米国のR&D費は2015年に200億ドル増の4,950億ドルに達し、2016年は5,100億ドルに増加するとの予測

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)の米国科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics: NCSES)による新たなデータによれば、米国内で実施された研究開発(R&D)費は合計4,951億ドルに達した。また、2016年の同費は5,100億ドルに増加すると予測されている。比較として、2013年の同費は4,540億ドル、2014年の同費は4,754億ドルとなっている(金額はいずれも名目ドル)。これは、2014年に215億ドル、2015年に197億ドルと大幅に増加したことを示す。前年比では、大不況が影響した2008~2010年は実質的に不変であった後、2010~2015年の前年比は平均177億ドルであった。インフレ調整後の数値で見ると、米国のR&D費合計は、2008~2015年には年平均1.4%の割合で増加している(同期間のGDP成長率は年平均1.5%)。この期間、大不況の影響を除く、2010~2015年の平均成長率は2.3%で、GDP成長率(2.2%)を上回る。報告ではこの他に、R&Dの実施者及び資金提供者、R&Dの種別について記述されている。 National Science Foundation “U.S. R&D Increased by $20 Billion in 2015, to $495 Billion; Estimates for 2016 Indicate a Rise to $510 Billion” (12/14/17)

トランプ政権の科学系任命職の被指名者には科学分野の高等学位取得者が少ない

複雑な科学、環境、医療問題に対応する任命職の指名に関していえば、トランプ政権の指名を受けた人々は、オバマ政権時の被指名者と比べ、科学系の高等学位保持者が少ない。そして指名の進み具合も前政権に比べると遅々としている。AP社の分析によれば、トランプ政権がこれまでに指名した43名の科学関連ポジションのうち、約60%が、科学あるいは医療学術部門の修士号あるいは博士号を取得していない。オバマ政権の被指名者はそれとは対照的で、60%以上が科学部門の高等学位を取得していた。AP社が、上院の承認を必要とする65のポジション(科学あるいは環境に対応するポジション)を分析したところ、その多くが現政権発足から10か月経っても埋まっていない。「これは、科学に対する現政権の軽視を反映するものである」と、ブッシュ元大統領の使命を受けて環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)の長官を務めたクリスティー・トッド・ウィットマン氏(Christie Todd Whitman)は指摘する。 AP News “Trump science job nominees missing advanced science degrees” (12/5/17)

上院委員会、米輸出入銀行の総裁指名を却下

上院銀行委員会(Senate Banking Committee)は12月19日、トランプ大統領によって輸出入銀行(Export-Import Bank)の総裁に指名されたスコット・ギャレット氏(Scott Garrett)の承認を拒否した。ギャレット氏は、元ニュージャージー州選出の下院議員(共和党)で、銀行委員会は、10対13の票決で承認を拒否した。共和党からは、マイク・ラウンズ議員(Mike Rounds、サウスダコタ州選出)とティム・スコット議員(Tim Scott、サウスカロライナ州選出)が指名に反対票を投じた。ギャレット氏は下院議員任期中、輸出入銀行の閉鎖を一貫して主張していた保守派の一人であった。ラウンズ議員がギャレット氏の指名に反対を表明したことで、指名が承認される可能性は急落していたが、ホワイトハウスはそれでも指名の取り下げは行わなかった。 The Hill “Senate panel rejects Trump’s nominee to lead Ex-Im Bank” (12/19/17)

UPS社、125台のテスラ・セミ・トラックを発注

配送大手のユナイテッド・パーセル・サービス社(United Parcel Service Inc.: UPS)は12月19日、テスラ社(Tesla Inc.)から完全電気の「セミ・トラック」を125台購入すると発表した。これは、公開されている電気セミ・トラック発注としては最大である。UPS社は現在、代替燃料車両の拡大を図っている。テスラ社は、トラック業界に対して、比較的低コストで長年の利用実績があるディーゼル・トラックに対抗するトラックとして、手頃な価格の電気トラックを売り込んでいる。同社は先月、セミ・トラックを発表し、2019年の生産開始を予定している。 Reuters “UPS reserves 125 Tesla semi-trucks, largest public pre-order yet” (12/19/17)

気候科学を巡る「レッドチーム、ブルーチーム議論」が保留に

環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)のスコット・プリュット長官(Scott Pruitt)は、主流の気候変動科学を批判する公開議論、いわゆる「レッドチーム、ブルーチーム議論」を実施すると主唱してきたが、これがトランプ政権内に分裂をもたらしている。先般、本議論の進め方についてホワイトハウス内で高レベルのスタッフによる会議が行われたが、情報筋によれば、ホワイトハウス内での会議の後、「レッドチーム、ブルーチーム議論」は保留扱いになったという。トランプ大統領は、主流の気候科学を批判する公開議論について、非公式な支持をプリュット長官へ表明していたが、そのアイデアは政権全体の一致した支持を得ていない。ある高官によれば、「プリュット長官は、レッドチーム、ブルーチーム議論を進めることを承認されていない。その前に解決すべき数多くの問題がある」と述べている。 E&E News “Climate science debate ‘on hold’ after White House meeting” (12/15/17)

