Category:その他
ケネディ厚生長官、mRNAワクチン批判の上級顧問を解任
ニューヨーク・タイムズ紙(The New York Times)は10月28日、ロバート・F・ケネディ・ジュニア厚生長官(Robert F. Kennedy Jr.)が生物防衛専門家のスティーブン・ハットフィル上級顧問(Steven J. Hatfill)を解任したと報じた。同氏はmRNAワクチン研究資金中止決定に影響を与えた人物で、長官の側近であった。同省は解雇理由について、同氏が、指導部との政策調整を怠ったためとしている。これに対し、同氏は電話取材で、解任はケネディ氏の首席補佐官、マット・バックハム氏(Matt Buckham)が主導する「ケネディ長官を失脚させるクーデター」の一環だと主張した。その一方で、バックハム氏から「長官が違う方向に進みたい」意向であると伝えられたという。ハットフィル氏は2001年の炭疽菌事件で誤って容疑をかけられた元陸軍生物防衛研究者で、新型コロナワクチンの安全性にかねてから疑問を呈してきた。最近は出演した番組内で「ワクチン接種の方がコロナ感染より危険」と根拠なく主張していた。 The New York Times “Steven Hatfill, Covid Vaccine Critic, Is Ousted From H.H.S.” (10/28/25) https://www.nytimes.com/2025/10/28/us/politics/hatfill-covid-hhs-ousted.html
AAUP、南部12州の大学で「恐怖が蔓延」と報告
米国大学教授協会(American Association of University Professors: AAUP)は10月、南部12州の大学教員約4,000人を対象に8月に行った調査で、政治的攻撃による恐怖と不安の風潮が蔓延していると報告した。バージニア、ノースカロライナ、サウスカロライナ、ジョージア、フロリダ、テネシー、ケンタッキー、アラバマ、ミシシッピ、ルイジアナ、テキサス、アーカンソーで実施した調査によると、回答者の55.4%が同僚に自州での勤務を推奨しないと答えた。また転職理由は、昨年まで1位だった「給与」を抜いて「政治的風潮」(56.6%)を挙げ、25%が来年に他州での職探しを計画しているという。さらに教員が「学術的発見が政治的イデオロギーに反する可能性を恐れて、率直に話すことへの恐怖」などを訴えており、17.1%が管理者からシラバスやカリキュラム選択について質問を受け、10.6%が政府から契約を打ち切られた経験があることも明らかになった。採用過程でも候補者の躊躇や応募者数減少が顕著に現れ、南部地域の頭脳流出が深刻化しているという。 IHE News “Faculty in the South Describe a Climate of Fear on Campus, Grants Cancelled, and Students Impacted, Survey Finds” (October 2025) https://drive.google.com/file/d/1TL9hu1Y-UMfqcqt3Jt95LGRj-rEPj2LP/view
大学ロビー活動支出、第3四半期に減少 トランプ政権の高等教育政策を受け
米国の高等教育に関する情報を提供するインサイド・ハイヤー・エド社(Inside Higher Ed)は10月29日、主要研究大学のロビー活動支出が2025年第3四半期に減少したと報じた。米国大学協会(Association of American Universities: AAU)加盟校の第3四半期支出は約860万ドル超となり、第1四半期の900万ドル、第2四半期の約1,000万ドルを下回った。その中で、ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)が約39万ドルで最多支出となり、次にイェール大学(Yale University)37万ドル、ペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)36万ドルが続いた。各大学は研究資金の確保や学生ビザなどの問題に加え、トランプ政権の「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法(One Big Beautiful Bill Act)」への対応などで議会に働きかけている。年間総支出でみると、営利オンライン大学のフェニックス大学(University of Phoenix)が140万ドルと、非AAU加盟教育機関で業界最多となった。 IHE News “Higher Ed Lobbying Drops in Third Quarter” (10/29/25) https://www.insidehighered.com/news/government/politics-elections/2025/10/29/higher-ed-lobbying-drops-third-quarter
海軍海事研究局トップにライリー氏就任 マッキンゼー&DOGE出身
