100日間に亘る電池サプライチェーンの見直し終了

バイデン大統領は去る2月25日、自政権に、先端電池を含む4つの主要製品のサプライチェーンについて、脆弱性と機会に対処するための戦略的プロセスを策定するため、100日間の見直しを即時実施するよう指示する大統領令14017(Executive Order 14017)に署名した。エネルギー省(Department of Energy)の主導で作成された先端電池に関する報告書及び勧告が大統領へ提出され、大統領は6月8日、電池市場における米国の競争力を高めるための一連の早急な行動を発表した。具体的には、①連邦資金を受ける助成金、共同契約、研究開発(R&D)契約における米国内製造の要件を強化する、②定置型電池貯蔵を調達する、③電気自動車向けの先端電池サプライチェーンへ財政支援を提供する、④連邦先端電池コンソーシアム(Federal Consortium on Advanced Batteries: FCAB)による「リチウム電池向け国家計画(National Blueprint for Lithium Batteries)」の公表、が含まれる。 Department of Energy “FACT SHEET: Biden-Harris Administration 100-Day Battery Supply Chain Review” (6/4/21)

CSET、報告書「研究安全保障、共同作業、そして変化する世界のR&Dマップ」を発表

セキュリティ・新興技術センター(Center for Security and Emerging Technology: CSET)は今般、「研究安全保障、共同作業、そして変化する世界のR&Dマップ(Research Security, Collaboration, and the Changing Map of Global R&D)」と題する報告書を発表した。世界における研究マップは過去20年間で劇的に変化した。年間の研究開発(R&D)投資は3倍に増加している一方、米国の世界のR&D資金に占める割合と研究アウトプットの合計は共に減少している。オープンな研究システムと、投資並びに相互関連性の拡大は、多くの国に大きな恩恵をもたらしているものの、研究の完全性と安全保障に新たな課題を生み出している。 Center for Security and Emerging Technology “Research Security, Collaboration, and the Changing Map of Global R&D” (June 2021)

バイデン政権、トランプ前政権の命令を拡大し、軍や偵察技術と関係のある中国企業への米国投資を禁止へ

バイデン政権は、中国軍を支援する中国企業への米国投資を禁止したトランプ前政権の命令を拡大し、偵察技術を販売している中国企業もその対象とした。バイデン政権は、これらの事業体は米国の利益及び価値にとって脅威であると描写している。6月3日に発令された新たな大統領令は、トランプ前政権の禁止令を拡大すると共に、禁止の執行権限を従来の国防総省(Department of Defense: DOD)から財務省(Department of Treasury)へと移行した。これは、財務省の方が法的により強力な基盤があるためという。前政権の禁止令を継続したことは、バイデン政権が前任者の対中強硬姿勢を継続することを示す新たな兆候となる。しかし、一部の議員や専門家は、バイデン政権が禁止令の執行権限を国防総省から財務省へ移行したことに懸念を示している。 Washington Post “Biden expands Trump order by banning U.S. investment in Chinese companies linked to the military or surveillance technology” (6/3/21)

エネルギー省、国内のクリーンエネルギー・イノベーション及び商業化を支援するため950万ドルを提供

エネルギー省(Department of Energy)は6月4日、米国内で地域の創造力と資源を育成し、市場化につながるエネルギー技術のパイプラインを開発し、新規ビジネスの形成を刺激することに取り組む10件のインキュベーター及びアクセラレーターに、「イノベーション・クラスターのためのエネルギー・プログラム(Energy Program for Innovation Clusters: EPIC)」アワードを授与し、約950万ドルの助成金を提供した。今回の資金提供は、技術移転局(Office of Technology Transitions: OTT)が建造物技術局(Building Technologies Office: BTO)などと協力し、米国内の地域における頑強なエネルギー・イノベーション・エコシステムを支援し、エネルギー・ハードウェア開発を促進することを目的として行う二部構成のプログラムの二部目にあたる。エネルギー省は前回、20のインキュベーター及びアクセラレーターに100万ドルを提供している。今回は、ロサンゼルス・クリーンテック・インキュベーター(Los Angeles Cleantech incubator)や、ニュー・エネルギー・ネクサス(New Energy Nexus)(ニューヨーク州ニューヨーク市)などが受益した。 Department of Energy “DOE Awards $9.5 Million to Support Clean Energy Innovation and Commercialization Across America” (6/4/21)

厚生省、将来のパンデミックやその他の公衆衛生緊急事態への対抗策となる革新的技術の開発を目的とした初のベンチャー・キャピタル・パートナーシップを立ち上げ

厚生省(Department of Health and Human Services: HHS)は6月1日、ベンチャー・キャピタルの慣行を用いた投資を可能にする新たな官民パートナーシップの立ち上げを発表した。HHS傘下のバイオメディカル先端研究開発局(Biomedical Advanced Research and Development Authority:BARDA)は、BARDAベンチャー・プログラム(BARDA Ventures program)を通じて、非営利組織のグローバル・ヘルス投資コーポレーション(Global Health Investment Corporation: GHIC)とのパートナーシップを開始し、パンデミックやその他の公衆衛生安全保障脅威に対応、もしくはそれらを防止するために必要な技術及び医療製品の開発と商業化の加速に取り組む。BARDAはGHICに5年間で少なくとも5,000万ドル(最大10年間で最高5億ドル)を提供する意向である。GHICは、その他の投資家からマッチング資本を得て、国際的な公衆衛生安全保障基金を立ち上げる。このパートナーシップにより、投資コミュニティとの直接的な関係が生まれ、米国が将来の公衆衛生安全保障脅威に効果的に対応する助けとなる技術の特定、育成、商業化を実現する持続的かつ長期的な取り組みが確立される。 Department of Health and Human Services “HHS Launches First Venture Capital Partnership to Develop Transformative Technologies to Combat Future Pandemics, Other Health Emergencies” (6/1/21)

