裁判所、NIHの間接費削減計画を一時停止 研究への影響を懸念

サイエンス誌(Science)は2月11日、マサチューセッツ連邦裁判所が、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)が発表した大学への間接費削減計画を一時的に差し止めたと報じた。この決定は、22州および主要な研究機関が提起した訴訟に基づくもので、NIHが助成における間接費を半減し、15%に固定するという内容で、原告側は研究活動に壊滅的な影響を与えると主張していた。裁判所は、この政策が行政手続法(Administrative Procedure Act: APA)や2018年の議会指示(関節費率の変更禁止)などに違反していると判断し、政策の実施阻止を決定した。NIHも法廷の命令に従う意向を示し、2月21日にさらなる審理が行われる予定である。原告側は長期に亘る仮処分を求めており、最終的な判決が下されるまでの間、研究資金の不安定化を回避する措置が取られている。 AAAS “Judges suspend NIH plan to slash payments and order health agencies to restore web pages” (02/11/25)

トランプ大統領、共和党幹部を国家サイバー担当に指名

AXIOSは2月12日、トランプ大統領が、共和党全国委員会(Republican National Committee: RNC)の幹部ショーン・ケアンクロス氏(Sean Cairncross)を国家サイバーセキュリティー担当部門の責任者(National Cyber Director)に指名したと報じた。サイバー政策の策定や大規模なサイバー攻撃への対応において重要な役割を担うポストで、トランプ政権における初のサイバーセキュリティ・ポジションの指名となる。大統領府の国家サイバー担当室は、バイデン前大統領就任前に設立され、現在80人以上の職員が在籍しているが、その具体的な役割については安全保障の観点から明らかにされていない。同氏は以前、ミレニアムチャレンジ公社(Millennium Challenge Corporation)のCEOを務め、最近はRNCの最高執行責任者として活動していたが、サイバーセキュリティ分野での経験はないという。指名は上院の承認が必要であり、今後、上院国土安全保障委員会(Senate Homeland Security Committee)での公聴会が予定されている。 AXIOS “Trump taps RNC executive as national cyber director” (02/12/25)

ARPA-H、地方医療革新プロジェクトを始動

医療高等研究計画局(Advanced Research Projects Agency for Health: ARPA-H)は2月12日、農村部の医療アクセス改善を目指す「パラディグム(Platform Accelerating Rural Access to Distributed & InteGrated Medical care: PARADIGM)」プログラムの12チームを選定したと発表した。このプログラムは、先進的な医療機器を搭載した電気自動車プラットフォームにより、病院レベルの医療サービスを遠隔地域に提供することを目指す。選定された研究チームは、遠隔地での臨床ワークフローの確立、医療車両の開発、医療IoTプラットフォームの構築、軽量移動型CTスキャナーの設計、医療従事者のスキル向上支援のAIシステム開発という、5つの技術領域で革新的な取り組みを進めていくとし、ホームワード・ヘルス社(Homeward Health)やマサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)など、各分野の最先端研究機関が参画し、農村部の医療格差解消を進めるという。 ARPA-H “ARPA-H selects teams to deliver advanced hospital-level care to rural areas” (02/12/25)

保健分野での基礎・大規模言語モデルの活用に向けたワークショップ報告書

1月21日、ネットワーク・情報技術研究開発(Networking and Information Technology Research and Development: NITRD)プログラムとデジタル保健研究開発省庁間作業部会(Digital Health Research and Development Interagency Working Group)は、2024年7月に開催されたワークショップの結果をまとめた「保健のための基礎・大規模言語モデルの活用のためのワークショップ報告書(Leveraging Foundation and Large Language Models for Health Workshop Report)」を発表した。ワークショップでは、6連邦政府機関から35人を超える参加者が、生物医学や公衆衛生、ヘルスケアの研究開発におけるAI、特に基礎言語モデルと大規模言語モデル(LLM)の活用について議論した。AIにはイノベーションの可能性がある一方で、言語モデルを安全に実装するためには問題もあり、報告書では今後の研究開発の対象分野や課題、機会を概説している。 Networking and Information Technology Research and Development Program “Leveraging Foundation and Large Language Models for Health Workshop Report” (01/21/25)

トランプ大統領、パリ協定離脱の大統領令に署名

1月20日、トランプ大統領は、地球温暖化対策のパリ協定(Paris Climate Agreement)からの離脱プロセスを開始する大統領令に署名した。米国は世界第2位の温室効果ガス排出国かつ石油と天然ガスのトップ産出国であり、この動きは温室効果ガス削減のための国際的な取り組みに大きな影響を与える。協定からの離脱には1年間かかる。トランプ政権は、パリ協定が他国に比べて米国に不公平な負担を強いていると考えていて、離脱の動きは化石燃料の生産を増やしてバイデン政権時代からの気候変動政策を後退させるというトランプ氏の意向に沿ったものである。 Axios “Trump signs order to pull U.S. out of Paris Agreement” (01/20/25)

