トランプ大統領、国産医薬品製造推進のため規制緩和措置を発表

大統領府は5月5日、国内での医薬品製造基盤を強化し、製薬に必要な重要な原材料を国内でまかなう体制を構築するための大統領令を発表した。これにより、食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)は、国内製薬工場の承認期間の短縮や審査過程の簡素化に加え、海外製造拠点に対する検査強化と手数料引き上げを実施し、海外メーカーの原薬情報の開示と順守を徹底する。環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPA)は、医薬品製造施設の建設を加速し、政府機関による許認可手続きでは、行政管理予算局(Office of Management and Budget:OMB)の支援のもと、単一窓口方式による効率的な調整を実現させる。トランプ大統領は「医薬品を輸入に頼ることは、安全保障上のリスクである」とし、国内生産の重要性を強調した。今回の措置は、第1次政権時代の「医薬品供給網再構築政策」をさらに推進するもので、規制障壁を低減し、迅速な施設建設を可能にすることを目指している。 The White House “Fact Sheet: President Donald J. Trump Announces Actions to Reduce Regulatory Barriers to Domestic Pharmaceutical Manufacturing” (05/05/25) https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2025/05/fact-sheet-president-donald-j-trump-announces-actions-to-reduce-regulatory-barriers-to-domestic-pharmaceutical-manufacturing/

NSFも間接経費削減案、大学側反発し法廷闘争へ

サイエンス誌(Science)は5月2日、米国科学財団(National Science Foundation:NSF)が大学への研究助成における間接経費率を一律上限15%とする削減方針を発表したと報じた。この新方針は5月5日以降に授与される全ての新規助成に適用される予定で、国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)とエネルギー省(Department of Energy)に続く動きである。個別交渉で決まる間接経費率が提案の15%の3~4倍に達している大学もあるため、州や大学、科学団体の連合は、関連機関が法的手続きに沿わず一方的に料率変更したことに反発し、研究機関評議会(Council on Governmental Relations:COGR)のマット・オーウェンズ氏(Matt Owens)も「米国の科学技術と競争力にとって惨事」と批判する。NIHと同省の試みは、現在連邦裁判所によって一時的に差し止められ、NIHの訴訟に対し政府が控訴中だが、他の訴訟も同様の展開が予想され、NSFの削減策も法的な異議申し立てに直面する可能性が高いと見られる。 Science “NSF becomes third U.S. science agency to propose smaller overhead payments to universities” (05/02/25) https://www.science.org/content/article/nsf-becomes-third-u-s-science-agency-propose-smaller-overhead-payments-universities

国立衛生研究所、外国連携研究への一部助成を停止

サイエンス誌(Science)は5月2日、国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)が外国研究機関への一部助成を9月末で打ち切り、国外研究者に別途、直接助成申請するよう求める新方針を決定したと報じた。資金流れの可視化と「国家安全保障」を理由に掲げ、既存助成は維持する一方、更新・延長を含む新規採択を新制度が整うまで一時停止する。背景にはエコヘルス・アライアンス(EcoHealth Alliance)経由で武漢ウイルス研究所(Wuhan Institute of Virology)に流れた助成を巡る議会追及と「研究所流出説」があり、所内メールでは「海外でしか実施できず、国民に利益をもたらす場合を除き、中止すべき」とし、過去の管理を「不適切で無責任」と説明した。一方で下痢性疾患やデング熱などの研究が頓挫しかねず、研究者らは「狂気の沙汰」と断じ、大半の助成が英国、豪州、カナダ向けで科学協力の理念を損なうことに加え、途上国の低コスト優位が失われれば経費増大は必至で、説明責任も低下すると懸念する。 Science “Borders on the insane’: New NIH policy on funding foreign scientists stirs outrage” (05/02/25) https://www.science.org/content/article/insane-new-nih-policy-funding-foreign-scientists-stirs-outrage

