米国アカデミー、政策決定者のためのCOVID-19データガイドを公表

米国アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)が、社会及び行動科学の研究者と意思決定者を結び、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)対策へとつなげることを目的として、最近発足させた「社会的専門家行動ネットワーク(Societal Experts Action Network: SEAN)」が6月11日、「ラピッド・エキスパート・コンサルテーション(rapid expert consultation)」を公表した。これは、リーダーが、入院患者数や感染確認報告事例などのCOVID-19指標を使って地域社会における疾病の感染について理解するためのガイドとなるもので、「政策決定者が、COVID-19指標を評価する際に考慮すべき5つの基準」として、①代表性(representativeness)、②過少もしくは過大試算の可能性、③不透明性、④時間幅、⑤地域性、を挙げている。また、COVID-19の具体的な指標7件について、その利点と欠点についてまとめている。 National Academies “National Academies Release COVID-19 Data Guide for Decision-Makers” (6/11/20)

米国のバッテリー500イニシアチブ、リチウム金属電池が350Wh/kgのエネルギー密度を達成

オバマ大統領の任期終了近く(2017年)に、エネルギー省(Department of Energy)は、「バッテリー500コンソーシアム(Battery500 Consortium)」プログラムを立ち上げ、リチウム金属蓄電池で1キログラム当たり500ワット時(500Wh/kg)を達成することを目指した。これは、当時のバッテリーのエネルギー密度の3倍と言われていた(ただし、コンソーシアムの最新情報によれば、2017年にプログラムが開始した時点で、エネルギー密度は300Wh/kgであったことが示唆されている)。また、蓄電池の寿命を10サイクルから100サイクルとすることもゴールであった。バッテリー500のメンバーによる更新情報によれば、リチウム金属蓄電池は、350Wh/kgならびに350サイクルまで到達したという。そして、このまま進めば、バッテリー500は目標に到達できると考えられている。 Clean Technica “USA’s Battery500 Initiative Has Achieved Li-Metal Battery Energy Density Of 350 Wh/kg” (6/10/20)

エネルギー省EERE、技術商業化基金プロジェクトへの資金提供を発表

エネルギー省(Department of Energy)のエネルギー効率・再生可能エネルギー局(Office of Energy Efficiency and Renewable: EERE)は6月11日、技術移転局(Office of Technology Transitions)技術商業化基金(Technology Commercialization Fund: TCF)の支援を受ける58件のプロジェクトに201万ドル以上の連邦資金を提供すると発表した。これらのプロジェクトは、エネルギー省全体を対象としたTCFの取り組み(全部で82件のプロジェクトが3,300万ドル以上の連邦資金を受益する)の一部である。TCFプロジェクトは、非連邦による50%のマッチング・ファンドを得ることが条件となっている。採択されたのは、国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory)やパシフィック・ノースウェスト国立研究所(Pacific Northwest National Laboratory)など合計11の国立研究所によるプロジェクトである。 Department of Energy “Office of Energy Efficiency and Renewable Energy Announces Funding for Technology Commercialization Fund Projects” (6/11/20)

エネルギー省、人工知能グランド・チャレンジの可能性を模索

エネルギー省(Department of Energy)で昨年9月に新設された人工知能技術局(Artificial Intelligence and Technology Office: AITO)は6月10日、国立研究所、学術機関、業界などあらゆる機関の専門家を対象に、人工知能(AI)の急進的なブレイクスルーを開拓し、技術分野における米国のリーダーシップを強化するために、セクターごとに追求する意義のあるグランド・チャレンジ及びパートナーシップについて検討することを呼びかける情報の要請(request for information: RFI)を行った。AITOは、AIに焦点を当てたグランド・チャレンジを創設する最善の手法と、今後、事態を大きく変える可能性があるAI能力について、洞察の共有を要請している。 Nextgov “Energy Explores the Potential of an Artificial Intelligence Grand Challenge” (6/11/20)

アマゾン社、警察による顔認識ソフトウェアの使用を一時停止

アマゾン社(Amazon)は6月10日、警察が同社の顔認識ツールを使用することを1年間停止すると発表した。アマゾン社は一時停止の理由を説明していないが、米国内で人種差別や偏見に基づく警察活動を巡り、全国的な抗議が行われている中での発表となった。アマゾン社の技術はこれまでに、有色人種の人を間違って認識すると批判されたこともあった。同社は、一時停止を発表したブログの中で、「当社の顔認識技術サービス『レコグニション(Rekognition)』にモラトリアムを実施することで、議会が、顔認識技術の倫理的使用について適切な規則を設定する十分な時間を得られることを期待する」と述べている。同社は、顔認識ソフトウェアを法規取り締まり機関へ提供する大手企業であったことから、今回の発表は大きな変化である。なお、IBM社は6月8日に、顔認識製品の販売を中止すると発表している。 New York Times “Amazon Pauses Police Use of Its Facial Recognition Software” (6/10/20)