トランプ大統領、多数のエネルギー関連大統領令に署名

1月20日、トランプ大統領は就任初日に、国家的な「エネルギー緊急事態」を発動し、化石燃料の産出拡大を支持するエネルギー関連の大統領令に署名して、バイデン前大統領の再生可能エネルギー重視の政策の多くを覆した。このうち国家的エネルギー緊急事態の大統領令は、国内のエネルギー生産を増やして消費者のコストを低減し、AI関連のデータセンターの拡大によるエネルギー需要の増加に対処することを目的としている。一連の大統領令には、バイデン前大統領のジャスティス40イニシアチブ(Justice 40 Initiative)の取り消しやEPAテールパイプ排出規制の撤回、液化天然ガス基地の承認再開、大規模風力発電所のリース停止、特にアラスカでの石油・ガス生産の促進などが含まれる。石油・ガス業界はこの変化を歓迎している。 Axios “Trump signs slew of sweeping energy executive orders” (01/20/25)

国防総省と中小企業庁、中小企業投資会社重要技術イニシアチブの最初の18社を採択

1月17日、国防総省(Department of Defense)は、中小企業投資会社重要技術イニシアチブ(SBICCT Initiative)に基づくライセンス供与及び認可されたファンドの第一陣18社を発表した。このイニシアチブは、国防省と中小企業庁(Small Business Administration: SBA)と共同で、国防総省の重要技術分野(Critical Technology Areas: CTA)及び部品レベルの技術への民間投資を拡大することにより、米国の国家安全保障および経済安全保障を強化することを目的としている。第一陣は、民間投資の様々な段階と戦略を網羅し、14のCTAの全てにわたる1,700以上のポートフォリオ企業に40億ドル以上を投資する予定で、7社が既にライセンスを取得している。 Department of Defense “Department of Defense and U.S. Small Business Administration Publish Names of First 18 Licensed and Green Light Approved Funds for the Small Business Investment Company Critical Technologies Initiative” (01/17/25)

トランプ大統領、マーク・クリスティ氏をエネルギー規制委員長に指名

1月20日、トランプ大統領は、民主党のウィリー・フィリップス氏(Willie Phillips)の後任として、マーク・クリスティ氏(Mark Christie)を連邦エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission: FERC)委員長に任命した。クリスティ氏は声明で、「過剰な電力コストから消費者を守る必要がある」とし、送電線建設のインセンティブを減らすためのルール作りを進めるとしている。また同氏は、寿命を迎える発電所の拡大と代替発電の不足により、信頼性の危機が迫っていると警告し、規制委と各州の電力規制当局が、信頼性と供給価格の課題に取り組むためのパートナーシップが不可欠と強調した。 Utility Dive “Trump taps Mark Christie to lead FERC, replacing Willie Phillips” (01/21/25)

クリーンエネルギー産業、テキサス州に数百億ドル規模の経済効果

太陽エネルギー産業協会(Solar Energy Industries Association: SEIA)、エネルギー革新のためのテキサス保守(Conservative Texans for Energy Innovation: CTEI)、先進電力連合(Advanced Power Alliance: APA)、テキサス州太陽光・蓄電協会(Texas Solar + Storage Association: TSSA)による新しいデータによると、テキサス州における既存及び想定される実用規模の太陽光発電や風力発電、蓄電池プロジェクトは、耐用年数を通じて200億ドル以上の税収を生み出し、テキサス州の土地所有者に295億ドルをもたらすと予測されている。テキサス州の75%以上の郡が、これらのプロジェクトの税収を受けるという。テキサス大学オースティン校(University of Texas at Austin)のエネルギー専門家でエネルギーコンサルティング会社アイデアスミス社(IdeaSmiths LLC)の最高技術責任者、ジョシュア・ローズ氏(Joshua Rhodes)が執筆した報告書「テキサス州における再生可能エネルギーとエネルギー貯蔵投資の経済効果(The Economic Impact of Renewable Energy and Energy Storage Investments Across Texas)」は、再生可能エネルギー投資による経済効果の大きさを強調し、土地所有者へのリース料と、地方税の計約500億ドルに着目している。ローズ氏は、これらが「テキサス州農村部の人々が土地を維持するとともに、電力需要が増加する中、州の送電網の信頼性に貢献している」と指摘している。 Solar Energy Industries Association “New Report: Clean Energy Industry is Generating Billions for Texas Landowners and Local Governments” (01/21/25)

トランプ大統領、AIに関するバイデン氏の大統領令取り消し

1月20日、新たに就任したトランプ大統領は、バイデン前大統領のAIに関する大統領令を就任後わずか数時間で取り消した。トランプ大統領が大統領令で取り消した80近いバイデン政権時代の行政措置の一つである。2024年の共和党綱領(Republican platform)は、バイデン前大統領のAI大統領令を「危険」とし、急進的な左翼思想を押し付けていると非難していた。バイデン氏の大統領令には、開発者に危険なモデルに関する詳細を政府と共有することを義務付ける措置が含まれていた一方で、連邦政府によるAI利用のガイドラインも制定されることになった。トランプ政権下でのAI政策の先行きは不透明なままで、バイデン政権の政府高官の間では、各省庁に対する指針が欠如していることへの懸念が広がっている。 Nextgov/FCW “Trump axes Biden’s AI executive order” (01/20/25)