民間初の宇宙望遠鏡「ラズリ」、2029年打ち上げへ シュミット財団が発表

サイエンティフィック・アメリカン誌(Scientific American)は1月6日、民間資金による初の本格宇宙望遠鏡が2029年までに打ち上げられる計画であると報じた。慈善団体のシュミット・サイエンス(Schmidt Sciences)が支援するラズリ宇宙天文台(Lazuli Space Observatory)の打上げプロジェクトで、太陽系外惑星の大気観測や暗黒エネルギーを調査する。宇宙望遠鏡「ラズリ」の主鏡は口径3メートルに及び、その大きさはNASAのハッブル宇宙望遠鏡を超えるという。また惑星探知コロナグラフや広視野カメラ、分光器の3機器を搭載し、迅速に宇宙現象に対応できる敏捷性も備える。同プロジェクトはシュミット天文台システムの一環で、これには電波・可視光線の地上観測施設も含まれる。天文学分野への研究支援は第二次世界大戦後に航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)や米国科学財団(National Science Foundation: NSF)など政府機関が主導したが、近年の公的資金の不安定さを背景に民間資金が支援せざるを得ない状況となっている。 SCIAM “The First-Ever Private Space Telescope Could Launch before Decade’s End” (01/06/26) https://www.scientificamerican.com/article/schmidt-sciences-announces-plan-for-lazuli-a-private-space-telescope/

イリノイ州、超党派法案成立 電力貯蔵3,000MW調達へ

アメリカン・クリーン・パワー協会(American Clean Power Association: ACP)は1月8日、イリノイ州において超党派法「クリーンで信頼性の高い電力網・負担軽減法(Clean and Reliable Grid Affordability Act: CRGA)」が成立したと発表した。電力需要増とコスト上昇を背景に系統の信頼性向上と価格変動の抑制を狙う同州の新たな取り組みで、J.B.プリツカー知事(J.B. Pritzker)が署名した。これに伴い州初のエネルギー貯蔵調達プログラムを創設し、2030年までに3,000メガワット(MW)の貯蔵容量を調達する。蓄電設備の立地・許認可は風力・太陽光の基準と整合させ、火災安全の知見に基づく要件を整備し、太陽光や蓄電池は統合し、需給逼迫時に放電する仮想発電所(Virtual Power Plant: VPP)イニシアチブを導入する。ACPは20年間で州全体の電気料金が約134億ドル節減され、新設発電所なしでピーク時コストを削減できると試算している。同州はクリーンエネルギー設備容量で全米上位10州に入っているが、さらなる産業基盤と安定供給の強化を目指す。 ACP “Governor Pritzker Signs Landmark Energy Storage Bill to Keep Costs Low and Strengthen the Grid” (01/08/26) Governor Pritzker Signs Landmark Energy Storage Bill to Keep Costs Low and Strengthen the Grid

DARPA、650万ドルでドローン積載効率コンペ 早期応募に飛行枠優先

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency: DARPA)は1月7日、賞金650万ドルのドローン積載効率コンペ「リフト・チャレンジ(Lift Challenge)」の応募受付を開始したと発表した。有効搭載量(ペイロード)を劇的に増やし、輸送コストを下げることが目的で、現行の回転翼航空機型ドローンは積載量対機体重量比が1対1程度で、重い物を運べば機体も重くなるため、55ポンド以下の機体で最高の搭載比率を実現する設計を競う。応募資格は米国人または米国登録法人を代表者とすれば、国務省(Department of State)の国際兵器取引規則(International Traffic in Arms Regulations: ITAR)制限リストに該当しない海外からの参加者も含め、人数無制限でチーム編成できる(現地参加は1チーム10人まで)。また政府や軍機関も過去に公的資金を受けていない設計であれば参加が可能で、応募手続きはチーム名、代表者名、連絡先、ロゴの提出という簡素なものとなっている。締め切りは5月1日で、早期応募者から順に競技当日の飛行枠を割り当てるという。 Darpa “Lift Challenge now accepting applications” (01/07/26) https://www.darpa.mil/news/2026/lift-challenge-now-accepting-applications

