国土安全保障省、4年毎のレビューで10要件が未達 GAOが改善勧告

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は5月7日、国土安全保障省(Department of Homeland Security: DHS)の2023年4年毎の国家安全保障見直し(Quadrennial Homeland Security Review: QHSR)で21の法定要件中10項目が未達成だったと発表した。DHSはミッションの優先付けや予算計画の提示、報告書の定時発行などに関する要件を満たさず、2014年報告書以降、9年間に亘り4年ごとの報告を実施しなかった。また、レビュー実施の手順やプロセスが文書化されておらず、要件遵守の根拠も不透明であるという。この事態を受け、GAOはレビュー手順とプロセスの文書化を求め、法定期限の遵守とリスク評価の実施を確実に行うよう勧告した。ステークホルダーとの協議も不十分であるため、協議手順の整備と意見反映を明確化し、関係機関の役割と責任に関する理解を深めることも提言した。DHSは勧告に同意しており、プロセス整備などの対応策を策定・実施する予定である。 GAO “Quadrennial Homeland Security Review: Improvements Needed to Meet Statutory Requirements and Engage Stakeholders” (05/07/25) https://www.gao.gov/products/gao-25-107269

一時滞在ビザ博士号の約半数、中国とインド出身 NSF報告

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は5月7日、2023年に米国で博士号を取得した一時滞在ビザ保持者の約49%(9,414人)が中国とインド出身で全体の約半数を占めたと発表した。NSF傘下の国立科学技術統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics:NCSES)による博士号取得者調査(Survey of Earned Doctorates: SED)によると、2023年の博士号取得者は計5万7,862人で、うち市民・永住者が61%、一時滞在ビザ保持者は1万9,393人(34%)で、無回答は5%となった。一時滞在ビザ保持者のうち86%が科学・工学(S&E)分野、14%がS&E以外の分野で学位を取得し、国別では中国が6,652人(S&E 5,981人)が最多で、インドが2,762人(同2,583人)で続き、過去10年間上位を維持した。2013年から2023年にかけてはイランやバングラデシュ、サウジアラビアからのビザ取得者が増加し、韓国と台湾は2021年以降、わずかな増加傾向にある。また、博士号全体の79%はS&E分野であった。 NSF “Nearly Half of 2023 U.S. Doctorate Recipients with Temporary Visas Were from China or India” (05/05/25) https://ncses.nsf.gov/pubs/nsf25336

NSF、新規助成及び既存の助成金交付を停止

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、4月30日に職員宛てに送付したEメールの中で、今後の通知が行われるまで、全ての助成金交付措置を停止するよう指示した。これにより、世界最大の基礎研究支援機関の一つであるNSFは、新規研究助成金の交付、既存の助成金への追加資金や下請け助成金を提供できなくなる。資金凍結の理由は提示されていない。NSFは過去2週間に約1,040件の助成金(7億3,900万ドル)を中止しており、今回の措置はNSFに新たな打撃となる(5月2日に更に約380件の助成金交付が中止)。NSF職員の中には、「数十年に亘って確立されてきたメリット・レビュー・プロセスが台無しにされている」と嘆く者、政策を理由に辞職する者もいる。外部の科学者も、NSFの不確実性を感じ、今後の展開を懸念している。 Nature “Exclusive: NSF stops awarding new grants and funding existing ones” (05/05/25) https://www.nature.com/articles/d41586-025-01396-2?utm_source=bluesky&utm_medium=social&utm_campaign=nature&linkId=14251166

NSF元長官6名、政権による予算及び人員削減を批判

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の元長官6名は5月3日、トランプ政権による科学局の政策及び人員に関する変更と、それが将来の米国の科学的研究にもたらす影響に懸念を表明する書簡を送付した。書簡は、上下両院で科学関連予算を管轄する歳出小委員会の上層部宛てで、米国科学審議会(National Science Board: NSB)の元委員長7名の署名も含まれ、トランプ大統領とバンス副大統領にも写し(CC)が送られた。書簡は、「予算と人員の極めて厳しい削減は米国の科学的進展の未来にとって有害であり、その科学的進展の回復には最大で10年を要するだろう。これは、トランプ政権が表明している科学技術の覇権議題と矛盾する」としている。書簡は、大統領が大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)のマイケル・クラツィオス局長(Michael Kratsios)に「米国イノベーション覇権の復活」を指示した点に言及し、「大統領のビジョンを達成するには、NSFの予算の大幅な強化が必要である」と訴えている。 NEXTGOV “Former NSF heads criticize funding, staff cuts at science agency” (05/05/25) https://www.nextgov.com/emerging-tech/2025/05/former-nsf-heads-criticize-funding-staff-cuts-science-agency/405053/

海外で米国大学院留学への関心が急低下

今年1月20日にトランプ大統領が就任して以来、海外学生の間では米国大学院への留学に対する関心が急低下している。世界各国の学生が海外の大学教育プログラムに関する情報を検索するスタディポータルズ(Studyportals)(拠点はオランダ)によれば、米国の大学院教育(修士号及び博士号)に対する海外の学生の関心度は、1月中旬以降、44%下落している。学生の間で米国留学への関心が最も低下したのはインドとバングラデシュで、2024年第4四半期と比較すると、インドで26.5%、バングラデシュで25.7%、それぞれ低下した。イラン、ドイツ、英国、イタリアなどでも、米国留学に関する問い合わせは減少している。また、学問分野別の関心の低下も顕著で、経営管理は21.3%と最大の減少を示し、工学及び技術、応用科学技術もそれぞれ15%以上減少した。 University World News “Interest in US for postgrad study has plummeted, data shows” (04/22/25) https://www.universityworldnews.com/post.php?story=20250422065334991

