上院、全会一致でエリック・ランダー氏のOSTP長官就任を承認

連邦議会上院は5月28日、世界的に高名な科学者であるエリック・ランダー氏(Eric Lander)が大統領府科学技術政策局(Office of Science and Technology Policy: OSTP)長官に就任することを全会一致で承認した。同氏はまた、米国史上初めて、閣僚級のOSTP長官となる。ランダー氏は大統領の科学補佐官(President Science Advisor)も務める。バイデン大統領は、OSTPを閣僚へと昇格することで、科学と技術が米国の最も急務な課題を解決する上で中心となることを明確に示した。生物学者及び数学者であるランダー氏は、科学研究、科学コミュニティの構築、公共政策において、リーダーとなっている。 White House “U.S. Senate Unanimously Confirms Dr. Eric Lander to Become Director of the White House Office of Science and Technology Policy” (5/28/21)

米国芸術科学アカデミー、国際的な大規模科学について勧告

米国芸術科学アカデミー(American Academy of Arts and Sciences: AAAS)の国際科学パートナーシップ・チャレンジ(Challenges of International Scientific Partnership: CISP)イニシアチブは今般、「大胆な野心:国際的な大規模科学(Bold Ambition: International Large-Scale Science)」と題する報告書を発表した。物質の本質や核融合パワー、感染症の特性、気候変動の広範な影響など、科学者と国が共に協力することでのみ回答が得られる科学的な大問題に対処するには、大胆な野心とベストプラクティスが求められる。CISPの報告書は、複数の科学的学問及び国境を越えて実施される大規模なプロジェクトを成功させるための4つの原則を提示している。それらは、①エクセレンスと影響を優先付ける、②規模と管理を定義する、③コミットメントを果たす、④倫理基準を順守する、の4点である。 American Academy of Arts and Sciences “Big Questions and Bold Ambitions: Recommendations for the Future of Large-Scale International Science” (June 2021)

DARPA、自律的パートナーの制御を目指すEDGEプログラムを発表

先端の自動化及び人工知能(AI)技術がもたらす大きな恩恵は、人間の作業量の減少とより大きな安全である。しかし、技術的故障や機械が設計通りに作動しない場合、人間=機械のチームにおける人間パートナーは、早急な状況認識の必要性に迫られる可能性がある。特に、人間が機械の能力に慣れ、これに依存している場合は尚更である。こうした状況を受け、国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Project Agency: DARPA)は、「優雅な拡張性のための設計強化(Enhancing Design for Graceful Extensibility: EDGE)」プログラムを発表した。EDGEプログラムは、AIが予想外の動きをした時に、人間が状況認識できるよう支援することを目的とし、「人と機械のインターフェース(human-machine interface: HMI)」の一連の設計ツールを作り、システム設計プロセスに統合させることを狙いとしている。 Defense Advanced Research Project Agency “Enabling Human Control of Autonomous Partners” (5/21/21)

バイデン大統領、科学予算の大幅増を模索

バイデン大統領が5月28日に議会へ提出した予算教書は、ほとんどの非軍事科学機関で予算の大幅増加を要請している。一方、軍の研究予算は大幅に削減されているが、連邦議会がこれを増額にすることはほぼ確実とみられている。6兆ドルの2022年度予算案は、インフラと社会福祉への抜本的な投資に重点をおいており、連邦研究開発(R&D)支出は9%(135億ドル)増の1,710億ドルとなっている。基礎研究予算額は10%(44億ドル)増の474億ドル、応用研究予算は14%(63億ドル)増の511億ドルとなっている。ただし、全ての連邦機関で研究予算が増加しているわけではなく、国防総省(Department of Defense)の研究予算は減少している。記事には、国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)、米国科学財団(National Science Foundation: NSF)、エネルギー省(Department of Energy: DOE)など、連邦機関ごとのR&D支出の詳細が記載されている。 Science “Biden seeks big increases for science budgets” (5/28/21)

NIST、新たなサプライチェーン・ガイダンス発表前に既存ガイダンスを整理へ

米国標準技術局(National Institute of Standards and Technology:NIST)のコンピューティング・セキュリティ担当官によれば、NISTは既存のサプライチェーン・ガイダンスを統合し、その際に発見された溝を基に新たな規格標準を策定する計画である。ソーラーウィンズ社(SolarWinds)へのハッキングなど、最近のサプライチェーンへの攻撃を受け、米政府の対応が急務となっており、NISTは重要ソフトウェアの保護ならびにソースコードの試験に関する個別のガイダンスを発表する予定である(前者は60日以内、後者は90日以内)。5月25日に行われた下院科学委員会(House Science Committee)で証言したNISTの情報技術研究所(Information Technology Laboratory)のマシュー・ショール氏(Matthew Sholl)は、「NISTは新たなサプライチェーン・セキュリティの規格標準の発表へ向け、順調に進んでいる」と述べた。ショール氏はまた、NISTはバイデン大統領による最近のサイバーセキュリティに関する大統領令(5月12日付け)で提示された期限内に、本件に関する勧告も行う予定であると述べた。 Fedscoop “NIST to consolidate existing supply chain guidance before issuing new recommendations” (5/27/21)

