2020年IMD世界競争力ランキング、小規模経済圏の強さを示す

IMDは今般、「2020年世界競争力ランキング(2020 World Competitiveness Ranking)」を発表した。今年で32年目となり、63の経済圏のパフォーマンスについて豊富なデータが網羅されている。1位はシンガポールで2年連続。2位以下は順に、デンマーク、スイス、オランダ、香港となっている。IMDは今年のランキング(2019年のハードデータと2020年初頭のアンケート結果を基に順位付け)の特徴として、小規模経済圏の強さを挙げ、「現在の危機において、パンデミックと戦う能力と経済競争力という面が小規模経済圏の利点となっている。その一因は、社会的総意を見つけやすいという点にあるかもしれない」と述べている。米国は昨年の3位から今年は10位へ、日本は昨年の30位から今年は34位へ、それぞれ順位を落とした。 IMD “IMD’s 2020 World Competitiveness Ranking revealed, showing strength of small economies” (June 2020)

商務省、米国企業が5G及びその他の標準でファーウェイ社と協力することを容認へ

米政府は6月15日、「米国企業が中国のファーウェイ社(華為技術、Huawei)と業務取引をすることを禁止した措置を修正し、次世代5Gネットワークの標準設定で取引できるようにする計画である」と報じたロイター社(Reuters)のニュースを肯定した。商務省(Department of Commerce)及びその他の機関が規則変更に署名し、早ければ6月23日にも連邦広報(Federal Register)で発表される予定である。商務省は15日遅くに今回の変更について公表し、「標準設定における米国の参加は、5G、自動運転車、人工知能、その他の先端技術の将来に影響を及ぼすものである」と述べた。米政府は昨年、ファーウェイ社を事業体リストに含め、国家安全保障上の理由から、米国の製品及び技術を同社へ販売することを禁じていたが、米国企業が一部の技術標準の対話から外れる状態になり、戦略的に不利な立場に置かれるとの懸念が上がっていた。 Reuters “U.S. companies can work with Huawei on 5G, other standards: Commerce Department” (6/15/20)

AI研究人材における米国の優位は、来米する海外研究者によるもの

マクロポロ社(MacroPolo)は、世界でトップクラスと考えられる有力な人工知能(AI)研究者の世界的なバランス及びフローに関するデータを基に調査分析した「グローバルAI人材・トラッカー(Global AI Talent Tracker)」を発表した。それによれば、主要な考察として、①トップ層のAI研究者が働く国として、米国は他国を圧倒的に上回っている。その要因は、海外の学生及び研究者を米国内の機関で働くよう引き付けていることである。②トップ層のAI研究者の多くは中国人であるが、中国人研究者の過半数は、中国を離れ、米国で学業、仕事、生活している。③トップ層のAI研究者の半分以上が、外国籍の研究者で、自分が学士号を取得した国とは異なる国で働いている、が挙げられている。 Macropolo “America’s Got AI Talent: US’ Big Lead in AI Research Is Built on Importing Researchers” (6/9/20)

CSIS、「研究開発における政府関与の評価」報告書を発表

戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies: CSIS)は今般、「研究開発における政府関与の評価(Taking Stock of Government Involvement in Research and Development)」と題する報告書を発表した。研究開発(R&D)資金における公的部門の役割は数十年に及んでおり、政府が直面している問題は、R&Dに資金を提供するか否かではなく、どのような形でそれを行うかである。R&Dの前向きな影響は十分に文書化されているが、間違った管理が行われた場合、政府主導のR&Dは更なる問題を生み出す可能性がある。政府の支援を受けたR&Dの取り組みの成功事例と失敗を調査することで、政策策定者は、より優れたリターンをもたらすより効果的なプログラムを開発することができる。本報告書はこうした考えの下で作成されたもので、「ホワイトハウスのR&D予算優先事項」「政府のR&D対企業のR&D」「ビジネスにおける政府関与事例」「代替モデル」「政府が資金提供したR&Dがブレイクスルーをもたらした事例」「勧告」で構成されている。 Center for Strategic and International Studies “Taking Stock of Government Involvement in Research and Development” (6/8/20)

NSF、ピッツバーグ・スーパーコンピューティング・センターに500万ドルを助成

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、独自の高性能人工知能(AI)システムの構築に取り組むピッツバーグ・スーパーコンピューティングセンター(Pittsburgh Supercomputing Center: PSC)に500万ドルを提供する。PSCが取り組んでいるAIシステム、「ネオコーテックス(Neocortex)」は根本的に新しいハードウェア・システムで、AI研究の速度を大幅に向上させるものとなる。PSCは、カーネギーメロン大学(Carnegie Mellon University)とピッツバーグ大学(University of Pittsburgh)の合同研究で、セレブラス・システムズ社(Cerebras Systems)及びヒューレット・パッカード・エンタープライズ社(Hewlett Packard Enterprise: HPE)とパートナーシップを組み、新しいスパコンの構築に取り組む。 Pittsburgh Supercomputing Center “The National Science Foundation Awards $5 million to the Pittsburgh Supercomputing Center to Build Neocortex, an AI Supercomputer that Will Introduce Revolutionary Technologies” (6/9/20)