NIH、若手研究者により多くのグラントを提供する計画を微調整

国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)は、若手及び中堅研究者に毎年400件の追加グラントを提供する計画を進めていたが、本政策に対する批判や懸念を受け、計画の見直しを行っている。NIHは若手研究者育成の一環として追加資金を提供することを目的に、今年5月に、「グラント支援指数(Grant Support Index)」を発表したが、シニア科学者の強い反対を受け、8月には、新たに「次世代研究イニシアチブ(Next Generation Research Initiative: NGRI)」を発表した。しかし、本イニシアチブにも一部の科学者から強い懸念が表明されたことを受け、NIHは更なる見直しを行っている。NIHは引き続き、若手で研究資金を失うリスクにある研究者(400名)に追加グラントを提供することを狙いとし、NGRIの作業部会が報告書を発表する2018年6月には、政策のさらなる改良が行われることを期待している。 Science “NIH tweaks plan to award more grants to younger researchers” (12/15/17)

エネルギー省、初期ステージのソーラー研究の進展に1,200万ドルの助成を発表

エネルギー省(Department of Energy: DOE)は12月19日、ソーラー発電の予測モデリング能力を進展させることを目的として、8件のプロジェクトに合計1,200万ドルの新たな助成金を提供すると発表した。これらのモデリングは、ソーラー発電レベルのより正確な予測につながり、ユーティリティ機関にとってはソーラー電力の変動性と透明性が向上された管理やグリッドの信頼性強化が可能になると期待されている。これらのプロジェクトは国立研究所、大学、業界の間のパートナーシップを通じて協調的な形で行われる。 Department of Energy “Program teams to partner with system operators to validate new solar forecasting technologies” (12/19/17)

GAO、製薬業界の収益、R&D支出、M&A取引について報告

政府説明責任局(Government Accountability Office: GAO)は、「医薬品業界:収益、R&D支出、M&A取引(Drug Industry: Profits, Research and Development Spending, and Merger and Acquisition Deals)」と題する報告書を発表した。2006年から2015年の世界中の医薬品業界の収益、R&D支出、M&A取引についてまとめたもので、鍵となる傾向として、①製薬・バイオテクノロジー製品の収入は、5,340億ドルから7,750億ドルに増加した(2015年ドル価)、②全ての医薬品企業の約67%で年間平均収益マージンが増加した、そのうち大手25社の年間平均収益マージンは15~20%で推移している、③同期間中、報告されたM&Aの件数は概ね一定しているが、開示された取引価格の中央値は増加している、が挙げられている。 Government Accountability Office “Drug Industry: Profits, Research and Development Spending, and Merger and Acquisition Deals” (12/19/17)

NSF、国際脳イニシアチブの宣言を支持

米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、その他の連邦機関、国際パートナーと共に、国際脳イニシアチブ(International Brain Initiative)の宣言を支持する。米国、オーストラリア、欧州、日本、韓国の代表は先週、オーストラリア・アカデミー・オブ・サイエンス(Australian Academy of Science)で、本宣言を行った。宣言と同時に、オーストラリア脳イニシアチブ(Australian Brain Initiative)が立ち上げられた。NSFは米国BRAINイニシアチブの創立パートナー及びリーダーであり、2016年には神経科学研究に大幅な投資をする国の科学者及び政府代表による会議を後援した。今回の国際脳イニシアチブの宣言は、本会議で生まれた脳研究のより強力な国際協力に向けた進展の継続となるものである。 National Science Foundation “NSF supports declaration of International Brain Initiative” (12/18/17)

エネルギー省、省の再編計画を発表

エネルギー省(Department of Energy)は12月18日、省内の組織構造を再編する意向を発表した。エネルギー省組織法(DOE Organization Act)により、エネルギー長官(Secretary of Energy)には省を編成する権限がある。今回発表された再編計画では、科学・エネルギー次官(Under Secretary for Science and Energy。2013年に設立された)が、2つの次官職に分けられ、次官職は再び3つとなる(①エネルギー担当次官(Under Secretary of Energy)、②科学担当次官(Under Secretary for Science)、③原子力安全保障次官兼国立核安全保障局長(Under Secretary for Nuclear Security and National Nuclear Security Administration Administrator))。この他の組織再編計画には、エネルギー政策及びシステム分析局(Office of Energy Policy and Systems Analysis)が政策局(Office of Policy)に変更されることなどが含まれる。 Department of Energy “DOE Announces Plan to Modernize Department” (12/18/17)