輸送安全保障局(TSA)、コロニアル社への攻撃を受け、パイプライン会社にサイバー安全保障事件の報告義務付けを正式に発令

数週間前に発生したコロニアル・パイプライン社(Colonia Pipeline)への身代金要求攻撃を受け、輸送安全保障局(Transportation Security Administration: TSA)は5月27日、パイプラインに関する連邦サイバーセキュリティ監督を強化するため、安全保障命令を正式に通達した。この命令により、パイプライン会社は、サイバーセキュリティ事件が発生した後、12時間以内にサイバーセキュリティ・インフラ安全保障局(Cybersecurity and Infrastructure Security Agency: CISA)へ報告することが義務付けられる。CISA及びTSAは共に、国土安全保障省(Department of Homeland Security: DHS)の一部である。命令はまた、パイプラインの所有者及び運用者に対して、①サイバー事件が起きた際に、TSA及びCISAの高官と共に取り組む個人を指定すること(24時間体制で対応可能であること)、②既存のサイバーセキュリティ慣行を評価し、潜在的な溝を特定した上で、その所見を30日以内にTSA及びCISAへ報告することを義務付ける。政権高官によれば、今回の命令はステップの一つであり、今後、パイプラインをサイバー脅威から保護するために更なる措置が実施される計画である。 The Hill “TSA formally directs pipeline companies to report cybersecurity incidents in wake of Colonial attack” (5/27/21)

エネルギー省、ミッションに重要な研究に取り組むキャリア早期の科学者に総額1億ドルを提供

エネルギー省(Department of Energy)は5月27日、キャリア早期研究プログラム(Early Career Research Program)を通じて、83名の科学者に合計1億ドルのグラントを提供すると発表した。今年で12回目となる本プログラムは、キャリア早期の重要な時期にエネルギー省の優先研究分野で自身の最も形成的な活動を行う卓越した科学者を支援するものである。今回選出された83名の科学者は、41大学及び11の同省傘下国立研究所に所属しており、その範囲は32州に及ぶ。その中には、本プログラムで初めて資金を受益する5大学も含まれる。大学を拠点とする研究者は年間15万ドル、エネルギー省国立研究所を拠点とする研究者は同50万ドルのグラントを受益する。グラントは5年間にわたって給付され、給与と研究費用をカバーする。 Department of Energy “DOE Awards $100 Million to Early-Career Scientists for Mission-Critical Research” (5/27/21)

バイデン大統領、ハリケーン・シーズンが近づく中、異常気象への準備資金を倍増

バイデン大統領は5月24日、連邦緊急管理局(Federal Emergency Management Agency: FEMA)の本部を訪れ、米政府は、異常気象事象に備える地域社会を支援するための資金を10億ドルへ倍増すると述べ、全面的な準備態勢が必要であると宣言した。大統領は、気候変動の迫りくる影響に米国が対処できるよう努力していることを強調した。バイデン大統領はまた、より高度な気候データを収集できるよう、米航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)主導の新たな取り組みも発表した。大統領は、甚大な異常気象事象によって不意を突かれることがないよう十分に準備すると共に、異常気象に対する歴代大統領の対応を教訓としている。 Washington Post “As hurricane season looms, Biden doubles funding to prepare for extreme weather” (5/24/21)

オープンAI、マイクロソフト社と共に1億ドルのスタートアップ基金を立ち上げ

オープンAI(OpenAI)は5月26日、1億ドルの「オープンAIスタートアップ基金(OpenAI Startup Fund)」を開始した。オープンAIは、「この基金は、AI企業が世界に重大で前向きな影響をもたらすことを支援するもの」と説明している。基金は、マイクロソフト社(Microsoft)やその他のパートナーからの投資を受け、オープンAIが管理する。選出された企業は、将来のオープンAIシステムへの早期アクセス、オープンAIチームの支援、マイクロソフト・アジュール(Microsoft Azure)のクレジットを得る。約1年前に、マイクロソフト社がオープンAIへ10億ドルを投資すると発表し、双方の関係が始まったが、今回の発表により、その関係は更に深まった。 Venture Beat “OpenAI launches $100M startup fund with Microsoft” (5/26/21)

バイデン大統領、カリフォルニア州の海岸沖を風力ファームへ開放

太平洋上に風力ファームを稼働させ、住宅やビジネスへクリーン・エネルギーを供給するという考えは、深海底によるロジスティック上の課題と、海軍船舶は海上の障害物を望まないという軍の反対により、長い間、拒否されてきた。しかし、技術の進化と、風力エネルギーの早急な拡大を推進する大統領により、太平洋上の風力ファームの可能性が高まってきた。海軍(Navy)は、従来の反対意見を取り下げ、内務省(Department of Interior)と共に、米政府が風力タービンを開発できる場所として選出したカリフォルニア州の海岸沖2か所への賛意を表明した。本件は、連邦政府が西海岸沿いでの風力発電を推進するために実行した最も重要な措置であり、バイデン大統領による積極的な再生可能エネルギー拡大計画の一部である。 New York Times “Biden Opens California’s Coast to Wind Farms” (5/25/21)