「米国は2035年までにクリーン電力の90%を達成可能」との報告

カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)は、「2035年レポート:ソーラー、風力、バッテリーの費用急落により、クリーン・エネルギーの未来の加速が可能(2035 Report: Plummeting Solar, Wind, and Battery Costs Can Accelerate Out Clean Energy Future)」と題する報告書を発表した。それによれば、米国は2035年までに、信頼できる形で、クリーンで炭素フリーの電力を90%達成でき、それには消費者の電気代の上昇も、新しい化石燃料プラントの必要性も伴わないという。ただし、「頑強な政策改革が行われなければ、排出削減及び雇用増加の可能性の多くを2035年までに実現することは難しい」としている。報告書は、追加の再生可能エネルギーの迅速な構築により、1兆7,000億ドルの投資が経済に注入され、米国内のエネルギー部門の雇用は2035年までに年間最高53万人増えるであろうと予測している。電力部門の脱炭素化が2035年までにほぼ完了となるという時間的枠組みは、多くの州及び国レベルの政策で提案されていた時期よりも15年早く、その意味合いは大きい。 Goldman School of Public Policy, University of California Berkeley “The U.S. can reach 90 percent clean electricity by 2035, dependably and without increasing consumer bills” (6/9/20)

USPTO、上級レベルの新興技術専門家を募集

米特許商標局(U.S. Patent & Trademark Office: USPTO)は6月8日、組織内の事業活動面における人工知能(AI)や機械学習、ロボット・プロセス・オートメーションなどの技術の強化、および開発、統合、加速を拡大する助けとなる上級レベルの新興技術専門家を採用するため、正式に求人を開始した。この新しいポストは、USPTOの最高情報責任官(Chief Information Officer: CIO)であるジェイミー・ホルコンベ氏(Jamie Holcombe)に直接助言する立場となる。同氏は最近、USPTOの現場における戦略、技術刷新で重要な役割を果たしている。給与は年収約13~18万ドルで、セキュリティ・クリアランスの確保は条件ではないが、米国人もしくは米国市民であることが必要。 Nextgov “USPTO is Looking to Hire a Senior-Level Emerging Technology Expert” (6/10/20)

国務省、クリーン・パス5Gネットワークを模索

国務省(Department of State)は、いわゆる「クリーン・パス5Gネットワーク」を導入する手法について、業界からのコメントを募集する「情報の要請(request for information: RFI)」を発表した。その中で、クリーンパスについて、「信頼のできないベンダーのトランスミッション、制御、コンピューティング、貯蔵機器を使用しない、エンド・トゥ・エンドのコミュニケーション・パス」と定義しており、信頼のできないベンダーとは、ファーウェイ社(華為技術、Huawei)やZTE社のような中国のベンダーを指す。国務省は、2019年国家防衛承認法(National Defense Authorization Act)(ファーウェイ社やZTE社、その他中国の信頼できないベンダーを政府が使用することを禁止した)に沿った形で、国内外でどのようにこうした5G環境を整備できるか、業界からの意見を模索している。 Fedscoop “State Department seeks ‘clean path’ 5G networks” (6/9/20)

DARPA、大型アンテナを必要としない長距離通信方法を模索

現在、遠隔地で米兵のための戦術的な長距離通信を確立するには、巨大なパラボラ・ディッシュ、背の高い支柱式のアンテナ、大規模なアンテナドーム、高出力の増幅器を必要とする。これらのアンテナは大型で目に付きやすく、高周波信号は電波妨害に脆弱である。大型のアンテナ及び増幅器への依存を打破すべく、国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は最近「対応力のあるネットワークによる分散型モザイク通信(Resilient Networked Distributed Mosaic Communications: RN DMC)」プログラムを発表した。RN DMCは、空間的に分散された低SWaP-C(サイズ、重量、電力、コスト)トランシーバー・エレメント(通称「タイル」)で構成される「モザイク」アンテナを通じた長距離コミュニケーションを提供することを狙いとしている。RN DMCには、①システム・デザイン、②実験的パフォーマンス検証、③運用アーキテクチャ定義、という3つのフォーカス・エリアが含まれる。プログラムは3段階に分けて、合計45か月間行われる。 Defense Advanced Research Project Agency “Long-range Communications without Large, Power-Hungry Antennas” (6/9/20)

DARPA、SSITHハードウェア防衛をハッキングする初のバグ懸賞金プログラムを発表

エレクトロニック・システムは日常生活の重要な一部となっており、これらのシステムのセキュリティは、国防総省(Department of Defense: DOD)、商業産業などにとり、極めて重要である。これらのシステムを搾取の手段から守ることを目的として、国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は2017年に、「ハードウェア及びファームフェアを通じた総合システム・セキュリティ(System Security Integrated Through Hardware and Firmware: SSITH)」プログラムを開始した。SSITHは、ソフトウェア・アプリケーションの安全性を確実にするためにパッチに依存するのではなく、源にある根本的なハードウェアの脆弱性に対処することを狙いとしている。開発中のSSITHハードウェア・セキュリティ保護の強化の一助として、DARPAは6月8日、「改ざんを阻止するためのエクスプロイトの発見(Finding Exploits to Thwart Tampering: FETT)バグ報奨金(Bug Bounty)」と呼ばれる初のバグ報奨金制度を発表した。FETTは、数百名の倫理的な研究者、アナリスト、リバース・エンジニアを活用し、SSITHのハードウェア・アーキテクチャに深く入り込み、その防衛能力を弱める可能性がある潜在的な脆弱性もしくは欠陥を明らかにすることを狙いとしている。 Defense Advanced Research Project Agency “DARPA Announces First Bug Bounty Program to Hack SSITH Hardware Defenses” (6/8/20)