NIH:外国との関係に関する調査の結果、54名の科学者が失職

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)が、外国政府との金銭的関係の開示を怠った受益者を調べるために行っている現行調査の結果、54名の科学者が辞職もしくは解雇されたことが明らかになった。このうち93%は、中国の機関から内密の資金提供が行われていた。今回の発表は、2018年8月にNIHが本調査を開始して以来、最も詳細な内容となる。調査の対象の大半は50代のアジア系男性で、それらの4分の3が現在NIHグラントを受益し、約半数が少なくとも2件のグラントを同時受益している。 Science “Fifty-four scientists have lost their jobs as a result of NIH probe into foreign ties” (6/12/20)

DARPA、微生物感染対策としての新規治療の開発を模索するプログラムを開始

抗生物質に対する耐性は増加しており、疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention: CDC)や米軍は、本件をグローバル医療危機とみなしている。国防総省(Department of Defense)は、感染症にさらされる兵士の大きなリスクについて長年文書化しており、これには、多剤耐性(multi-drug resistant: MDR)生物の増加も含まれる。こうした危機の浮上にもかかわらず、製薬企業は抗生物質の分野から顕著に手を引いており、抗生物質開発に焦点を当てているバイオテクノロジー企業の失敗も話題になっている。こうした中、国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)の「人生を救う措置のための酵素の活動の育成(Harnessing Enzymatic Activity for Lifesaving Remedies: HEALR)」プログラムは、微生物感染を効果的に治療する新規の治療設計ツールキット及び新規の戦略/方策を活用することを狙いとしている。具体的には、HEALRは、新規のたんぱく質分解アプリケーションに焦点を当てて新種の抗生物質を開発することに取り組む。 Defense Advanced Research Project Agency “DARPA Program Seeks to Develop Novel Therapeutics for Combating Microbial Infections” (6/12/20)

FDA、コロナウィルス治療薬としてのヒドロキシクロロキンの緊急使用を中止

食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)は6月15日、トランプ大統領が推進していた2つのコロナウィルス治療薬の緊急使用承認を撤回すると発表した。これらの薬の使用には、安全性と効果に懸念が示されていた。FDAは、バイオメディカル先端研究開発局(Biomedical Advanced Research and Development Authority:BARDA)ゲイリー・ディスブロウ長官代理(Gary Disbrow)の要請を受け、クロロキンとヒドロキシクロロキンに関する承認を撤回した。FDAの主席科学者であるデニス・ヒントン氏(Denise Hinton)は、本決定を発表した書簡の中で、「大規模な臨床試験による新たな情報を検討した結果、FDAは現在、提案されている投与方式は抗ウィルス効果をもたらす可能性は低いと考えている」と述べた。 Politico “FDA ends emergency use of hydroxychloroquine for coronavirus” (6/15/20)

NIH、受益者によるセクハラについてNIHに通知する方針を強化

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)は従来、NIHの支援を受けている研究者がセクハラに関与したことを知らされずにいることがしばしばあったが、6月11日にサイエンス誌(Science)に掲載された論説で、NIHの資金を受益する機関に、研究者がハラスメントの発見または疑いでグラントから排除されることになった場合、NIHに通知することを義務付ける方針を発表した。NIHはまた、セクハラの発見または疑いにより、研究者がグラントを別の機関へ移動させる場合についても、報告することを義務付ける。論説を執筆したNIH高官は、「その他の新たな方針とあわせ、これらの変更は、セクハラやその他の不適切な言動は研究及び研修の環境では容認されないという文化を更に育成するものとなる」と述べている。 Science “NIH strengthens policies to alert agency to sexual harassment by grantees” (6/11/20)

MIT、「州レベルのR&D税クレジットは新規ビジネスの成長を促進」と報告

マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology: MIT)のエコノミストらが書いた研究報告「州レベルの研究開発税クレジットがアントレプレナーシップの質と量に及ぼす影響(The Impact of State-Level Research and Development Tax Credits on the Quality and Quantity of Entrepreneurship)」によれば、研究開発(R&D)税クレジットはアントレプレナーシップに大きな影響を及ぼすという。また、R&D税クレジットが高品質かつ新規の企業の成長を促進するのに比べ、州レベルの投資税クレジット(一般的なビジネス・ニーズを支援)は実際にはイノベーション活動にはやや否定的な経済効果をもたらすという対照的な結果も示されている。報告書の執筆者は、「この違いの根底にある理由は、R&D税クレジットが野心的なスタートアップ企業の繁栄を支援する一方、投資税クレジットは大手企業の拡大支援につながり、それらのビジネスには長期的な成長がさほどないためである」としている。 Massachusetts Institute of Technology “State-level R&D tax credits spur growth of new businesses” (6/12/20)