キーストンXLパイプラインの開発事業者、プロジェクトの廃止を決定

キーストンXL(Keystone XL)パイプライン・プロジェクトを進めていた開発業者のTCエナジー社(TC Energy)は6月9日、同プロジェクトを廃止することを明らかにした。米国とカナダの国境をまたぎ、十年以上にわたって論争的となっていたキーストンXLプロジェクトについて、オバマ元大統領は米国の認可を拒否し、トランプ前大統領は就任3日目に建設に許可を付与したが、バイデン大統領は就任直後にその許可を取り消していた。同プロジェクトは、気候変動やパイプラインの安全性、領域や雇用をめぐり、国境をまたぐ論争や経由地となる州での争いを引き起こしていた。TCエナジー社によるプロジェクト廃止の知らせを受け、十年以上を費やしてきたプロジェクト反対派や民主党は賛意を示し、共和党やプロジェクトを支持していた石油・天然ガス業界幹部は決定を嘆き、バイデン大統領を非難した。 Washington Post “Keystone XL pipeline developer pulls plug on controversial project” (6/9/21)

エネルギー省、クリーンエネルギー及び気候ソリューションの開発に取り組む中小企業235社に5,400万ドルを助成

エネルギー省(Department of Energy)は6月9日、2050年までにネットゼロ排出を達成するために必要な様々な技術ソリューションの概念証明プロトタイプの開発と導入に取り組む中小企業235社に合計5,400万ドルのシード資金を提供すると発表した。235社によるプロジェクトは合計266件に上る。この多様な受益企業は、先端グリッド技術やソーラー及び水素電力、炭素捕獲及び貯留、人工知能(AI)、電気自動車電池などに関する米国の最大のエネルギー・ニーズについて、新規のソリューションを設計している。これらの助成は、エネルギー省の中小企業技術革新制度(Small Business Innovation Research: SBIR)及び中小企業技術移転制度(Small Business Technical Transfer: STTR)を通じて行われる。 Department of Energy “DOE Awards $54 Million to 235 American Small Businesses Developing Novel Clean Energy And Climate Solutions” (6/9/21)

バイデン大統領、トランプ前大統領がティックトックの禁止を模索して発令した大統領令を取り消し、新たな大統領令と置換

バイデン大統領は6月9日、人気のアプリ、ティックトック(TikTok)とウィーチャット(WeChat)を禁止することを模索してトランプ前大統領が発令した大統領令を取り消すと共に、外国政府が管理し、米国民とそのデータに安全保障リスクを呈する可能性がある数多くのアプリケーションについてより広範な見直しを行うよう指示する新たな大統領令と置換した。バイデン政権の高官は、「トランプ前大統領による大統領令は最も健全な形式で実施されておらず、新たな大統領令は、中国政府を中心とした外国政府と関連性があるソフトウェア・アプリケーションが呈する国家安全保障リスクを評価するための明瞭な基準を確立するものである」と述べる。トランプ前大統領の大統領令は、国家安全保障上の懸念からこれらのアプリを禁止しようとするものであったが、発令直後から連邦裁判所での争いに持ち込まれた。アナリストによれば、今回の新たな大統領令は、こうした挑戦に対抗できるプロセスを確立することを意図しているという。 New York Times “Biden revokes and replaces Trump’s executive order that sought to ban TikTok.” (6/9/21)

NSFと技術企業が提携し、5G後のワイヤレス・システム創出に取り組む

先見性のあるWi-Fiや6Gの可能性を持つ次世代通信ネットワークの開発を目指す米国科学財団(National Science Foundation: NSF)は、最近発表した「対応力のある知的次世代システム(Resilient and Intelligent NextG Systems: RINGS)」プログラムを通じ、国防総省(Department of Defense: DOD)、米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)、アップル(Apple)やグーグル(Google)、IBM、その他の業界パートナーと共に、次世代のコネクティビティに関する研究を支援しようとしている。合計最大48件のアワードに最高4,000万ドルが提供される見込みである。NSFのコンピュータ・ネットワーク・システム部(Division of Computer and Network Systems)は、RINGSプログラムについて、「直接的なパートナーシップの数や資金額という点で、NSFの歴史上、最大のR&Dパートナーシップで、セキュリティや知性、対応力に重点を置きながら、次世代技術に直接焦点を当てたNSF初のプログラム」と位置付けている。 Nextgov “NSF, Tech Companies Partner to Create Post-5G Wireless Systems” (6/8/21)