先進産業特化度、多くの州が世界平均を下回る結果に

情報技術・イノベーション財団(ITIF:Information Technology and Innovation Foundation)は5月5日、大多数の州が世界平均を下回る先進産業特化度を示したと発表した。ITIFはITやコンピューター、電子機器、医薬品、バイオテクノロジーなど21の先進産業における就業者数と生産額の割合に基づき、LQ法(Location Quotient: LQ)と呼ばれる統計手法を用いて、各州の高度産業特化度を評価した結果、ワシントン州(LQ:1.79)が首位となり、中国(LQ:1.27)を上回った。これにバージニア州(LQ:1.14)、インディアナ州(LQ:1.14)、ミシガン州(LQ:1.09)、カリフォルニア州(LQ:1.00)で世界平均(LQ:1.00)を上回った一方で、その他47の州・地域は世界平均を下回った。ITIFは国家的な産業戦略の必要性を訴え、中国企業への補助金禁止や先端産業への投資促進のための州支援策、また、地域技術ハブプログラムの再編や国家経済開発サミットの年次開催など4つの政策提言を行っている。 ITIF “Washington, Virginia, and Indiana Lead National Ranking of Advanced Industry Specialization, But Most States Lag Behind Global Average, New Report Finds” (05/05/25) https://itif.org/publications/2025/05/05/washington-virginia-and-indiana-lead-national-ranking-of-advanced-industry-specialization-but-most-states-lag-behind-global-average-new-report-finds/

米国のソーラーと蓄電池製造、2027年まで拡大との予測

アンザ・リニューアブルス社(Anza Renewables)が4月29日に発表した2025年第2四半期国内調達洞察報告によれば、米国の太陽光発電及び蓄電池部品の製造事業者は、バイデン前政権の終盤に最終決定された財務省(Department of Treasury)の規則と、バイデン前大統領及びトランプ大統領による一連の関税措置への対応として、国内調達計画を積極的に調整している。同社は、「一部の製造事業者が国内製造を加速させる一方、経済的及び物流的な問題から従前に発表した計画を撤回している事業者もある」との見解を示した。不確実性やプロジェクト中止などはあるが、米国の蓄電池セル製造事業者は今後2年間に成長する見通しで、多くの大手供給会社は従来の計画を進めていくと、アンザ社は予測している。また、蓄電池部門の供給会社は、現在の1社から、2026年上半期には6社に、2027年上半期には10社に増大し、蓄電池モジュールの供給会社は、現在の3社から2027年には11社に増える見込みであるという。ソーラー・モジュール製造については緩やかな成長となる見通しで、供給会社数は、現在の17社から2026年上半期には20社、2027年上半期には18社と予測されている。 Utility DIVE “US solar, battery manufacturing to expand through 2027 despite uncertainty: Anza Renewables” (05/05/25) https://www.utilitydive.com/news/us-solar-battery-manufacturing-to-expand-through-2027-despite-uncertainty/747115/

DIU等、低付随型損害の統合無力化能力を募集、「レプリケーター2」を支援

国防イノベーションユニット(Defense Innovation Unit: DIU)、統合対無人機局(Joint Counter-small UAS Office: JCO)は5月5日、統合部隊全体へ拡張でき、既存の対小型無人航空機システム(Counter Small Unmanned Aerial Systems: C-sUAS)プログラムに統合できる「レプリケーター2(Replicator 2)」の支援において、付随型損害の低い無力化能力(low-collateral defeat: LCD)の選択肢に関する新たな公募を発表した。公募は、レプリケーター・イニシアチブの一環として、国防総省(Department of Defense)へ戦略的能力を提供し、革新的能力を構築する複数の取り組みを基盤として、新たな能力を模索している。ドローンは、速度が遅く、容易に特定でき、既知の周波数で運用される商業システムから、より速くて特製のシステムへと急速に進展しており、LCD能力の模索は、より効果的な無力化の選択肢によって兵士を支援する重要な取り組みである。 Defense Innovation Unit “DIU, NORTHCOM, JCO Announce Solicitation for Joint Low-Collateral Defeat Capabilities in Support of Replicator 2” (05/05/25) https://www.diu.mil/latest/diu-northcom-jco-announce-solicitation-for-joint-low-collateral-defeat

