Advantage” (10/02/25) https://www.wsj.com/us-news/education/trump-universities-compact-federal-funds-agreement-df158493
厚生省、NIH傘下の研究所所長を含む幹部5人を正式に解雇
サイエンス誌(Science)は10月2日、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)傘下の研究所所長4人と政府高官1人が解雇されたと報じた。解雇されたのは、国立アレルギー・感染症研究所(National Institute of Allergy and Infectious Diseases: NIAID)のジャンヌ・マラッツォ所長(Jeanne Marrazzo)と国立小児健康発達研究所(National Institute of Child Health and Human Development: NICHD)のダイアナ・ビアンキ所長(Diana Bianchi)らで、トランプ政権により3月31日に休職処分を受けて以来、職務停止状態にあった。所長らはこれらの待遇が政治的な理由によるものとして8月に告発書を提出しており、弁護士は今回の措置はその報復措置であると声明で述べている。解雇を通告した厚生省(Department of Health and Human Services: HHS)のロバート・F・ケネディ・ジュニア長官(Robert F. Kennedy Jr.)が所長らに遠隔地にあるインディアン保健局(Indian Health Service: IHS)などのポストに就くよう提案していたが、異動は実現しなかったと記事は伝えている。 Science “Exclusive: After months in limbo, four NIH institute directors fired ” (10/02/25) https://www.science.org/content/article/after-months-limbo-four-nih-institute-directors-fired
エネルギー省 223プロジェクト、約76億ドルの資金提供を打ち切り
エネルギー省(Department of Energy)は10月2日、223のプロジェクトを支援する321件の財政支援、約75億6,000万ドルの資金を打ち切ったと発表した。前政権の終了間際に駆け込みで承認された案件を審査した結果、多くが国のエネルギー需要の推進に不十分な内容で、経済的に成立せず、国民への適切な還元が見込めないと判断した。打ち切られた支援のうち、26%は大統領選の選挙日から就任日の間に承認されたもので、31億ドル超に上るという。対象となるのは、クリーンエネルギー実証局(Office of Clean Energy Demonstrations :OCED)やエネルギー効率・再生可能エネルギー局(Energy Efficiency and Renewable Energy: EERE)、送電網展開局(Grid Deployment Office: GDO)、製造・エネルギーサプライチェーン局(Manufacturing and Energy Supply Chains: MESC)、エネルギー高等研究計画局(Advanced Research Projects Agency-Energy: ARPA-E)、化石エネルギー局(Office of Fossil Energy: FE)で、受給者には決定に対する30日間の異議申し立て期間を設けている。 Department of Energy “Energy Department Announces Termination of 223 Projects, Saving Over $7.5 Billion” (10/02/25) https://www.energy.gov/articles/energy-department-announces-termination-223-projects-saving-over-75-billion
台湾、半導体生産50%の米国移転要求を拒否
アース・テクニカ(Ars Technica)は10月2日、台湾が米国からの半導体生産50%移転要求を拒否したと報じた。ハワード・ラトニック商務長官(Howard Lutnick)の「安全保障上の保証と引き換えに、台湾が製造拠点の米国移転を検討している」との発言に対し、台湾の鄭麗君副首相(Cheng Li-chiun)は「そのような約束はしておらず、交渉の場でも議論されていない」と即座に反論したという。台湾は世界の半導体生産の95%を担い、対米輸出の70%以上が半導体関連で、トランプ政権はその関税導入について同国と交渉を続けているが、8月になって大統領が「最大100%の関税を課す可能性があるが、製造拠点を米国に移転する企業には完全免除する」と言及したことが背景にある。関税導入によるインフレ加速、消費財の価格上昇への懸念が広がる中、民生技術協会(Consumer Technology Association: CTA)は、製品輸入国、チップ、重要鉱物への関税による「三重苦(Triple whammy)」に備え、技術企業が製品の備蓄を進めていると指摘している。 Ars Technica “Taiwan rejects Trump’s demand to shift 50% of chip manufacturing into US” (10/02/25) https://arstechnica.com/tech-policy/2025/10/taiwan-says-trump-cant-pressure-it-into-giving-up-half-its-chip-supply/
テキサス州のエネルギー消費、カリフォルニア州の2倍に拡大
エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)は10月1日、テキサス州が2023年に全米で最も多くのエネルギーを消費し、カリフォルニア州の2倍、フロリダ州の3倍以上に達したと発表した。州エネルギーデータシステム(State Energy Data System: SEDS)の最新データによると、全米のエネルギー消費が2007年から2023年にかけて5%減少する中、テキサス州は21%増加したという。また工業部門だけでもカリフォルニア州全体の消費量を上回り、石油消費量もカリフォルニア州の総エネルギー消費にほぼ匹敵する規模となった。増加の主な要因は、人口増加(29%増)に加え、化学製造業、石油・天然ガス採掘、石油精製業などのエネルギー集約型産業の拡大が挙げられた。テキサス州は電力網が他州から独立しているため、州内資源のみで電力需要に対応する必要があり、EIAは、データセンターや暗号通貨施設の稼働により、2025年から2026年にかけても電力需要が急速に拡大すると予測している。 EIA “Texas used twice as much energy as California and three times as much as Florida in 2023” (10/01/25) https://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=66224