エネルギー省、プライバシーを保護する人工知能研究に100万ドルの共同資金提供を発表

エネルギー省(Department of Energy)は6月7日、プライバシーを保護する人工知能(AI)の共同研究に100万ドルを提供すると発表した。この資金提供の狙いは、エネルギー省傘下の国立研究所と、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)の研究者が共同で、医療ケア向上を目的とした重要データセットとプライバシー保護手法、アルゴリズムの開発に取り組むようにすることである。バイオメディカル及び行動学研究者は膨大なデータを収集しており、これには遺伝子や細胞構造及び機能などの情報が含まれる。こうした膨大なデータセットと機械学習の組み合わせは、研究及び医療のアウトカム向上につながる「橋渡し」を可能にしている。NIHは最近、「人工知能への橋渡し(Bridge to Artificial Intelligence: Bridge2AI)」と題するプログラムを発表し、プロポーザルの募集を行った。エネルギー省は今般、プライバシーの取り扱いに慎重を期するデータセットに関するAI/機械学習分析の重要な問題に対処するため、国立研究所主導でBridge2AIのデータ・デベロッパーと共同で行われるプロポーザルを募集している。 Newswise “Department of Energy Announces $1 Million in Collaborative Funding for Privacy-Preserving Artificial Intelligence Research” (6/7/21)

国防総省、戦略的かつ重要なマテリアルの見直し結果発表

国防総省(Department of Defense)は6月8日、大統領令14017(Executive Order 14017)の下で指示された「戦略的かつ重要なマテリアルの100日間のセクター見直し(Strategic and Critical Materials 100-day Sector Review)」の報告書「対応力のあるサプライチェーンを構築し、米国製造を活性化し、広範な成長を育成する(Building Resilient Supply Chains, Revitalizing American Manufacturing, and Fostering Broad-Based Growth)」を発表した。国防総省は、戦略的かつ重要な鉱物について、「軍事及び重要な民間業界を支え、我々のニーズに見合う量を米国内で発見もしくは生産することができない鉱物」と定義している。報告書は、米国が経済的安全保障上、必要な戦略的かつ重要な鉱物へのアクセスを得ることを確実にし、気候危機と国家防衛に対処するため、一連の勧告を提示している。勧告は、①戦略的かつ重要なマテリアルの集約産業のため、新たな持続可能性基準を策定及び育成する、②持続可能な国内生産・処理能力を拡大する(非伝統的な採鉱やリサイクルを含む)、③米国の備蓄行動を強化する(議会への要請も含む)、④同盟国やパートナー国と協力し、世界的な透明性を更に推進する、の4本柱に基づいている。 Department of Defense “The Defense Department’s Strategic and Critical Materials Review” (6//21)

大統領府、短期的なサプライチェーン断絶に対処するため、サプライチェーン混乱作業部会を発表

大統領府は6月8日、大統領令14017(Executive Order 14017)「米国のサプライチェーン(America’s Supply Chains)」の下で行われたサプライチェーンの見直しから得られたキーファインディングと共に、米国のサプライチェーンを強化し、経済安全保障や国家安全保障、良好な賃金と労働組合による職を推進するために早急に講じる索について発表した。大統領令で対象となるサプライチェーンの重要品目は、半導体製造及び先端梱包、大規模容量電池(主に電気自動車向け)、重要鉱物及びマテリアル、製薬及び医薬品有効成分の4つ。政権が今回発表した早急に講じる索には、①重要医薬品の国内生産への支援、②先端電池の全面的な国内サプライチェーン確保、③国内外における重要鉱物の持続的な生産・処理への投資、④半導体不足に対処するための業界、同盟国、パートナーとの提携、が挙げられている。 White House “FACT SHEET: Biden-Harris Administration Announces Supply Chain Disruptions Task Force to Address Short-Term Supply Chain Discontinuities” (6/8/21)