USNIニュース(USNI News)は10月30日、レイチェル・ライリー氏(Rachel Riley)が、海軍海事研究局(Office of Naval Research: ONR)トップに就任したと報じた。これに伴いカート・ローゼンハウス少将(Kurt Rothenhaus)は、海軍情報戦システム司令部(Naval Information Warfare Systems Command)の司令官に異動する。同ポジションは歴代軍人出身者が務めたが、報道によると同氏はマッキンゼー・アンド・カンパニー社(McKinsey & Company)の元コンサルタントで政府効率化省(Department of Government Efficiency: DOGE)関連職務で厚生省(Department of Health and Human Services: HHS)に在籍していたという。政府閉鎖で同局ウェブサイトには今回の就任についての詳しい情報はまだ掲載されていないが、リンクトイン(LinkedIn)ではマッキンゼー入社前、ローズ奨学生(Rhodes Scholar)としてオックスフォード大学(Oxford University)で社会政策の博士号と現代中国研究の修士号を取得し、中国政府の政策実験に関する研究を行っていたという。 USNI News ” Civilian Leading Office of Naval Research, Rothenhaus Reassigned to Command NAVWAR” (10/30/25) https://news.usni.org/2025/10/30/civilian-leading-office-of-naval-research-former-commander-rothenhaus-reassigned
大統領府、新ドメイン「techforce.gov」を登録
FedScoopは10月30日、大統領府が政府関連のウェブサイト再設計に向け、新ドメイン「techforce.gov」を登録したと報じた。トランプ大統領が8月に署名した「アメリカ・バイ・デザイン(America by Design)」イニシアティブの一環で、2018年に成立した「21世紀統合デジタル体験法(21st Century Integrated Digital Experience Act: IDEA)」に基づき、政府機関のウェブサイト整備とデジタルサービスを充実させることが目的である。特にデザインコストの削減や設計の標準化により、行政サービスの質を改善する内容で、超党派からの支持を得ている。これに伴い新設された最高デザイン責任者(Chief Design Officer)職には、テスラ社(Tesla)の取締役でエアビーアンドビー社(Airbnb)共同創業者のジョー・ゲビア氏(Joe Gebbia)が就任した。10月24日に登録されたこのドメインには国家設計スタジオ(National Design Studio)とテックフォース(Tech Force)の表記があり、ユーザーがメールアドレスを登録して認証コードを受け取るフォームが設置されている。 FedScoop “White House registers ‘techforce.gov’ domain” (10/30/25) White House registers ‘techforce.gov’ domain
NIST、バルカン・エレメンツ社に5,000万ドル出資へ レアアース磁石製造を支援
商務省(Department of Commerce)傘下の国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology:NIST)は11月3日、半導体装置などに不可欠なネオジム鉄ボロン(NdFeB)磁石の国内製造推進に向け、バルカン・エレメンツ社(Vulcan Elements)に5,000万ドルを出資する予備的意向書を締結したと発表した。CHIPS・科学法(CHIPS and Science Act)に基づき拠出し、NISTは同額の株式を取得して、希土類元素(レアアース)の分離・金属化・磁石製造装置の導入に充てる。これにより、同社は数年以内に年間1万トンのNdFeB磁石素材を生産し、国内供給不足を解消する計画である。NdFeB磁石は半導体製造に重要なEUV露光装置やロボット、電気自動車、ドローン、戦闘機、原子力潜水艦、衛星など幅広い機器に用いられる重要部材で、国内供給網の強化が急務となっており、国防総省(Department of Defense)も同社とリエレメント・テクノロジー社(ReElement Technologies)に対し7億ドルの条件付き融資を提示し、レアアース磁石の国産化を支援する。 NIST “Department of Commerce Announces CHIPS Incentives Letter of Intent with Vulcan Elements to Support Domestic Manufacturing of Critical Rare Earth Magnets” (11/03/25) https://www.nist.gov/news-events/news/2025/11/department-commerce-announces-chips-incentives-letter-intent-vulcan
トランプ大統領、中国と貿易協定で合意
大統領府は11月1日、トランプ大統領が韓国訪問中に習近平国家主席(Xi Jinping)と会談し、貿易・経済合意に達したと発表した。フェンタニル原料の米国への流入阻止や、希土類元素(レアアース)やガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、グラファイトなどの重要鉱物に関する中国による輸出規制を事実上撤廃するもので、半導体メーカーなど主要米国企業に対するこれまでの報復措置も終了する。また米国産大豆をはじめ、鶏肉、小麦、とうもろこし、綿花、豚肉、牛肉、水産物、果物、乳製品などの農産物を中国市場に開放する。具体的には年末までの1,200万トン以上の米国産大豆購入に加え、中国は2026年から2028年まで年2,500万トン以上を購入する。一方、米国は中国からの輸入品に課していたフェンタニル関連関税を10%引き下げ、相互関税の引き上げを2026年11月10日まで停止する。