エネルギー省、連邦建造物における化石燃料禁止措置を停止

エネルギー省(Department of Energy)は5月5日、「新規の連邦建造物及び主要な改築が行われる連邦建造物のクリーン・エネルギー(Clean Energy for New Federal Buildings and Major Renovations of Federal Buildings)」に関して昨年採択された規則について、その順守日を延期すると発表した。これにより、連邦建造物の電力供給源として、石炭や天然ガスなど費用が手頃で信頼性の高い資源の使用を制限し、信頼性がさほど高くなく、より高額な選択肢を優先するという前政権が課した規則の実施を先送りする。当初の規則(2024年5月1日に発表)では、一部の新規連邦建造物や主要な改築を行う連邦建造物は、化石燃料に基づくエネルギーの消費削減が義務付けられていた。今回、本規則の実践ガイダンスと軽減措置申請のひな型をエネルギー省が審査している間、遅延されることとなり、順守日は1年間先送りとなる。 Department of Energy “DOE Halts Fossil Fuel Ban for Federal Buildings” (05/05/25) https://www.energy.gov/articles/doe-halts-fossil-fuel-ban-federal-buildings

トランプ政権が保留を計画する国家気候評価、科学協会が独自に実施

トランプ政権は4月下旬、国家気候評価(National Climate Assessment: NCA)策定に関与する約400名の科学者に対して、彼らの職務は不要であること、報告書は再評価を受けることを伝えた。これを受けて、米国気象学会(American Meteorological Society)と米国地球物理学連合(American Geophysical Union)の2つの科学協会が5月2日、独自の取り組みを実施することを発表した。具体的にこれらの科学協会は、「法律で義務付けられている科学に基づく報告書が、トランプ大統領の下、突如として危ぶまれていることから、気候変動による現行及び将来の影響を評価する、ピアレビュー式の研究文書の作成に協力して乗り出す」ことを明らかにした。国家気候報告書は1990年の連邦法によって4~5年ごとの発表が義務付けられており、次回は2027年前後に発表予定となっている。 AP “Scientific societies say they’ll step up after Trump puts key climate report in doubt” (05/02/25) https://apnews.com/article/climate-change-trump-firing-report-damage-a76d2e2d3dfec7318b124b05a78d1ee1

NSF高官、CISEコミュニティへの支援に関する書簡を送付

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)のコンピュータ情報科学工学総局(Directorate for Computer and Information Science and Engineering: CISE)担当のアシスタント・ディレクター(Assistant Director)であるグレッグ・ヘイガー氏(Greg Hager)は、広範なCISEコミュニティ宛てに、新政権がNSFにもたらした劇的な変化の中でも、研究への支援を維持することを表明した書簡を送付した。書簡は、NSF長官の退任や複数の連邦諮問委員会の廃止、組織の優先事項の調整などに触れた上で、「こうした変化はあるものの、コンピューティング研究コミュニティへの我々の力強い支援を再確認したい。CISEの取り組みの大半は、大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)の新局長が示したビジョンと整合しており、人工知能(AI)や量子技術などの分野は依然として主要な優先事項である」としている。 HPC Wire “NSF’s Greg Hager’s Letter to CISE Community on Supporting Research Amid Change” (05/02/25) https://www.hpcwire.com/2025/05/02/nsfs-greg-hagers-letter-to-cise-community-on-supporting-research-amid-change/

報告書「米国における持続可能なAIへの電力供給」

シュナイダー・エレクトリック社(Schneider Electric)は4月、「米国における持続可能なAIへの電力供給(Powering Sustainable AI In the United States)」と題する報告書を発表した。人工知能(AI)の急速かつ広範な普及は、電力の急増と合わせて、米国のエネルギー状況を根本的に再形成しつつあり、米国グリッドの対応力と強化は急務となっている。報告書は、電力需要予測と全国及び地域の電力供給分析を通じて明らかになったAIインフラの溝に関する包括的な分析を提示している。報告書は、持続可能なAIの成長のための3つの段階的手法を示した上で、米国のAI業界は、コンピュータ能力の需要と効率強化、需要の柔軟性、需要側の発電、強力なグリッド投資のバランスを取る「持続可能なAIシナリオ」において、データセンターの急速な成長が呈するエネルギー問題の解決に協力することができるとしている。 Schneider Electric “Powering Sustainable AI in the United States” (April 2025) https://download.schneider-electric.com/files?p_enDocType=Thought_Leadership_Article&p_Doc_Ref=TLA_SRI_Sustainable_AI_US