ビル・ゲイツ氏、メタマテリアルに焦点を当てた新たなベンチャー・ファンドを支援

サンフランシスコを拠点とする新しいベンチャー・ファンドのメタVCパートナーズ社(MetaVC Partners)は、メタマテリアルの商業化に取り組むスタートアップへの投資を開始した。メタマテリアルは、マテリアル科学における新興分野で、レンズやセンサーなどの機器の性能を向上させ、重量を削減する可能性がある。メタVCパートナーズ社は、最初のファンドとして1億ドルを調達し、既にマイクロソフト社(Microsoft Corp.)の共同創業者であるビル・ゲイツ氏(Bill Gates)と、同社でかつて最高技術担当者を務め、現在は知的財産企業を経営しているネイサン・ミアボルド氏(Nathan Myhrvold)から資金を得ている。ラックス・キャピタル社(Lux Capital)やコンストラクト・キャピタル社(Construct Capital)といった複数のベンチャー・ファンドが、しばしば「ディープ・テック(deep tech)」と呼ばれる科学ベースのイノベーションに投資をしており、メタVCパートナーズ社はこうしたベンチャー・ファンドの仲間入りをする。 Wall Street Journal “Bill Gates Backs New Venture Fund Focused on Metamaterials” (6/2/21)

ミッション・イノベーション、パリ気候協定目標の達成を加速させるため、10年間のクリーンエネルギー・イノベーションを開始

23の政府が、クリーンエネルギーの研究開発実証への世界的投資を促進することを目的とした10年間のイノベーションの陣頭指揮をとり、行動を促すための、新規かつ大胆な計画、ミッション・イノベーション2.0(Mission Innovation 2.0)を開始した。その目標は、この10年間でクリーンエネルギーが全ての者にとって手頃な価格で魅力的でアクセス性があるものにすること、パリ気候協定(Paris Agreement)ならびにネットゼロ・パスウェイへ向けた行動を加速させることである。ミッション・イノベーション2.0は、2015年のパリ気候協定とあわせて開始された世界的なミッション・イノベーション・イニシアチブの第二段階である。2.0に参加する政府は、全世界で行われるクリーンエネルギー・イノベーションへの公共投資の90%以上を占め、世界で最も困難な気候変動課題を克服する上で必要な技術を実現するため、投資と共同作業を増加させることにコミットしている。ミッション・イノベーション2.0は、チリが主催して行われた「ネットゼロへの革新サミット(Innovating to Net Zero Summit)」で正式に始動した。 Mission Innovation “Mission Innovation launches a decade of clean energy innovation to accelerate achieving the Paris Agreement Goals” (6/2/21)

国防総省、「責任あるAI」計画を概説した通達文を公表

戦地から事務管理部門に至るまで、人工知能(AI)は、国防総省(Department of Defense)の業務のあり方を変革する可能性がある。AIが責任ある形かつ倫理的な形で開発、調達、使用されることを確実にすることは、国防総省の上層部にとり、優先事項の一つである。国防総省のキャサリーン・ヒックス副長官(Kathleen Hicks, Deputy Secretary)は、今週公表された省全体への通達文の中で、「国防総省がAIを活用する中、倫理原則の中核に対する国防総省のコミットメントを反映する形で、責任ある言動、プロセス、アウトカムを実践することは必須である」としている。責任あるAI(responsible artificial intelligence: RAI)へのコミットメントへの一環として、通達文は、国防総省内全体での実践に関する一連の基本的信条を提示している。 Department of Defense “Memo Outlines DOD Plans for Responsible Artificial Intelligence” (6/1/21)