国務省、科学技術協定担当局を閉鎖へ

国務省(Department of State)の情報筋によれば、同省内における削減努力の一環として、米国と他国の間の科学技術協定の交渉を担当する科学技術協力局(Office of Science and Technology Cooperation)が廃止される可能性があり、将来の米国と海外の間の国際研究協力や、米国科学者の海外施設へのアクセスに混乱がもたらされる可能性がある。情報筋によれば、科学技術協力局は約60件の協定と2,000件以上の副次的協定を管轄している。ある高官は、「これらの科学技術協定の交渉を行える局は他にはない。科学技術協力局が廃止されれば、米国は国際研究開発で大きく不利になる」と述べる。マルコ・ルビオ国務長官(Marco Rubio)は先般、「省内の削減は、肥大化した官僚主義を終了させるため」と述べた。科学技術協力局の廃止は公式には確認されていない。 Science Business “US set to close office responsible for global science and technology deals” (04/30/25) https://sciencebusiness.net/international-news/us-set-close-office-responsible-global-science-and-technology-deals

トランプ政権、エネルギー関連データ報告の削減・廃止へ

エネルギー省(Department of Energy)内の独立局であるエネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)は、長きに亘り、あらゆるエネルギーについて信頼性の高いデータ報告書を提供してきたが、トランプ政権下で、その代表的な報告書の一つは縮小され、もう一つは廃止されるという事態に直面している。EIAは4月に、代表的な報告書の一つ「米国年間エネルギー展望(Annual Energy Outlook for the United States)」を発表した。これは主にバイデン前政権下で収集されたデータを基にしており、トランプ政権の方針にそぐわないと懸念した当局の高官は、例年大々的に行われる報告書の発表を静かに行い、報告書の中心となる分析的な説明文を削除した。報告書の発表当日には、エネルギー省の広報官がEIAの報告書を非難している。EIAは現在、もう一つの代表的な報告書である「2025年国際エネルギー展望(International Energy Outlook for 2025)」の発表を中止する計画であることを担当職員に内密に伝えている。 PROPUBLICA “The Latest Trump and DOGE Casualty: Energy Data” (05/05/25) https://www.propublica.org/article/the-latest-trump-and-doge-casualty-energy-data

テキサス州議会、州立大学の大幅な監督強化へ

テキサス州議会では現在、テキサス州立大学システムにおける教員やプログラム、教育課程を精査する権限を、州政府に付与する動きが高まっている。専門家は、国内最大規模の州立大学システムを擁する同州での結果は、全国の高等教育に影響を及ぼす可能性があると指摘する。例えば、テキサス州で行政府と立法府で過半数を占める保守派の州議員は、州内の公立大学に更なる説明責任を持たせ、カリキュラムがイデオロギーの偏見とは無縁であることを確実にする州法案を推進している。それに違反した場合、教員は解雇や民事罰に直面する可能性があり、順守を怠った大学は州の公的資金を受けられなくなる可能性がある。この州法案は州上院では既に可決されており、州下院でも可決されれば、グレッグ・アボット知事(Greg Abbott、共和党)は署名して法制化する見通しである。 Washington Post “Texas lawmakers moving to greatly increase control of state universities” (05/06/25) https://www.washingtonpost.com/nation/2025/05/05/texas-universities-legislature-state-control/

米移民税関捜査局(ICE)、留学生の国外退去に関する権利を拡大

最近発表された裁判文書によれば、トランプ政権は、連邦高官が留学生の合法的な滞在資格を取り消す権限を広範に拡大する新たな政策を実施する計画であることが明らかになった。裁判文書に詳述された政策は、「米国移民税関捜査局(Immigration and Customs Enforcement: ICE)高官には、学生交流訪問者情報システム(Student Exchange and Visitor Information System: SEVIS)における学生の合法的在留資格を必要に応じて取り消す権限を本来有している」と主張している他、SEVISの在留資格取り消しにつながる2つの新たな根拠として、①非移民ビザ条件を順守していないことを示す(不明瞭な)証拠、②違反の証拠がない場合の国務省(Department of State)によるビザ取り消し措置、が明示された。移民専門弁護士は、「この新たな方針が実践されれば、ICEは意のままに学生を国外退去させられる広範な権限を有することになる」と述べる。 Inside Higher Ed “ICE Expands Student Deportation Powers” (05/02/25) https://www.insidehighered.com/news/global/international-students-us/2025/05/02/new-ice-policy-puts-international-students-greater

連邦移民担当官、数千人の外国人学生を精査

4月29日に法廷で明らかになった新たな詳細によれば、今年3月より、最大20名の米国移民税関捜査局(Immigration and Customs Enforcement: ICE)職員が、犯罪歴や失踪者、その他の法的問題を追跡する連邦データベースを使って、130万人の外国人留学生の氏名を照合した。この結果、約6,400件が「ヒット(照合が一致)」し、最終的に、数千人に上る留学生のビザを取り消したという。しかし実際には、ヒットした学生の問題の多くは、警察とのささいなやり取りがあったに過ぎず、外国人学生が米国内で学習する合法的な在留資格をはく奪するのに必要な法的基準には満たないレベルであるとみられる。この学生ビザ取り消し措置に対して、これまでに100件以上の訴訟が提訴されており、差止命令が数十件通達されている。政権はその後、在留資格取り消し措置を大幅撤回しており、米国内の外国人学生を精査する新たな政策を草案中であることを明らかにした。 Politico “Feds reveal how immigration squad targeted thousands of foreign students” (04/29/25) https://www.politico.com/news/2025/04/29/immigration-foreign-students-00317437