ホンダ、LGエナジー社からEV電池工場の建屋資産を28.5億ドルで買収

ユーティリティ・ダイブ(Utility Dive)は1月6日、ホンダ社(Honda)がLGエナジー・ソリューション社(LG Energy Solution)からオハイオ州の電気自動車(EV)用バッテリー工場の建屋及びインフラ資産を28億5,000万ドルで買収すると報じた。両社の合弁会社L-Hバッテリー社(L-H Battery)の運営効率向上を目的とするもので、資産譲渡後も合弁会社が施設をリースする形で生産を継続する。両社は北米市場向けに最大44億ドルの投資を計画していたが、EV需要の減速に伴い戦略修正が必要となった。業界も同様の動きで、ゼネラルモーターズ社(General Motors)やフォード・モーター社(Ford Motor Co.)が生産計画を縮小しており、その中で、ホンダ社はハイブリッド車を強化する方針に転じ、LGエナジー・ソリューション社(LG Energy Solution)もデータセンターの建設ラッシュを背景に需要が急増しているエネルギー貯蔵システム事業へ軸を移す。2月28日に買収完了する予定で、両社は市場環境の変化に適応しながら中長期的な電動化目標の達成を図るという。 Utility Dive “Honda buying LG Energy Solution’s stake in Ohio EV battery plant building for $2.85B” (01/06/26) https://www.utilitydive.com/news/honda-buying-lg-energy-solutions-stake-in-ohio-ev-battery-plant-building-f/808863/

トランプ級新戦艦、異例の構想に批判の声

アクシオス(Axios)は1月7日、トランプ政権が構想する新たな核搭載戦艦が、軍事的常識を覆す異例の計画として専門家から多くの批判を集めていると報じた。過去最大規模(トランプ級)の1番艦となる「ディファイアント(USS Defiant)」は、近年の火力分散の潮流に逆行する巨大な艦船であり、核搭載の海上発射巡航ミサイルを装備することは冷戦後の慣例を破るものと記事は伝えている。ある防衛産業の幹部は計画を酷評しており、他の専門家も極めて高い殺傷能力以外には利点が見いだせず、欠点や複雑さが多いと懸念を示しているという。搭載予定のレーザー兵器やレールガンは電力を大量に消費することから技術的成熟度が疑問視されている上、海軍は既存艦船の建造・維持に既に苦慮しているのが実情で、海軍は昨年、コンステレーション級フリゲート(Constellation-class frigate)4隻の計画を中止している。政府によるこの艦隊構造計画は、初期に2隻を建造し、最終的には最大25隻にまで増やす計画としている。 Axios “Introducing Trump’s puzzling nuclear-armed battleship” (01/07/26) https://www.axios.com/2026/01/07/trump-battleship-navy-shipbuidling-slcmn

フェルミ研、レーザー棟完成を発表 世界最大の垂直型原子干渉計建設へ 

フェルミ国立加速器研究所(Fermi National Accelerator Laboratory: Fermilab)は1月7日、宇宙の未知の物理現象を解明する世界最大の垂直型原子干渉計「MAGIS-100」の稼働に必要なレーザー実験室の建設が完了したと発表した。アクシオン(Axion)などの暗黒物質(ダークマター、光や電磁波では観測できない未知の物質)探索や重力波の観測が目的で、スタンフォード大学(Stanford University)やノースウェスタン大学(Northwestern University)など国内外機関と協働する。高さ100メートルのシャフト内に設置される同装置は、絶対零度近くまで冷却したストロンチウム原子にレーザーを照射し、量子干渉を利用して極めて微細な重力の変化を検出する仕組みで、わずかな振動も測定に影響するため各部品の極めて正確な調整が必要という。現在、地盤の振動や磁場ノイズの解析が並行して進められており、2026年末までに原子源(原子が注入される部分)を搬入し2027年に装置を完成させ初期データ取得を開始、2028年には本格的に試運転開始する予定である。 Fermilab “Fermilab completes laser lab construction for world’s largest vertical atom interferometer” (01/07/26) Fermilab completes laser lab construction for world’s largest vertical atom interferometer