また中国は海運・物流・造船分野における調査(通商法301条)への報復措置と海運企業への制裁も解除し、米国も同調査に基づく対応措置の実施を1年間停止する。 The White House “Fact Sheet: President Donald J. Trump Strikes Deal on Economic and Trade Relations with China” (11/01/25) https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2025/11/fact-sheet-president-donald-j-trump-strikes-deal-on-economic-and-trade-relations-with-china/
カリフォルニア州立大学、巨大IT企業とAI教育で提携
ニューヨーク・タイムズ紙(The New York Times)は10月26日、カリフォルニア州立大学(California State University)が国内最大の「人工知能(AI)活用型」大学を目指し、アマゾン社(Amazon)やオープンAI社(OpenAI)などの巨大IT企業と提携したと報じた。46万人を擁する同大学システムは、1,690万ドルでオープンAI社のチャットGPTエデュ(ChatGPT Edu)を導入し、人間のような文章や画像を生成できる生成型AIツールを傘下の22キャンパスで利用できるようにする。また、アマゾン・ウェブ・サービス社(Amazon Web Services)もAIアプリ開発などの実践的スキルを学ぶ5日間のAIキャンプを学生向けに開催した。これに対し、IT企業が未検証のチャットボットを教育ツールとして宣伝するためのマーケティング手段で、大学が批判的思考力の育成という本来の役割を放棄し、シリコンバレーに独立性を委ねているとの批判がある一方で、大学側は、急速に変化する技術革命に学生を適応させる責任があると反論している。 The New York Times “Big Tech Makes Cal State Its A.I. Training Ground” (10/26/25) https://www.nytimes.com/2025/10/26/technology/cal-state-ai-amazon-openai.html
EPA、エネルギー・スター・プログラムの廃止計画を撤回へ
ニューヨーク・タイムズ紙(The New York Times)は11月1日、環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)のリー・ゼルディン長官(Lee Zeldin)が、家電製品の省エネ性能を示すプログラム「エネルギー・スター(Energy Star)」の廃止計画を撤回する方針と報じた。同プログラムは5月に廃止が発表されたが、家電メーカーや小売業者の企業経営者や業界団体に加え、共和党議員からも強い反発があったことから、EPAは同プログラムを運用するコンサルティング企業アイシーエフ社(ICF)との契約を2030年まで更新した背景がある。また、議会の上院・下院歳出委員会も7月に次年度の同プログラムへの予算維持を提案し、超党派の支持を示していた。1992年に当時のジョージ・ブッシュ大統領が創設した同プログラムは、年間400億ドル以上の家庭や企業の光熱費節約に加え、運営費は年間約3,200万ドルのみとなっており、存続に向け、EPAはエネルギー省(Department of Energy)への移管や製造業者からの手数料徴収などの選択肢も検討している。 The New York Times “E.P.A. Retreats From Plans to End the Energy Star Program” (11/01/25) https://www.nytimes.com/2025/11/01/climate/epa-energy-star-program.html?stream=top
AI投資再加速、膨らむバブル懸念
ニューヨーク・タイムズ紙(The New York Times)は10月31日、大手IT企業による人工知能(AI)分野への巨額投資が一段と拡大し、バブルへの懸念が高まっていると報じた。グーグル社(Google)、メタ社(Meta)、マイクロソフト社(Microsoft)、アマゾン社(Amazon)がAI需要急増に向け、データセンター整備などの設備投資を増大しており、グーグル社の年間支出は 総額700億ドルに達する見通しで、メタ社も支出見通しを少なくとも700億ドルに引き上げるという。マイクロソフト社も直近の四半期で350億ドル支出し、アマゾン社は今年だけで1,250億ドルを支出、来年はさらに増額する予定で、4社による2025年の設備投資総額は3,600億ドルを超え過去最高水準となった。これを受け、金融機関はAI投資成果が見込めなかった場合の過剰投資を懸念しているが、連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board: FRB)のジェローム・パウエル議長(Jerome H. Powell)は1990年代のドットコム・バブルとは異なり、現在の大手IT企業には収益基盤があると指摘している。 The New York Times “Big Tech’s A.I. Spending Is Accelerating (Again)” (10/31/25) https://www.nytimes.com/2025/10/31/technology/ai-spending-accelerating.html