DARPA、権威主義国家の情報管理を測定するAI研究を募集

国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は、権威主義国家における情報管理について理解を得る助けとなる革新的な研究概念を模索している。権威主義国家にとり、情報管理の維持は常に必須であり、デジタル技術は中国などの国家に新たな検閲ツールをもたらしている。DARPAは、「情報管理環境の測定(Measuring the Information Control Environment: MICE)」プログラムの下、権威主義国家がどのように、検閲や阻止、抑制を通じてインターネット上で大規模に国民を抑圧しているのかを測定する人工知能(AI)技術の開発を模索する。 Nextgov “DARPA Calling for AI Proposals to Measure How Authoritarian Regimes Control Information” (6/2/21)

大統領府、サイバー攻撃事件複数を受け、企業に対して身代金要求を深刻にとらえるよう要請

米国内で主要な石油会社及び食品加工会社に対するロシア人ハッカーの攻撃が明らかになった後、大統領府は6月3日、企業向けに異例の公開書簡を発表し、身代金を要求する攻撃に対してより慎重に対処するよう要請した。国家安全保障協議会(National Security Council)のサイバー担当官であるアン・ニューバーガー氏(Anne Neuberger)は、法人幹部及び企業リーダー向けの書簡の中で、「民間部門はその重要な役割をより良く理解する必要がある。全ての組織は、その規模や場所にかかわらず、身代金要求攻撃の対象となる可能性がある」とした。書簡は、世界最大の食用肉サプライヤーであるJBSフード社(JBS Foods)がロシアからサイバー攻撃を受けた後、発表された。 CNN “White House pushes for companies to take ransomware more seriously after high-profile cyberattacks” (6/3/21)

アトランティック評議会、新技術の地政学的影響に関し勧告を発表

アトランティック評議会(Atlantic Council)の「新技術とデータの地政学的影響に関する委員会(Commission on the Geopolitical Impacts of New Technologies and Data)」は5月26日、米国政府及び同盟国に向けた、国際的な技術とデータ開発政策に関する勧告を発表した。勧告は、米国と同盟国が、科学技術におけるリーダーシップを維持すること、物理的及びITのサプライチェーンやインフラ、デジタル経済全般の信頼性と対応力を確実にすること、世界の医療保護を向上させること、などを意図している。主要な勧告には、①国際的な科学技術のリーダーシップ、②セキュアなデータと通信、③デジタル経済への信頼と自信を強化する、などが挙げられている。 Atlantic Council “Atlantic Council releases landmark recommendations on the geopolitical impacts of new technologies” (5/26/21)

多くの政府がDARPAを模倣

新型コロナウィルス感染症ワクチンの開発・実用化で名前が知られるようになったモデルナ社(Moderna)は、創業初期に、メッセンジャーRNAを使ってワクチンを開発するという、当時は未知のアイディアをDARPAに売り込んだ結果、2013年に2,500万ドルの助成を受けており、これが今回のワクチンの早期開発につながった。これ以外にも、気象衛星、GPS、ドローンなど、DARPAが少なくとも部分的に貢献したとされるイノベーションは多数存在する。このため、他国においても、DARPAを模倣したファンディングエージェンシーがみられるようになっており、ドイツで類似の2機関が設置されたほか、英国や日本でもその傾向がみられる。 Economist “A growing number of governments hope to clone America’s DARPA” (6/3/21)

LBNLで世界最速のAIスパコン「パールマッター」がデビュー

ローレンス・バークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory: LBNL)の国立エネルギー研究科学コンピューティング・センター(National Energy Research Scientific Computing Center: NERSC)で5月27日、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ社(Hewlett Packard Enterprise: HPE)が、NVIDIA社ならびにAMD社とのパートナーシップで開発したGPUアクセラレーティッド・スパコン「パールマッター(Perlmutter)」(通称NERSC-9)のバーチャル除幕式が行われた。HPEクレイEX(HPE Cray EX)スパコンに、6,159基のNvidia A100GPUと、1,500基のAMDミランCPU(Milan CPU)を搭載し、3.8エクサフロップの人工知能(AI)処理性能を実現する。システムの名称である「パールマッタ―」は、2011年のノーベル物理学賞受賞者でLBNLの天体物理学者、サウル・パールマッター氏(Saul Perlmutter)にちなんで付けられた。 HPC Wire “Berkeley Lab Debuts Perlmutter, World’s Fastest AI Supercomputer” (5/27/21)