エネルギー省、地熱発電拡大へ13州連携イニシアチブを開始

エネルギー省(Department of Energy)の地熱技術局(Geothermal Technologies Office: GTO)は1月7日、地熱発電の普及を加速させるため、13州にまたがる新たな州連携イニシアチブを開始すると発表した。対象となるのはアリゾナ、カリフォルニア、コロラド、ハワイ、アイダホ、ルイジアナ、モンタナ、ネバダ、ニューメキシコ、オレゴン、ペンシルベニア、ユタ、ウェストバージニアの13州で、各州のエネルギー機関が地熱発電の目標設定や資源マッピングの強化、コスト削減、規制障壁の解消に向けて協働する。全米州エネルギー当局(National Association of State Energy Officials: NASEO)が主導するこの「地熱パワーアクセラレーター(Geothermal Power Accelerator)」は、連邦機関や産業界の専門家との協議を経て、2026年中に具体的な州ごとの行動計画を策定する予定であるという。 Department of Energy “GTO Launches Multistate Initiative to Expand Geothermal Power” (01/07/26) https://www.energy.gov/eere/geothermal/articles/gto-launches-multistate-initiative-expand-geothermal-power

大統領府、NEPA規則を廃止 規制緩和を加速

大統領府は1月7日、国家環境政策法(National Environmental Policy Act: NEPA)に関する規則を廃止したと発表した。トランプ大統領のエネルギー開発促進に関する大統領令に基づく規制見直しの一環で、許可プロセスの迅速化・簡素化へ対応する。今回の最終決定に先立ち、環境審議会(Council on Environmental Quality: CEQ)は昨年暫定最終規則(Interim Final Rule: IFR)を発効していた。これにより、1977年のジミー・カーター元大統領(James Earl Carter)時代から続く政府横断的な規制枠組みが廃止されることになり、CEQは今後、法令と大統領方針に沿った各機関の手続き改定に対する助言やガイダンス提供など、調整役としての本来任務に回帰することになる。政府は今回の決定を、経済成長と雇用創出を促しつつ、環境保護も維持するという公約の実現と位置づけ、各連邦機関は複雑な官僚的手続きを排除し、実情に即した独自の効率的な環境審査手順を策定することが可能となると説明している。 The White House “CEQ Fixes Decades-Long Permitting Failure Through Deregulation” (01/07/26) https://www.whitehouse.gov/articles/2026/01/ceq-fixes-decades-long-permitting-failure-through-deregulation/

気候懐疑派が次の国家気候評価を作成する可能性

E&Eニュース(E&E News)は12月22日、情報筋の話として、トランプ政権は少数の気候懐疑派の研究者に次の国家気候評価(National Climate Assessment: NCA)の作成を支援するよう依頼したと報じた。2025年初めに、地球温暖化の脅威を過小評価し、気候科学の基本的な原則に疑問を投じる報告書をクリス・ライト・エネルギー長官(Chris Wright)向けに作成した気候作業グループ(Climate Working Group)のメンバーで、ジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)の元気候科学者で あるジュディス・カリー氏(Judith Curry)が、同グループのメンバー全員(5名)が次回のNCA執筆を依頼されたことを明らかにした。こうした動きは、気候変動に関する論争的な考え方を連邦政府の公式な地球温暖化評価に採用しようとする大統領府の取り組みを進展させるものであり、NCAに長年携わってきた数百名の主流の気候科学者からの反発・反論を招くのはほぼ確実である。 E&E News “It’s the gold standard of US climate research. Contrarians could write the next one.” (12/22/25) https://www.eenews.net/articles/its-the-gold-standard-of-us-climate-research-contrarians-could-write-the-next-one/

国土安全保障省、H-1B労働ビザ発給の手続きを変更

国土安全保障省(Department of Homeland Security)は、H-1B労働ビザ発給の選出手続きに関する規則を修正し、高技能かつ高賃金の外国人へのビザ割り当てを優先する。これによって、米国人労働者の賃金や労働条件、雇用機会をより良く保護することが目的である。同省は、「H-1B登録者をランダムに選出する現行の抽選方式は、米国人労働者よりも低賃金で働く外国人労働者を得ようとする米国雇用主によって悪用されてきた」とその理由を説明した。H-1Bビザの発給数は年間6万5,000件に制限されており、更に米国で高度な学位を取得した者を対象に追加で2万件が発給される。今回の最終規則は2026年2月27日に発効となり、2027年度のH-1Bビザ登録期間から適用される。 USCIS “DHS Changes Process for Awarding H-1B Work Visas to Better Protect American Workers” (12/23/25) https://www.uscis.gov/newsroom/news-releases/dhs-changes-process-for-awarding-h-1b-work-visas-to-better-protect-american-workers